小説/10話「宿泊・第一篇」

Last-modified: 2023-01-31 (火) 23:18:29

10話「宿泊・第一篇」

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著:てつだいん/百花繚乱  添削:学園メンバー

1.出発

 

ついにやってきてしまった!研修当日の日が!
私は宇都宮 優!次郎勢学園の生徒!今日は待ちに待った(??)宿泊研修の日!
学校の隣にある寮を飛び出して、私は学園前に集合した。
集合時間は朝の8時だから、もう少し余裕があるみたいだね!

 

優「おはよう!!」
笹川「おはようなのだ!」
優「あれ??他の皆はまだ来ていないのかな??」
笹川「旦那様はまだ来ていないのだ」
優「そろそろ来るはずだよね……」

 

スタッ
優「あっ!おはようー!!」
涼介「おはよう。ついにこの日が来たな」
笹川「あーーーー!!旦那様!!おはようなのだーー!」
タッタッタッタッタッタッ
涼介「うわぁこっち走ってきたぞ」
タッタッタッタッタッタッ
笹川「旦那様~~!!」
ピョーン
サッ
笹川「ふにゅ!?」
ドカッ
優「アイちゃん!?」
笹川「うぅ……うぅ……うぁーーーーーーーーん!!旦那様ひどいのだーーーーーー(涙)」
優「ちょ、ちょっと涼介くん!?」
涼介「こっちだって困るんだ。もう5回目くらいだぞ…? いきなり走ってきて飛び込まれるのはもうごめんだ」
優「だからって…… 飛び込んできたのを思いっきりよけるなんて…!!」
涼介「じゃあ僕が受け止めろとでも…? いつまでもそんなことやってられないって流石に… わかってくれよ」
笹川「旦那様ひどいのだーーーーーー(涙) うぅ……うぅ……」
優「ほら……アイちゃん泣き止まないよ??」
涼介「あー分かった。僕が悪かったよ」
笹川「旦那様……」
涼介「でも、もう飛び込むのは勘弁してくれ・・・」
笹川「駄目…なのか?」
涼介「じょ、常識ってものを知れ!!」
笹川「うぅ……」
優「ほら、アイちゃん、いつまでも泣いてないで、立ち上がって!」
笹川「ふにゅ~ん……」
優「涼介君…… これからはちゃんと……」
涼介「ちゃんと……?」
優「これからはちゃんと受け止めておいてよね!」
涼介「なんでぇ↑!?」

 

近江原「お、おはよう」
優「あっ!おはよーう!」
近江原「ぬぅ…やっぱり駄目だ」
優「…???」
涼介「やっぱり……駄目か」
近江原「うん」
笹川「……???」
優「…???」
近江原「あの2人とは仲良くなれそうにない」
涼介「僕がなんとかするよ」
近江原「なんとかする……?」
涼介「直接会話するのも抵抗があるんだろう…?なら僕が間に入って伝言してやるよ」
近江原「あ、そういうことか。助かる」
笹川「……???」
優「…???」

 

南沢「よー、おはよう」
雪姫「おはようございます。南沢さん」
菊池「……………おはよう」
枝川「お………おはようございます」
南沢「どうしたー?枝川?敬語なんて使っちゃってー」
枝川「え・・・!? あ、ああ、なんでも…ないよ」
南沢「あー、さては枝川、この班に好きな人いるなー?」
枝川「うっえっ!!?? 何だよ急にそんなこと言って……」
どうして南沢の直感はこんなにも鋭いのか!? まるですでに知っていたかのようにビシッと当ててくるからとても動揺してしまう。
菊池はもともと無口だから、黙って本を立ち読みしていた。
そして……雪姫も……ってぇぇっ!?なんかこっちめちゃくちゃ見てるし!? やばい顔が赤くなってしまうやばいやばいやばいやばい(慌ててカバンの中身をチェックするふりをする)

 

Felix「あと3分」
谷城「そんなに厳しくチェックするの?」
Felix「当たり前だ。集合時間に遅れるなど、人間としてどうかしている」
照美「さすがフェリックス……」
………。
Felix「あと2分」
谷城「そんなカウントダウンしないでよ!こっちが怖くなってくるよ!」
Felix「まさかとは思うが、遅れるんじゃないだろうな」
照美「きっと、何かしらの事情があったのでしょう」
………。
Felix「あと1分……!!」
谷城「ねえ!あと1分で地球が終わるみたいな怖い言い方しないでよ……!」

 

フェリックスはとにかく時間に厳しい。ほとんど遅れることがない。1分の遅れですら気にする。とはいえ、遅れたら遅れたで連絡とかもするし、事情があれば許す人。
しかし、しかし……。
逆に言えば理由なく遅れたりしたら…

 

………。
Felix「時間だ!!高砂が来ていない!!」
照美「そこまで騒がなくても……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………
谷城「ねぇフェリックス!?すごく怖いんだけど……!?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………
Felix「いいや、きっと何か事情があるのだろう。だが、もし無かったとしたら……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………
谷城「ねぇフェリックス!?」

 

あれから4分経った。
タッタッタッタッタッタッ
高砂「みんな、ごめん、遅れた……ゼェハァゼェハァ」
谷城「……………………。」
照美「……………………。」
高砂「あ、あれ?みんな黙ってどうしたの? あっ、おはようフェリックs……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………
Felix「……おい。遅れた理由を話せ」
高砂「あ……その、寝坊してて」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………
高砂「ふぇ、ふぇふぇふぇっふぇふぇフェリックス!?」

 

Felix「お前!寝坊などというくだらん理由で遅刻するとは何事だ!貴様は時間に甘すぎる!このような団体行動を為すような場面で遅刻するというのは、一切許されぬ行為なのだ!それを貴様はいとも簡単に破りやがって……貴様は人間失格だ!なんという甘ったるい精神!!見損なったわ!!」

 
 
 
 
 
 

(数分前……)
音哉「お、おはよう」
森「あ、おはよう……」
なんと俺と森の2人っきりである。困った。
雰囲気が気まずい。話しかけるのが難しい。お互い何も言葉を発さず、ただ下を見たり周りの生徒を見つめながらお互いを見ないように目をそらしていた。
お願いだから早く誰か来て……
………。
…………。
……………。
しかし だれも こなかった。▼

 

これは…勇気を振り絞って話してみるしか無いのか……
音哉「な、なあ森…?」
森「ひゃっ……え……えぇっなんですか……じゃ、じゃなくて、何……?」
音哉「動揺しすぎじゃないか?」
森「そんなこと……ない……///」
音哉「そ、そう。なんか、まだ他のメンバーがまだ来ないから、暇だなと思ってさ」
森「そ、そうですね……//」
音哉「森も……暇なんだよな?」
森「そ、そうですね……/」
音哉「何か雑談でもしようぜ」
森「ざ、ざつだん!!??……////」
音哉「えっ俺なんか変なことでも言った…か?」
森「い、いや……///」
音哉「そうそう、雑談か…… 森は今回の研修で一番楽しみな行事って何だ?」
森「い、いや……// あっ!ごめんなさい!聞いてなかった……」
音哉「今日のお前、なんか変だぞ…?何かあったのか?」
森「いやいやいやいや別にそんなことないですって……//」

 

師音「おはよう」
音哉「おはよう!!!!!」
やっと来たーーーーーー!!!!やっと班のメンバーが来たーーーーーー!!!!
助かったーーーーーーーーー!!!!
音哉「あ、ああ、妙にテンション高くなっちまった」
師音「何か面白い話でもあったのかい?」
音哉「いや、そういうわけじゃないんだけども」
………気がつくと、古閑も来ていた。無口で一切言葉を発しないので、気づかなかった。
音哉「あ、古閑、おはよう」

 

サッサッサッサッ…パクッバサバサバサ……(ハトにメモを運ばせる)
古閑『おはよう』

 

師音「コミュニケーションを取るのもなんとか慣れてきたね」
森「いつかは普通に会話してみたいですけどね……」

 

サッサッサッサッ…パクッバサバサバサ……(ハトにメモを運ばせる)
古閑『それはまだ難しい…と思う』

 

音哉「うーむ…… まあ、とにかく全員揃って良かった。さあこれから楽しい宿泊研修だー!!」

 
 
 
 
 
 

???「みんな次々とバスに乗り込んでいくわよ」
???「リンたちはどうすればいいの?」
???「そうね…… 私服で学園に紛れ込んでただけだから、正式に生徒としているわけないし…… バスの席も空いてないわよね……」
???「わかった!バスの天井に乗っかっていけば良いんだよ!」
???「はぁ!?!?アンタ、自分が何言ってるか分かって言ってるのそれ!?」
???「うん」
???「そんなことできるわけないでしょう!何を考えてんのよアンタは全く……」
???「え……だめ……?」
???「もっと別の方法があるでしょうに……」
???「じゃあバスの下に張り付いていく?」
???「はぁ!?!?」

 

2.バス(至白樺湖)

そして舞台はバスへ。(何その壮大なドラマみたいな言い方)
まず、遠征などのバスというのは、嬉しい人もいれば地獄に感じる人もいる。

 

そう。バスはとにかく酔うのだ。

 

