優勝候補オリックス

Last-modified: 2024-02-15 (木) 11:35:36

2000年代から2010年代のオリックス・バファローズがシーズン前の順位予想等で高い前評判を獲得し「優勝候補」の一角に挙げられていながら、蓋を開けてみれば毎年Bクラス安定という状態を揶揄した表現*1終身名誉優勝候補とも。


スレタイは「優 勝 候 補 オ リ ッ ク ス」のように一文字置きでスペースを入れるのがお約束である。


2009年優勝候補オリックス

前前年度の2007年が62勝77敗5分の最下位だったのに対し、前年の2008年は投手陣が15勝を挙げ新人王となった小松聖を始めとした10勝カルテットを達成するなどの大躍進で75勝68敗1分の2位に浮上したことから2009年のオリックスは優勝候補と目されておりAクラスは確実と思われていた。
しかし開幕戦の小松の大炎上に始まりギネス記録となる11打数連続被安打やエース・金子千尋の守護神代役などブルーウェーブ時代末期を彷彿とさせる大投壊を見せつけ、「ビッグボーイズ」*2と評された打線も相変わらずの怪我人が相次ぎレギュラー陣が揃わずじまい。結局低空飛行を続けたオリックスは勝率4割すら届かない体たらく*3で最下位、大方の上位予想を裏切ってしまった。

 

この教訓からか、下記のように同じような悲劇が繰り返された際にも動じないオリックスファンが多かったようである。

当時の順位予想


2012年優勝候補オリックス

前年の2011年は4位ながらも勝率5割を達成*4するなど成績は上積みできると予想されたこと、KBO三冠王の李大浩やFA権を行使し西武からFA移籍してきたミンチェ(許銘傑)などの新戦力を獲得したこと、他球団の主力選手移籍の事情*5といった要因から、2012年のシーズン開幕前に解説者などによって行われたパ・リーグの順位予想においてオリックスを上位に置く者が多かった。
周囲の人間だけでなく、当時の監督・岡田彰布も意気揚々と優勝旅行について語っていたりするなど内外でオリックスが好成績を残すのは確実(最低でもAクラスには食い込むだろう)という見方が強く、なんJ内でもオリックスは「優勝候補」として目されていた。

 

しかしシーズンが始まるとエースや主軸らに怪我人が続出、さらにはベテラン勢の不調なども相次ぎあっという間に最下位へ転落。その後も連敗に連敗を重ねた末、岡田もシーズン終盤に休養(実質的な解任)させられる有様で、ぶっちぎりの最下位でシーズンを終える。
この惨敗から、開幕前にオリックスが「優勝候補」と騒がれていたことは黒歴史となってしまった。

なお、北海道日本ハムファイターズの優勝を的中させた野球評論家はおらず、『週刊ベースボール』の企画で日本ハム優勝を予想した「しろくまくん()」が一躍脚光を浴びた*6


2013年優勝候補オリックス

前年の体たらくを受けて各チームの主力級選手を次々と獲得する積極的な補強を行った事で、シーズンオフの間にオリックスへの期待は高まり、再びパ・リーグの優勝候補として目されるようになっていた。

 

しかしオープン戦が始まると6勝11敗(12球団中11位)・チーム打率.219(同最下位)・チーム防御率3.96(同9位)など散々な状況で、優勝候補から一転して千葉ロッテマリーンズに次ぐ最下位候補へと転落した。
シーズンが始まりこの予想を覆せるか注目されたが、オリックスと共に「最下位筆頭候補」とされたロッテとの開幕シリーズにおいて2試合連続で延長戦突入の末サヨナラ犠飛で敗戦するなど、「案の定」で序盤から低空飛行。チーム打率は良化せず、エース・金子千尋ムエンゴに苦しみ勝ち星が伸びないド貧打のシーズンに。
しかし、金子はムエンゴに負けず沢村賞選考基準全項目をクリア*7する活躍や、佐藤達也平野佳寿を始めとする投手陣の奮闘もあり最下位は回避。結局チームは前評判通りの5位でシーズンを終えている

 

なお、最下位候補筆頭とされたロッテは開幕から好調を維持して3位に滑り込んだ。結局最下位は前年優勝の日本ハムとなった*8


2015年優勝候補オリックス

同年は新戦力に中島裕之、日本ハムから小谷野栄一、DeNAからトニ・ブランコ、広島からブライアン・バリントンが加入。
前年度ゲーム差なしの2位の実績と充実の補強*9、前年に日本一となった福岡ソフトバンクホークス監督が秋山幸二から工藤公康へ交代、さらに解説者の稲葉篤紀や江川卓などが順位予想で優勝を予想した事もあり、またも優勝候補に挙がる。

 

