バックギャモンの戦略・戦術 15.アタッキングゲーム

Last-modified: 2018-08-19 (日) 20:40:02

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さて、続いてはアタッキングゲーム、通称ブリッツ(電撃)という戦法についてです。
これは、プライムとは違った形で、もっとアグレッシブに相手のコマを閉じ込めにいく戦法です。

 

まずは次の序盤の局面をご覧ください。

 

test111.png

序盤、相手がバックマンをスプリットした後に、こちらに5のゾロ目が出ました。
これは典型的な、「ブリッツ」を仕掛けるべき局面です。どう動かすべきかわかりますか?

 
 
 
 

test112.png

正解は、このように2か所にブロックを作りながら相手のコマをヒットします。
この手はもはや、「プライム」で勝つ線は捨てていると言って良いでしょう。
プライムは、連続したブロックを作って相手を閉じ込めなければいけないのですが、
この手は、飛び石のように離れたところにブロックを作ってしまっています。

 

しかし、「ブリッツ」を狙うなら、これでいいのです!
「ブリッツ」はこのように、相手のバックマンをヒットしつつ、どこでもいいから
自分の陣地にブロックを増やしていき、相手を場外に閉じ込めることを狙う戦法だからです。

 

ブリッツの戦い方

ブリッツ戦法は、自分の番がきたらとにかく相手のバックマンをヒットし続けます。
脱出してきても、脱出してきても、ひたすらヒットし続けます。

image107.png

なぜなら、相手にアンカーを作ったり、バックマンを逃がしたりされた瞬間に
この戦法は破綻してしまうからです。

 

そして、ひたすらヒットをし続ける中で、
自陣にブロックを増やせるチャンスがあれば、逃さないようにします。
image108.png

 
 

そう、ブリッツの極意は、一度仕掛けたら、相手が根負けするまで攻撃し続ける!ということです。
クローズアウト(1~6ポイントにすべてブロックを作った状態)が完成するまで・・・

 

ブリッツに何度かチャレンジしてみるとわかりますが、失敗する時は失敗します。
相手のバックマンをヒットしてもヒットしても、ヒットし返されてしまい、
もはや攻撃に使えるコマが尽きてしまうのです。こうなったらもう、空しいだけです。

 

しかし、成功した時は、相手に何もさせず、何も動かさせずにクローズアウトし、
ギャモン勝ちすることができる爽快な戦法でもあります。ぜひ、機を見てチャレンジしてみましょう!

 

ブリッツが決まりやすい条件

さて、ブリッツは上記のように、ちょっとギャンブル的な要素が強い戦法です。
ならば、ブリッツ戦法をしかけるかどうかは、慎重に見極める必要があるでしょう。

 

まず前提として、相手がアンカーを作っている時は基本的にブリッツは成功しません。
絶対にクローズアウトできないからです。

 

その上で、以下の条件が揃っている時ほど、ブリッツが成功しやすいといえます。

 

①自分の陣地が強い(自分の陣地にブロックがたくさんある)
②相手の陣地が弱い(相手の陣地にブロックが少ない)
③相手のブロットが盤上に多く転がっている
「攻めゴマ」が多い

 

①は当然ですね。自分の陣地が強いほど、クローズアウトという目標も近いし
相手のコマをヒットした時に、相手が一回休みになる可能性も高いですからね。
③も当然といえるでしょう。相手のブロットをヒットし続けることが成功のために必要です。

 

②はなぜ重要かというと、ブリッツという戦法を進める上では、
自分のコマがいくつかヒットし返されてしまうことを覚悟しなければいけないからです。
自分のコマがヒットし返された時、もし一回休みになどなってしまえば、攻撃が途切れてしまいます。

 

そしてなにより、④の「攻めゴマ」という概念が重要です。
攻めゴマとは、相手のバックマンをヒットしたり、自陣にブロックを作ったりするために使えるコマの数です。

 

つまり、自分の陣地とその付近にあるコマの数の合計、と考えればよいと思います。
これが多いほど、根気よく攻撃を続けることができます(いわば鉄砲の弾丸です)。
よって、ブリッツの成功率に直結します。10枚以上攻めゴマがあると強いな、という感じです。

 

ちなみに、最初に出した、最も序盤からブリッツを狙っていった局面について
振り返って、本当にブリッツをするべきだったのかを審議してみましょう。
test112.png

①自分の陣地 → ブロックが3つになるので、なかなか強い。 ○
②相手の陣地 → まだブロックが1つしかないので、弱い。 ○
③相手のブロットの数 → バックマン2つがバラバラになっているが、それ以外にはない。 △
④攻めゴマの数 → 8枚しかない。 ×

 

こんな感じかな。それなりに条件が揃っていますが、万全とはいえない感じですね。
とはいえ、この場面での「5のゾロ目」は、これ以外に有効な動かし方がほとんどないので
この手を選ぶ人が多いでしょう。

 
 

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