2013年ドラフトの目玉選手・松井裕樹(桐光学園)を狙う日本ハム・栗山英樹監督が発言した言葉。
元記事
http://www.nikkansports.com/baseball/professional/draft/2013/news/p-bb-tp0-20131017-1205346.html
栗山監督「命がけで引く」1位は桐光松井
日本ハムは16日、栗山英樹監督(52)出席のもと、千葉・鎌ケ谷市内の2軍施設でスカウト会議を開き、24日に開かれるドラフト会議の指名候補を、北海道関係4人を含む計50人に絞った。
山田正雄GM(69)は「ここからは、いろいろ考えて行こうというところ」と説明した。1位は桐光学園(神奈川)松井裕樹投手(3年)の指名が有力視されている。
競合必至の逸材獲得へ向け、栗山監督は「(クジを)引けと言われたら、命がけで引きます」と気を引き締めていた。
命をかけた結果
ドラフト順位 | 選手名 | 指名球団(交渉権獲得球団は太字) |
---|---|---|
1位 | 松井裕樹 | 日本ハム、DeNA、ソフトバンク、中日、楽天 |
外れ1位 | 柿田裕太 | 日本ハム、DeNA、阪神*1 |
外れ外れ1位 | 岩貞祐太 | 日本ハム、阪神 |
外れ外れ外れ1位 | 渡邉諒 | 日本ハム単独指名 |
1位の結果は松井を引くどころか3連敗。ドラフトのくじで3連敗は2010年のオリックス(後述)以来となる史上2度目の珍事である。
しかも統計的に15年以上くじ運のないDeNAと阪神に負けていることから、「命がけ」発言は一気に負けフラグとしてネタになった。さらに地元スポーツ紙では「監督が口で引く妙案が有る」という記事が記載されていたことから、なんJ民から「口で引け」と罵声を浴びられることになった。
また2011年の菅野智之及び2012年の大谷翔平の指名で物議を醸す結果になったことや、2013年シーズンは1位から6位に沈んだことから「天罰が下った」との声も出た。
結局獲得した東海大甲府高校の渡邉も「柿田はともかく松井や岩貞とは流石に比較できるレベルにはない」などと長らくハムファンからボヤかれた*2。
2019年になって直球破壊王子として覚醒し評価も変わりつつあったものの、出場を重ねるにつれて深刻な守備難が目立つようになり2021年シーズン後半以降は打撃面でも不振に陥ったことで出場機会が減少。
ロニー・ロドリゲス、アリスメンディ・アルカンタラなどの助っ人陣や石井一成や谷内亮太、上川畑大悟*3、西武から移籍した佐藤龍世*4といった選手たちにとって代わられる形になり、2022年オフ、高濱祐仁*5と共に阪神へトレードされた。*6
その後
その後も栗山監督の抽選は2016年の田中正義(創価大)、同年外れの佐々木千隼(桜美林大)と連敗を重ね、一時引き役から外れることもあった*7が、2019年に外れ1位*8で河野竜生(JFE西日本)を引き当てて連敗を5で止めている。
類似例(3連続で1位指名抽選を外したケース)
この項目では他にも3連続で1位指名の抽選を外した球団のドラフトについて取り上げる。
なお、2007年のドラフトは高校生ドラフトと大学生・社会人のドラフトが分かれた初年度であったことから、合算して3度抽選を外した球団が4球団という異例の事態となった。
2010年 オリックス・バファローズ
ドラフト順位 | 選手名 | 指名球団(交渉権獲得球団は太字) |
---|---|---|
1位 | 大石達也 | 横浜、楽天、広島、オリックス、阪神、西武 |
外れ1位 | 伊志嶺翔大 | オリックス、ロッテ |
外れ外れ1位 | 山田哲人 | オリックス、ヤクルト |
外れ外れ外れ1位 | 後藤駿太 | オリックス単独指名 |
