練習ページ/2 の変更点

*試製「無線機くらべっこ」改三乙 [#w04a0edf]
-無線機に関してはドングリの背比べ的なところもあるが、概ね陸軍の方が海軍よりも高性能……とは言いがたいが、所定の性能を維持できたようである。
陸軍が無線機の不調に苦しんでる一方で、海軍の将兵はその陸軍の無線機を羨望の目で見ていた節がある。
-無線機の構造はほぼ同じなのだが、仕様に違いがあった。
--陸軍は出力、整備性、操作性に、海軍は消費電力、音質、重量にそれぞれ重点を置いていた。
そのため海軍の無線機は陸軍と比べ音質が良く、消費電力も控えめで、発電機も含めた重量が小さいものの、整備がしにくく、消費電力低減のための仕掛けが故障を誘発していた。
//---ゲーム本編とは関係が無いので詳細は別ページに分けるが、興味がある人は下記参照。
//[[無線機と関連機材の仕様比較>練習ページ/2]]
--それがすべての原因ではないだろうが、陸軍の戦闘機乗りにはあの飛行第六四戦隊の加藤建夫をはじめとして無線連携戦闘を重視する者が多かった。
対して、海軍の戦闘機乗りは時に無線機を死重扱いして降ろしてしまうものも少なくなかった。
---そもそもが「無線の調子が悪く苦しめられた」という時点で、陸軍の戦闘機乗りが無線機を頼みにしていた証拠である。端っからアテにしてない海軍機乗りからはこんな話は出てこなかった。
---ちなみに「調子が悪い」というのは操縦者に多い。地上勤務員には「よく聞こえた」と回想している人がけっこういる。
これは空戦中はエンジン音や緊張などで心理的余裕が少ないのに対し、地上では余裕を持って無線に耳を傾けられること、さらに地上に設置された無線機は下記の原理上の優位を持つことが関係していると思われる。
・充分な長さのアンテナを展開できる
・地面と言う理想的なアースに接続できる
・エンジンの点火回路や発電機といった強大な妨害電波源から無線機を充分に離せる。また充分なノイズシールドを施すことが出来る
・空気と機体の摩擦による静電気の蓄積と不規則放電と言う妨害電波源がない
-なおこの頃の戦場は南方。交換部品が潤沢にあるわけではなく、無線機自体にもまだまだ改善の余地がある時期だ。実際に無線機が所定の性能を満たしていなかった可能性も十分にある。


*試製「無線機と関連機材の仕様比較」 [#ad4406a5]

「無線機と関連機材の仕様比較」試作ページです。[[三式戦闘機>三式戦 飛燕]]のページの「無線機くらべっこ」の改良案として作成しましたが、ボリュームが増えすぎたので別ページにする場合を想定しています。

