線犯

Last-modified: 2021-03-06 (土) 12:46:49

西岡剛の蔑称。
阪神とソフトバンクが戦った2014年の日本シリーズ第5戦での出来事がきっかけで、この蔑称が付けられるに至った。


試合経過と概要

ソフトバンクの3勝1敗で迎えたこの試合、8回裏にソフトバンクが1点を先制し、優勝に大きく近づいた。
そして9回表には守護神デニス・サファテをマウンドに送るが、この日のサファテは3四球の大乱調で一死満塁の大ピンチ。続く打席の西岡に対しても5球連続でストライクゾーンに入らない有様だったが、西岡は3球目をカットし、5球目を一塁正面を突くゴロにしてしまう。
ボールはそのまま一塁手→捕手→一塁手と送球され併殺完成、ゲームセット……

 

と思いきや、捕手から一塁への送球は打者走者である西岡の背中に命中、その間に二塁走者がホームを踏んだ。だが同点になったと思われた直後、球審の白井一行西岡に守備妨害のアウトを宣告、三塁走者封殺→西岡刺殺の併殺が完成してゲームセットをコールしていた。
和田豊監督が猛抗議するも覆らず、その横ではソフトバンクが日本一決定の喜びを分かち合い、和田が試合開始から3時間34分後に退場するなど、史上稀に見る何とも締まらない優勝シーンとなってしまった。そしてこの状況を作り出した西岡は「戦犯」とかけて「線犯」と呼ばれ、西岡のメジャーな蔑称として定着した。

なおこの年のパリーグの方のCSのファイナルステージは、ソフトバンクと日本ハムの間で6戦に渡って死闘が繰り広げられた上、当時引退が決まっていた稲葉篤紀金子誠を双方の選手で胴上げする優しい世界が展開された為、打って変わって日本シリーズの呆気なさからこちらのCSファイナルが「実質本当の日本シリーズ」などと揶揄されるハメになった。

公認野球規則6.05(k)*1

ざっくり言うと、打者走者は「スリーフットレーン」と呼ばれる一塁線からファウルゾーン内へ引かれた領域を外れて走って一塁に対するプレーを妨害してはいけないというルール。西岡はこの領域を外れてフェアグランド内を走り、送球が当たったことで守備妨害とみなされた。

蔑称の派生

派生形を含め実際には数え切れないほどの蔑称が作られている。以下はほんの一部。

西岡の釈明

試合後、西岡は内側を走ったことは「故意じゃない」「左打者は内側を走るものだ」などとマスコミに説明していたものの、自身のフェイスブック上でファンに向けて「僕なりにルール上ギリギリのプレーはした」「阪神ファンを喜ばせたい一心で」と故意であったことを事実上認めてしまう
妨害したことに対する謝罪の言葉などはなく、むしろ「阪神ファンのためにやった」と責任転嫁するかのような発言は火に油を注ぐ結果となってしまった。
一方でこれまで「コールがうるさいネタ審判」のイメージが強かった白井は、冷静に守備妨害を見極めアウトを宣告したことでなんJ民の評価を上げることとなった

問題となったプレーのGIF

 

記事その1

阪神負けた 西岡がまさかの守備妨害
甲子園に戻ることなく、阪神の29年ぶり日本一の夢はついえた。対戦成績1勝3敗で王手をかけられていた阪神は0-0の八回裏、2死一、三塁から松田に中前打されて先制点を許し、そのまま逃げ切られた。
 阪神は0-1の九回、先頭・上本がストレートの四球で出塁し、1死後にゴメス、福留が連続四球。1死満塁から西岡の一ゴロで上本が本塁憤死。続く一塁への悪送球で同点かと思われたが、西岡が守備妨害を取られた。
 先発・メッセンジャーが七回まで無失点と好投。三回2死二、三塁と六回2死二、三塁のピンチには、中堅手の大和がこん身のダイビングキャッチ、背走してのスーパーキャッチで断つなど神がかりの好守で0点に抑えてきたが、ホームが遠かった。
http://www.daily.co.jp/newsflash/tigers/2014/10/30/0007463700.shtml


記事その2

西岡は「最初、打ったら、左打者は内に入る。プレーどうこうはね…。故意でできるはずがない。ケガして始まった1年。最後に僕で終わったことが1年間を物語っている。応援してくれた阪神ファンやチームメートにも、申し訳ないという言葉ではすまされない。自分を責めたいと思います」と話した。
https://www.nikkansports.com/m/baseball/news/f-bb-tp0-20141030-1389637_m.html


記事その3

白井球審「明らかに邪魔してやろうという意図があった。」

‏@showup1242
阪神西岡の守備妨害について白井球審『完全にラインの内側を走っていた。左バッターだから、普通は内側は走らない。明らかに邪魔してやろうという意図があった。』

#npb
https://twitter.com/showup1242/status/527815838212960259


なんでや!西岡関係ないやろ!

