裏クライマックスシリーズ

Last-modified: 2024-03-03 (日) 22:56:09

クライマックスシリーズと対極をなす、リーグ最弱を決める試合。
類義語として「裏天王山」*1「天保山」*2がある。


概要

2018年10月13日、CS1stステージとしてセ・リーグでヤクルト(2位)対巨人(3位)、パ・リーグでソフトバンク(2位)対日本ハム(3位)がそれぞれ行われていた。

奇しくも同日、中日(5位)対阪神(6位)及びロッテ(5位)vs 楽天(6位)のシーズン最終試合が裏で開催されていた。しかもいずれも「5位チームのホームゲーム」「(順位は確定済みだが)わずか2ゲーム差」だったため、ただの消化試合に過ぎないはずのこれらの試合はあたかもリーグ最弱を争う裏クライマックスシリーズのようだと揶揄されたことが由来。


背景

2018年は自然災害が多発*3し、それに伴う試合中止も例年以上に多いシーズンだった*4

特に阪神関係の試合中止が多く、3位争いが混戦*5だったこともあり「CS開催日の2日前時点の順位をもとにCS進出チームが決定される」というルールが再確認されるほど試合消化ペースを懸念されていた。
阪神では上記のルール確認が行われた頃から当シーズン絶望レベルの故障者が続出し、一気に失速。10月3日にBクラスが確定、更に8日にはリーグ最下位が確定*6。チーム状態がどうであれ日程の余裕の無さは変わらず、最終的には同じくCS進出を逃した中日との一戦がCSと同日に組まれることになった。

パ・リーグも同様にロッテが天候の煽りを大きく受け、同じくCS進出を逃した楽天との一戦がCSと同日に組まれた


トーナメント表

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神 中 巨 ヤ 広 西 ソ 公 ロ 楽              
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結果

当該試合に対しては「この裏シリーズを制した最下位*7」には「地獄が待っている」「 1001が待っている*8」、「裏日本シリーズは大宮けんぽグラウンド / 六郷土手(いずれも草野球場)でやれ」などの熱い罵声が浴びせられた。

パ・リーグ裏CS 楽天対ロッテ (試合結果)

楽天先発の古川侑利が4回1安打の好投を見せ、楽天打線も3回に2点のリードを奪う。しかし直後の5回から、6年連続2ケタ勝利がかかっている則本昂大がリリーフ登板し勝利投手をヌッス。最終的に4-1で楽天が勝利し、ロッテは本拠地14連敗*9に加え、井口資仁の監督就任初年度勝率の球団ワースト記録(.421)を喫した。

セ・リーグ裏CS 阪神対中日 (試合結果)

本シーズンをもって森繁和金本知憲ら両監督が退任を表明しており、中日は岩瀬仁紀荒木雅博の現役最終試合でもあった。これに対し阪神も福留孝介高橋聡文*10森越祐人ら元中日勢の揃い踏みを演出した。

試合は両先発の阪神・竹安大知*11及び中日・柳裕也がそれぞれ5回2失点、6回1失点に抑え、後続も0を並べる投手戦の様相を呈していた。しかし9回表の阪神の攻撃、一死1・3塁と一打逆転の場面にて一塁走者の大山悠輔が二盗を企図。本盗とのダブルスチールを警戒した松井雅人がピッチャーカットのため送球するも、投手の佐藤優サインを失念して捕らなかったうえ、サイン通りの守備位置に就いていたセカンド高橋周平とショート京田陽太がどちらもベースカバーに入っていなかったため、ボールが誰もいないセンターに転々としてしまう。この大やらかしで中日は同点に追いつかれ、直後に控えていた岩瀬の引退登板に泥を塗る展開となった*12
延長に突入した試合は11回表に祖父江大輔中谷将大に決勝タイムリーを打たれ3-2で決着。最弱争いにふさわしいグダグダの試合内容で、セ・リーグ最弱は中日に軍配が上がった。



上記の通りネタに溢れた2試合の結果により、2018年の裏日本シリーズの対戦カードは(仮に開催されるとしたら)中日対ロッテとなった。本年で引退した浅尾拓也岡田幸文らが活躍した2010年の日本シリーズと同じカードであるが、どちらが最弱となるのかはご想像にお任せする。

「表」である本来のCSファーストステージも、巨人・菅野智之による日本球界ポストシーズン初のノーヒットノーラン達成や日本ハム・中田翔中田翔が破壊された事件など、話題性に富んだものとなった。

別名


関連項目



Tag: 中日 阪神 ロッテ 楽天 ポストシーズン


*1 ペナントレース終盤の首位攻防戦を意味する「天王山」との対比で、95年セリーグの最下位争いを中日新聞が命名。対戦カードは後述と同一の中日vs阪神だった。
*2 てんぽうざん。大阪府大阪市内に位置する。日本一低い山とされてきた(1996年~2014年)こと及び、「天王山」と語感が似ていることから裏天王山と並んで揶揄として使われる。「日本一低い山」の座に関しては日和山(ひよりやま、宮城県仙台市)と競ってきた歴史があるため各自検索されたし。
*3 6月の大阪北部地震、7月の西日本豪雨、9月の台風21号をはじめとする夏の台風シーズン、9月の北海道胆振東部地震等、この年の災害だけで打線が組めるほどである。
*4 グラウンドコンディション不良のみならず、大雨による高速道路の通行止めのためチーム備品(ユニフォーム等)を載せたトラックが到着できずドーム球場開催が中止となる(7月6日の中日対ヤクルト戦、ナゴヤドーム)等、天候が間接的に影響を及ぼす事例も見られた。
*5 9月20日時点で広島・ヤクルトを除く3~6位が2ゲーム差以内であった。
*6 これによりBクラスなのにCS進出という珍現象は回避された。
*7 ペナントそのものの最下位は前述の通り、阪神及び楽天が確定済み。
*8 今回試合を行う4球団の内、ロッテ以外の3球団で星野仙一が監督を務め、それぞれでリーグ優勝経験があることから。なお、星野はこの年の1月に逝去。
*9 パ・リーグ新記録及びNPBタイ記録。
*10 翌2019年は故障により一軍での登板機会がなくこの年限りで現役引退、レギュラーシーズン最終戦での引退登板が唯一の一軍出場となったため結果的に前年の本試合が引退表明前最後の登板となった。
*11 この年オフにFA移籍してきた西勇輝の人的補償でオリックスに移籍。この試合が阪神での最後の登板となった。
*12 試合後佐藤は岩瀬に謝罪したが、その際「謝っても許さない」と厳しい言葉を返された模様(無論、その後に激励の言葉をかけられている)。