神宮花火大会

Last-modified: 2024-03-24 (日) 01:06:50
  1. 毎年8月に神宮外苑で開催される花火大会「神宮外苑花火大会」のこと。
  2. 神宮球場で7・8月に行われるヤクルト戦の5回裏終了時に花火の打ち上げを行うイベント「神宮花火ナイター」のこと。
  3. 神宮球場で行われる試合で異常なほどホームラン(=花火)が出ること。

本項では3.の一例として、2023年5月5・6日のヤクルト対DeNAの試合について解説する。


概要

神宮球場は外野フェンスが低い上に風の影響を受けやすいため、12球団本拠地では最もホームランが出やすい球場として知られている。そのため、時としてプロとは思えない数々の馬鹿試合を生み出してきた。

そんな中で迎えた2023年5月の頭。直前の巨人との殴り合い*1により絶不調だった主砲・村上宗隆を筆頭に打線が復活しつつあるヤクルトと、同じく打線好調で首位を走るDeNAとの対戦という形となった。
強力な打線ばかりがよく取り沙汰される一方で、中継ぎ投手を中心に投手力にも優れるとされる両チーム同士の対決だったが、そこで待ち受けていたのは想像を絶するノーガードの激しいホームラン合戦だった。


試合結果

第1戦

2023年5月5日(金) 神宮 6回戦(ヤクルト2勝4敗0分)
試合時間3:48(開始14:00 終了17:48) 入場者29,710
 
123456789RHE
DeNA0033003009130
ヤクルト012010042X10191
 
バッテリーDe今永、三嶋、ウェンデルケン、エスコバー、伊勢、●山崎(0勝3敗)-戸柱、山本
高橋、丸山翔、久保、○木澤(1勝1敗)-中村
本塁打De佐野3号(1)、4号 (3)、ソト1号(3)、京田1号(1)、牧4号(1)
サンタナ4号(1)、村上4号(2)、濱田3号(1)、4号(3)、中村3号(1)、長岡1号(2)

ヤクルトは高橋奎二、DeNAは今永昇太と、共に同年のWBCで好投した両左腕が先発。しかし高橋が大乱調で3回に佐野恵太ネフタリ・ソトのホームランで逆転を許すと、同点に追いついた直後の4回にも佐野の2打席連続ホームランを浴びるなど4回6失点・3被弾でKO。3番手・久保拓眞も京田陽太牧秀悟から被弾し3失点と炎上してしまった*2
一方のDeNA先発・今永もドミンゴ・サンタナ、村上宗隆、濱田太貴に3被弾を許し、開幕から続いていた防御率0.00が途切れ5回で降板。それでも打線のホームラン攻勢による大量リードもあり試合はDeNAのペースで進んでいた。
ところが8回裏、DeNA4番手のエドウィン・エスコバー*3が先頭打者の中村悠平からいきなりホームランを食らうと雰囲気が一変。後続の打者も連続ヒットで続き、5番手の伊勢大夢が緊急登板すると、次打者の濱田が12球粘った末にこの日2本目となる3ランを放ち、ヤクルトが1点差まで詰め寄る。
そして9回裏、2アウトまで漕ぎつけた守護神の山崎康晃から長岡秀樹がサヨナラ2ランを放ち、最大5点差を逆転し壮絶な打ち合いを制した。
当時のヤクルトでは村上の不振ばかりが煽られていた一方、去年正遊撃手の座をつかんだ長岡秀樹も打率を落とし苦しんでいたが、この日3安打を放ち復活をアピール。劇的サヨナラ弾は後にスカパーの月間サヨナラ賞5月部門を受賞する決め手となった。

上述の通り、この試合だけでなんと11本のホームランが飛び交う壮絶な空中戦となり、ホームラン以外の得点は7回表の村上のタイムリーエラーによる1点のみという到底プロの試合とは思えない馬鹿試合となった。
このすさまじい光景にネットはざわつき、Twitterでは「神宮花火大会」がトレンド入りする事態となった。