ところが前年に沢村賞など数々の投手タイトルを獲得した金子、リリーフの主力である比嘉幹貴と岸田護が開幕に間に合わず、開幕から4連敗
その後も期待された新戦力の中島とブランコも負傷であっさり離脱、糸井嘉男が深刻な打撃不振に陥り佐藤も比嘉同様、酷使の影響からか不振で二軍に降格するなどの低空飛行で5月31日には早くも自力優勝が消滅。6月2日から森脇浩司監督が休養*10してテコ入れを図ったが前半戦を最下位で折り返す。

後半戦に入りエースの金子を始め、故障した選手らが復帰したことで勝ち星を伸ばすも時すでに遅し。東北楽天ゴールデンイーグルスを抜くのが精一杯でまたしても5位でシーズンを終えた
この年の補強は4年で獲得した選手が全員いなくなる*11等近年でもかなり酷いものであり、前年2位であったのにチームが壊れてしまったと指摘されている。


2021年、本当に優勝したオリックス

こうしてネタにされること数年、山本由伸・吉田正尚など投打に実力者を揃えながらも特に打撃において噛み合わず、2020年もほぼ定位置の最下位に沈んだオリックス。しかし、シーズン途中で指揮官が西村徳文監督から中嶋聡監督代行になってからは一定の成果が見られていた。
中嶋は同年オフに正式に監督就任。メジャーから平野佳寿、楽天からステフェン・ロメロが復帰し、阪神から構想外となっていた能見篤史を投手コーチ兼任で獲得したが、翌年も最下位、良くてもBクラスだろうという見立てが多かった。

しかしシーズンが始まると(序盤はいつもの流れで下位に沈んではいたが)交流戦初カードでの楽しい乱打戦を契機に投打が一気に噛み合い、快進撃を開始。
ロマン枠の代表格であった杉本裕太郎がようやく覚醒し4番・ライトに、前年まで内野手だった福田周平が1番・センターに、宗佑磨も打撃の復調と高い守備力で2番・サード、体調面に問題を抱え出遅れていた安達了一がセカンドへコンバートされて空いたショートで高卒2年目の紅林弘太郎がレギュラーを獲得し二桁本塁打とあらゆるところで既存戦力が躍動。近年は打撃で思うように結果が出ず打線のブレーキになりがちだったT-岡田若月健矢もそれなりの好成績を取り戻すなど、課題だった打撃力が一気に改善。
これまで殆ど結果を出せていなかった補強選手に関しても、ロメロこそ家族が来日できない事と不振で途中退団となったが、平野は守護神として君臨、能見もリリーフとして熟練の投球を披露する傍らコーチとして若手投手陣の覚醒に一役買うなど、ピンズドで成功した。
主砲の吉田が死球などで2度も戦線離脱するというアクシデントもありながら、チーム一丸で戦い続けたオリックス。
ロッテと最後まで優勝争いをした末、10月27日に25年ぶりのパ・リーグ優勝を果たした

余談だが、前日にはヤクルトがセ・リーグ優勝を決めていた。前年最下位のチーム*12がセ・パ両リーグ優勝を果たしたのは日本プロ野球史上初である*13

CSでも2位のロッテを3勝1分(アドバンテージ含む)で下し、25年ぶりの日本シリーズに進出。しかしながら日本シリーズでは2勝4敗でヤクルトに敗れた


2022年、連覇を達成したオリックス

連覇は難しいという意見もあったが、これといった戦力減もなかったことから多くの解説者がオリックスを優勝予想。

すると開幕戦を勝利して開幕戦連敗記録を10で止め、交流戦明けから好調を維持。シーズン終盤にかけてソフトバンク・西武との三つ巴の優勝争いとなるも西武が途中で脱落し、ソフトバンクとの一騎打ちとなった。
シーズン最終戦であった10月2日の対楽天戦(楽天生命パーク)にてオリックスが勝利。その一方でソフトバンクが対ロッテ戦(ZOZOマリンスタジアム)を落としたため、シーズン最終戦で順位が入れ替わってオリックスが大逆転優勝を果たし、パ・リーグ連覇となった。*14

同年は昨年度のセ・リーグ覇者であるヤクルトも連覇を果たしており、最下位からの連覇を2チームで果たした。
オリックスは昨年同様CSでも勝利し、日本シリーズはセ・リーグCSを勝ち進んだヤクルトとのリベンジマッチとなった。第3戦まで勝ちなしと苦戦するも、そこから4連勝を決めて26年ぶりの日本一を手にした