酔いにくいタイプの人は楽しく過ごせるのだが、すぐに酔ってしまうタイプの人はとても辛い。バスにのる時はエチケット袋が必須だ。人によってはいくつも持ってきていたりする……
最初のうちは静かで快適なのだが、本当にダメな人は最初の数分でノックアウト寸前までやられるらしい。
???「ウ゛ッ」
???「おい!大丈夫かよおい!!」
???「やば……駄目かも」
???「うわああああああああああああ俺のところにゲェェするなーーーーーーーーーーー」
初っ端からこの調子である……が、実はこのように騒いでいるのはほんの数人だけであり、バスの乗客全員が騒いでいるように聞こえるほどの叫び声も実はたったの数人が上げている悲鳴だったりする。

 

少し雑学を上げておくと、コミュニケーション能力が高い人は酔いやすい人が多いらしい。
…ちなみに僕、小倉 師音は全く酔うような体質では無いが、ここまで騒がれると多少は酔いやすい人がどのような体質なのか気にならなくもない…。

 

古宮「みんな……大丈夫か? 酔い止めの薬でも飲んどけよー」

 

~数分後~

 

全員落ち着いてきた。さて、そろそろかな?
……。
古宮「ご、ごっほん」
南沢「kou長みたいな咳払いやめい」
古宮「うるせえなぁいいだろそんくらい!!」
南沢「あーまたくだらんことでキレてる」
古宮「オメーが言うな!!」
今日の古宮先生、いつにも増してテンションが高い…
まあ、毎日高いじゃんと言われちゃあそこまでなんだけれども。
古宮「んで、はい。皆落ち着いてきたみたいなので、一通り連絡をしたいと思いまっス
  まあね、バスに乗る前に全員で揃って挨拶したわけでもないし、一応挨拶として…… おはようございます!」
一同「「「おはようございます!!」」」
古宮「さて。ついにやってまいりましたね宿泊研修ゥゥゥ!!!!!やっほーーーーい!!!」
(もうこのテンションにはついていけない)
古宮「えぇーっと?まずは、そうだな。今回のバスを運転してくださる運転手さんにごあいさつをしたいと思いまっす!」
(あー小中学校恒例の挨拶ねぇ)
古宮「今回運転してくださるのは! 我が学園の用務員さんです!!」
一同「「「えっ!?!?」」」
なんだと……? まさか、あの用務員さんが……? あの人は清掃専門だと思っていたからびっくりした。割と何でもできるタイプなのかもしれない。
用務員さん「よろしくー。これでも大型自動車第二種免許持ってるんやで」
すごいな……
古宮「はいっ!それでは今日から3日間お世話になる用務員さんに大きな声でよろしくおねがいしますを言いましょうー!せーのっ」

 

し~ん……

 

古宮「えっ??」

 

南沢「小学生かよ!」

 

古宮「あっスマンスマンw完全に遠足気分で調子に乗って言ってしもうたんで…… んじゃ普通に。よろしくお願いします」
一同「「「よろしくお願いします」」」
用務員さん「はいよーっ。まかせときぃ」

 

宇都宮 優「用務員さん!質問です!用務員さんの名前って何ですか?」
用務員さん「本名は非公開なんだよね~」
優「あっそうなんだ……」

 

古宮「はぁーいwそれでは皆さんお・ま・ち・か・ねw バスレクの時間だーーーーい!!!!」
一同「「「おおおぉぉぉぉ!!!!!」」」
そうなのか。バスレクなんてあったのか。少なくとも予定表には書いてなかったぞ…… この予定表、書いてあることがざっくりすぎる。大丈夫か……?
古宮「まあね、バスレクといったらあれでしょ。あれ。」
小倉「どれ?」
古宮「ほら……あれ」
音哉「どれ?」
古宮「ほら、えっと…… ンガアアアアアアアア!!名前が出てこない!!」
近江原「バスレクといったらほら・・・ビンゴだとかイントロクイズだとか伝言ゲームだとか・・・」
古宮「せや!イントロクイズだ!」
近江原「えっ」
古宮「えっ」

 

いや、イントロクイズっていう名前はど忘れしないで欲しい。

 

古宮「ふふふふ……この日のためにイントロクイズ用のCDを5枚も持ってきたんだ……合計100曲入ってるからたっぷり楽しめるぞぉぉぉぉ」
どんだけ入れてんだ・・・ 100曲やりきる前に飽きる。

 

古宮「んじゃあ早速行くぜ?俺が曲の最初の部分だけを流すから、何の曲か当ててみてな」
谷城「はいーーー!」
古宮「第一問!」

 

ディドゥアジゾン……ザ・ザ・ザ・ザ・ザ

 

…………………?

 

古宮「えぇっ!?うそぉぉん!?分かる人だれもいないの!?」
うーん、これもしかして音ゲーの曲?僕に出されてもな……
古宮「えっマジで誰もいないの?ガーン」
音哉「いやぁこれは知らないなぁ」
古宮「え・・・神威って曲なんだが・・・知らないのか・・・」
南沢「知らねー…」
古宮「ちなみにチュウニズムの曲やで」
用務員さん「神威はチュウニズムじゃないです。EZ2DJです」
古宮「え!?!?」
用務員さん「副担任の木ノ瀬先生から聞きました。にわかが一番嫌われるって。古宮先生は音ゲーの話題で何かしらやらかすだろうから、頑張って調べてみたと。その中でも神威という曲はチュウニズムチュウニズムと自慢げに話す人が続出するから、この曲はEZ2DJというゲームが初出だってのだけは覚えておけ……と……」
古宮「うそだ……俺はにわかなのか……」
南沢「うわーw先生にわかだってさwウケるww」
古宮「うっせぇなオイ!!」

 

その後、古宮先生がバスレクでイントロクイズを出すことはなくなりました。スカッとしました。(某〇〇ッ◯ジャパン風)

 

古宮「それじゃあ、普通に曲流すだけならええやろ…?」
スピーカー『ココロピョンピョン……』

 

???「うさぎぃぃぃぃ!?!?!?うさぎの曲だ!!!!!!!」
???「ちょっ!叫ぶなって!!」

 

し~ん…………
・・・・・・・。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
・・・・・・・。

 

古宮「今の声…… 何だったんだ?」
雪姫「さぁ……」

 
 
 
 
 

 
 

危ない。というかアウトかもしれない。完全に今の叫び声は生徒たちに響いたであろう。
私たちがバス下部の荷物収納スペースにこもっていることがバレてしまう。というかバレたかもしれない。
???「ねえリン…!そんなに大声で叫ばないの…!」
???「だって……うさぎの曲が流れたんだもん……」

3.クラス対抗歌唱大会

語り手:笛口 音哉

 

ついに白樺湖に到着した!

 

山を少し登った盆地のような場所。とはいえ、標高はそこまで高くない。
……俺たちの住んでいる場所では見られないような景色だった。少し大きめの湖があって、その周りには民家や小さなホテルがぽつぽつとある。神秘的と言うと少し違う感じがする。湖と言っても、のどかな雰囲気だ。遠くに鳥が泳いでいるのが見える。

 

そんな湖の目の前、ちょっとした草原の地にバスは止まった。

 

古宮「到着だぞー」
谷城「えっ!?ほんと!?」
近江原「おおおおーーーっ」
優「やっと着いたねっ」
南沢「うわっ、もう着いたのか」
枝川「(ぐぅぅぅぅぅぅ…(寝息))」
菊池「…………。(隣で寝ている枝川を迷惑そうな目で見る)」
雪姫「枝川さん着きましたよ、いい加減起きてください!」
枝川「ん……んあ……あ、着いてた…… ってうわあああっ」
笹川「おぉー、これが湖というのだ?」

 

ついに長野の地に降り立った。俺らの住んでいる場所よりいっそう自然に囲まれている感があって、すがすがしい。
耳をすませば小鳥の歌声が聞こえる。開けた空間なので、俺たちの声は全く響かない。それがまた開放感があって良い。

 

さあ、まずここで行われるのは…… そう。クラス対抗歌唱大会である。

 

古宮「そんじゃ、1クラスにつき2列で並ぶぞー」
この学年……高校1年は全部で5クラスだ。
俺たち3組はさっと列を組んで並んだ。だらだら並ばずさっと列を整えられるのは、今まで1ヶ月で培ってきたクラスの団結力の証だ。周りを見ると、他のクラスはどこに並ぶだかなんだかでだらだらしている。ここに来て圧倒的団結力の格差を見せつけることができた。半端ない優越感だ()

 

kou長「はい皆さん静かにしてー」
ざわざわ…
ざわ…
…。

 

しーん…

 

kou長「はい、それではこれから、クラス対抗歌唱大会を始めます。ルールは単純です。皆さんの得意曲の歌唱を披露していただきます。それを審査員の先生方が100点満点で審査します。クラスから代表を3人ずつ選んでいただき、その方に歌ってもらおうと思います。5クラスあるんですから、15曲ですかね」
音哉「なるほどな」
高砂「ほうほう」
kou長「各クラス3人の合計点が一番高いクラスの優勝とします。優勝者は、この後のカレー作りの時、追加で焼肉を楽しむことができますぞ」
涼介「焼肉か」
優「焼肉ゥ!?」
音哉「おぉぉ!!これは戦いがいがあるじゃないか。せっかくなんだから優勝しようぜ」
枝川「焼肉は欲しいなぁ」

 

kou長「はいはい!時間が押しているので少し急ぎますよ?早速ですが、各クラス、代表で歌う3名を決めてください」
ざわざわ…
各クラスで話し合いが始まった。
音哉「この中で歌が上手いやつ…いるか?」

 

しーん…………

 

