シーへルビー国の「小説」について

Last-modified: 2026-04-05 (日) 17:32:15

※注1:「自称悪役令嬢な妻の観察記録。」1巻および2巻の大きなネタバレを含みます。
※注2:考察は作中描写に基づいてはいるものの公式の裏付けは何もないことを留意ください。

 

「小説」の概要

タイトルは不明。
バーティアの話の限りでは「乙女ゲー」とは無関係。
イラストの背景に小さくセシルに似たキャラクターが描かれている(バーティアが前世で買った理由なので表紙イラスト?)。

 

シーへルビー国を舞台にした物語で話のメインは「イズラーチ王子とジューン嬢の恋物語」。
幼馴染みで仲が良かったイズラーチとジューンは家柄にも問題がなかったため婚約。
王太子の妻リソーナは夫との仲が冷え切っていたことで幸せそうなイズラーチとジューンの仲の良さに嫉妬し、二人を引き裂こうとする。
ジューン嬢を物理的に害しようとしたことがバレたリソーナは夫からもかばってもらえず、生涯幽閉されることになった。

 

シーへルビー国の近くで戦争が起き、それによって海が穢されたことを怒った蛇神を聖女となったジューンがイズラーチに支えられながら鎮めるという展開もある。

 

セシルと似たキャラ「クロウ」は陰で暗躍する役柄だが、陰に徹しすぎて出番はほぼない。

 

「小説」と「自称悪役令嬢な妻の観察記録。」の状況の違い

セシルとバーティアが「自称悪役令嬢な婚約者の観察記録。」で「乙女ゲー」から様々な状況を変えた結果、「小説」からも状況が以下の通り大きく変わってしまっている。

 
  • リソーナの結婚相手の「シーへルビーの王太子」
    「小説」:ラムタク
    「観察記録。」:アレイス
     
    元々のリソーナ王女が求める結婚相手は「中身よりも肩書き」。本来ならばあと数年で国の制度により王太子の座をラムタクに譲ることになるアレイスと結婚するはずがなかった。
    しかしバーティアとセシルの結婚式にリソーナ王女がウミューベ国から出席し、バーティアと友人になったことで結婚に対する価値観が変わる。
    価値観が「肩書きよりも中身」に変わったことで、リソーナ王女はシーへルビー国のアレイス王太子と結婚することを決める。
     
  • 「小説」の開始時期
    「小説」:イズラーチ王子、ジューン嬢がカウィン学園高等科三年の年。
    「観察記録。」:イズラーチ王子、ジューン嬢がカウィン学園高等科一年の年。
     
    アレイス王太子と結婚を決めた結果、リソーナ王女がシーへルビー国に入るのが「小説」より二年早くなっている。
    なお、「小説」が「観察記録。」本編より二年後の時間軸であること、シーへルビーの王の長男が王太子になれるのが20歳になってからであることを合わせて考えると、「観察記録。」中ではカウィン学園に在籍しているとなっているラムタク王子はこの時点で18歳、「小説」では20歳であると考えられる(つまり「観察記録。」中では三年生)。
    そしてイズラーチ、ジューンは16歳であると考えられる。
    なお、「観察記録。」においてシーへルビーに赴くセシルとバーティアの年齢はそれぞれ21歳と19歳である。
     
  • 「クロウ」の存在
    「小説」:陰で暗躍する人物「クロウ」がいる。
    「観察記録。」:「クロウ」がいない。
     
    「クロウ」となるはずだった人物がそうならなくなったためとセシルは考えている(後述)。
     

「クロウ」とは

あくまでもこれはセシルの推測である。

 

クロウは「セシルにそっくりな別人」ではなく「セシル本人」。
おそらく「ショーンルート後のセシル」。「興味を得られるもの」を見つけられなかったセシルは王族として生きるのに飽きて王位継承権を捨て失踪し、その後シーへルビー国を訪れた。
そこで「面白半分」「暇つぶし」でラムタクに協力して戦争を引き起こしたり彼の野望の手伝いをしていた。
「クロウ」はセシルのミドルネームの「グロー」をもじった偽名。

 

なぜ「そうなった」のか

「乙女ゲー」とは無関係とヘビープレイヤーだったらしいバーティアが断言しているので「小説」自体は無関係の作品として出版されていると思われる。
しかしキャラデザとしてセシルとクロウはそっくりであったのは事実。
なぜそうなったかは普通は

