うっかりモノ

ミゼ：
……………
管理官：
あ、あの………
ミゼ：
…なに？？
管理官：
いえ、べ………別に。
ミゼ：
用がないなら近寄らないで。
薬を飲んだばかりで、気持ちが落ち着いてないから。
今近くにいると、どうなっても知らないわよ……
ミゼ：
スゥーーーハァーーースゥーーーハァーーーーー
ふぅ、やっと落ち着いたわ………それで？
私に何の用？
管理官：
いや、まだちゃんとあいさつしてなかったなって………
ミゼ：
そ？じゃ、なかなかツイてるわね。
あと数分早かったら、城の外まで投げ飛ばされてたところよ～ふふふっ♪
ミゼ：
私って少しだけ怒りっぽくてね。
だから常に私を楽しませないとダメよ？
私を怒らせないようにあなたも注意するの。…もし怒らせたら？…ふふふっ♪
ミゼ：
………………
管理官：
………………
管理官：
全部話してよ！気になるなあ。いったいどんなことが…

管理官：
今日は何だか楽しそうな様子だけど？
ミゼ：
あら………あなた。そうね、確かに今日は機嫌がいい方かも。
けど残念ながら、今日はまだ発作が出てないの。
いつ爆発してもおかしくないわよ？ふふっ♥
ミゼ：
うふふっ。複雑な表情をしてるわね。
思わずいじめたくなっちゃうじゃない。
ほら、緊張しないで。まだイラつきは感じてないから、安心して立ってなさい？
管理官：
怒る症状は前からあったの？
ミゼ：
ええ、そうよ。おまけに昔の薬は今みたいな効き目がなくて、
薬を飲んでも突然大騒ぎになることもあったわね…
ミゼ：
でも最近ここに住み始めてからいい感じ。
それに前みたいに売上に悩まされることもないし、怒りも自然に抑えられるわ。
ミゼ：
実は私も前からずっとこの持病を治したかったの。
ラブストーリーのドラマを見たり、エクササイズをやったりもしたけど………
管理官：
それで？
ミゼ：
気がつくと手当たり次第ブチ壊してたわね。
あはははははっ！

ミゼ：
あら？今日は自分から訪ねてきたの？どういう風の吹き回し？
それとも私がキレて手を出すのが楽しみなの？ふふっ。
管理官：
そういうわけじゃ。ただ機嫌がよさそうだったから、
あいさつでもと思って。キレたら何も話せなくなるし………
ミゼ：
そんなに私が怖いの？心配しないで。ここ数日はコントロールできてるから。
あなたのおかげでもあるわ。こんな環境で暮らしてなかったら、
きっと怒りは抑えられなかったはずだし。そう思うわ。
管理官：
喜んでくるならいいけど。あ、そうだ………
ついでに過去のことを聞きたいんだけど？
ミゼ：
あら？私の過去、気になるの？
まあいいわ。私が覚えてることを少し話してあげるわね？
ミゼ：
過去ねえ………別に特別なことはないわ。
１日中利益のために走り回ってただけ。
怒りを抑えたいのにちっともコントロールできない、普通の貿易商よ………
ミゼ：
けど、そんな普通の人生は、あの戦乱とはかけ離れた平凡だったの。
いったい何が起こったのか知りたいんだろうけど、私もはっきりとしたことは言えないわ。
管理官：
そうか………
ミゼ：
けど、いったい何が起きたのか…
私も知りたくなってきたわ。だから一緒に探しましょ？
ミゼ：
あ………ヤバい…かも……
すごいむかつく……………
…いいから早く逃げなさい。でないとケシ済みにするわよ♥

ミゼ：
う………う………う………
管理官：
大丈夫？
ミゼ：
あはははっ、最高ね！最高の気分！
今日は遺跡で怒りが大爆発したの！
こんな痛快な気持ちは久しぶりよ！
ミゼ：
あははっ！そんな怖いめで見ないでよ。恥ずかしいじゃない！
今日はイクとこまでイッちゃったから、キレちゃうこともないはずよ。ほんと。
管理官：
ずいぶん抑えてたんだね………
ミゼ：
そうよ。でも、できればもっと抑えていたかったんだけど…
せっかくだし、すっかり解放しちゃうのも気持ちいいわよ？
ミゼ：
けど、おかげで仲間がケガするところだったけど。
あとで代わりに謝っといてくれない？ふふっ♪

ミゼ：
あぁ～～～退屈ね～～～ヒマだわあ～～～
ねえねえ、何か踊ってみせてくれない？
ミゼ：
…ぷっ！！あはははははははっ！ほんとに踊るのねあなた！
ただの冗談だったのに。
まったく…リーダーとしての自覚、足りないんじゃない？
管理官：
ストレッチのついでに、喜ばしてあげようと思って。
ミゼ：
ふふっ………でも私は嫌いじゃないわ、そういうの。
これまで何人もいなかったわ、そういう風に気を使ってくれるの。ほんとに不思議………
ミゼ：
昔はキャリアウーマンに見られてたけど、
ほら、私って怒りっぽいじゃない？…みんな私を見てサッと逃げちゃうの。
怯えた気持ちで私と付き合ったりとか。でも………あなたは違う。
管理官：
そう？別に何も特別なところはないけど。
ミゼ：
あなたには裏側が少ないのよ。黒い部分、ってやつが。
だからみんな、必死であなたを助けるのかもね。
少なくとも私はそう思うわ。
ミゼ：
さ、おしゃべりはこのくらいにして…
また爆発しちゃうとヤバいわ。
あなたはしっかり尊敬されるリーダーになるのよ。