浅草の愚連隊

「ダァーッ！？　昔のことは他言無用だぞモトスミぃ、クラァ！　高校デビューとか言うんじゃねぇ！」
「わかってんぜ。言わねえ約束だったからなぁ、リチョウ。まあお前……自分で今言ってるようなもんだけどよ。ハハハ！」
泣く子も黙る得真道学園に通い、ヤンキー言葉を使う２人。
学園の環境に馴染まんとするリチョウと、そんな彼に「ナメられない言葉遣い」を教えたモトスミ。
リチョウは乱暴な言葉とは裏腹に、モトスミとグッと腕をぶつけて笑う。
片や、文化祭での騒動を経て、己だけの獣道を見つけんとする半人半虎の青年。
片や、柱源の秘儀を厳修する修験の道に、半分だけ足を突っ込む半僧半俗の青年。
そんな２人は同じ学び舎にてただ一度きりの青春を共に謳歌し、やがてそれぞれが得た「道」を歩んでいくのだ。
甚深無相の法曰く「この世に生きとし生ける誰もは、本覚の境界を識り、心のまま自ずの道を成ずるべし」。
各々の行く末を浅草の雷門と、そしてその傍らに建つ学園がただ見送ってゆく。