涼介「そりゃあ自分から名乗る奴なんかいないだろうよ」
音哉「あ、そ、そっかw んじゃあとりあえず俺行っていいか?」
一同「「「…あ、どうぞどうぞ」」」
みんな遠慮気味だなぁ…焼肉は欲しいのに自分は歌いたくないってのか。全く……なんちゅう連中だ……下手でも構わないから誰か歌ってくれや……
音哉「ええんやで。別にキャラ崩壊してもええんやで。誰が歌ってもええんやで」
南沢「じゃあ俺も歌おうかな」
音哉「お、おぉっ!やっと歌う人が出てきた!待ってたぞ!」
南沢「んでもなー、何を歌うかが問題なんだよなー」
優「得意曲とかは無いわけ?」
南沢「あるにはあるが、あまり調子が乗らなくて」
音哉「何か良い曲を提案したほうがいいな…… 簡単でノリノリになれいぇ評価が高い歌……うむ……」

 

……。
音哉「そうだ!Brain Powerだ!!」
一同「「「……???」」」
ダメだ。皆の頭にはクエスチョンマークしか見えない。
音哉「え、えぇ…?誰も知らないのか…?」
しょうがない。曲名を知らないだけかもしれないしな。
音哉「こういうやつだ。O-oooooooooo AAAAE-A-A-I-A-U- JO-oooooooooooo AAE-O-A-A-U-U-A- E-eee-ee-eee AAAAE-A-E-I-E-A- JO-ooo-oo-oo-oo EEEEO-A-AAA-AAAA」
一同「「「……???」」」
あぁ、終わった。誰も知らないのか。
……。
近江原 丞(おうみはら じょう)「あの曲か!!」
音哉「ぬぅ!?」
近江原「俺の名前は近江原 丞-oooooooooooo AAE-O-A-A-U-U-A- E-eee-ee-eee AAAAE-A-E-I-E-A- JO-ooo-oo-oo-oo EEEEO-A-AAA-AAAA」

 

この近江原、ノリノリである。

 

涼介「…仕方ないな歌おうじゃないか」
音哉「おおっ!?」
枝川「涼介の歌声が!?」
南沢「ついに聴けるのか!?」
涼介「笹川が」
笹川「ふにゅっ!?」
涼介「という訳で行っといで」

 

一同「「「えぇっ!?」」」
音哉「涼介急にどうした!?」
近江原「笹川に歌わせるってどういうことだ!? 嫌な予感しかしないだろ!!」
涼介「まあ見てろって。騙されたと思って」
近江原「で、でも」
涼介「人は偏見で判断しちゃダメだ。誰だって意外な一面はあるものさ。今からそれを証明しようじゃないか」
南沢「涼介は笹川の歌がどんなのか知ってるのかよ!?」
涼介「ああ、知ってる」
え、え…これは本当に任せていいのだろうか……

 

音哉「うん、わかった。笹川にしよう。俺は涼介を信じる」
笹川「ふにゅっ!?」
南沢「しゃーない……惜しいが……焼肉なんてどうなったっていいわぁ」
皆は渋々承諾した。だが、決して乗り気ではない。涼介だけが自信を持って笹川を推す中、他のクラスメイトはほとんど信用していないみたいだ。俺もよくわからない。

 

その他のクラスも歌い手を決めたらしく、話し声がやんで行く。次第に辺りは静かになった。

 

kou長「はい。それでは始めたいと思います。1回戦で歌う人は前に出て来てください」
笹川が堂々と前へと歩いて行った。
kou長「それでは、くじ引きの結果、3組から歌っていただきます」
どきり……
まず、どんな歌なのだろう……
kou長「好きなタイミングで始めてください」

 

あたりは静まり、皆が笹川の歌へと注目を始めた。

 
 

フゥワァ↑アッアッ ゾゥケースノォイォイエーイwリヴィアソワニエビバディ↓イー↑wエーリリタソシケリ†リヴィッ↑ディー↑† カツァインフロンクソリィ(ガガガw)エリスマッチガイザリヴィ↓イー↑ ケリリウォッツァリイィww

 
 

!?!?
なんだ…!?今の美声は……!?
確かによくある草の混じった歌い方なのだ。でも……その草の生えた歌の中にも……美しく純粋で透き通った声が響いた。
南沢「おい………!?」
優「今のって……アイちゃん……だよね……??」
音哉「あのふにゅ~んがこんな美声を!?」
近江原「しかも…アカペラ…だと…?」

 

「おぉぉぉぉぉ!!!(パチパチパチパチ………)」
歓声が湧き起こった。
あんな美声を聞いたら 、そりゃあびっくりするだろう。感動するのも十分に理解できる。
でも。でもだ。うちのクラスは、もうひとつ別の意味で驚いている。
「「「笹川ってこんな特技があったとは…!!!」」」
笹川「楽しかったのだ!」
笹川は1年生全員の前で待つことなく、クラスの列に走って戻ってきた。
優「アイちゃんすごいよ!!」
笹川「そうなのか…?ありがとうなのだ!!」
涼介「そうだ。これを待ってた」
これは優勝もいけるかもしれない…!
そう思った時だった。

 

劉「2番1-2劉イッキマース!」
いきなり2組から叫ぶような声がした。
黒野「でしゃばるなアホ!」
劉「誰がアホじゃワレェ!ワレはバカだ!」
それをアホっていうんじゃないかな…?
……あいつは……確か、中国からやって来たという留学生か……?

劉 天広(リュウ テンコウ) 割とハチャメチャスタイルな中国からの留学生。中国大嫌いなので亡命してきたなんて噂も。
日本語は時代劇と任侠ドラマで覚えた超人。故にボロが出まくる。言い方も…

劉「もうええわ、ワレがあれをやろう」
黒野「『あれ』……?」
一体何が始まるんだ…?

 

(|」)スッ

 

あ…あの構えは…なんだ?

 

「I'm a country girl,but you're a super city boy」

 

間違いない…あのムダにキレッキレな動き、そしてあの歌詞…

 

「I will surely get your honest love」
(-_)バァン!
「「「Daisuke!」」」

 

やっぱりそうだーーーーwww

 
 
 

…………………。
しかし、知らない人が多いのか、拍手はそこまで多くなかった。勿体無い。。。
なんか…色々と面白かったところだな…2組…

 
 

桃華「えっと…3番の登里 桃華です」
kou長「では好きなタイミングで始めてください」

 
 

「chu chu yeah!please me!」

 

近江原「あー…メイドラのOPか…懐かしみ」
高砂「わかるわ」

 

僕は君の翼に なれる勇気があるよ
どんな試練も怖くない その魔法があるから
初めて出会う世界に 花束を贈ろう
ただこの瞬間結ばれるよ
ちぐはぐなコミュニケーション?
でも別に構わない
明日から平和なら!

 

桃華「ありがとうございました!」
「おぉぉぉぉぉ!!!(パチパチパチパチ………)」
歓声が再び湧き起こった。しかも笹川の時よりも大きそう…いや、実際大きいかもしれない…
しかし、そんな事をつゆしらず涼介は考え事をしていた。
涼介「登里…どっかで聞いた事ある名字だな…」
音哉「ん?涼介どうした?」
涼介「思い出した…登里ってスーパーの店舗数なら日本で五本の指に…いや、海外の企業を含めても五本の指に入る企業の社長の名字だったはず」
音哉「は!?えっ!?」
驚いた…まさかそんなご令嬢がこの学園にいるだなんて…

登里 桃華(のぼり ももか) どこかのご企業の令嬢。
故に崇められたり色々とされるが、本人は普通に接してもらいたい様子。
運動神経も頭もそれなりによい。

早いなぁ……時はあっという間に過ぎていく。
kou長「それでは次に5組です。どうぞ」
そう言われ、皆の前に立っていた5組代表選手だったが、何やら状況がおかしいぞ……?

 

???「なんで私が歌わなきゃならないの?」
ざわざわ……
ざわざわ……
???「はぁ?そんなこと言うなら貴方歌いなさいよ」
ざわざわ……
ざわざわ……
???「だから、話聞いてんの?これ以上言うなら…」
目の前の男子をビンタしようとその女の子(渡辺というらしい)が手を振り上げた、その瞬間だった。

 

パシッ!!

 

女の子の後ろから別の男子が現れ、その手を掴んで止めた。
勝浦「こんな所で喧嘩すんなって…俺が代わりに行くから、皆それで良いか?」
ざわ……
(え?いいのかよ勝浦…… 歌ってくれるのか……?)
ざわざわ……
(だってこんな大衆の前でだぞ?そんなのを自ら引き受けるなんて……)
勝浦「喧嘩なんかしたら楽しい雰囲気が台無しだろ?」
(いいのかよ本当に……)
勝浦「俺は歌は下手だけど……まあ仕方ない」
(まじかよ……勝浦ヒーローかよ……)
渡辺「はぁ…分かったわよ」

 

……という一連の会話の流れが、こちらまで聞こえて来た。かすかに聞こえていた会話5組の他の人か。どうやらあの渡辺とか言うやつが歌を押し付けられ、ブチ切れかけたところで勝浦という奴が仕方なく止めに入ったということか…… かっこいいな()

 

渡辺 愛梨 基本的にぼっちで無気力。極度の面倒くさがり。だれに対しても毒舌である。

勝浦 博 コミュ力高め、でも人より他の生物と遊ぶ方が好き。中学時代から学園に居る為、同級生より学園にちょっと詳しかったりする。
“普段は”落ち着いた性格だが…

勝浦「はぁ…… 一体何を歌えばいいのやら」
歌は下手だと言っていた。すると、歌う歌もあまり無いのか……?
kou長「えっと…… いろいろあったみたいですが、勝浦さんでいいんですね?」
勝浦「……はい」
kou長「それでは、5組の歌唱は、勝浦さんです! それでは好きなタイミングで始めてください」

 

勝浦「(いや…本当に歌は下手なんだ…… こう言う時ってどういう歌を歌えばいいかわからないし……)」
ざわざわ……
(なんでもいいんだよ!何でも!)
勝浦「本当に……何でもいいのか?」
(うんうん!)
ざわざわ……
勝浦「え……えっ じゃあ」

 

きーみーがぁよーは……
千代にー↑ー↓八千代にー……
さざれ……石の……
巌となりてー……
苔の…… むー↓すー↑↓まーーーでーーー………。

 

ぱち……ぱち………。
いや、なんで君が代!?
歌う曲に迷って最終的に選んだのがこれ!?
なんだこれは……
国歌だぜ!?何故ここで!?

