楽天式プロテクト

Last-modified: 2021-01-18 (月) 00:44:52

東北楽天ゴールデンイーグルスのプロテクト方式のこと。
2018年オフ、FAでの浅村栄斗獲得と補償に至る経緯に対しての揶揄。
 当初の意味合いはこれであり、単に「楽天式プロテクト」といった場合これを指す。
翌2019年オフ、西巻賢二を戦力外にし育成契約を打診した経緯への疑惑。
 指摘された内容自体は「上原式プロテクト」に近い。
同じく2019年オフ、FAの鈴木大地獲得に動いている最中でのエース則本昂大のFA行使即残留に対する疑惑。


1.楽天式プロテクト

2018年オフ、浅村栄斗(Bランク)が西武から楽天へFA移籍する。
だが楽天のプロテクトリストを見た西武・辻発彦監督は「ピンと来ない」と発言し、最終的には1億2600万円の持参金を引っ提げたキンセン選手を獲得した。

辻監督、楽天の選手リスト見ても「ピンと来ない」 - 日刊スポーツ

西武辻発彦監督(60)が20日、FA移籍に伴う楽天からの補償は金銭のみとなる可能性を示唆した。

この日、炭谷の巨人へのFA移籍による人的補償として、内海の獲得が発表された。西武からは、浅村もFA移籍で楽天に移った。

楽天からの補償について、辻監督は「(獲得可能選手のリストを見ても)あまり、ピンと来ない」と話した。
金銭のみの可能性を問われると「それもある。(渡辺)SDと編成の話を聞いてから」と球団と相談の上、最終決定するとし

発言だけ見ると「チームの方針に合った選手がいない」という意味にも受け止められるが、なんJでは「ろくな選手がいない」と言う意味で解釈されネタになる。
そしてプロテクトに関する過去の事例を参考に、この『選手層が薄いおかげで有力選手がプロテクト漏れせずに済む』プロテクトの事を「楽天式プロテクト」と呼ぶようになった。

また、楽天は今回のみならず今江年晶岸孝之の時でもロッテや西武に金銭で補償しており、補償をあっさり金銭で済ませられてしまうほどの楽天の選手層の薄さがネタにされることが多い。



反論として、いずれのケースも金銭補償で得られる差額が今江6000万(年俸2億)、岸6750万(年俸2.25億)、浅村4200万(年俸2.1億)と比較的高く、実績のない若手を貰うより助っ人補強などに充てた方が効率的とも考えられる(差額3400万の内川と差額3200万の陽等も金銭補償)。さらに前年最下位に沈んだ楽天は多くの選手が減俸や戦力外になったため、人的補償の選択肢はさらに狭くなっていたと見られる。
また、「2018・19年ともチーム成績では劣っているとはいえ投手成績では上回っているため投手の選手層に限っては楽天の方が厚いはず、なのに投手を取らず金銭補償となったのは本来の意味でのプロテクトがうまくいったということである」との意見もある。


類似例「釣り合う選手がいなかった」

2019年12月、ロッテの涌井秀章が金銭トレードで楽天へ移籍することが公表された。
それについてロッテの松本尚樹球団本部長が取材に応じ、金銭になった理由として「涌井は大物なので、誰と釣り合うという話になってくる。」とコメントした。
確かに実績は十分とはいえ近年低迷し同一リーグに放出する選手に対してさえ「釣り合う選手を放出できなかった」ということで、楽天の選手層を表すエピソードとしてこちらもまた注目された。

「涌井の気持ち考えて」ロッテ松本本部長が理由説明 - 日刊スポーツ

金銭になった理由としては「涌井は大物なので、誰と釣り合うという話になってくる。総合的な判断。お金というより、あれだけの実績のある選手ですので非常に難しい。涌井の気持ちを考えながら判断しました」と説明した。