2017年8月1日、広島対阪神(マツダ)

1点ビハインドの9回表、一死から西岡が安打で出塁するが、次打者の上本博紀が空振り三振。この時西岡がスタートを切っており、二塁送球は間に合わずセーフになると思いきや、杉永政信球審が上本に守備妨害を宣告。
このケースでは守備妨害のアウトがランナーに適用されるため、一気にアウトが2つ増えて試合は終了。金本知憲監督の抗議も実らなかった。

上本の妨害行為はどう見ても露骨にホームベース上に立ちふさがっていたことから、「もはや阪神のお家芸」などと揶揄された。上本は前打席のランニング本塁打の歓声から一転して嘲笑と罵声を浴びせられる羽目になり、西岡も「何があった!また西岡か!」「西岡が走るとろくなことないな」など熱い罵声を浴びた。

2018年5月24日、阪神対ヤクルト(甲子園)

糸井嘉男がヤクルトの先発デビッド・ハフから一塁側に向けて高くバウンドするゴロを放つ。ハフが捕球し一塁へ送球したが、一塁線の内側を走っていた糸井に当たったことで守備妨害が宣告された。
この試合は阪神が勝利したうえに西岡は不振で二軍落ちしていたが、三度「阪神のお家芸」と言われることとなった。

2018年9月28日、巨人対DeNA(東京ド)

岡本和真がDeNAの2番手・スペンサー・パットンからピッチャー強襲の当たりを放ち、捕手の嶺井博希が取って一塁に送球。これが一塁線の内側を走っていた岡本の背中に当たり、岡本は守備妨害でアウトになった。
何度も見たようなプレーであり、流石になんJ内外でも守備妨害によるアウトは納得されていたが、巨人・高橋由伸監督は猛抗議。当然判定は覆らず、なんJでは失笑の声が漏れた。

ちなみに同年9月14日の同カードで岡本はパットンの投球を右手に受け、その直後から18打数ノーヒットと不振に悩まされたことから岡本の打球および嶺井の送球を報復合戦とネタにする向きもある。

2019年9月13日、巨人対広島(東京ド)

1回裏巨人の攻撃、一死満塁の場面でアレックス・ゲレーロが投手へのゴロを放つ。投手の九里亜蓮はまず本塁へ送球し封殺、さらに捕手の會澤翼が併殺を狙い一塁へ送球したが打者走者のゲレーロが邪魔になったか送球がやや逸れセーフに。これに緒方孝市監督がゲレーロが一塁線の内側を走っていたのではと抗議したが認められず。

6回表の攻撃では鈴木誠也が投ゴロを放ち投手の山口俊が一塁へ送球。ところが鈴木が明らかに一塁線の内側を走っていたため送球が体に当たり悪送球に。当然のように守備妨害が取られアウトとなり、再び緒方監督が抗議するも覆らなかった。

2019年9月19日、阪神対ヤクルト(甲子園)

1回裏攻撃、植田海がヤクルトの先発・小川泰弘から三振を喫するが、振り逃げで出塁を狙い一塁へ向けて走る。捕手・松本直樹は一塁へ送球したが悪送球となり植田は二塁まで進塁。しかし、植田が一塁線の内側を走っていたことで守備妨害が宣告され結局アウトになった。
この試合で阪神は8-0で惨敗した*2上に四度目の「阪神のお家芸」と言われることとなり、植田は6月にやらかしたボーンヘッドに続き、散々な罵声を浴びる羽目になった。

海の向こうでも

2019年10月30日(日本時間)、アストロズ対ナショナルズ(ワールドシリーズ第6戦・ミニッツメイドパーク)

2-3で迎えた7回表、先頭・ゴームズが出塁し、1番・ターナーに打順が回る。
そしてターナーはボテボテの3塁線へのゴロを打つ。アストロズ投手・ピーコックが打球を処理して一塁に送球するが、ボールは誰がどう見ても線の内側を走っていたターナーの背中に直撃
当然守備妨害が宣告されるが、ナショナルズ・マルティネス監督はこれに猛抗議。相手投手が交代し*3、イニングが終わっても抗議し続けた監督はついに退場を言い渡されてしまった
なお、試合はこの後に追加点を挙げたナショナルズが2-7で快勝。ワールドシリーズ制覇に逆王手をかけた。

なお、ターナーの背番号は7で線犯当時の西岡の背番号と同じである。


余談だが、次の試合もナショナルズが勝利し球団史上初となるワールドシリーズ制覇を達成。これによりMLB史上初の完全外弁慶シリーズ*4が完成した。

関連項目



Tag: 阪神 ソフトバンク ポストシーズン ルール 絶許


*1 改正され現在のものと通し番号は変わっているので調べる時は注意
*2 さらに、この試合に敗戦したことで、阪神は自力CS進出がなくなった。なお広島
*3 なお、これに関して岩村明憲は「交代した後の投手の集中力を切ることに成功した頭脳プレー」と評している。事実、交代したハリスはこの回、3番・レンドーンに被弾し、リードを広げられてしまうこととなった。
*4 NPBで日本シリーズが「完全外弁慶」になったことはなく、2011年の日本シリーズでは第6戦までビジターチームが勝利しており、これが「完全外弁慶」に最も近づいたシリーズである。なおその逆の「完全内弁慶シリーズ」はMLBでは1987年・1991年・2001年の3回、NPBでは奇しくも阪神が出場した2003年に記録されている。