ムエンゴ

Last-modified: 2022-06-19 (日) 20:02:14

どんなに好投を続けても味方打線が点を取ってくれず勝ち星が増えない状態のこと。「負け運」とも呼ばれる。

勝ち星の多寡は(球団によって考え方に差があるとはいえ)少なからず年俸査定に影響を与えるため、ネタ抜きで投手にとっては死活問題にも直結しうるものと言ってよい。


【目次】


概要

もともと「無援護」という言葉自体は存在しており、江夏豊13回完投負けや、三浦大輔(2005年)や黒田博樹(2006年)が最優秀防御率を取りながら勝ち星に恵まれなかった時など、特に貧打のチームの好投手に対して使われていた。
また「チーム得点数は多いが、特定の投手の先発時のみ異様に援護点が少ない」場合にも使われていた。


用語「ムエンゴ」の誕生

2008年に抑えで炎上を繰り返したドミンゴ・グスマン(東北楽天)は先発に再転向。好投を続けるが一方で無援護に悩まされ*1、登録名と語感が近いことから「ムエンゴ」が誕生、その後は「渡辺俊介ちゃんを救う会」の発足により定着した。


ネット上での扱い

無援護投手は文字通り援護がないので最少失点で投げ切らないと負けてしまうため、端から見ればQS達成でも「6回3失点の炎上*2と言われたり、援護が最小限のものでも「1点の大量援護」と言われたりするのがお約束。エース格でムエンゴだと1失点したり完封できなかっただけで「エースの自覚が足りない」と言われたりする。
また、ムエンゴ投手の先発が予告されている前の試合でチームが大量得点すると「明日の○○の分の援護をとっておけ」と野手陣が言われたりすることもある。


かつてムエンゴ扱いされていた投手

ここでは当wikに個別項目が作られるほどネタにされた選手を紹介する。(ネタについてはリンク先を参照)

用語

援護率

英語ではRun Support per Nine Innings、大概の場合Run Supportと呼ばれる指標、計算式は以下の通り。

(味方の援護点数×9)÷攻撃イニング数(投手がマウンドにいる間に味方が攻撃したイニング数)
出典:外部サイト"Kazmix World -- Baseball Data"

9回完投時に期待できる味方打線の得点数」が援護率であり、この計算に基づいた援護率を算出するのが大前提。この数字が低いほどムエンゴに苦しんでいると言える。
特にDH制の場合は投手がジエンゴで操作できない数値であり、チーム内でも大きく差が出る場合がある。

援護率はチームの得点能力と運のみによって決まるわけではない。例えば、エース級の先発投手は現在一般的な6日ローテーションだと相手チームのエースと投げ合う機会が多いためチーム内でも援護率が低い傾向がある。また采配方針である投手の登板時に守備重視のオーダーを組むような場合にもその投手の援護率は低くなりやすい(代わりに防御率などの投手成績は良くなりやすい)。とはいえ、これらの傾向を覆して異常な援護率を叩き出すケースも多々あり、運の要素が最も支配的といえる(運の典型例が上述の伊藤智仁やMLB時代の黒田博樹であろう)。


QS(クオリティ・スタート)

投球回6イニング以上かつ自責点3以下の先発登板試合に記録され、「ある程度試合を作り先発投手としての役割を果たした」という評価になるもの。

QS率は全先発数に対するQSの割合で、先発投手の安定度を示す指標としてWHIP(1イニング当たりに走者を出す割合)とともに近年はアメリカで重要視され、日本でも定着しつつある*3
また、ムエンゴを見分ける上で有効な数値となるQS勝率(敗率)はQSを記録した登板における勝敗率を意味する。

なお、登板全試合がQS達成基準ピッタリの6回3自責点だった場合の防御率は4.50であり、シーズン通算では良い成績とは言えない。そのため、イニングイーターとしての役割も求められるエース級の投手などに対してはHQS(ハイ・クオリティー・スタート、7イニング以上かつ2失点以内)が使われることもある*4。登板全試合で7回2失点(失点の全てが自責点)のHQSを達成した場合の防御率は2.57である。

また、NPBでその年最も優秀な先発完投型投手を選出するのが沢村賞であるが、近年は先発・救援の分業制がより進んでおり従来の基準を満たすことが難しい(特に10完投)ということで、2016年からはQSやWHIPを選考基準に導入、2018年からはNPBの環境*5に合わせた「投球回7イニング以上かつ自責点3以下」という独自のQSを考慮することとなった*6
この他、独自の基準を持つチームもあるようだ。


関連項目

関連サイト


*1 2008年は防御率3.87・援護率3.00、2勝7敗・QS勝率.222
*2 ただし6回3失点は防御率に換算すると4.50のため炎上と言えなくもない。
*3 QSは完全に先発投手専用の指標であるのに対し、WHIPはリリーフ投手寄りの評価に適した指標とされる。
*4 特に極端な投高打低となっていた違反球時代にはQSへのハードルが下がってしまい、代わりにHQS・HQS勝率が指標として使われることが多かったようである。
*5 先発ローテーションの主流が、MLBでは中4日だがNPBでは中6日である点
*6 この場合の防御率は3.86。なお、2018年は菅野智之が沢村賞の選考基準を全項目達成したため、日本版QSを考慮するまでもなく全会一致で菅野が受賞した。