霧「んー……んふふ…」 苗「飲みすぎだってば…」 霧「ん?なぁに、苗木君…」 苗「ホラ、もう帰るよ。明日も依頼入ってるんでしょ」 霧「依頼は午後からよ…もう少しいいでしょう」 苗「…酔っ払っても、そういうことは覚えてるんだ」 霧「聞き捨てなららいわね…一体誰が酔っ払っれいるの?」 苗「呂律回ってないからね」 #br 苗「ホラ、もう帰るよ」 霧「何言ってるのよ…まだまだ夜はこれからでしょぉ…もう一軒付き合いなさい…」 苗「わ、危ないって!足フラフラじゃない…もうタクシー呼ぶからね。…あ、もしもし」 霧「嫌!ヤダ!まだ帰らないわ!」 苗「ヤダ、って…もう電話しちゃったよ」 霧「…今日を逃したら、次はいつあなたと一緒に過ごせるかわからないじゃない」 苗「え…?」 霧「……」 苗「……」 #br 苗「あ…ホラ、タクシー来たよ霧切さん」 霧「……」 苗「乗らないと。ね」 霧「……」 #br ――――― #br 苗「霧切さん、家に着いたよ。霧切さん?」 霧「…ぐぅ」 苗「えー…もう、しょうがないなぁ…よい、しょっと。思ったより軽いな…」 霧「!?」 苗「……」 霧「……ぐぅ」 苗「霧切さん、実は起きてるでしょ」 霧「…ぐぅ」 苗「もう…あ、玄関の鍵がないと、家に入れないや」 霧「…コートの右ポケットよ」 苗「やっぱり起きてるよね」 霧「ぐぅ」 #br ガチャガチャ #br 苗「おじゃまします、と…寝室どっちだっけ」 霧「リビングの隣よ」 苗「はいはい…お水飲む?」 霧「お願いするわ。コップは冷蔵庫の隣の棚」 苗「起きてるよね」 霧「ぐぅ」 #br 苗「…はあ、もう。ここで下ろしちゃおっかな」 霧「……ぐぅう」 苗「ぐふっ…わかった、わかったから…首に体重掛けないで…」 #br 苗「ホラ、ベッド着いたよ。今水汲んでくるから」 霧「んー…」 #br ジャー コポポポポ… #br 苗「はぁ…絶対男として意識されてないもんなぁ」 苗「いや、そりゃ押し倒して襲いかかる勇気なんて、僕にはないけどさ」 苗「こんな簡単に家に上がらせて、不用心だよ。他の男の人にも、こうなのかな」 霧「…聞こえてるわよー」 苗「聞こえるように言ってるの」 #br 苗「ただいま。これ、水ね……って、ちょ…なんで服脱いでるの!?」 霧「コート着たままじゃ寝られないでしょ…お水、ありがと」 苗「…もう、脱いだコートはちゃんとホラ、畳まないと…」 霧「……」 苗「僕もう帰るから、戸締りはちゃんと、」 #br ギュっ #br 苗「うぇっ!?」 霧「……」 苗「あの、霧切さん?離してくれないと、帰れないよ」 霧「…ダメ」 苗「な、何が?」 霧「帰っちゃダメ。一緒に寝るのよ」 苗「え!?そ、それはさすがに…」 霧「いつもいてほしい時にいないんだから、今日くらい……っ、一緒に……寝なさいよ…」 苗「え、ちょ、泣いてる!?」 霧「ひっ…く、ふぇ…っ」 苗「あ、わかった!寝る、一緒に寝るから」 霧「…ホント?」 苗「え、あ、うーん……じゃ、じゃあ布団だけもらえるかな…絨毯の上で、」 霧「床じゃロクに寝られないでしょ。ベッドに入りなさい」 苗「いや、あの、さすがにそれは…」 霧「うっ…ふぐっ…!」 苗「入る、入ります!」 #br 霧「寝にくいでしょ、上着は脱ぎなさい」 苗「…はい」 霧「…離れすぎよ。間に風が入るわ、もっとこっち来て」 苗「うっ…はい」 霧「なんでそっち向いて寝るのよ。こっち向きなさい」 苗「…もうどうにでもなーれ」 #br 霧「…苗木君」 苗「…今度は何ですか」 霧「私は…あまり自分の家に人を上げるの、本当は好きじゃないのよ」 苗「え?」 霧「恥ずかしい秘密や、自分でも知らない自分の一面を覗き見られているような気がして…」 霧「でも…あなたなら見られてもいい、と…そう思ったの…だから……」 霧「……ここまで、言えば……わかる……」 #br 霧「……ぐぅ」 苗「えぇー…」 #br #br 朝 #br 霧(……なぜ、隣に苗木君が…) #br 霧(いえ、それはいいのよ…問題は、なぜ私も苗木君も下着姿で…!?) 霧(私が誘った…のよね、それは覚えてる…駄々をこねて……恥ずかしい、この歳にもなって) 霧(何か恥ずかしいことも口走った気がするけれど…そこから先の記憶が…) #br 霧(え? まさか、そういう…? いえ、草食系代表の苗木君に限ってまさかそんな… いや、でも…) #br 霧「…苗木君が起きたら問い詰めないといけないわね」 苗「っ…」ビクッ 霧「……」 苗「…ぐぅ」 霧「…この私にタヌキ寝入りが通じるとでも思っているのかしら」 苗「…だって、昨日霧切さんも」 霧「私も、何?」 苗「あ、いや…」 #br 霧「…苗木君、正直に言って」 苗「う、ん……」 霧「昨日、私がベッドに入った後…何があったの?」 #br 苗(…寝顔が可愛すぎて思わずキスしちゃったの、まさか気づいていたなんて…) 霧(この、いかにも隠し事してます、と言わんばかりの表情…やっぱり…) #br 霧「…そう。そうなのね」 苗「…ご、ゴメン…」 霧「…あなたが謝ることはないわ。今回の件は、無防備に振舞った私に落ち度があるのだから…」 苗「う、ううん…でも、ホント事故みたいなものでさ、霧切さんが寝がえりを打った拍子に、偶々しちゃったというか…」 霧「…?」 苗「ねえ、それよりもそろそろ服を着た方が…」 霧「もう今更、必要ないでしょう。下着姿くらいどうってことないわ」 苗「そ、そんなことないよ…!」 霧「それよりも、その…一応私は初めてだったんだけど…もし万が一の時には…責任取って、くれるのよね?」 苗「責任、って?」 霧「だから、その…出来ちゃった時、よ」 苗「!?」 #br 苗「……ねえ、霧切さん。僕、ちょっと考えたんだけど」 霧「……ええ。お互いの認識に齟齬がありそうね」 苗「確認するけど…霧切さんが言っているのは、僕が霧切さんにキスしたこと…だよね?」 霧「え?……キス、だけ?」 苗「だけ、ってどういうこと?」 霧「!! あ、いえ、別になんでもないのよ」 苗「そういえばさっきも、一応初めてとか、出来ちゃったとか…霧切さん、何考えてたの?」 霧「あ、あなたが紛らわしい反応するから悪いのよ…」 苗「それは違うよ、元はと言えば霧切さんが酔っ払って僕に絡むから…」 #br #br 霧(…何気に流したけれど、つまり苗木君に唇を奪われた、ということ…なのかしら…///) 苗(…霧切さん、やけに顔が赤いと思ったら『僕とそういうことをした』って勘違いしてたのか…///) #br ----