押し出しグランドスラム

Last-modified: 2024-02-25 (日) 23:30:34

押し出しの四死球を4者連続で与えること。
2018年7月1日のDeNA対広島戦(横浜スタジアム)において発生した出来事が由来。


概要

この日のDeNAの先発・濵口遥大は3回に1点を失い、なおも二死2,3塁のピンチを招く。サビエル・バティスタを申告敬遠して満塁策を取るが、濵口は後続の西川龍馬、會澤翼岡田明丈(投手)、田中広輔4者連続で押し出し四球を与え、この回のみで被安打1、四球6(うち敬遠1)、死球1の5失点を喫し途中降板。西川は粘って四球を選んで打点を挙げ、その後何もせずに得点を挙げることとなった。

結局、この回だけで濵口は、

  • 1人の投手による1イニング6与四球(セ・リーグワーストタイ記録)
  • 1イニング5者連続与四球(NPBワーストタイ記録)
  • 1イニング4者連続押し出し四球(1947年の溝部武夫以来、71年ぶり2人目のワーストタイ記録)

という不名誉な記録を同時に残してしまい、「バティスタにホームランを打たれた方がマシだった」などと評された。

試合結果


原因

主に下記が挙げられる。

  • 濵口は元々荒れ球が特徴の(=四球を出しやすい)投手であること。
    • 2023/6/16の試合では角中勝也の1安打で3点という珍事をやらかしている。
  • (外野手出身という部分もあるが)アレックス・ラミレス監督がバッテリー心理を考慮せずに申告敬遠に踏み切ったこと*1。満塁時の内野手は全ての塁がフォースアウト対象となるため守りやすくなるが、バッテリーは押し出しのリスクから思い切った勝負がしづらくなる。


補足

この試合に限らず、ラミレスの申告敬遠は傷口を広げ致命傷を負うことも珍しくなかったため、いつしか「深刻敬遠」と呼ばれるようになった。実際は成功率こそ高いものの、試行回数が12球団トップ*2故に裏目に出る例も多くなる。また、本項の4連続押し出しは申告敬遠が発端であったことから「申告グランドスラム」という別称が存在する。

似たような事例

押し出しスリーベース

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2019年9月24日のロッテ対西武、7回表で発生した珍事。
東條大樹が単打2つと四球で満塁にしチェン・グァンユウへ交代。チェンは制球に苦しみ秋山翔吾に対して四球を与える。
しかし四球となった投球は捕手の田村龍弘が大きく後逸してしまい、押し出された三塁走者の水口大地だけでなく、オートスタートしていた二塁走者・木村文紀も本塁突入。チェンは木村を本塁上で刺そうと捕手の田村からボールを受けるものの、ボールを逸らしてしまい木村が生還。この間に打者走者の秋山は二塁へ進塁を試みる。これを見たチェンがボールを拾って二塁で秋山を刺そうと送球するが、ベースカバーに入った藤岡裕大はショートバウンドした球を捕れず後逸(記録はチェンの悪送球)。ボールは外野を転々とし、その間に一塁走者・金子侑司まで還ってきてしまった。結果、塁上のランナーは全員生還、秋山も三塁に到達。なんJでは走者一掃の押し出しスリーベースと言われ、スポナビで表示された「四球 +3点」と共にネタにされた*3。結局12-4で西武が勝利し、その結果目の前での西武の胴上げを許し、同時にロッテの3年連続Bクラスが確定した。


関連項目



Tag: 横浜 広島


*1 当日解説を行っていた谷繫元信による指摘。
*2 申告敬遠が導入された2018年から退任する2020年までの3年間で全て50以上。他チームはおおむね30以下。
*3 ちなみに秋山は、この試合の2回表、満塁から走者一掃の三塁打を放っており、一試合のうちに安打と四球の両方で走者を一掃したことになる。ただし、本プレーは捕逸からの悪送球として記録されたため、四球での打点は水口が生還した分の1のみ。