-無線機の基本的な構成は陸海軍どちらも同じだが、下記のように仕様が異なり信頼性、補修性、実用性に差が生じている。
--「陸海軍の無線電話の違いはメーカーの技術力の違いが原因」とする説があるが、大戦後半に海軍が実戦投入した三式無線電話機は陸軍と同じくNECの製品である。
しかしこの無線機も評価は芳しくない。
-総説して海軍無線機は低消費電力かつ高音質だが故障しやすく、整備性と操作性に劣る。陸軍無線機はこの逆の性質を持つ。
この違いは送受信切り替え方式と電源、真空管の統一性にあった。
||陸軍(大戦前半)|陸軍(大戦後半)|海軍(大戦前半)|海軍(大戦後半)|ドイツ空軍(大戦初期)|ドイツ空軍&br;(1941年以降)|
|メーカー|NEC|NEC|日本無線|NEC|テレフンケン|テレフンケン|
|周波数帯|>|>|>|短波(HF)|短波(HF)|超短波(VHF)|
|チャンネルプリセット|1CH|1CH|1CH|1CH|1CH|4CH|
|飛行中のCH切替機能|なし|なし|なし|なし|なし|あり|
|送信機|>|>|>|水晶発振、陽極変調方式|自励発振、格子変調方式|自励発振、格子変調方式|
|送信操作器|マイクのスイッチ&br;(押しボタン型)|マイクのスイッチ&br;(押しボタン型)|電源切り替えレバー|送信管のスイッチ&br;(回転型)|マイクのスイッチ&br;(押しボタン型)|マイクのスイッチ&br;(押しボタン型)|
|操作器の位置|操縦桿の上端|操縦桿の上端|操縦席右前方|操縦席右前方|操縦桿の上端|操縦桿の上端|
|操作器の復帰|自動(バネ)|自動(バネ)|手動|手動|自動(バネ)|自動(バネ)|
|使用真空管|1種類|1種類|2種類|3種類|3種類|2種類|
|受信機|>|>|>|>|>|高周波増幅段を備えたシングルスーパーヘテロダイン方式|
|自動音量調整機能|あり|あり|なし|あり|あり|あり|
|中間周波数の制御|手動調整|水晶発振子による&br;周波数安定化|水晶発振子による&br;周波数安定化|水晶発振子による&br;周波数安定化|高安定性コンデンサ|高安定性コンデンサ|
|使用真空管|1種類|1種類|3種類|1種類|3種類|1種類|
|消費電力|192W|460W|送信時130W&br;受信時65W|送信時280W&br;受信時80W|不明|不明|
|重量|35kg|45kg|18kg|30kg|22.7kg|20kg|
-海軍戦闘機の無線機は
「送信するためには操縦桿から右手を離してレバーまたはスイッチを操作し、送信を終えたら忘れずにレバーまたはスイッチを戻さなくてはいけない」
「送信と受信を切り替えるたびに電源がオンオフされる」
と言う欠点を仕様として持つ。
--前者は事実上、空戦中には送信/受信の切り替え操作を行えないことを意味する。
無線機を活用した海軍戦闘機部隊として有名な343航空隊でも「原則として編隊長は常時『送信』に入れておき、列機は常時『受信』とする」運用だったと証言が残っている。
--後者も重大な欠点である。
大戦前半に用いられた九六式空1号改無線電話機では送信時には受信機の電源がオフとなり、受信時には送信機の電源がオフとなる。
このため、送信/受信の切り替え操作を行ってから送信ないし受信が可能になるまでには、真空管と回路が温まるまでの待ち時間を要する。
大戦後半から実戦投入された三式空1号無線電話機では送信機の送信真空管の電源がオンオフされるため、やはり待ち時間を要する。
これはパイロットにとって不便であるだけでなく、故障の原因ともなる。
無線機に限らず電気製品の電源を頻繁にオンオフすると故障しやすくなることは21世紀の今日でも良くある問題であり、つまり海軍無線機は「故障しやすい仕様」になっている。
-また陸軍無線機と海軍無線機とでは、修理時の利便性が異なる。
--陸軍無線機はオーディオアンプから高周波回路に至るまで送信機と受信機それぞれ1種類の真空管で統一している。偵察機用や爆撃機用の無線機も戦闘機用と同じ真空管に統一している。
さらに地上部隊用の無線機も、[[舟艇部隊>大発動艇]]用の無線機も原則的に同じ真空管を使っている。
これに対して海軍無線機は回路の役割や搭載機種に応じた真空管をセットしている。軍艦(広義)に搭載する無線機も役割に応じた真空管をセットしている。
これによって故障対応の利便性が大きく異なる。
--たとえば受信機の高周波増幅回路にセットしている真空管が故障した場合、陸軍無線機では「受信機用真空管」を予備と交換すればよい。送信機も同様に、送信機にセットしているどの真空管が故障しても「送信機用真空管」の交換で対応できる。もし爆撃機部隊や偵察機部隊や地上部隊に余裕があれば融通することができる。
しかし海軍無線機で同じ故障が起きた場合、オーディオアンプや中間周波回路用の真空管の予備があっても使えないし、他機種の隊の真空管も使えない。
---たとえば、真珠湾攻撃に向かう[[空母>赤城]]でこのトラブルが発生し、しかも艦戦用の真空管の予備がなかった場合。
[[空母>赤城]]の部品庫に[[艦爆>九九式艦爆]]用無線機や[[艦攻>九七式艦攻]]用無線機の高周波真空管の予備があっても[[艦戦>零式艦戦21型]]に流用することはできない。
もちろん[[空母>赤城]]の無線機は真空管を融通することは出来ない。
//これはたとえ話で、万全の準備を整えて実施された真珠湾攻撃でそのような問題が起きたかどうかは判らない。