第2戦

2023年5月6日(土) 神宮 7回戦(ヤクルト2勝5敗0分)
試合時間4:01(開始18:00 終了22:01) 入場者29,693
 
123456789RHE
DeNA26002221217201
ヤクルト1031000117101
 
バッテリーDe濵口、○上茶谷(1勝0敗)、石川、坂本、宮國-戸柱
●小川(1勝4敗)、小澤、長谷川、大西-中村、内山
本塁打De佐野5号(1)、宮崎6号 (1)、7号(2)、戸柱2号(2)、牧5号(4)

ヤクルトの先発・小川泰弘は初回からいきなり2被弾で2点を失うと、2回には戸柱恭孝の2ラン、牧にトドメのグランドスラム*4を叩きこまれ2回で8失点と爆発炎上。打線はDeNA先発・濱口遥大を攻め一時は3点差に詰め寄るも、後続の投手陣が次々失点し、終わってみれば17失点、20安打を浴びる大敗を喫する結果となった。
一方のDeNAは昨日のお返しとばかりに2試合連続の5本塁打を浴びせ、大勢が決した後も前日の5点差逆転負けのトラウマから攻撃を一切緩めず5回以降は毎回得点と打線が大爆発した。

なお、前日の敗戦後にキャプテンの佐野は「明日以降もたくさん点を取って、投手陣を助けられるようにしたい」とコメントしており、自身の初球本塁打を皮切りとして前日の倍近い17得点の大爆発で有言実行を果たす結果となった。

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なお、この試合では実況スレで11-20のようなコピペが誕生した。

横浜「10点目や、これでとどめか?」(+2点)
ヤクルト「……」
横浜「死んだか?」(+2点)
ヤクルト「……」
横浜「どうせ死んだふりやろ」(+2点)
ヤクルト「」
横浜「さすがに死んだのかな……」(+1点)
ヤクルト「……ピクッ」(+1点)
横浜「生きてたぁぁぁぁぁぁ」(+2点)


総スコア・まとめ

試合スコア
(ヤクルト-DeNA)
総スコア17-26
110-9
27-17
3(雨天中止)
  • 総安打…ヤクルト29-DeNA33
  • 総本塁打…ヤクルト6-DeNA10
  • 1試合2本塁打が計3人*5
  • DeNA、2試合連続5本塁打(ビジターでは51年ぶり)
  • お互い2試合とも2桁安打達成
  • 中日の総ホームラン数*6にヤクルトは1試合のみで並び、DeNAは2試合で上回る
  • 試合開始8秒で先制本塁打、3分で2本目の本塁打(2試合目)
  • 両先発が4回までで降板(2試合目)
  • 登板投手全員失点(ヤクルト、2試合目)
  • 無安打に抑えた投手は両軍合わせてもわずか3人*7

なお、第2戦の翌日である5月7日に開催予定だった第3戦は雨天により中止となっている。打ち合いの記録更新を楽しみにしていた人の残念がる姿、これ以上疲れたくないファンの安堵する姿など様々な声が見られた。


原因

この日は神宮上空を10m/sという強風がセンター方向に吹いており*8、通常であれば外野フライになる飛球が次々と風に乗りスタンドに飛び込んでいった。
セイバーメトリクスを研究するDELTAのデータによると、「風速が約2m/sごとに飛距離が約5m増減する」と分析しており、単純計算でフライは飛距離が25~30mほど伸びていたことになる。
なお、このツイートに映っているのは、打者天国で名高いデンバーのクアーズ・フィールドである。標高1600m前後と、メジャーのホームスタジアムでは最も標高が高く、マイル・ハイ*9の通称がある。

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このため、この2日間は「神宮ではなくメキシコシティで試合をしていた」「メキシコシティ神宮支店」*10などとも言われるようになった。

