91スレ/結婚願望

Last-modified: 2014-07-07 (月) 18:51:42
111 名前: ◆gVFcZJc8FA [sage] 投稿日:2014/01/30(木) 23:30:31.25 ID:4PuMwn2Y0
ttp://ux.getuploader.com/homumado/download/563/%E7%B5%90%E5%A9%9A%E9%A1%98%E6%9C%9B.txt

またまたまたむしゃくしゃしてやった。
一度逃したイメージを無理やり拾ったからなんか強引に〆た気がしてそこだけ反省している。
とりあえず仮トリップ付けた。

http://ikura.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1391053134/111

txtファイルはこちら

「へぇ、アイツ結婚したんだ」

郵便受けから回収した手紙の束を見ているうちに、ママがそんなことを呟きます。

「結婚?誰がしたの?わたしの知ってる人?」

「いや、アンタは多分知らないかな。アタシの古い友人さ。たまに会って一緒に呑むこともある」

「ふぅん。ママの古いお友達ってことは、先生とも?」

「そうだね。あぁ、そうなるとアイツ、今頃荒れてるだろうねぇ」

「あはは……想像できるかも」

私とママとのお話はこれで終わりました。
先生にもいい人が早く見つかるといいな、と心の中でお祈りします。

(結婚…………お嫁さん、かぁ)

女の子なら一度は夢見たことがあるだろう将来を考えて、『わたしはどんな人と結婚するのかな』とか、『ステキな人だといいな』とか。
そんなことをぼんやり夢想するのでした。



そっと窓を閉めて、ほむらちゃんはまたどこかへ行ってしまいました。
また、今日も泣いてた……。
『抱きしめてあげたい。慰めてあげたい』なんて、ほむらちゃんが来る前はよく思うのですが、どうしてもそうすることが出来ません。
マミさんやさやかちゃんはほむらちゃんの事を嫌ってるみたいで、なんだか悲しいです。
キュゥべえに怪我させたことが許せないのはわかるけど、ほむらちゃんがああして泣いてるのを見ると、事情があるとしか思えなくて、
その事情を聞いてあげてほしいって思います。
どうしたら、みんな仲良くできるんだろう。
ほむらちゃんは何を隠してるんだろう。
それがわかれば、きっと―――。
私はそんなことを考えながら、眠りにつくのでした。



―――まどか。まどか。

ふと気が付くと、わたしを呼ぶ声がします。

―――まどか。よく似あってるわ。すごく綺麗。

それはウェディングドレスを着たほむらちゃんでした。
そしてよく見ると、私もウェディングドレスを着ていました。
わたし達がいる場所は教会で。
あぁ、そうだ。今日はわたし達の結婚式だった。

