投手増田

Last-modified: 2021-03-31 (水) 20:59:32

2020年8月6日、阪神対巨人戦(甲子園)の8回裏に起きた珍事。
増田達至(西武)は一切関係ないので注意

試合経過

この日、阪神は今季初登板の先発・高橋遥人の好投もあり8回まで巨人打線を0封。一方の打線もここまでに4点を奪っており、既にこのまま行けば阪神の勝ちだろうという状況になっていた。
そして8回裏、巨人は敗戦処理として堀岡隼人をマウンドに送るがこれが大誤算。守備でミスをした*1こともあり3連打で簡単に1点を失った後に無死満塁とし、さらにタイムリー・押し出し*2で失点を重ね、なんとか1アウトを奪うもトドメとばかりにジョー・ガンケルの代打・中谷将大から満塁ホームラン*3を被弾、1/3回で7失点大爆発炎上
一気に負けムードが加速してしまったところで原監督が動いたのだが……。

増田登板

なんと巨人ベンチが堀岡を諦めてマウンドに上げたのは本来は内野手の増田大輝
そんな増田は日テレ解説・赤星憲広氏の困惑*4をよそに最速138キロの速球にスライダーを交えた、上原浩治を彷彿とさせるテンポの投球を披露
まず近本光司をセカンドゴロに仕留め、続く江越大賀には四球を与えた*5ものの4番の大山悠輔は2球でライトフライに打ち取り、プロ初登板となるマウンドで見事2/3回を打者3人13球・無安打無失点に斬った。

なお試合はそのまま11-0で阪神の勝利となった。

反応

当然ながらこの起用法は話題になり、ネット上には巨人に限らずプロ野球ファンから「作戦としてはあり」「ただ負けるだけで終わらず、面白いものが見られた」「素晴らしいピッチングでファンをワクワクさせた」や「堀岡が可哀想」「阪神に失礼」などの賛否両論が上がった。
 
巨人OBの中でも評価は割れており、堀内恒夫が自身のブログにて「相手は馬鹿にされていると感じないだろうか。首位のチームがこんなことをやっちゃいけない。今日の試合にコメントはしたくない」と怒りをあらわにした*6他、廣岡達朗「巨人のようなチームがやってはいけない采配。最後まで最善を尽くさないのは観客にも阪神にも失礼」と苦言を呈した。
その一方、上原浩治は自身のTwitterにて「限られた人数でどう起用するかは監督の判断。きちんと投げられる野手をピッチャーに使うのは失礼にはならない」「巨人だからダメなんて、そっちの方がおかしいと思う」と擁護。

張本勲は「堀内は投手出身。そこは堀内の考えもあるし、一つの意見としてそれはいいと思う」と堀内の考えに理解を示しつつも「あっぱれだ。なかなかできない。立派なものだよ」と原に対して称賛を送りサンモニでもほぼ同様のコメントを残している*7

また、非巨人OBだがダルビッシュ有はTwitterのリプライにて「最高です。大敗しているときは全然ありです。しかも増田選手、投手の才能あると思います」と絶賛のコメントを残している。

なお阪神ファンからは「高橋の好投*8が霞んでしまった」と話題性をかっさらわれてしまったことを嘆く声が聞かれた模様。

原監督は

なお、原監督は以下のようなコメントを残している。

原監督は「チーム最善策ですね。あそこのね。まあやっぱり6連戦という連戦、連戦、連戦のなかでね。あそこをフォローアップする投手というのはいないですね*9。それはだって、一つの作戦だからね。あそこで堀岡を投げさせることの方がはるかに失礼なことであってね」と説明した。

(ソース:https://hochi.news/articles/20200806-OHT1T50251.html


基本的には「連戦で勝ちパターンを使う訳にはいかないが晒し投げもさせたくない」という意図だろうと思われるが、最後の「あそこで堀岡を投げさせることの方がはるかに失礼なこと」という、過去の投手に対する容赦ない発言たちに匹敵する恐ろしいコメントに、「原監督は本気で堀岡にブチギレているのでは」と戦慄を覚えたファンも多い。
哀れ堀岡は防御率を1.69*10から一晩で11.12まで破壊され、野手の増田より酷いという扱いをされた挙句、翌8月7日に登録抹消、非情にも多摩川送りとなったのであった*11
 
なお、この試合の先発で自身の油断*12も響いて4回途中4失点と試合を作れなかったメルセデスに対し、試合後のコメントで宮本和知投手コーチにより論値」が久しぶりに使われたことも話題となった。
 

余談

  • 野手がマウンドに上がった例はNPBではオレステス・デストラーデ(元西武)や五十嵐章人*13(元ロッテ他)がいる。また、MLBではそこまで珍しいことではなく*14過去には青木宣親イチローの登板記録がある。
  • 増田は元々投手であり、小松島高校3年生時の夏の徳島県大会では全試合完投をしているが、甲子園には出場できなかった。このこともあってか、増田は試合後に「甲子園で投げられてすごく嬉しい」というコメントを残している*15
  • 内外野複数のポジションをこなしその俊足と守備力に定評のある増田はこの登板によって7ポジションでの一軍出場を達成。過去2人しか達成者のいない全ポジションでの出場*16まで残りは捕手と一塁のみになったが、その捕手に関しても2019年終盤に緊急時の備えとして準備をしており、達成までそう時間はかからないと思われる。また、2021年3月30日の中日戦で9回*17に一塁の守備に付き、全ポジションでの出場にリーチをかけた。
  • 増田が選出されたことについて宮本コーチは「危機管理として投手出身の野手とかリサーチしていた」と語っており*18、決してその場の思いつきなどではなく緊急事態となったときの備えとして準備されていたものである。増田自身にも昨年の時点で既に登板の可能性について伝えられていたとのこと。
  • この試合の1週間後、13日に巨人二軍が中央大学と対戦し7-20というスコアで惨敗。その後のインタビュー記事に以下の発言がある。