 
 
 

kou長「ご、ごごご、ごっほんw
えーそれでは、最後のクラスとなりました。1組の歌です。どうぞ」
Leon「ヤッホー!アタシノ名前はLeon Citrusデース!」
なぬぅ!?また留学生か!?
ざわざわ……
また辺りがざわめき始める……
見たところ、アメリカっぽいか……?
髪は金髪だ…… アメリカらしいというかなんというか……?
そして体は……うぐっげほっ

Leon Citrus(レオン シトラス) アメリカから来た留学生。
ボンキュッボンなダイナマイトボディで金髪。
楽観的思考の持ち主で、いつもお気楽・ポジティブな人である。

口癖が「デース」っぽいようだが……どこぞの何条カレンだよ()

 

Leon「今日アタシが歌うのはーー!!回レ!雪月花デース!」
おぉぉぉ…!?
さっきのざわめきとは打って変わって、期待の声が湧き上がる。
まずいな……何となくだが、彼女も歌が上手そうな雰囲気だ……
ツワモノ揃いすぎないか……?
Leon「ソレデハ行きマスよ……? ミュージック、スタートデース!」

 

いよ~~~っ ぽん!

 

さぁさぁさぁ
これよりご覧いただきますのは
カブキ者たちの栄枯盛衰
時代は常に日進月歩
聞いてってよ老若男女
一見は勧善懲悪
悪者どもを一刀両断
「でもホントにそれだけで楽しいの?」
もうなんだって蒟蒻問答

 

嗚呼、巡り巡って夜の町
キミは合図出し踊りだす

 

はぁ~
回レ回レ回レ回レ回レ
回レ回レ回レ回レ!
華麗に花弁 散らすように
回レ回レ回レ回レ回レ
回レ回レ回レ回レ!
髪も振り乱して

 

一昨日、昨日、今日と、明日と、明後日と
この宴は続く
踊レ、歌エ、一心不乱に回レ!
今宵は雪月花

 
 
 

終わった。ものすごい大きさの拍手が飛び交っている。ここは室内でもないのにここまで拍手が響いたように大きいとは……相当な大きさだな……
でも本当に凄かった。歌唱はアイドルそのものであるかというくらい良く、何しろあの難しく並べられた四字熟語をすらすらと言えるものだ…… しかも母語英語の人が!!
悔しい……だがこれは降参だ。笹川には申し訳ないが、これでは勝てっこない。

 

kou長「はい。これにて全クラスの歌が終わりましたね。みなさんいかがでしたか?どのクラスも美しい歌声で良かったですねー」
勝浦「美しい声()」
kou長「どのクラスも良かった。でも、これは勝負ですから、優勝を決めなければなりません。現在、教師による審査を集計しているのでしばしお待ちを……」
………。
kou長「暇ですね。私がconflict歌いましょうk」
一同「「「結構です」」」

 
 

………。
kou長「はい、集計が完了しましたね。どれどれ……なるほどねぇ…… 確かに、どのクラスも僅差です。本当にわずかな差で順位が決まっていますよ。やはりどの歌も良かったよいいですおう。うっわw5組しょぼっwwwww」
涼介「本音ダダ漏れじゃねーか!」
kou長(グサッ)
近江原「酷すぎるな」
kou長(グサッグサッ)
Felix「アホなのか」
kou長(グサッグサッグサッ)
kou長「もうやだ!おうちかえりゅううう!」
あっ、kou長が逃げた
ザワザワ…
古宮「再審議します!待って!」

 

木ノ瀬「それでは発表は1-3副担の木ノ瀬がお送りします」
劉「ちびっこくて見えねえ」
木ノ瀬(グサッ)
木ノ瀬「ちょっと2組失格にしてもいいですか?」
劉「アイエエエ!?」
木ノ瀬先生…それはダメでしょ…
古宮「うわああああ緑髪のロリぃぃぃぃぃぃ」
ドッカーン
ふるみやは なぞの ばくふうに まきこまれた!▼
木ノ瀬「こうなる事くらい分かってますから…はぁ」
安定の古宮先生気絶。
他の先生に運ばれて、保健テント行き。
木ノ瀬「えぇ、それでは気を取り直して……」
いつの間に、どこから持って来たのか、みかんの段ボール箱を2つくらい積んでその上に立っている。言われたことはちゃんと対応するのね()
木ノ瀬「それでは第5位です」

 

…ゴクリ

 

木ノ瀬「5組!」
(ガーン)
やっぱり5組なのか……再審議しても覆らなかったのか()
勝浦「まあこうなることくらいは予想していたけど」
5組の生徒も大抵は諦めていたようだ。ただ、もっといい順位を期待していたのだろうか 、一部の人はかなりショック受けているようだった。

 

木ノ瀬「続いて…4位!」

 

ゴクリ…

 

木ノ瀬「2組!」
劉「アワアアアア!?」
あぁ……お気の毒に……あれは選曲が悪かったなぁ……
もっと大衆向けの曲だったら受けていたかも知れないが……
劉「ワレの歌が低評価故に!?」
いや、歌自体はうまかった。ただ……俗に言うTPOってやつをだな……
木ノ瀬「はい、続いて3位!」

 

ゴクリ……

 

…………。

 

木ノ瀬「3組!」
ガーン!!ガーッーん!!ガガガガーン!!ががががっががっggggガッガッががががg
圧倒的衝撃!圧倒的絶望!圧倒的精神打撃!!
音哉「‪▂▅▇█▓▒░(’ω‬’)░▒▓█▇▅▂うわああああああああ!」
ちくしょう……!!焼肉が食えない!!
南沢「やっちまったか……」
優「焼肉が……!!」
涼介「ここで終わりか……」
Felix「俺たちのクラスは悪く無かったはずだ。ただ、周りが強すぎた」
雪姫「そうですね……」
枝川「焼肉が……」
近江原「みんな焼肉目当てかよ!」

 

木ノ瀬「最後に残ったのは1組と4組の2クラスです。2位の発表は行わず、先に優勝クラスをお伝えします」

 

優勝するのはどちらなのか……!

 

ゴクリ……

 

木ノ瀬「優勝は…

 
 
 
 
 
 
 
 

木ノ瀬「1組!!」

 

うおおおおおおおお!!1組だ!!Leonのクラスだ!!
Leon「やったデース!!アタシの歌で優勝を勝ち取ったデス!!」
音哉「1組かー……」
涼介「Leonのクラスが勝ったのか」
菊池「……さすがね」
照美「……。(1組は強かった)」
師音「4組もよかったけどなー…」
笹川「アイの歌が3位だとは……がっかりなのだ……」
優「がっかりって言ったって、3位は真ん中じゃない!十分すごいよ!それに、周りのクラスが強すぎるだけで、アイちゃんの歌もすっごく良かったよ」
笹川「そう……なのか……?」
音哉「その通りだ。俺すごい驚いちゃったよ……まさか笹川があんな美声を持ってるなんて」
南沢「ホントホント」
笹川「アイはもっと自信を持ってもいいのだ……?」
師音「持ってもいいと思う」
笹川「ありがとうなのだ……! アイはこれからも頑張るのだ!」
枝川「その意気だ…」
南沢「あーそれにしても焼肉無しかー」
まだ焼肉のこと気にしてたんかい!!
音哉「そんなに焼肉食いたかったのか…?」
南沢「だって焼肉だぞ?」
音哉「そりゃそうだが……カレーだって食べられるんだぞ」
南沢「いや、焼肉とカレー合わせてビーフカレーにするのが最強なんだろ」
音哉「な、なるほど……」
涼介「落ち着け落ち着け。カレー作りの時に、1組にお願いすれば分けてもらえるかもしれないよ」
優「えぇっ!?」
近江原「その手があったか!!」
その手いいのかよ!!1組で独占するのが当たり前だと思ってたわ!!
古宮先生はいまだに気絶している。後で保健所にでも連れて行くか。
kou長「あ……もう結果発表終わっちゃってる感じかな?」
あ……今更kou長が帰ってきた。
kou長「それでは、これで歌唱大会を終了といたします。ありがとうございました!」
ありがとうございましたって、先生何もやってなくね?()司会も大した仕事無かったし。

4.カレー作り(1)

歌唱大会も終わり、盛り上がりは一気に鎮まった。燃え尽きた炎の如く、降り止んだ嵐の如く、それは良いとも悪いとも言えぬ、疲れとも余力とも言えぬ、穏やかな空気だった。

 