―――まどか。愛しているわ。

うん、わたしも愛してるよ、ほむらちゃん。
これからはずっと一緒だよ。
見つめあうと、すごくドキドキしてきます。
そして、わたし達は誓いのキスを―――



そこで目が覚めました。
なんだかすごくドキドキする。
あと少しで、わたしはほむらちゃんと、その、誓いの…………。
~~~~~~っ!
考えるだけで恥ずかしくなります。
今日一日どんな顔してほむらちゃんを見ればいいのかわかりません。
それにしても、惜しかったな……ってそうじゃなくってぇっ!!
このふわふわした気持ち、どうすればいいんだろう……。









今日のまどかの様子はおかしかった。
チラチラと私を見ては、目線が合うと急に目を逸らす。
廊下で会えばなにやらそわそわした後急に逃げ出す。
かと思えば少し離れた場所からこちらの様子を伺っているのだ。
巴マミかインキュベーターに何か吹き込まれたのだろうか。
まどかに避けられることには慣れているし、不必要に近しくならない事は喜ばしいのだが、それならばもっと徹底してほしい。
『避けられている』ということを意識するような姿を見せられるのは、やはり心にクる物がある。
出来れば避けるのならば見えないようにして欲しかった。
それにしても、なんだか顔が赤いようだが熱でもあるのだろうか。
もしそうなら家に帰って寝ていたほうがいいと思う。
まどかの体調のためにも、私の精神衛生のためにも。


来るべき日のための準備に奔走していると、今は会いたくない姿が見えた。
この街を縄張りにする魔法少女、巴マミ
新たな魔法少女候補、美樹さやか。
そして―――
やっぱりあの子は挙動不審だった。
私を見つけると真っ赤になって焦っていた。
怯えているのだろうか。それならそれでいい。
それで私にも、魔法少女にも、もう関わらなければいいのだ。

「まだ魔法少女体験ツアーなんてくだらない真似をしているのかしら、巴マミ」

そう、くだらない真似だ。
魔法少女など好んでなるものではない。
そんなものは他に方法がない者だけがやればいいこと。
ましてあの淫獣は魔法少女になるということのリスクを全ては明かしていないのだ。
それも知らずに仲間を増やそうなどという真似は、許せるものではない。
だからと言って私から説明することも出来ない。
タイミングと段階を謝れば、巴マミの精神はあっさりと崩壊する。
『既になってしまった者』をそこに追いやることは、本意ではない。

「いきなり随分なご挨拶ね。そんなにくだらない事かしら、これ?」

相変わらず敵意を隠そうともしない。
状況が状況だけにやむを得ない事だとは思う。
だが、頼るつもりはなくても戦力となれば『奴』との戦いの勝率を上げられる以上、いずれ状況は打開したい。
……そう、戦力。余計な感傷にはフタをする。

「えぇ、とても。魔法少女なんて、それ以外に道が無くならない限りは、なるべきじゃない」

まどかを中心にしている、それ以外はついでとはいえ、間違いなくこの忠告は「親切」だ。
その先に待つのは、どんな形であれ「破滅」しかない。
幸せな結末などなく、絶望だけが待つ茨の道。
そこに足を踏み入れさせないようにするのは、親切以外の何物でもない、はずだ。
だというのに。

「それを決めるのはアタシ達だよ、テンコーセー。これはアタシ達が望んでるんだ」

相も変わらずよく知りもしないことを適当に決めつける。
良くも悪くも思い込んだら中々曲がらない。
やはりこの子とは、相性が悪い。

「ならよく覚えておくことね。魔法少女になるということは、そのためのたった一つの願いのために、他の全ての希望を捨て去ることだと」

そう、すべての希望を捨てなくてはならない。
見返りを求めてはならない。
一つの願いに複数の希望を込めてもならない。
そうしなければ、いずれ願いに裏切られて絶望する。
過去出会ってきた『美樹さやか』は、その典型例だ。
ともあれ、言うべきことは言った。
この場に留まる意味は無い。
お互いのためにも、そのほうがいいだろう。
そう思った、その時だった。

「じゃあ、私が魔法少女になっちゃったら、もうほむらちゃんのお嫁さんにはなれないの?」

その沈黙はまるで永遠にも思えた。
この瞬間の空気の、なんとも言えないアレな感じ、お察しいただきたい。


今この子はなんと言ったのか。
中々脳が理解してくれなかった。
お嫁さん。
ほむらちゃんのお嫁さん。
まどかが、私の、お嫁さん。
想像する。
晴れた空。白い教会。赤い絨毯。日の注ぐステンドグラス。
純白のドレスを着たまどか。その隣にやはり純白のドレスを着た私。
愛を誓い、指輪を交換し、そして、私はまどかと。

「へぁうっ!」

まずい、変な声出た。
って言うか顔が熱い。耳まで熱い。
きっと私はゆでダコのように真っ赤になっているに違いない。

「な、ななななな、何を言っているの鹿目まどか!そんな、私とまどかが、け、けけけっ……!」

ろれつが回らない。
顔を見られないようにわたわたと手を振って顔を背ける。
私は完全にパニックになっていた。

「(あれ、なんか転校生が可愛いぞ?)……あー、これはどこからツッコんだらいいんですかね、マミさん」
「(こんな暁美さん、意外過ぎるわ)……私に聞かないで」

何故か巴マミと美樹さやかの視線が痛かった。
何よそのシラけた目は。
あなた達だって女の子ならわかるでしょう。
好きな子との結婚を夢想して何が悪い。
そこまで考えて、ようやく思い出す。
私の目的と、そのためにしてきた私の所業を。

「せっかくの申し出だけれど、貴方が魔法少女にならなくても、それは無理。私はそんな幸せを手にする事は許されない。魔法少女になるって、そういうことよ」

そうだ、私は汚れている。
こんな私がまどかの隣にあることなど、決して許されない。
そんな幸せ、望んじゃいけない。

「あー、なんか思い詰めてる所悪いんだけどさ」

私の思考を遮る声がする。
何よその顔は。
何故そんな残念な子を見る目で私を見るというの、美樹さやか。
よく見ると巴マミが私を見る目もなんだか生暖かかった。
やめて、なんだか不快だから。

「魔法少女とかいう以前に、女同士じゃ結婚できないって考えないの、アンタ?」

再び、沈黙が場を支配した。
女同士。
そうだ、女同士だ。
私とまどかはそもそもこの国では結婚できない。
魔法少女関係ない。
何故そこに考えが回らなかったの?
貴方はどこまで愚かなの、暁美ほむら?
は、恥ずかしいィィィッ!!
もうダメ、顔から火が出る!
早くこの場を離れないと!

「と、とにかく!私の忠告を忘れないことね、鹿目まどか!ついでに美樹さやか!」

そして私は時間を止めてその場から逃げ出す。
明日教室で顔合わせるのが辛い。
……三日ぐらい、休もうかな。