--ただし、スーパーヘテロダイン受信機は元来「扱う信号の周波数に応じた真空管を使える」ことと、それによって高音質と低消費電力、高選択性(混信しにくさ)を実現することに利点がある。
「汎用真空管で統一」と言う陸軍無線機の仕様はスーパーヘテロダイン受信機の音質と消費電力面の利点を放棄している。
また搭載する機種が違えば通信を行う頻度や距離、交信周波数、機内騒音レベル等も異なる。したがって「各種真空管を必要に応じて部隊に届けられるのであれば」役割ごとに適切な真空管を使うことが望ましい。
そうでない場合には汎用真空管で統一するか、出来るだけ種類を減らすことが合理的となる。
---たとえばドイツ空軍は大戦初期には回路上の役割ごとに適切な真空管をセットした無線機を用いていたが、1941年からは送信機の真空管を2種類まで統合し、受信機の真空管を汎用真空管1種類に統一した。
この方針は戦闘機以外の機種にも適用されていた。
ゲームに実装されている[[ドイツ空軍の>Fw190T改]][[戦闘機>Bf109T改]]は[[ほかの>Ju87C改]][[ドイツ機>Ar196改]]とお互いに真空管を融通できるかもしれない。
---日本海軍でも大戦半ばから各機種の受信機用真空管を新規開発の汎用受信真空管に統一した。
たとえば、マリアナ沖へ向かう[[大鳳>大鳳]]の部品庫では、[[艦戦>零式艦戦52型]]隊と[[艦攻>天山]]隊と[[艦爆>彗星]]隊との間で受信機用真空管の予備を共有出来たはず(その時期に予備の真空管があれば)。
//これはたとえ話で、マリアナ沖海戦の時期に「予備の真空管を空母に充分載せておく」ことが出来たかどうかは判らない。

---「必要な数量を部隊に届けられる」ためなのかどうか判らないがアメリカ軍の航空無線機は日本海軍と同様に搭載機種や回路上の役割にマッチした真空管を用いていた。
音質は日本海軍の航空無線機よりも優れ、信頼性は日本陸軍の航空無線機よりも高かった。
-海軍戦闘機の場合は機体側にも整備性の問題があった。
--[[九六式艦上戦闘機>九六式艦戦]]、[[零式艦上戦闘機二一型>零式艦戦21型]]、[[零式艦上戦闘機三二型>零式艦戦32型]]、[[零式艦上戦闘機五二型>零式艦戦52型]]では真空管を交換するには無線機を機体から降ろさなくてはならない。
--陸軍戦闘機は真空管の交換程度の作業であれば無線機を機体に載せたままで行えた。後部胴体に整備員が潜り込む必要があったが。
--アメリカ軍戦闘機では点検パネルを開けば無線機の日常整備を一通り行えた。
-しかし、大戦前半の陸軍無線機の受信機は水晶発振回路を備えておらず、飛行中に中間周波数がズレてしまう問題があった。
--スーパーヘテロダイン受信機の原理上、中間周波数がズレてしまえば受信できていても音声出力は出てこない。つまり他の全てが正常に動作していても、受信した信号が回路の途中まで正常に届いていても、パイロットの耳には受信信号は届かない。
もちろんダイヤルで調整すれば聞こえるようになる。
--単座戦闘機パイロットにとってはこれは故障であり、南方戦線の陸軍戦闘機部隊の集計によると真空管やコンデンサといったハードウェアの故障の総計よりも中間周波数のズレと言う故障の方が多い。
 戦闘機を操縦しながら無線機を調整することをパイロットに強いるこの仕様が採用された詳細経緯は不明である。
「陸軍無線史」(日本無線史9巻)には昭和5年~10年の検討では水晶発振子を組み込む計画だったこと、そして昭和11年からの計画では受信機には水晶を使わない方針になったことが記されているが、方針変更の理由は書かれていない。
 同書には方針変更後に行われた試験飛行において「特に無線機の操作に熟練したテストパイロットを起用して審査を行い合格とした」とある。
 受信機の局部発振回路に水晶発振子を組み込んで中間周波数を安定化することが根本的解決策で、陸軍無線機は大戦後半になって(かつて否定した)この方式を採用した。