画像

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余談

  • 5日のセ・リーグの試合はそれまで4本しかホームランが出ていなかった中日がこの日だけで2本もホームランを打つなど、4月の投高打低から一転して明らかに飛びやすくなっており、5月から飛びやすい球に変わったのではないかと噂されている。
  • 神宮より更に風の影響を受けやすいロッテ本拠地のZOZOマリンスタジアムでは、逆に連日ホームベース側に向かって吹く向かい風*11となってしまい、本塁打性の当たりが外野フライになることが連発(一例(動画))。特に5日の対ソフトバンク戦では0-0のたこ焼き試合を完成させてしまった。この日セ・リーグで計17本もホームランが出た一方、パ・リーグはこの試合を含め計3試合で1本も快音は聞かれることはなく、両極端な結果となった。
  • 野球解説者・五十嵐亮太は5日に上記ロッテ対ソフトバンク戦で、6日に神宮の試合で解説を務めていた。連日の長丁場による疲労のためか、両極端の試合を続けて見たためか、6日の最終回近くにもなると五十嵐は異様なテンションになってしまっており、「(観客席の子供が画面に写った時)子供のもとまで打ち上げろお!」「(スコアが17-6の時点で)1さえ見えなきゃ7-6で接戦」などの迷言を連発。なんGの実況スレのスレタイに「五十嵐破壊」がつくなど身を案じられることになった。

他の主な神宮花火大会

スコアはいずれも「ヤクルト-相手」の形式で表記。両軍合わせて6本塁打以上の試合のみ列挙。

日付スコア相手本塁打数備考
1993年5月19日16-17広島4610
2007年7月11日12-10広島84121試合における両チーム合計本塁打のリーグ記録。
2010年4月3日13-12横浜527
2012年8月21日6-6巨人336
2013年4月7日10-6DeNA4488本全てがソロHR。
2013年5月18日5-3ロッテ336
2014年8月5日11-20阪神246詳細は当該項目参照。
2018年8月1日7-13広島257
2020年7月28日5-20阪神336
2021年4月27日11-14巨人347
2022年6月1日3-4ロッテ3366本全てがソロHR。
2022年6月24日16-6巨人51632-35の1試合目。
2022年6月25日5-19巨人26832-35の2試合目。
2022年7月18日8-10巨人437
2023年8月15日3-9DeNA156武岡プロ初ホームラン。


関連項目



Tag: ヤクルト 横浜 馬鹿試合


*1 7-5、7-8、7-8と全試合で7点を取っていた。
*2 なお、同年の久保はこの登板限りで登録抹消となり、再昇格を果たせないままシーズン終盤に戦力外通告を受けた。その後同年限りで現役引退へと至ったため、結果的にこれがヤクルト、ひいてはプロ最後の登板となってしまった。
*3 この試合前までで防御率11.37と絶不調であり、登板した時点でDeNAファンからは今後の展開を不安視されていた。案の定この試合で0回3失点の成績を残し防御率15.63まで悪化させ二軍行きに。試合を壊したエスコバーだけでなく、明らかに不調なのにさっさと再調整させず、1週間も一軍で飼い殺しにしていた三浦監督にも当然批判の嵐が巻き起こった。
*4 この本塁打が牧にとってプロ初のグランドスラムとなった。
*5 佐野、宮崎敏郎(DeNA)、濱田(ヤクルト)の3名。
*6 5月6日時点でわずか6本。もちろん両リーグぶっちぎりのワースト。
*7 丸山翔大、木澤尚文(ヤクルト)、石川達也(DeNA)の3名。
*8 当該試合があった2日間は神宮球場の所在地である新宿区に強風注意報が発表されていた。
*9 コロラド・ロッキーズが創設直後の1993年と1994年に用いていた1948年建設の先代の球場は、そのまんまマイル・ハイ・スタジアムという名であった。
*10 4月29~30日(現地)にSD-SFのカードが行われたメキシコシティのエスタディオ・アルフレド・アルプ・エルゥは、標高2240mの高地にあるため打球が飛びやすく花火大会になっていたことから。
*11 ホームベースが北東側にあり、南南西側の神宮球場と逆の方向になっている。