抽選を引いたのはいずれも岡田彰布監督*9。
史上初となる3連続抽選外しという屈辱に岡田は自分が全抽選を外したのにもかかわらずオレは何も悪くないと言わんばかりに「情報不足、大失敗よ」と吐き捨て、挙句の果ては3連続抽選外しの責任を熊野輝光スカウト部長に押し付けて更迭させた*10。
また、これを含めたドラフトにおいて、1998年の入団拒否した新垣渚の強行指名による抽選引き当てを最後にまるで「新垣の呪い」の如く抽選11連敗を喫し*11、2017年に田嶋大樹の抽選を引き当てて呪いは解けたかと思われたが2018年から抽選4連敗を喫してしまっている*12。
2017年 福岡ソフトバンクホークス
ドラフト順位 | 選手名 | 指名球団(交渉権獲得球団は太字) |
---|---|---|
1位 | 清宮幸太郎 | ロッテ、ヤクルト、日本ハム、巨人、楽天、阪神、ソフトバンク |
外れ1位 | 安田尚憲 | ロッテ、阪神、ソフトバンク |
外れ外れ1位 | 馬場皐輔 | 阪神、ソフトバンク |
外れ外れ外れ1位 | 吉住晴斗 | ソフトバンク単独指名 |
抽選を引いたのはいずれも工藤公康監督。
2015年には同年1番の目玉だった高橋純平、2016年にはやはり1番の目玉の田中正義を連続で引き当てた反動が一気に押し寄せてきたかのような3連続抽選外しだった。
その後もくじ運の悪さは続き、工藤政権時のドラフトは2018年の小園海斗・辰己涼介、2019年の石川昂弥、2020年の佐藤輝明まで7連敗を喫してしまった。
そしてこのドラフトの本質とも言えるあまりにも謎的な、謎深い、どう考えても謎すぎる吉住の指名、本人も「育成指名かと思った」と語るほど自分自身1位指名の器でないことを自覚していたほどである。これには、
- 育成1位指名するはずが間違って支配下1位指名してしまった
- 3度も抽選を外したことで自暴自棄になり育成1位指名のところを大幅繰り上げして支配下1位指名した*13
- 同名の高橋”遥人(はると)”と間違えて指名した*14
と諸説あるようだが真相は不明である。
結果的には吉住は1軍での出場もなく引退したのだが、2位指名の高橋礼や育成2位の周東佑京、同4位の大竹耕太郎の活躍が大きく、最悪の結果は免れたと言える。
またこの指名から、甲子園出場経験はあるもののほぼ無名であった選手の指名を指す「吉住枠」なる用語が誕生した。
2018年以降はドラフト会議が近づくと毎年のように「今年の吉住枠は?」という質問が投げかけられるが、その度に「吉住枠は予想できる時点で吉住枠ではない」と返すのがお決まりとなっている。
2023年 千葉ロッテマリーンズ
ドラフト順位 | 選手名 | 指名球団(交渉権獲得球団は太字) |
---|---|---|
1位 | 度会隆輝 | 中日、DeNA、ロッテ |
外れ1位 | 草加勝 | 中日、ロッテ |
外れ外れ1位 | 細野晴希 | 日本ハム、ロッテ |
外れ外れ外れ1位 | 上田希由翔 | ロッテ単独指名 |
抽選を引いたのは1回目のみ高坂俊介球団社長、それ以降は吉井理人監督。
ロッテは3球団競合の藤原恭大や4球団競合の佐々木朗希を引き当てるなどそれまでくじ運がよかったのだが、その反動が一気に押し寄せてきたかのような3連続抽選外しだった。
最初は同年最強の外野手にして社会人ナンバーワンの逸材と目されていた度会*15を指名。野球ファンが最も恐れていた中日の交渉権獲得*16は回避できたものの、ロッテも抽選を外してしまい度会はDeNAへ*17。続く草加は1990年の小池秀郎以来となる亜細亜大選手の1位指名*18だったがこれも外し、悪い流れは変えられずに3回目の細野も外す結果となってしまった。