--いっぽう海軍無線機は九六式空1号改の採用時から水晶発振子を用いた安定化発振回路を採用していた。
意外なことにアメリカ軍の航空無線機よりも水晶発振子の採用が早いが、これは「日本では水晶を使わないと安定化発振回路が作れなかった」とも言える。
ドイツ軍は高品質のコンデンサを用いることで水晶発振子を用いない安定化発振回路を実現し、大戦の最初から最後まで用いていた。
&br;
-全体的に陸軍無線機の方が実用性と信頼性が高いが、受信機の「故障していないときの安定性と音質」は海軍無線機が優れている。
&br;
-無線機以外の違いを見ると、海軍戦闘機の発電機の能力は陸軍戦闘機に比べて四分の一から半分となっている。ただし、その分重量は軽い。
発電機出力と重量の一覧を示す。
|>|>|>|>|>|>|>|>|~機載電源の出力と重量、メーカーの一覧|
|>|>|陸軍戦闘機|>|>|海軍戦闘機|>|>|海軍攻撃機(参考)|
|>|>|メーカー:神戸製鋼&br;(シンフォニアテクノロジー)|>|>|メーカー:三菱電機|>|>|メーカー:三菱電機|
|機種名|発電機出力|発電機重量|機種名|発電機出力|発電機重量|機種名|発電機出力|発電機重量|
|九七式戦闘機(艦これ未実装)|450W(甲型)&br;650W(乙型)|不明|[[九六式艦上戦闘機>九六式艦戦]]|225W|7.5kg|[[九七式艦上攻撃機>九七式艦攻]]|750W|15.0kg|
|一式戦闘機1型(艦これ未実装)|650W|不明|[[零式艦上戦闘機二一型>零式艦戦21型]]|225W|7.5kg|[[天山]]|1.5kW|17.7kg|
|[[一式戦 隼II型]]|1kW|17kg|[[零式艦上戦闘機三二型>零式艦戦32型]]|225W&br;375W|7.5kg &br;10.5kg|>|>|>|
|[[一式戦 隼III型甲]]|1.5kW|不明|[[零式艦上戦闘機五二型>零式艦戦52型]]|375W|10.5kg|>|>|>|
|二式戦闘機1型(艦これ未実装)|1kW|17kg|[[雷電]]|375W|10.5kg|>|>|>|
|二式戦闘機2型(艦これ未実装)|1.5kW|不明|[[烈風]]|375W|10.5kg|>|>|>|
|[[三式戦闘機>三式戦 飛燕]]|1.5kW|不明|[[紫電改>紫電改二]]|375W|10.5kg|>|>|>|
|[[四式戦 疾風]]|1.5kW|不明|[[震電>震電改]]|375W|10.5kg|>|>|>|

&br;


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