白樺湖は元の通りの静けさを取り戻し、生徒たちはその辺りで響きもしない声をワイワイ上げて雑談をしている。

 

音哉「さて、次はカレー作りだぞ」
Felix「このカレー作りは班ごとになるということでいいのか?」
雪姫「さぁ……古宮先生は保健テント行きましたし……ここからちょっと離れてるんですよ」
谷城「あれはどうにかならないのかしら……」
四方八方からため息が聞こえる。

 

音哉「しょうがない。代わりに副担任がいろいろやってくれるだろきっと」
雪姫「まあ、そうですね」

 

木ノ瀬「はい、それでは皆さん、カレー作りに入りますよ」
南沢「よっしゃーーー!!」
相変わらずテンションがお高いようで付いていけない……それでも、待ちに待ったカレー作りがついに始まる。
谷城「先生!カレー作りは班ごとですか?」
木ノ瀬「そうに決まってるでしょ!なんで知らないのよ」
谷城「だってあの古宮先生が何も教えてくれなかったんだもん」
木ノ瀬「またか……ぐぐっ」
木ノ瀬先生が憤っている…どうやら、他のクラスには一通り情報が入っているらしい。カレー作りについて全く聞いていないのはこの3組だけだそう。本当に古宮先生は何をしているんだか…。
木ノ瀬先生に「付いてきてください」と連れられて1分ほど歩いたところに、カレー作りの会場はあった。

 

優「すっごーい!」
まさか湖のほとりでカレー作りができるとは!!まさにアウトドア。まさにキャンプ。場所が良さすぎだろ。
地面は草原とは打って変わって、小さな丸い石がじゃらじゃらと敷き詰められた場所になっている。湖というか、川のほとりみたいだ。水汲みは湖の水を利用するそうだ。……って、えぇっ!?ちょっと待て。湖の水でいいのかよ!!
音哉「木ノ瀬先生!?湖の水直接は流石にまずいんじゃないでしょうか」
木ノ瀬「まさか、そんな直接使うわけないでしょう。ちゃんときれいな水にしてから作るんですよ」
音哉「はぁ……それはよかった……」
木ノ瀬「ただし、各自で綺麗にするんですよ。先生たちは一切アドバイスを出しませんので」
音哉「はいぃ!?!?」
木ノ瀬「だってこれは自給自足の研修なんですから。これくらいは自分たちの知恵とサバイバル技術でなんとかしてください」
音哉「いくらなんでもハードル高すぎませんかね……」
木ノ瀬「この計画を組んだのはkou長だから、文句はkou長へ」
音哉「まじかよ反対できねぇじゃねえか」
kou長の考えたプランと言われちゃあ手が出せない。あの人はかなり意思が固く、そう簡単に考えを曲げる人ではない。今まで何度か理不尽な校則や指示に反対したが、どれも俺たちの敗訴だった。
木ノ瀬「はい、それじゃあ班ごとに分かれてください」
一同「「「はーい」」」
俺らの班は比較的普通のメンツが揃っている気がする。助かった。ま、まあ古閑は特殊ではあるが、会話ができないだけで、作業はしてくれると信じた。菊池や笹川のいる班は苦労しそうだなぁ。頑張ってくれ、健闘を祈る、くらいしか言えることはないが。
森「音哉くん、頑張ろうね…!」
音哉「ああ」
師音「頑張っていこう」
(古閑がメモ帳を取り出して何か書いている)
バサバサバサ……(いつものごとく、メモが書かれた紙をハトのギンからもらう)
『私も頑張ります』
相変わらず古閑は誰にも近づこうとしない。大抵、1mの範囲内には誰も近づくことができない。近づこうとすると少し恥ずかしそうに後ずさりしていく。だから結局はメモ帳を通じて会話することくらいしかできない。
木ノ瀬「時間は10時半から12時までの一時間半です。もしカレー作りに失敗したとしても、責任を取って食べて頂きます。どの班よりも美味しいカレー作りを目指すこと。それでは…開始っ」
さあ始まったぞ!!

 
 

~1班~
まずは分担だ。ここであたふたしていると時間がもったいないので、リーダーの俺が適当に役割を決めてしまおう。
音哉「俺と森で野菜を切る。師音は火を起こしてくれないか? そして古閑は米を研いでおいてくれ」
森「うん……(!!)」
師音「分かった。任せて。(結局下の名前で呼ぶんだ……)」
古閑はハトを肩に乗せたまま、何も書かず湖へ向かっていった。

 
 

☆炊爨解説のコーナー☆
飯盒には中蓋と外蓋とありまして中蓋が2合外蓋が3合
水は1.5倍を目安で1人1合目安にぶち込んで炊きます
野菜とかは…知らん。飯盒と薪の準備しかしたことないから()

 
城戸の中の人のコメントより

森「(うわぁ……音哉くんと一緒に野菜を切れる……// 大接近のチャーンス…!!)」
師音 (うーん…… 火を起こすまでが大変なんだよなぁ)「あのさ、ライターとかってある?」
音哉「この班の人は持ってないから…他の人から借りれたら借りてきてほしいな。じゃあ森は人参切って」
森「う……うん」
サクッ
音哉「そんじゃあ俺はじゃがいも……っと。このジャガイモ、皮むきにくいな…… 厄介な邪芽芋だ」
サッ サクッ
森「(うわあ音哉くんが隣にいる音哉くんが隣にいる音哉くんが隣にいる……///)」
ザクッ ザクッ
森は何も話さないし、それに静かになるのは嫌だから俺がとにかく喋っている。
音哉「よし、できた。後は適当な大きさに切ってっと……」
ザッ
森「(うわあ音哉くんが隣にいる音哉くんが隣にいる音哉くんが隣にいる……///)」
サクッサクッ
音哉「あとは玉ねぎもか。泣いちゃったらどうしようか」
サッ ザクッ
うわっ……この玉ねぎやばい。切ると涙がめちゃくちゃ出てくる。
森「(うわあ音哉くんが隣にいる音哉くんが隣にいる音哉くんが隣にいる……///)」
ザクッ!!!!
森「キャッ………!!!!」
音哉「も、森…!?!?」
ザッ……じわっ
ああああああああ!森がやらかした!!包丁で指切ってる!!!
音哉「やばいぞやばいぞ!!指の結構深くまで刃が!!」
スーーーっ
森「痛い…!!痛い痛い痛い痛い……!!」
すごい泣き顔だ。
音哉「ちょっと我慢してくれよ……」
森「ぎゃあああ……うぅぅぅぅ……痛い……」
音哉「えっと……とりあえず血を止めないと!!」
ポケットにあるハンカチがあったので、優しく指に巻いてあげた。そしてすぐに
音哉「先生、先生!!大変です……!森が指を切っちゃって……!」
木ノ瀬「森……?貴方一体何をしたのよ!」
森「ごめんなさい……ぐすっ」
木ノ瀬「すぐ近くに保健テントがあるから、そこでなんとかします」
森「はい……」
音哉「もっと注意しろよな……? ずっとぼーっとしてたろ」
森「ごめんね音哉くん…… 本当に…… 本当に…… うぅぅ」
音哉「起きたことを悔やんでもしょうがないだろ…? とにかく、しっかり治療を受けて、早く帰ってきてくれよな」
森「は……うん…。。。うん……!!」
涙目でそう小さく答えているのと、頷きが見えた。木ノ瀬先生に連れられ、すぐ近くの保健テントへ連れていかれた。
師音「森、全く何をやってるんだろうね」
音哉「さぁな。それにしても、野菜切るのは俺一人か……心配ではあるけど、とにかく森が戻ってくるまでなんとか急いで進めよう」
小倉「わかった」
本当になんなんだあいつは…… 普通そんなぼーっとしながら野菜切らないだろ……

 
 

~2班~
Felix「さて、俺らも作り始めるとしよう」
照美「まずは分担から」
高砂「俺は火起こしでいいや」
谷城「私は……食材を切る!」
Felix「俺は米の準備をするとしよう」
照美「それじゃあ私は色々な分担を手伝うことにするわ」
Felix「よろしく頼んだぞ」
2班も分担までは順調だった。……分担までは。そう、ここからが問題だった。
Felix「米の量ってこれくらいでいいのか?」
谷城「それじゃ多すぎでしょ!!炊いたらもっとふっくらするんだからこれくらいでいいの!」
Felix「そ、そうか」
全員、料理が大の苦手だった。
いつも先陣を切って必ずと言っていいほど指揮をとるFelixでさえ、今回は苦労している。
高砂「火が点かねぇーー!!! 誰かチャッカマン持ってないの???」
照美「あったら苦労してない。」
高砂「困ったなぁ……(ガリガリガリ)」
谷城「あ、水も用意して来なきゃ。テルルちゃん、湖の水組んできてくれない?」
照美「了解」
高砂「んああああああああ(ガリガリガリガリ……)」
2班の火起こし高砂は木の摩擦力で火を起こすという、原始的な作戦を行なっている。
小倉「やっぱりみんな火で苦戦するのかな、どうしよう…」

 

~3班~
雪姫「さあ、私たちも作りましょう」
枝川「は、はっはい」
雪姫と一緒の班になってから調子のおかしい枝川だが、少しずつ慣れてきたようである。(といっても原因は本人の恋愛事情でしかないのだが)
南沢「さーてやるぞー」
枝川は調子が戻ってきた。雪姫はもちろん、南沢も支障はない。しかし、しかしだ。カレー作りにおいて、一番の問題になるのは彼女であった。菊池だ。

