東北楽天ゴールデンイーグルス監督・石井一久の蔑称。
由来は、楽天の監督を解任された直後の平石洋介が、当時GMだった石井のことを「あのGM」呼ばわりしたとされていることから*1。
【目次】
概要・経緯 
2019年10月11日、平石を監督から解任する経緯について、石井が報道陣に文書を配布する異例の行動をとっていた。内容は「イーグルスの現状の課題を得意分野的に平石では改善が望めないから」というものである。
とは言え、則本昂大・岸孝之のダブルエースを怪我で欠いていた中で、平石は前年最下位のチームを71勝68敗4分の貯金3でAクラスに導いたのは事実であり、監督の評価として適当でないのではという声も多かった。
それに加え、解任の理由を公開するという行為自体も議論を呼んでいた。
楽天 石井GMが異例「平石監督の退任経緯&ビジョン」文書で報道陣に説明 - スポニチ
https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2019/10/11/kiji/20191011s00001173145000c.html
原文書き起こし(誤字などについてもそのまま記載)
まず、大前提としてイーグルスを中長期的に優勝を目指せるチームに作っていかないといけないと考えています。
その様なチームを作る時に昨年・今年と感じたことはバンドやスクイズなどの精度やサインミスなどの多さや走塁含め先の塁への意識改革が1年通して改善しきれなかったと感じました。
これは、今年起きた課題ではなく僕が見る中では長くイーグルスにある課題だと認識しています。
そこをどう改善していくのを考えた時に1軍の公式試合の中でもクオリティーを含めチームとして教育や意識改革を今のチームが徹底していかなければ隙のないチームの伝統をつくりあげられないのではないかと感じます。
今後5年・10年と選手やスタッフが変わってもチームカラーやプレーの伝統というものは受け継がれていきます。今のチームにはその改革やチームの伝統の基礎をうまく促進できる方にチームを預ける必要があるのではないかと考えています。
それを平石監督にできないから契約年数通り退任ということではなく、指導者にはそれぞれ得意分野があります。
細かい野球をする戦略家だったり
ダイナミックな野球で長所を伸ばす指導者だったり
チームの雰囲気をつくるモチベーション指導者など、その他にも色んな得意なカテゴリーが人それぞれ指導者にはあると思っているので、今回の長きにわたる課題に対しては、よりカテゴリーに合う方に来て頂くことが大事ではないかなと考えています。
ただ、平石監督とは昨年途中から意見交換をしっかりして戦ってきました。
僕の方から、若い選手の起用方法だったり、ブラッシュとかで言えば初年度と言うこともあり成績が出なくても150打席をバッファを持ってくれなど色々制約がある中お互い協力してやってきましたし平石監督の良い部分というものは多く見てきたつもりです。
それは、僕の中でも球団のデーターとしても平石監督の長所というものは保管できるものですし、僕は監督が最後の職という古い考え方は持っていません。
将来的にどんなポジションだろうとチームの組織で指導者として平石監督にやってほしいと思っています。そのために、今まで以上に広い視野を持っていただく場所をチームとしてオファーしました。
さらに後任に、ヤクルトでの現役時代の後輩であり自身がイーグルスに呼び寄せた三木肇*2二軍監督を所属2年目で抜擢したため、
「平石がダメで三木ならOKというのが理解できない」「自分へのYESマンで周囲を固めようとしているのではないか?」「お友達チーム作り」などの疑惑がなんJでは沸いていた。
そんな最中に報道されたのが以下の記事である。
該当記事 
問題となったためか、元記事は既に修正済み。
【楽天】球団に退団を申し入れた平石前監督「今後は全く決まっていません。本当にさみしい」 - スポーツ報知
https://hochi.news/articles/20191015-OHT1T50093.html
―今日、退団は石井一久GMに伝えたのか?
「あのGMには会ってないですね。安部井(統括本部長)さんと(立花)社長とは話はしました」
平石激怒? 