2.育成プロテクト

2019年レギュラーシーズン終了後、楽天は再びFA選手の獲得に乗り出すと報道されるようになる。そのFA解禁となる直前、楽天はドラフト会議後の10月18日に高卒2年目の西巻賢二に戦力外通告をした
チーム方針のため育成契約へ切り替えるための戦力外通告とのことだが、西巻は高卒2年目、しかも野手で一軍出場経験があった*1。そのため、この戦力外は様々な憶測を呼び*2、その一説に、FA選手を獲得した際に西巻を人的補償で取られないための措置ではないか、という疑惑が浮上。
人的補償で獲得できる選手は支配下登録の選手と定められているため、西巻を育成契約にしてしまえば人的補償の対象外になる。これを利用して人的補償で選べる幅を狭め、金銭保証や他の選手を選ばせる、というものである。

 

しかし当の西巻は他球団への移籍を模索。11月13日にロッテの入団テストを兼ねた秋季キャンプに参加し、11月14日にロッテが支配下での獲得を発表した。
これにより「プロテクト枠節約のために形式上戦力外にしただけで、実のところ西巻と再契約の合意は取り付けているのではないか?」という憶測は外れだったと確定した。
残るは「どうせ出ていかないだろうと楽天が単独で枠節約のために行った」「単純に西巻が育成契約が妥当だと判断した」あたりが考えられるが、楽天の思惑がどうあれ結果として若手選手を一人失う結果となった。

球界関係者からの意見

11月29日に、千葉ロッテOBでYouTuberの里崎智也が、 【FAは悪じゃない!】鈴木大地、美馬学選手がFA!現役時代に一生分の給料を稼ぐことは必須条件である!という動画を投稿*3
この動画の冒頭で里崎は、西巻への育成打診は人的補償逃れのためである、という疑惑について否定した。
ただこの動画については『自主規制音を付け、アシスタントの袴田彩会にだけ伝わるように話す』という形であったため、「ロッテOBである里崎が楽天の内部事情である西巻の契約について本当に詳しいのか?」「自主規制音で結局なにも視聴者に語っていないがあてになるのか?」と信憑性に疑問符が付けられた*4
実際、聞いた袴田がかなり驚いた様子だったこともありネットでは育成打診の理由は西巻の素行不良なのではないか?という噂も流れ、里崎は後に出した動画で西巻に謝罪する羽目になった。また、その際育成打診の理由は野球以外のものではないとも語った。

類例

2020年オフ、今度は巨人が堀田賢慎・鍬原拓也高木京介・直江大輔・山下航汰の自由契約を発表する*5。いずれも怪我による育成での再契約を目的とした自由契約だが、高木を除く4名は直近3年でのドラフト指名選手、かつ堀田・鍬原に至っては1位指名であること、同年オフは大野雄大・山田哲人・小川泰弘・梶谷隆幸・西川遥輝・石山泰稚・増田達至といった豪華メンバーが国内FA権を取得することから、「FA補強に対するプロテクト逃れではないか」という疑惑がネット上に限らずいくつかのメディアでも取り上げられたほか*6、OBである上原浩治氏苦言を呈している

もともと原監督は人的補償制度に対して前述した西巻の騒動の際「廃止すべき」と提言しており、今回の件も特に直江には育成に落としたにも関わらず来期年俸を増額させた上で原自ら「来年は新人王を取らせる」と早々に支配下へ戻す前提の発言をしているところから疑惑をさらに加速させている。

その後、実際にFAにて梶谷の巨人入団が決定。巨人は無事に上記選手を除いた状態でプロテクトリストを作ることができることとなった*7

3.宣言残留プロテクト(則本式プロテクト)

2019年オフの10月28日、同年7月に7年契約を楽天と結んだはずの則本昂大が、国内FA権を行使して即残留を決定するという行動をとる*8
実はこの時、楽天はFA権行使のロッテ鈴木大地の獲得に動いていた。
そのため、「残留となってもFA宣言者は1月中旬の支配下選手登録公示まで所属球団の支配下登録から外れている規定を逆手に取って、球団が則本にFA宣言をしてもらうことで実質プロテクト枠を1つ増やしたのでは?」という疑惑が生まれることとなった。

美馬と鈴木大地 3例目の“FAトレード” - 日刊スポーツ
人的補償の対象は19年シーズンの支配下選手のうち、外国人とプロテクト選手28人を除いた選手。このオフにFAや自由契約で加入した選手、直近ドラフト入団選手は対象外。楽天則本昂大投手はFA宣言して残留するため、対象外となる

その後実際にFAで鈴木大地が移籍。楽天は無事に則本を除いた状態でプロテクトリストを作ることができることとなった*9

類似例?