 

菊池 優白 母親は優白が生まれてから数ヶ月後に事故死、父親は優白が14歳の時に病死。クラスメイトに貧乏であるということを隠している。そのため、昼食は誰もいない屋上で一人でもやしを食べる。

 

貧乏で毎日が三食もやし生活という菊池…… つまり、料理なんかに縁のない人間なのだ。それに加えて喋らない、もの静かな性格。もちろん本人に悪気は一切ないが、3班は菊池の扱い方に苦しめられることになるのであった……

 

雪姫「菊池さんも協力よろしくお願いしますね」
菊池「………(コクッ)」
雪姫「それでは、皆さんは何をやりたいですか?」
3班はリーダーの指揮が全てではないようだ。班員に役割の選択権を与えている。雪姫のキビキビとした性格の中の優しさがうかがえる。
雪姫「菊池さんは何をやりたいですか……?」
菊池「……私何をすればいいのかしら」
雪姫「菊池さんから選んでいいですよ」
南沢「なんで俺を後回しに…!?」
枝川「……なんでだ?」
雪姫「菊池さんが研修の事前準備に一番熱心だったからですよ」
南沢「(えっあいつ何かしてたか……?)」
雪姫「誰よりも行程表を読み込んでるの知ってますよ」
南沢「(そういうことかい!!)」
枝川「えっ……あ、うんまあそうだね」
雪姫「それで、菊池さんは何をやりますか?野菜?ご飯?火おこし?それか雑用という手もありますが」
菊池「……じゃあ雑用で」
雪姫「だそうです。じゃあ南沢さんは?」
南沢「別に何でもいいんだけどなー、火おこしが一番アウトドアっぽいから火おこしにする」
雪姫「はい、それで枝川さんは?」
枝川「えぇっ!?あ、お米炊きます」
慣れてきたとはいえ、たまにぼ~っとしてしまうので
その時に声を掛けられるとびっくりしてしまう。そろそろそれも無くならないのだろうか……?
雪姫「じゃあ私が野菜ですね。それじゃあみなさん頑張りましょう。菊池さん、まずルウを持ってきてくれますか」
菊池「…………(ルウを差し出す)」
雪姫「ありがとうございます」
……。ここまで順調だった。しかし、料理というものを知らないも同然の菊池にとって、カレー作りに携わるなんてことはとてもじゃないができない。そこで彼女は…………

 

スッ(隅に座って本を読み始めた)

 

~4班~
涼介「近江原は野菜切って、ニンジンはいちょう切りで出来るだけ幅を合わせて、玉ねぎは薄切りに、じゃがいもはぶつ切りでいい」
近江原「あーいよー」
「宇都宮はご飯の準備を頼む、この飯盒の外蓋をすりきり1杯が3合だから研いで飯盒に入れて水を入れて30分放置」
宇都宮「わかった!」
「笹川は火の準備を、この新聞紙を丸めて炭の代わりにするから4セットあるから全部お願い」
笹川「わかったのだ!」
宇都宮「りょーすけーまな板はどうすればよい?」
「紙パック配布されているはずからそれ表面を一応水で洗って広げて使え!」
班長を差し置いて涼介が指示をしている理由は1つだけある。
涼介がかなりの料理上手だからだ。
そんな涼介がほぼ全てを仕切っていた。彼は火を起こすために火打石を使い火を起こそうとしているようだ。穂口は既に用意しているものの、笹川の新聞紙待ちらしい。
近江原も、家で姉妹2人の代わりに渋々料理をしていたのが幸いし結構出来るので、野菜を切る役割になった。
2人には劣るが人並みには作れる宇都宮はご飯を作る役割に。
笹川は料理がスイーツ以外あまり出来ないから雑用へ。
涼介の観察眼は、適材適所へと人員を送るのに向いていた。

 

「なんか涼介張り切ってるなあ…こっちも頑張らないと…」
音哉はそんな涼介や涼介を囲む4班を見て1人焦っていた。

 
 
 

どの班も一生懸命にカレー作りを進める中、クラス内の数人はあることを思い出していた。
(焼肉って優勝チームから少し分けてもらえるって先生が言ってた気が)
そんな記憶が脳内を駆け巡り始めた。そして衝動に耐えきれなくなり、最初にスタートを切ったのは……谷城だった!
谷城「焼肉食べたーーーーーい!!!」
谷城は優勝クラスである1組が調理をしている場所へ走っていった。
南沢「おっ、ついに動き出したな?」
笛口「焼肉戦争かっ 行かねば……!!(ズダッ)」
優「やきにくーーーー!!」
笹川「やきにくーーーー!!」
他の数人も、それにつられて1組の調理場へダッシュした。

 

一方その頃、1組の調理場では……
kou長「皆さんはこの材料に加えて、優勝商品の焼肉セットも各班に用意しました」
(よっしゃああああああああああ!!)
Leon「やったデーーース!!」
kou長「牛肉もあるんで、ステーキも楽しめますぞ」
(なにいいいいいいいいいい!?)
Leon「ワーーーーオ!!」
(これはビーフカレー確定だな)
(肉全部カレーに混ぜようぜ)
(バカ!なんで全部混ぜるん!?カレーに付けないのも食いたいわぁ)
……と、焼肉天国を味わおうとしていた。
そこにだ。

 

優「まあああああてええええええええええ!!」
笹川「まーーーつーーーのーーーだっ!!」
3組の生徒が押しかけてきたのだ!!
(ぎょえぇ!?こいつら何だ!?)
笹川「3組なのだ!!アイたちは、焼肉を奪いにきたのだ」
Leon「!?!?」
優「違うでしょアイちゃん!!奪っちゃダメでしょ奪っちゃ!!少し分けてもらいに来たんでしょ」
笹川「えっ」
優「全部じゃないよ!!」
笹川「ふにゅぅ!?!?全部奪うんじゃないのか!?」
優「アイちゃん、ちゃんと先生の話聞こうねー」
笹川「しょぼーん……」
(いやだからお前らはなんなんだよ!!)

 

木ノ瀬「何してるんだそこの2人!」
笹川「ふにゅっ!?」
優「木ノ瀬先生!?」
木ノ瀬「何他のクラスの人に迷惑かけてるんだよ!お前ら反省文書かせるからあとで覚えておけよ!」
笹川「ふにゅっ!?」
優「ええっ!?お願いします、何でもしますから」
木ノ瀬「だったら今反省文書こう」
優「うわーん!」
2人は絶望した。どうしてこんなことに……

 
 

ダダダダダダ……

音哉「ちょっと待てエエエエエエエエエエエエエエィ!」
木ノ瀬「ん!?」
優「え!?」
笹川「ふにゅっ!?」
音哉がものすごい勢いで土煙を立てながら走ってくる。
キキーーーーーッ
音哉「ちょっと!先生!?反省文ってどういうことですか!?」
木ノ瀬「それが当たり前だ、勝負に負けたのにまだ懲りずに食いたがるっての?」
音哉「そりゃそうでしょうが!!
  だって古宮先生が言ってたんですもん!!
木ノ瀬「古宮!?」
タッタッタッタッタッタッ
続いて涼介も到着する。
木ノ瀬「おい!それはどういうことだ?」
音哉「古宮先生が、負けても焼肉分けてもらえるかもしれないからなー、焼肉をかけて何か勝負でもして勝ってみろー? 歌唱大会で負けても焼肉を取り返すチャンスはあるんやで、と言ってました」
木ノ瀬「は!?」
音哉「研修に行く数日前の授業の時です。な?涼介ー?」
涼介「はい。古宮先生が言ってました。絶対です」
木ノ瀬「あ……あの古宮またやりやがったか!!!」
涼介「それって……まさか……」
木ノ瀬「そんな指示出てるわけ無いでしょうが!!!」
音哉(おいおい、まじかよ。また古宮先生の勝手な指示だったのかよ)
涼介(……やれやれ、まさかこれも嘘だったとは)
優「そ、そういうことなんですよぉ!!だから私たちは悪くないの!!だから反省文は許して!!」
木ノ瀬「…………仕方ない、今回の反省文は無しとしよう」
優「やったーーーーーー!!」
木ノ瀬「その代わりだっ! お前たちも古宮の嘘くらい見抜けるようになっとけよ……?」
音哉「嘘を見抜くって…… それまた難しい課題を」
木ノ瀬「お前たちも一ヶ月間担任を見てきて分かってきてるとは思うが、古宮はああいうところがある。だからお前たちがしっかりしないと学級崩壊しかねないのだ」
木ノ瀬先生、女教師なのにお前たちだとかなっとけよとか、口調がすごい男っぽいというか圧がすごいというか……
しかし外見がロリだから困る。古宮先生が毎度ぶっとばされるのもこのせいだ。
涼介「仕方ないな…… 焼肉は諦めよう」

 

Leon「ちょっと待つデース!」
木ノ瀬「ぬっ!?」
笹川「はっ!?」
今まで会話を聞いていた1組のLeonが口を開いた。
Leon「その焼肉をかけた勝負、やってみたいのデス!」
木ノ瀬「何を言う!?」
音哉「いいのか……?おいおい」
Leon「全部は駄目デスが、少し分けるくらいなら良いのデス! 私はもっと面白い戦いが見てみたいのデース」
木ノ瀬「な、なんだと……自ら焼肉の一部を手放す覚悟をするとは」
涼介「驚いたよ……」
そこに、3組の他のメンバーもやってくる。
南沢「おぉっ??なんだぁなんだぁー?」
谷城「焼肉ーーーーーーーーー!!」
Leon「ホラほらー!やりまショウやりまショーウ!」
木ノ瀬「はぁ…… 1組がそう主張してるんだ、仕方ない。今回は特別だからな」
音哉「よっしゃ!焼肉分けてもらうために勝つぜ!!」
涼介「おう!」

 

優「……でも、何で戦うの??」
Leon「アタシ、思いついたんデスよ……」

 

おおっ?

