喰女 ―クイメ―

Last-modified: 2021-08-05 (木) 04:41:17

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作品紹介

舞台「真四谷怪談」で、お岩役を演じるスター女優・後藤美雪。
美雪の強い推挙により、恋人である俳優・長谷川浩介が伊右衛門役に大抜擢される。
鈴木順と、朝比奈莉緒がキャスティングされ、舞台の稽古が始まった。
舞台と現実世界で渦巻く男女の愛と欲。
浩介の裏切りを知った美雪の想いは、やがて怨念となり─。
彼らを待ち受けるのは愛の成就か、それとも残酷な闇か。
この謎のパーティー会場となるキャンプ場へと向かった8人を不気味な日本人形が付き纏う。
その人形の体が大きくなった時、決して引き返す事の出来ないパーティーが始まる。

あらすじorz

「四谷怪談の舞台」を舞台とした作品です。
劇中劇として四谷怪談を描きながら現実の男女の関係をリンクさせながら
交互に描写していく作りになっています。
もし四谷怪談を知らなければ以下概要のみ説明します。
(出来ればこの下手な説明より東海道四谷怪談などを見てほしいですが)

ネタバレを含みます

民谷家のお岩に惚れた伊右衛門はお岩の父又左ェ門に婚姻を直談判しますが
伊右衛門の普段の素行の悪さと仕官できずにいることを理由に無下に断ります。
そこで口論となり逆上した伊右衛門はお岩パパを殺してしまいます。

(代表的な東海道四谷怪談ではその場に居合わせた直助という男と共謀して
 父の仇を取るという名目でお岩さんと結ばれます。この辺は作品によって
 様々なアレンジがあるのですが本作では直助含めて主要人物が省かれているため
 とりあえず省きます)

邪魔なお岩パパが居なくなりお岩さんと結ばれて赤子もこさえた伊右衛門ですが
素行の悪さは変わらずいまだ仕官できずに浪人のまま内職で糊口をしのぐ貧しい日々を送ります。

その後伊藤喜兵衛という高官と出会い伊右衛門を見初めた娘の梅と婚約を持ちかけられます。
そうなるとお岩さんが邪魔になる。お岩さんにも未練がある伊右衛門に喜兵衛側から
顔が醜く爛れて死亡するという薬を渡され縁を切るように諭します。

そこで伊右衛門はお岩に横恋慕している按摩士の宅悦にお岩さんを抱くように唆し
その後伊右衛門は二人の前に現れ不倫の現場を目撃し、不貞の為と二人を殺します。
こうして未練もしがらみも断ち切って無事に伊藤家に婿入りします。

しかしヘタレた宅悦によってお岩さんに事情が知れて
お岩さんは伊右衛門許さざるべしと怨霊となって伊右衛門を追い詰める。
お岩さん頑張れ!

そんな内容です。

登場人物

  • 長谷川浩介(海老蔵):伊右衛門役。美雪ちゃんと付き合ってる。
     稽古入りも遅刻が多く浮気性で素行に問題がある。
    ネタバレを含みます

    梅役の奈莉緖と浮気をしている。
    家族の幸せを聞いた美雪ちゃんに稽古中ガチキックかましたりとクソ男である。

  • 後藤美雪(柴咲コウ):民谷岩役 。浩介くんとの関係が爛れ行くのを感じ次第に不信感はエスカレートし…
    ネタバレを含みます

    海老蔵が家に来るのを想って大量に料理を作ったり妊娠を望み過度に妊娠検査薬を使う、
    劇中で渡される櫛に想いを寄せたり赤子の人形に感情移入するなど段々と舞台と現実の境界が
    曖昧になり奇行を重ねていく。

  • 鈴木順(伊藤英明):宅悦役(按摩士、金貸し)。妻子持ち。だが美雪ちゃんをデートに誘う浮気者。
     作中、時々芝居の世界から出たくない時があるなどの発言から実生活はあまりうまくいってない様子。
  • 朝比奈莉緖:伊藤梅役。海老蔵の浮気相手でありながら美雪ちゃんにあいさつに行った際に
     美雪ちゃんにあこがれていると宣言する。美雪ちゃんには浮気はバレてるらしい。
     父が資産家で海老蔵に役者をやめて資産家としての道を薦める
  • 倉田加代子:美雪ちゃんの付き人。代役で稽古に出た際に浩介にネチャつかれる
  • 堀内みすづ:乳母槙役。怖い。
  • 尾形道三郎:民谷又左ェ門役。
  • 嶋田貫二:伊藤喜兵衛役。
  • 恐怖人形

作品評価

伊右衛門演者は市川海老蔵。
劇中声がこもってて何言ってるかわからない部分もありますが
 雰囲気出た演技で見せてくれます。

四谷怪談とそれの演者たちの物語。
話が進むにつれていつか演目と現実がリンクしていくため
どこから現実でどこから芝居の世界かいつのまにか曖昧になっていく作りは面白いです。

以下ネタバレ

語るべき点の一つは美雪ちゃんのシャワールームの行為でしょうか。
あれが何を表しているのか私自身理解しきれておりませんが、
察するにいつまでも生まれてこない海老蔵との子を無理やり掻き出して
子が生まれたという既成事実が作りたかったのではないでしょうか?

子が生まれれば海老蔵は自分の者になる。
あのシーンはそんな妄念を表していたのではないかと思いました。
しかし生まれる子などいなかった。
これでは海老蔵は今まで通り浮気を繰り返しいつかはお岩さんのように捨てられる。
なれば海老蔵自身を手に入れる。それが作中に美雪ちゃんが至った答えではないでしょうか。

現実世界において海老蔵は不慮の事故で首をはねられる。
劇中世界ではお岩さん(美雪ちゃん)により首をかじり取られる。
なんにしろ美雪ちゃんは海老蔵の首を自分のものとし、
劇中のお岩さんは伊右衛門の首を手に入れる。

ここで感じるのは女性の愛した男への執着です。
過去より数々の作品でお岩さんは伊右衛門への恨みを果たしてきましたが
実際に愛した男へどのような感情が湧くものなのでしょうか?
恋愛に疎い身で語るのもお恥ずかしいですが、
この作品においてお岩さんの目的は憎き伊右衛門殺す!のではなく
好きな伊右衛門を自分の者にする!という執着だったのではないか。
そんなことを感じました。

この作品では最後美咲ちゃんは生きて海老蔵の首を足で弄びます。
四谷怪談は伝統的なお話ですが変わる時代と文化に女性も強くなった。
もし現代にお岩さんがいたら伊右衛門を尻にしているかもしれません。

海老蔵が脱ぐので☆5です

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