【楽天】平石前監督、球団側から「2軍統括」新設ポストのオファーも退団 「それが全て」 - スポーツ報知
https://hochi.news/articles/20191015-OHT1T50084.html
球団側との会談を終えた平石前監督は「退団させてもらうことを伝えました」と明言。退団を決断するに至った経緯について聞かれると「僕は仙台が好きですし、宮城県、東北が好きです。楽天に来て15年ですけど、選手、スタッフ、球団の職員の方、またファンのみなさん。本当に誰にも負けないくらいの思い入れは持ってます。そんな私でも退団する決心をした。それが全てですね」と声を絞り出し、無念さをにじませた。
下記の通り「あの」の部分に関しては審議の余地があるのだが、こちらの発言から平石がブチギレているというのは間違いないようだ。
あのGM、コーチ人事の理由を語る 
楽天コーチ人事発表 石井一久GM「チームOBを入れたかった」 - 中日スポーツ
https://www.chunichi.co.jp/chuspo/article/npb/news/CK2019101402100054.html(リンク切れ)
「三木監督が(情報を)共有できるような配置転換。楽天のOBを入れたかった*3」と意図を語った。
なお、楽天一筋のOBである平石に打診されたのは監督でもコーチでもなく「二軍統括」という新設ポストであった。
この聞きなれないポストに「平石を手元に置く為のお飾りポスト」と指摘された。結局、平石はこの打診を蹴り退団、二軍統括は「ファームディレクター」に改められ、サブローこと大村三郎が就任する事になる。*4
指摘されがちなあのGMの行動 
- 平石についての一連の経緯
- 平石解任の直後「僕の中では3段階に分けたら(3位は)Bクラス
」と、独自のクラス分け。
- 球団の顔とも言える嶋基宏に野球協約制限を超える減額を提示し退団される。その後嶋はヤクルトに入団した*5*6。
- 嶋がいなくなると、楽天の捕手陣でキャリアが長いのがプロ年数のわりに一軍出場数が少ない山下斐紹*7と外野手登録の期間が長かった岡島豪郎*8の2人で他はプロ年数5年以下の若手捕手という布陣になるため、編成に不安を抱える事は明白であった。
- そのためFA権取得の広島・會澤翼や横浜・伊藤光と内々に話がついているのかと思いきや両者残留宣言。會澤に至っては嶋退団の翌日である。
- 嶋の処遇について元監督の大久保博元に苦言を呈される
。
- その後、2020年シーズン前半は太田光と足立祐一が活躍していたものの、太田が左肩を負傷し今季絶望。足立祐一も二軍落ちで捕手が手薄になり、巨人から田中貴也を金銭トレードで獲得することとなった。
- 結局、捕手難については既存戦力では解決できなかったのか、2021年シーズン途中に巨人から金銭トレードで炭谷銀仁朗を獲得することとなった。
- 2019年のドラフトで、小関順二に「チームの将来より、野球ファンやマスコミに対するアピール(宣戦布告)に見えた。
」と評される指名を行う。
- 地元の名門校・仙台育英高出身の西巻賢二を高卒2年目で戦力外にし、育成契約を打診。しかも理由が選手本人でなく「チームの方針」。
- 元イーグルス東北担当スカウト上岡良一に東北との距離を非難される
。
- 週刊ベースボールにチーム改革のやり方を批判される
。
- ゼラス・ウィーラーと池田駿、高梨雄平と高田萌生のトレード(いずれも対巨人)
- ウィーラーについては外国人枠の都合で出場意欲が強く、選手の意向を尊重したトレード。高梨については制球難に加えて変則フォームがパ・リーグで見極められつつあって成績が悪化していた。また近年では否定的な意見も多い左のワンポイント枠であったことなどから移籍直後はそれほど批判も多くなかったが、ウィーラーは三塁・一塁・左翼を守れるマルチプレイヤーとして大活躍。高梨は回跨ぎをものともしない好投を見せともに活躍する一方で、楽天に関しては中継ぎ陣は度々炎上し、外国人枠についてもシャギワは打たれる場面が多く二軍落ち、ブラッシュも不調で同じく二軍落ちで結局外国人はブセニッツ、宋家豪、ロメロの3人体制で運用するという状態に陥ってからは、なぜ両名を残さなかったのかという意見が増えるようになった。
真相? 
