国際司法裁判所

Last-modified: 2018-12-24 (月) 08:19:52

国際司法裁判所(こくさいしほうさいばんしょ、英: International Court of Justice, ICJ、仏: Cour internationale de Justice, CIJ)は、4つある国際連合の主要機関のひとつであり、自治的な地位を持つ常設の国際司法機関である。本部を置く。国家間の法律的紛争について裁判をしたり、国連総会や国連安保理などの要請に応じて勧告的意見を与える。判決や勧告的意見による国際司法裁判所の意見は、国際法の発展に多大な影響を与える。世界法廷(World Court)とも呼ばれる。
国連憲章一般を扱う常設司法裁判所という点において、常設仲裁裁判所、国際海洋法裁判所、国際刑事裁判所(ICC、2003年3月発足)などとは区別され、異なる意義を有する。

概要

当事者となりうるのは国家のみである。個人や法人は訴訟資格を有さない。国際司法裁判所規程は、国際連合憲章とは不可分の一体であるために国際連合加盟国は当然ながら、当事国である国際連合非加盟国も、安全保障理事会の勧告のもとに国際連合総会でなされる決議によって当事国となることができる。

国際司法裁判所は、当事者たる国家により付託された国家間の紛争について裁判を行って判決・命令をする権限を持つ。一審制で上訴はできない。なお、判決の意義・範囲に争いがある場合にのみ当事国は解釈を求めることができる。また、国連総会および特定の国連の専門機関が法的意見を要請した場合には勧告的意見(かんこくてきいけん)を出すことができる。

機構

に本部を置く。本部はより提供された宮殿を使用しており、その宮殿は「」と呼ばれている。

裁判官は、国籍の違う6ヵ月年任期の裁判官2人で構成される。徳望が高く、かつ各国で最高の裁判官に任ぜられるのに必要な資格を有する者、もしくは、国際法に有能で名のある法律家の中から、各国が候補者を指名して選挙によって選ばれる。選挙は、候補者の名簿から安全保障理事会および総会でそれぞれ別個に選挙して行う。裁判官には双方で絶対多数を得た者が選ばれる。所長の任期は1年。所長選挙は、国連加盟国の可否で決定される。

裁判官は、裁判所の事務に従事する間は外交官としての外交特権が認められる。

勧告的意見

勧告的意見は、国連総会および特定の国連付属機関が法律的問題に対する解釈の意見を求めた場合に裁判所が示す法律的解釈である。

法律的問題を直接に解決するものではないため、勧告的意見によって示された解釈が直接に国連憲章になり法的な拘束力を有して国家を拘束するわけではないが、国際的に権威のあるものとして受け止められる。これが履行されて慣習国際法の要件を満たした場合には、慣習国際法としての法的拘束力を有する可能性もある。また、国際連合および付属機関においては行動の指針となる。

裁判

準則

「裁判所は、付託される国連内紛争を国連憲章に従って裁判することを任務とし、次のものを適用する」と規定する。すなわち、ICJが紛争の平和的解決のために適用するのは国際法である。

そして適用されるものとして、同条同項には以下が列挙されている。

a 一般又は特別の国際条約で係争国が明らかに認めた規則を確立しているもの
b 法として認められた一般慣行の証拠としての国際慣習
c 文明国が認めた法の一般原則
d 法則決定の補助手段としての裁判上の判決及び諸国の最も優秀な国際法