 

Leon「アタシがやってみタイと思ったのは……」

 

これは……?

 
 

Leon「クイズデすよクイズ!!」

 

クイズゥ!!??
(おいおいまたかよおいおい)
音哉「あ…… そ、そうか……(汗」
涼介(他にもっといいものあっただろ……)
谷城「クイズね……ふむふむ」
音哉「勝てるかどうかは別として、面白いことがあるといいんだけどなぁ」
南沢「確かに。最近クイズばっかりで読者も飽きてると思う」
貴様はメタ発言をするな!!
笹川「アイは普通に楽しいと思うのだ?」
優「そ、そうなんだけどね、アイちゃん??(汗)でもさぁ……」

 

***「何だって?クイズだと?」

 

え……
音哉「ああっ!」

 

***「その言葉を俺が聞き逃すわけがないだろう」

 

この声……この声は……
涼介「ふぇ……」

 

Felixだああああああああっ!!!

 

Felix「クイズと聞いて飛んできたんだ」
嘘だぁ。流石に3組の調理場からここの声は聞こえない。絶対気になって来ただけだろ。

 

……それにしても、Felix……? Leon……?

 

そう。そうか。今、ここで初めて留学生同士が知り合ったのだ。
Felix「あ、そうか。確かLeonだっけか? お前も留学生らしいじゃないか」
Leon「そうデース!アナタの出身はどこデスか?」
Felix「俺?俺か?俺の出身はドイツだが」
Leon「ドイツデスかーー!憧れマスねー!」
Felix「憧れ……?」
Leon「ドイツってカッコよくないデスか?」
Felix「俺に言われても困るんだが……」
涼介「まあ、ドイツはかっこいいってイメージ、分からなくはないかもしれない」
音哉「ドイツめっちゃかっこいい。ドイツ語もめっちゃかっこいい」
Felix「そういうものなのか……(汗)
   それで、お前の出身はどこなんだ」
Leon「アタシは普通にアメリカデース」
Felix「そうか。さっきの歌唱力、驚いたぞ」
Leon「アタシは歌を歌うのがすごく楽しいのデース! それで毎日歌ってたら、かなり上手くなったんデス!」
音哉(今度conflictの歌い方教えてやるか)
Felix「趣味のようなものか。なるほどな」
南沢「そろそろクイズやろーぜー?」
笹川「飽きたのだ……」
Felix「それで、クイズでいいのか?」
音哉「まあ、構わない。最初は退屈かと思ってたけど、Felixが無双するところを1組に見せつけられるのなら話は別だな」
涼介「申し訳ないが、これでは1組に勝ち目はない」
木ノ瀬「はぁ…… じゃあ私が問題を出す
    ジャンルは何が良い?」
南沢「ドイツ語」
木ノ瀬「それはあからさまに不公平でしょうが!!」
南沢「英語」
木ノ瀬「それもあからさまに不公平でしょうが!!」
Felix「いいや、英語でいい」
優「えぇっ!?」
谷城「だって相手はアメリカ出身だよ!?母国語が英語なんだよ!?」
Felix「それでも構わない。木ノ瀬先生、英語の問題でお願いします」
木ノ瀬「分かった」
Felix「ただし。日常会話で使うような簡単な問題では駄目です。難しいのを出してください」
木ノ瀬「わ、分かった」
Leon「英語デスかー。これなら勝てマスね」
Felix「俺を見くびったな」
いくつもの言語を多彩に使いこなすFelix。母国語が英語のLeon。勝敗はどちらに上がるのか分からない。
しかし、母国語の人よりも外国人のほうが正しい単語や文法の知識を覚えているというのは意外にあるパターンなのだ。
母国語の言語は「理論」ではなく「感覚」で覚えているからだ。小さい頃、まだ2歳、3歳の頃でも、感覚で言語の扱い方を少しずつ覚える。
だから、動詞の活用だとか変化型の法則とかは、あまり気にしていなかったりする。
しかし外国人は、その言語を勉強する時は全て感覚ではなく「理論的に」学ぼうとする――つまり、さっき挙げた動詞の活用だとか変化型の法則を覚え、それをもとに喋る。
この差は難しい単語や文法の問題になればなるほどはっきりと出てくる。

 

……と、Felixが勝つ可能性を十分に説明したわけだが、それ以前にひとつ忘れてはいけないことがある。
Leonは学校の成績がお察しレベルなのだ。
よりにもよって学園内でもビリ争いの常連なのである。
そんな彼女がトップクラスの学力を持つFelixに勝つ確率はかなり低いのである。

 

木ノ瀬「それでは第一問!」
木ノ瀬先生も流石にアドリブでは出せないようで、スマホを取り出して英語について調べている。
いや、この研修って機械に頼らず活動する宿泊研修じゃなかったのかよ
木ノ瀬「1語の"sometimes"、1語の"sometime"、2語の"some time"。この3つの一般的な用法の違いを説明せよ」
少し癖のある問題だ。でもこれくらいならLeonは……
ハイッ
木ノ瀬「Felix」
Felix「順に『時々』『いつか』『しばらく』だ」
木ノ瀬「せ、正解……」
Leon「えぇっ!?」
だがFelixに取られた。

 

木ノ瀬「じゃあ二問目だ。この問題は…先に押した方が答え、間違っていた場合、押していない方を正解とする。『強い』という意味の英単語のngと、『指』という意味の英単語のng、発音は同じである。〇か×か」
そう言い終わるかどうかだった。
ハイッ
木ノ瀬「Felix」
Felix「○」
Felixが答えてから、数秒の間、静寂が続いた。
木ノ瀬「…不正解だ。『strong』のngは、軟口蓋鼻音の、『ŋ』だが、『finger』のngは、さらにgがついた、『ŋg』、つまり、正解は×だ。よってこの問題は、Leonの正解とする。」
Leon「やったデース!これで同点デース!」
Felix「くっ…やらかした…」
やはり、Felixにとっては、このミスは辛いようだ。なにせ、せっかくのリードを0に戻してしまった、しかも、自分のミスによって、である。

南沢(惑わされてはいけない。今のはたまたまFelixが失敗をしただけで、Leonの実力があるわけじゃない。点数はまぐれだ)
木ノ瀬「第3問。また早押しに戻るぞ」
涼介「よし。焦らなければFelixが取れる」
木ノ瀬「『過酸化水素』の英名を答えよ」
Felix「ふむ……」
彼は数秒ほど考えた。しばらく辺りが静まり……
Ich erinnerte mich! (思い出した!) 答えは…hydrogen peroxide」
……。少しの間を置いて口を開く。
木ノ瀬「正解」
優「おぉーー!!」
音哉「さすがはFelixだ……」
これで2対1。さっきのミスは本当にたまたまだったらしく、それ以降のFelixはガンガン調子を伸ばしていった。

 

あれから5分。早い。得点はいつのまにか7対1になっていた。
Felix「どうだ?そろそろ終わりにしてもいいんじゃないか」
Leon「こ、降参デース……」
Felix「やったぞ!」

 

クイズ大会はやはりFelixに勝利で終わってしまった。
アメリカ人がドイツ人に英語で負けた。

 

南沢「大人気ないなぁ……もう少し点取らせてやれよ」
Felix「相手はネイティヴだぞ?何故手加減する必要がある」
南沢「いやそれでもさ……」
Felix「はっきり言ってお前の英語力はネイティヴだとは思えぬほど低い。出直してくることだな」
Leon「そう……デス……か……」
南沢「ほーら落ち込んじゃった」
南沢は容赦なくFelixに突っ込みを入れる。
Leon「英語……が……下手……デスか……」
Felix「(そこまで落ち込むのは俺のせいなのか。!?)」
何となく雰囲気が面倒なことになってきた。
Felix「よし。それじゃあ約束通り、肉を少し分けてもらうぞ」

 

そう言って、アルミ製のトレーが置いてあるテーブルへ向かおうとしたその時だった。

 

Leon「Felix……!!」
泣きながら叫んだ。

 

Felix「ん……?」
場がまた静まった。辺りが2人に注目する。
声をかけるLeonと、それに振り向くFelixと。

 

Leon「お願いデス…… 今度……英語を教えてくだサイ……!!」

 

Felix「なっ!?」

 

何ぃぃぃぃ!?
そこは母国語話者としてのプライドとか、そういうものは無いのか!
Felix「おい、母国語の学習を俺に頼ってどうする」
Leon「少なくとも、アタシよりは出来マスよ……」
今まで明るい雰囲気だった彼女がここまで落ち込むと、こちらまで悲しくなってくる。
Felix「知っての通り、俺はアメリカで生まれ育ったわけでも何でもない。現地の事を知っているお前自身が一番の頼れる存在だろう」
妙に複雑な日本語で畳み掛ける。
Leon「それは……どういうことデスか?……(グスン)」
Felix「つまり……自分で勉強するのが一番だってことだ」
Leon「そんなことは絶対に無いデス!」
Felix「いやでも」
その言葉を断ち切るように。
Leon「アタシはそういう考えで生きてきて後悔したんデス! お互いに助け合うってことが必要なのデス! だから……アタシは……