この1件が注目されると「よくある事例だ」という擁護意見の根拠として以下の、
「球団が人的補償の発生するFA選手を獲得」「同一年度に宣言残留を行った選手が結果としてプロテクト入りを免れた事例」のリストが作られた。

とはいえ今回のような「長期契約を結んだ選手が」「なぜか同年のうちにFA権行使からの契約しなおし」「所属球団がFA選手獲得」全て合わさった例は1つもなく、却って今回の1件の異質さが浮き彫りとなる形となった。



左辺が宣言残留選手で右辺が獲得選手、括弧内の:以後は実際の補償内容。

1993

槙原寛己(巨人)⇔落合博満(中日→巨人:金銭)

1994

原辰徳川相昌弘・岡崎郁・吉村禎章(巨人)⇔川口和久(広島→巨人:金銭)、広澤克実(ヤクルト→巨人:金銭)

久保康生長嶋清幸(阪神)⇔山沖之彦(オリックス→阪神:金銭)

1995

斎藤雅樹(巨人)⇔河野博文(日ハム→巨人:川邉忠義)

1997

伊東勤(西武)⇔中嶋聡(オリックス→西武:金銭)

1999

伊藤敦規(阪神)⇔星野伸之(オリックス→阪神:金銭)

2001

吉永幸一郎、川相昌弘、元木大介(巨人)⇔前田幸長(中日→巨人:平松一宏)

山﨑武司(中日)⇔谷繁元信(横浜→中日:金銭)

遠山奬志(阪神)⇔片岡篤史(日ハム→阪神:金銭)

2002

桧山進次郎(阪神)⇔金本知憲(広島→阪神:金銭)

斎藤隆三浦大輔、鈴木尚典(横浜)⇔若田部健一(ダイエー→横浜:金銭)

2003

奈良原浩(日ハム)⇔稲葉篤紀(ヤクルト→日ハム:金銭)

2007

下柳剛(阪神)⇔新井貴浩(広島→阪神赤松真人)

2010

金城龍彦(横浜)⇔森本稀哲(日ハム→横浜:金銭)

多村仁志(ソフトバンク)⇔内川聖一(横浜→ソフトバンク:金銭)

関本賢太郎(阪神)⇔小林宏之(ロッテ→阪神:高濱卓也)

https://www.rakuteneagles.jp/news/detail/5840.html


関連項目


*1 1年目の2018シーズン。通常高卒6位指名のルーキーが一軍出場というケースは非常に珍しいが、チームがケガ人続出+早々に下位確定のため出番があったとも言える。2019年は一軍で2試合のみ出場。
*2 石井GMによって大規模な戦力刷新が始まり、嶋基宏の退団や平石監督解任などと時期が重なっていたこともある。
*3 里崎はロッテの事情に通じているようで、この他にも涌井の電撃トレードの情報を公式発表の2週間以上前に掴んでいる (動画投稿はトレード後だが撮影はトレード前であるとしている。)
*4 里崎の動画には普段から具体的な選手・コーチ名は伏せた芸能事情通のする「イニシャルトーク」のようなあいまいなものが多い。
*5 鍬原・堀田は11月3日高木は11日直江・山下は19日
*6 アサ芸プラスリアルライブ日刊ゲンダイ
*7 その後、人的補償として田中俊太がDeNAに移籍。
*8 「FA行使→残留&契約」ならば、FA権を放棄して球団に長く在籍する意思を示すことで好条件を得る材料にした、のだと推測できる。だが今回は契約後(しかも長期契約)なので意味がない
*9 その後人的補償として小野郁が移籍。1に示すとおり金銭での補償ばかりだった楽天にとって球団初の人的補償となった。