河北新報スポーツ部の記者が、「あのGM」という表現は誤りで、実際には「あのー、GM」だったと証言した。
https://twitter.com/yusaku_hazama05/status/1186066269587394561
ネットで話題の「あのGM」っていうのは「あのー、GM(には)」が正確なところです。会見の現場に居合わせましたし、周囲の記者とも見解は一致しています。当事者の名誉のためにご指摘しておきます。
はたして報知の記事が正しかったのか河北の記者が正しかったのか、真相は不明。
取材中は録音もしているはずなので公開すれば真偽ははっきりとするが、活字媒体のマスメディアは通常取材映像や音声の公開はしないため今後明らかになる可能性は低い。
その後 
そして迎えた2020年シーズン、楽天はスタートダッシュこそ成功するも徐々に失速。ソフトバンクに10月怒涛の大型連勝を連発されぶっちぎり優勝を許したばかりか、戦力を引き抜いたロッテや西武にも追い抜かれる体たらく。
11月4日にはオリックス戦に敗れたことでCS出場*9の可能性が完全消滅し、三木監督の去就が各メディアで一斉に報じられる事態となった。その最中、スポーツライターの臼北信行氏が以下の記事を公開。
記事一部抜粋
楽天「CS消滅」巨大補強でも勝てなかったGMの罪
https://news.nicovideo.jp/watch/nw8408822
「楽天ライオンズ」と揶揄されながら西武より下位に
2013年のチーム日本一も経験した楽天の有力OBは次のように嘆く。
「ここ数年、チームには経験豊富なメンバーがずらりと揃った。だが、その半面でイーグルスの主力は生え抜きより、移籍組のメンバーが幅を利かせるようになったのも事実。かつて私がプレーしていた、愛するイーグルスのチームカラーがどんどん薄れていってしまっているような気がしてならない。
もちろんイーグルスに移籍してきた選手たちに罪はないが、あれだけ個性あふれるメンバーばかりだとどうしても必然的に我が強い者同士のぶつかり合いになる。今のイーグルスが球界内で『寄せ集めた“烏合の衆”』と揶揄されるのは、まさにそういうところ。
かつて西武でプレー経験のある移籍組が数多くいることから『楽天ライオンズ』と陰口を叩かれているのも悲しい話だ。しかも戦力を奪ったはずの西武よりも皮肉なことに今シーズンは順位が下になってしまった。こんな情けないことはない」
確かにそう思う。石井GMは元メジャーリーガーでMLBの事情にも当然精通し、米球界流のトップダウン方式で潤沢な親会社のビッグマネーを武器に「豪腕」とも称されるマネジメントを貫いている。ちなみにMLBでは結果が出なければ監督だけでなく編成トップも責任を負わされることは百も承知のはずだ。
昨オフに「優勝を狙えるチームになってきた」とメディアに豪語しながらも、今季CS進出すら果たせなかった“罪”は決して軽くはないと考える。とにかく球団は今、多くのイーグルスファンが今季の結果に大きく失望し、激しい怒りを募らせている現状に危機感を強めたほうがいい。
そして5日にはロッテが勝利したことで楽天の4位が決定、最終的に55勝57敗8分の借金2で終戦。「実質Bクラス」と放言した前年をさらに下回る本物のBクラスに転落したのだった。
生え抜きの監督や功労者を次々に放逐しておいてのこの結果にファンが納得できるはずもなく、当然ながらネット上では三木と石井の更迭論が飛び交うことに。
その最中、楽天はオンライン会見にて一軍監督を務めた三木を二軍監督に戻すこと、石井自身が来季GM兼務で一軍監督に就任することを発表。あのGMはあの全権監督となった*10。
全権監督として迎えた2021年シーズンも、開幕直後こそ首位に立つものの最終順位は「実質Bクラス」と放言した3位。
さらに2022年には、球団新記録の11連勝を記録し首位を独走するもののその後急失速*11。8月には最大18*12あった貯金をすべて失い、最終的には69勝71敗3分の4位で終戦*13。またしても平石監督時代を下回る本物のBクラスという結果に終わった。
オフには監督専任になることが発表され、「あのGM」ですらなくなった*14。
関連項目 
Tag: 楽天