    阿部監督は「今後、社会人とかアマチュアとやる時はガチでやる*19。年齢関係なく。相手に失礼だと思った。3軍のピッチャーとか投げさせられない。そういう時は増田大輝を借りる」と、先日、1軍で大量リードを許す場面で登板して好投した内野手の増田大の名を挙げ、若手に奮起を促した。

    (ソース:https://hochi.news/articles/20200813-OHT1T50128.html

未遂

関連項目


*1 無死一塁の場面で大山悠輔のピッチャーゴロを二塁に悪送球。二塁は一度はアウトと判定されるもリクエストで判定が覆りセーフとなった。
*2 この押し出し四球を選んだのは植田海である。植田はこの試合までキャリア通算3打点だったが、この試合だけで3打点を挙げ、お立ち台に上がった。
*3 中谷はこれがプロ初の満塁弾。
*4 赤星は中継で「増田が内野近くで練習しているのを見て、守備交代を行うのかと思った」と発言している。
*5 ただし、フルカウントから球審によってはストライクに取ってもおかしくはない際どいコースに投げ込み四球になっている。
*6 ちなみにこの堀内の意見に対し、堀内の人となりがよく知られるなんJでは「時代遅れ」「老害」など堀内を非難する声と同じくらい「堀内は情の人やからしゃーない」「やっぱり堀内は監督には向いていない。優しすぎる」など、堀内の心情に理解を示す声もあった。
*7 評論家としての張本といえば佐々木朗希の登板回避に関してダルビッシュ有らと舌戦を繰り広げるなど保守派の論客として有名であり、さらにMLBにおいてイチロー青木宣親の登板に対して否定的であった為、この反応にはダルビッシュも含めて予想外の声が多くあった。
*8 7回を投げて11奪三振無失点。
*9 後述の通りに先発のC.C.メルセデスが早期KOされたことで早い回から継投を強いられ、この時点で残っていた投手は大江竜聖・大竹寛鍵谷陽平・中川皓太と勝ちパターンの面々しかいなかった。
*10 堀岡はここまでは5回1/3で1失点(自責点1)と好投していた。
*11 シーズン終盤に1軍に復帰できたため、最終的な防御率は7.82まで良化した。ちなみにこの試合を除いた防御率は12回1/3を6失点で4.38。
*12 1、2塁にランナーを背負っておきながら盗塁に対して全く警戒しておらず、クイックを怠った結果梅野隆太郎木浪聖也にダブルスチールを決められてしまう。そして立ち直る間も無く得点圏打率が壊滅的なことで有名な植田海プロ初のタイムリーヒットとなる2点タイムリーを打たれたところで降板となった。
*13 ちなみに五十嵐は「全ポジション出場」と「全打順で本塁打」を両方達成した唯一の選手。
*14 MLBはNPBと比べ「試合数が多い」「選手登録枠が少ない」「延長が無制限」という特徴から、投手が足りない事態が起こりがちであるため。ちなみにMLBでは2021年シーズンから「野手の登板は6点差以上または延長イニングのみ」という規制が導入される。
*15 実際、マウンド上やベンチへ下がる際に笑顔を見せており、「うれしい」と言うのは本心からの言葉だと思われる。
*16 前述の五十嵐のほか、消化試合の余興として1試合で全ポジションに付いた経験を持つ高橋博士(元東映他)がいる。
*17 2021年はコロナに伴う特別ルールのため9回打ち切り。試合は3-3の引き分けに終わっている。
*18 宮本コーチは同記事で「岸田行倫(捕手)も候補にあった」と語っている。
*19 この試合の先発は桜井俊貴だったが、それ以降の投手陣は全て育成投手で、野手陣も育成をメインとした選手で臨んでいた。この試合の大敗を受けて今後はそうしたことはやめるという意味であろう。そのため、15日の上武大戦には10日に三軍落ちした際に「しばらくはボールも握らせない」と言われていた澤村拓一(現レッドソックス)が1イニングのみだが先発登板した。
*20 田中(豊)は試合後多摩川送りとなった。代わって昇格したのは前述の堀岡。
*21 前回登板時にも「ホームランでランナーがいなくなったことで登板の決断に至った」と語られていた。
*22 2020シーズンは開幕3タテと3連続完封もあり、ここまで阪神はドーム8連敗だった。
*23 投手でありながら打撃能力を買われ、窮地で結果を残した増田の逆パターン。
*24 こちらは結果を残せなかった上に采配ミスに起因するため、「『ピッチャー増田』の対義語」とも言われている。
*25 こちらは審判への暴言で退場という不測の事態により、野手がいなくなったパターン。
*26 こちらはDH制のルールを誤認していたことにより、打席に立たざるを得なくなったパターン。一応仕事は果たしている。なお試合