  • 完全にたまたま
  • 「小説」の作者が「乙女ゲー」のファンまたは「乙女ゲー」の関係者でセシルのオマージュキャラとして「クロウ」を作った。

のどちらかだろうが、「観察記録」の世界で「乙女ゲー」と「小説」の世界が繋がっていることから

  • 「小説」の作者が「乙女ゲー」のファンもしくは「乙女ゲー」のシナリオライターで「小説」執筆時にクロウを「ショーンルート後のセシル」のつもりで書き、世界も同じ世界のつもりで書いた。(発表された作品としては無関係だが、作者の個人的な裏設定として実は「乙女ゲー」の二次創作だった)

ということも考えられる。

なんにしろ「陰に徹しすぎて出番がほぼない」キャラのイラストがわざわざ起こされ、既存の「乙女ゲー」のメイン攻略対象と似た容姿であるのは奇妙である。
またセシルは奇抜なところのない、王道の王子様デザインではあるが、陰で暗躍する正体不明の謎の人物、しかも脇役キャラ向きのデザインとは言いづらい。
にも関わらず、前世のバーティアがそっくりと思い、ラムタクがクロウだと信じるレベルでクロウがセシルに似たデザインになっているのも不思議である。
「小説」作者になんらかの意図があってデザイン指定したのではないかと思えてしまう。

 

「乙女ゲー」と「小説」の世界は同じかどうか、およびラムタクについて

バーティアの発言からして、「乙女ゲー」ではシーへルビー国やウミューベ国の国名は出ていない模様。
アルファスタ以外の国で登場しているのは、アルファスタと戦争する「隣国」ぐらいである。
また、前世で「小説」を(さっと)読んだバーティアは「「乙女ゲー」と「小説」につながりはない」と発言している。
以上のことから、「乙女ゲー」と「小説」はバーティアの言う通り関係はなさそうである。
(しかしこれらの情報の上でも、シーへルビーやウミューベ、アレイスやリソーナ等のネーミングセンスは「乙女ゲー」と共通しており、「乙女ゲー」と「小説」が同じ世界である可能性はなくもなかった)

しかし一方、セシルとクロウの外見はそっくりでありラムタクはセシル=クロウと確信した上で色々と企んだ行動していた。
「乙女ゲー」のヘビーゲーマーであったと思われるバーティアが(さっとしか読んでないとはいえ)「「乙女ゲー」と「小説」は関係ない」と発言しているのに、ラムタクがセシル=クロウを確信しているのは奇妙である。

なぜラムタクはセシルとクロウが同一人物であると確信していたのか?
二人が同一人物であるという確信だけではなく、ラムタクは「アンドロイド王子」としてのセシルの性質も把握していた節がある。
これらの点からセシルはラムタクはバーティアと同じく転生者ではないかと推測しているが、その可能性は非常に高いだろう。
ここからもう一つ推測できるのが「ラムタクは前世で「乙女ゲー」と「小説」双方の製作に参加していた」ということだ。
単純な「乙女ゲー」のプレイヤーかつ「小説」の読者である場合、バーティアと同じくクロウ=セシルと考える可能性は極めて低いはずである。
前世で「乙女ゲー」のセシルの大ファンだったバーティアがセシル=クロウの要素を見落とすとはあまり思えない。よって「小説」ではセシル=クロウを少しでも想像できる描写はなかったはずだ。(容姿がそっくり、切れ者であるという共通点はあるがそれ以上のものは何もなかったと思われる)
にもかかわらず、ラムタクがセシル=クロウと信じ込めたのは、「乙女ゲー」「小説」(および設定資料など)を普通にプレイ、読むだけでは得られない情報を持っていたからではないかと考えられる。

もっと言うならば、ラムタクの前世は「乙女ゲー」のシナリオライター(の一人)であり、「小説」の作者(もしくは原案)ではないだろうか。
前世ラムタク自身が「乙女ゲー」と「小説」は公にはしていないが同一世界であり、セシル(ショーンルート後)とクロウは同一人物としていたため、ラムタクは(「乙女ゲー」での)セシルの性格を熟知し、バーティアも違うと思っていたセシル=クロウを確信したというわけである。
もっともラムタク再登場はさすがにない……と思われるので真相が明らかになる日はまず来ないだろう。