2023年、三連覇を成し遂げたオリックス

連覇を達成したものの、下馬評では前年の歴史的V逸を受けて特大の補強を敢行したソフトバンクがやはり優勢なのではないかという見方が強かった。

開幕ダッシュではソフトバンクが抜け出すも、すぐさまオリックス・ソフトバンク・ロッテの三つ巴での混戦状態となり、7月上旬まで膠着状態が続いた。しかし、7月上旬にソフトバンクが痛恨の12連敗を喫して脱落。7月下旬頃からは2位のロッテも低迷し始め、8月26日にはオリックスに優勝マジック「24」が点灯*15
ロッテの失速後は、2位以下を寄せ付けない戦いぶりで安定して勝ち星を積み重ねる。最終盤まで優勝争いを演じた過去2年とは異なり、2位に大きくゲーム差を離して独走状態であった
マジック2で迎えた9月20日ロッテ戦(京セラドーム大阪)では、先制を許した上でロッテ先発・カスティーヨに苦戦するも、継投となった7回には観客の大声援を背に2死走者無しから一挙6得点で逆転。残る8・9回を無失点で締めて勝利し、2010年代黄金期のソフトバンクも成しえなかった21世紀初のパ・リーグ三連覇という快挙を成し遂げた*16*17
過去2年は本拠地で観客がいる中での胴上げが叶わなかったが、この年にようやく本拠地・京セラドーム大阪に詰めかけた満員のファンの目の前で胴上げをすることが出来た*18。CSではファイナルでロッテをアドバンテージ含む4勝1敗で制し日本シリーズに進出。
59年振りの関西ダービーとなった阪神タイガースとの日本シリーズは、第7戦までもつれ込んだ末に3勝4敗で敗れ、日本一連覇は叶わなかった。


関連項目


*1 実際には優勝どころか、2020年までの20年間で18回Bクラス(2008年と2014年の2位のみ)という20年連続Bクラスの暗黒期南海→ダイエーと同じレベルの暗黒で、あの横浜ベイスターズも真っ青になるほどの暗黒であった。また2007年にクライマックスシリーズが導入されて以来、セ・パ12球団の中で最後までCS優勝経験がなかった。
*2 ボーイズと言うものの打線の中心はタフィ・ローズ(41)、アレックス・カブレラ(38)、グレッグ・ラロッカ(37)、ホセ・フェルナンデス(35)といった高齢の外国人選手ばかりであった。彼らを同時起用することは守備面で大きな不安を抱えることになり、それを不安視する声もあった。
*3 56勝86敗2引分、勝率.394。
*4 3位西武とはゲーム差なしの勝率1毛差だった。
*5 日本ハムはダルビッシュ有、楽天は岩隈久志、ソフトバンクは杉内俊哉川崎宗則・和田毅・D.J.ホールトンがMLBやセ・リーグ球団へ移籍。
*6 そして巨人のセ・リーグ優勝と日本一も的中させている。翌2013年も日本ハム優勝と予想したが、流石に二匹目のドジョウはいなかった模様。
*7 試合数25試合以上・完投数10試合以上・勝利数15勝以上・勝率6割以上・投球回数200イニング以上・奪三振150個以上・防御率2.50以下。金子はそれぞれ29試合・10試合・15勝・.652・223回1/3・200個・2.01。しかし田中将大のインパクトには敵わず受賞できなかった(4例目)。
*8 優勝チームが翌年最下位転落するのは1981年の近鉄以来。また奇しくもこの年優勝した楽天が翌年最下位に沈んだ。
*9 優勝ソフトバンクとはわずか勝率2厘差でV逸した。
*10 福良淳一ヘッドコーチが代行を務めた。福良は同年オフに正式に監督へ就任。
*11 小谷野が2020年からコーチとして復帰した以外はオリックスに携わってすらいないという有様である。
*12 なお両チームとも、前々年も最下位であり、2年連続最下位からのリーグ優勝となる。
*13 ちなみに、その裏で起こった前年度のセパ優勝球団がどちらも借金フィニッシュ」という現象も日本プロ野球史上初だった。
*14 この時のオリックスとソフトバンクは勝利数・敗北数・引き分け数が全て同数で並んでいたのだが、2チーム以上が同勝率で並んだ場合に当該チーム間の対戦成績で順位を決定するパ・リーグの規定により、ソフトバンクに15勝10敗で勝ち越していたオリックスが上位となった。
*15 ちなみに前年・前々年ともにマジック点灯なしで優勝したため、マジック点灯は2014年以来9年ぶりである。
*16 なお、ホークスはダイエー時代の2003年のリーグ優勝の後の2年間もペナントレース自体は1位だった。しかし、2004年から2006年までのプレーオフ制度は突破したチームがリーグ優勝となる制度だったため、2004年は西武、2005年はロッテにそれぞれプレーオフを突破されてリーグ優勝を逃している
*17 3連覇は「オリックス・バファローズ」となってから(近鉄バファローズと合併してから)はもちろん、親会社が阪急電鉄からオリックスに変わってからも初の快挙である。阪急時代には75~78年の4連覇がある。その前の記録は西武ライオンズの90~94年の5連覇。なお近鉄は3連覇の経験はない。
*18 2021年にも京セラドームで胴上げしているが、全日程終了後だったため無観客の中での胴上げであった。2022年は前述の通り仙台で胴上げしている。