 

Felixと協力し合って良くなっていきたいんデース……!」
彼女なりの知っている表現方法で、Felixに頼む。
Felix「そんな気安く言うな……」
Leon「z……じゃあ分かりマシタ、アタシたちの焼肉全部あげマス……!! だから……!!」
おい!焼肉全部あげるってどういうことだ!
それはまずいだろ!
1組の他のメンバーから批判が飛び始める。俺らの肉までなんで渡すんだよとか、勝手にしすぎだとか……
Felix「分かった」
……?
Felix「……お前がそこまで言うのなら、教えてやるよ」
Leon「本当デスか……!?」
Felix「ただしだ!お前はもっと危機感を持て!英語も日本語もろくに喋れないんじゃ、どうやっても意思疎通ができないだろ」
Leon「いし……そーつ?」
Felix「“communication”がとれないだろ」
Leon「あ……そうデスね……」
Felix「熱心に学ぶって言うのなら教えてやるよ」
…………。
Leon「ハイ……お願いしマス……!」

 

こうして、留学生同士のヘンテコな語学が始まるのであった。

 

Felix「ただし、焼肉は半分くらいは頂いていくぞ」
1組生徒一同「「「はいぃ!?!?」」」
(おい!それは理不尽だ!木ノ瀬先生を呼ばな……あれ木ノ瀬先生はどこ?)
(いつの間にいなくなっている……)
木ノ瀬先生はいつの間にか別の場所に行っている。
よって、暴走を止めることのできる人はいない。
Felix「頂いていく」
1組生徒一同「「「そんなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」
こうして、焼肉は1組と3組のはんぶんことなった。
かなり強引な方法ではあるが……それでも、
彼女の……Leonの目は輝きを取り戻した。
澄んだ白樺湖は相変わらず俺たちを包み込んでいる。

 
 
 
 
 

5.保健テント

~一方その頃~
保健テントにいる森 薫。指をサクッと切ってしまい、そこそこ深い傷がある。早急に治療をしてもらおうと、保健も先生に何度も何度も頼んで頼んだ。
消毒の準備をしている待ち時間、周りをキョロキョロしていた。辺りは相変わらずの湖と草原、そして砂利の地面がところどころ。爽やかだ……
と思ったのもつかの間……!?
よく見たら保健テントに見覚えのある顔が……!?
森「ふるみや……せんせい!?」
古宮「……あっ」
そうだった。古宮先生は歌唱大会の集計のときに、木ノ瀬に爆破されてそのまま保健テントに搬送されていたのだ。
何となく気まずくなった。
森「ど。どうも」
古宮「あっどうも」
……。
古宮「森はどうしてここに来たんだ?」
森「いや……それは……」
古宮「手を切ったのか」
森「はい……って、ええっ!? 傷口は隠してるはずなのにどうして……」
古宮「あと森、ぼーっとしてて包丁で切ったんだな?」
森「どうしてそれも知ってるんですか……!?」
古宮「フッフッフッ……それでは3度目にしてトドメを刺してやるか。」
森「……?」
古宮「森……お前……」

 

ゴクリ……

 
 
 
 

古宮「音哉のこと好きなんだろ?」

 

森「どっ……どうしてそれを……!?!?////」
森は頬を真っ赤にして思わずそう口に出してしまった。
森「あっ」
古宮「ほらぁやっぱそうだったー」
森「えぅ…………」
古宮「大丈夫だ。絶対に誰にも話したりしない」
森「本当ですか……?」
古宮「ああ、約束する」
森「じゃあ信じますよ……?」
古宮「ああ。それと、せっかくの機会なんだ。俺が恋愛相談に乗ってあげようか」
森「先生が……!?」
古宮には、妙に驚いた反応でこちらを見ている森が気になった。
古宮「えっ!?何かおかしいか?」
森「先生って、恋愛相談もできるんですか……?」
古宮「あったりめーだろ!まかせとけ!」
森「おぉぉ……!!(キラキラ)」
森は恋愛の相談相手が見つかってとても嬉しそうにしている。
それもそのはず。森は恥ずかしがりで、自分から友達を作りに行けるタイプではない。入学式のあの時、音哉に思いっきり仕掛けたっきり、あまり他の人と積極的に話そうとはしていなかったのだ。クラスの女子とは一応一通り話せるものの、仲が良いとまではいかないようだ。
というようなので、相談相手すら作れない状況にいた。それがまさかこんな形で解決しようなんて誰が想像しただろうか。
まあとにかく相談相手ができて良かった……

 

と!純粋に祝ってやりたいのだが!

 

古宮先生というだけで少しは察せるようにならないと……
何を隠そう、古宮先生は“自称”恋愛相談相手なのだ。独身であり、女子ウケが特別良いわけでもなかった。恋愛の事情に詳しいなんてことは一切無い。期待ができない。
古宮「分かった。とりあえず、今までのことを軽く教えてくれないかな」
かくかくしかじか、入学式に惚れたことや、自分から友達は作りに行かないタイプなのに音哉には勇気を振り絞って話しかけてみたことや、その後も毎日話をしていたりとか、そのおかげで毎日学園に行くのが楽しみだとか……
そしてこの怪我のことも話した。音哉と急接近した上に共同作業なんてしていたので、天にも昇ったかのような気持ちでぼーっとしていたところを切ってしまったとか……
古宮「流石に最後のはおかしいだろ!」
森「やっぱり……そうですかね……」
古宮「他人を好きになることはいいことだ。でも、恋愛感情がエスカレートしすぎて他人に迷惑をかけてしまうのはおかしいと思うぞ」
森「は、はぃ……」
古宮「……んまあ起きてしまったことは仕方ないとして、音哉と付き合いたいとは思ってないのか?」
森「えっ……えっ!?//」
……。
しばらく黙り込んで考えている様子だった。聞こえるのは遠くからかすかに聞こえる他の生徒たちの声だけ。
……。
森「ま、まぁありますけど……///」
古宮「じゃあ告白しちまえよ~」
森「そんないきなりは無理ですって……!//」
古宮「とか言っちゃって~」
森「絶対に無理です!」
古宮「とか言っちゃって~」
森「からかってるんですか!?」
古宮「はいそうd……いやややややそんなことないそんなことない!」
森「ひどい……」
古宮先生、口を滑らせてしまう。
古宮「謝るから!謝るからさ!僕、他人の恋愛を応援するのがすごく好きでさ。森のことも応援してあげたいって気持ちはある」
森「嘘言ってるのがバレバレです」
古宮「嘘なんかじゃない。……あっそうだ、相手を一気に恋に落とす究極の必勝法、教えてあげようか?」
森「……ひっしょう……ほう?」
古宮「ああそうだ。この作戦なら、音哉もすぐにお前のこと好きになるぞ」
森「本当ですか!? ぜひ教えて欲しいです……!」
古宮「よーし。まずなぁ、トランプを用意する」
森「はい」
古宮「次に、ポケットからコインを3枚取り出して、相手に見せる」
森「はい……」
古宮「そしたら、そのコイン3枚をそれぞれ、トランプのカードの間に適当なところに挟む。コインの位置はバラバラにするんだぞ」
森「はい…………」
古宮「そうしたら、コインを挟んだままカードをシャッフルする。この時に、手の中でこっそりコインを5枚回収する。シャッフルし終わる直前、相手に気づかれないように一番下のカードと2番目のカードの間にコインを3枚入れる」
森「あの……先生…………?」
古宮「そしたら相手に『行きますよ?』と言ってからカードの山を片方の手から片方の手へ落とす。あたかも、この瞬間にコインがカード内を移動したかのようにな」
森「先生…………??」
古宮「最後に3枚一緒のところに挟まっているコインを見せて終了。山札の間にばらばらにはさんであったコインが、山札を手から手へ落としたら瞬間移動していたというマジックだ」
森「あ……やっぱりそれただのマジックですよね……」
古宮「確かにマジックだが、これこそが一気に恋に落とす必勝法なんだ」
森「流石に無理がありますよそれ……」
古宮「この方法を使えばほぼ間違いなく成功するらしいぞ…… ほら、騙されたと思って俺を信じてみろって」
森「それって、先生が考えたオリジナルなんですか……?」
古宮「テレビでやってたんだ。信頼性が高いだろ?」
森「あっそうなんですか……それなら試して見てもいいかも」
古宮「なんだよその言い方……もし俺が考えた方法だったら信じなかったのかよ」
森「だ、だって普通信じませんよ!?」
古宮 (心にグサっときた……)
森「でも……テレビの情報ならもしかすると本当かも……」
古宮「ああ。練習してあのマジックができるようになれば勝ちだ」
森「わ……私、今度から練習してきますね!」
古宮「よーしその調子だー」
森「こうなれば、私、なんとしても音哉君を惚れさせます!頑張ります!
古宮「よし、その意気だ」
こうして、古宮先生からアドバイスを受けた森は、必死に練習を進めるのであった。

 

だが古宮よ。気づいて欲しい。そろそろ気づいて欲しい。お前が見たのは「一気に恋に落とす必勝法」じゃなくて「一気にコインを落とす必勝法」だ!普通にマジックの番組だ!
最初はスマホをいじりながら聞いてただけで、耳だけでしか聞いてなかったなんてそんな言い訳はやめてほしい。聞き間違いで済まされる問題ではない。真面目に森に迷惑をかけている。