シャイロック

Last-modified: 2016-09-21 (水) 06:05:44

シャイロック【しゃいろっく】(NPC)

Shylock

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  • ベルファスト島の墓地の入り口に住んでいる冷酷な高利貸し。
    平民出身。
    • G15「ベルファストの商人」の主要人物であるアントーニオとの仲はよくない。
      貴族そのものを嫌っているが、彼だけは特別視。丁寧な口調であるものの敵対心を露にする。
      その理由は本編を進めることで明らかになる。
    • 冷酷な高利貸しではあるが、自身が平民出身であることから、平民(特に貧しい層)に対しての支援は
      惜しまない。事実、タルティーンの広大な畑の土地の一部を借り、私財による食糧支援を行っている。
    • 足が不自由で、杖をついてよろめくような動作を見せる。
  • 娘が1人いる。
    プレイヤー用装備「シャイロックの衣装」の説明文によると、彼が羽織っているジャケットは娘からプレゼントされた物とのこと。
  • 元ネタはシェイクスピアの喜劇「ヴェニスの商人」に登場するユダヤ人の高利貸し。
    やっぱり冷酷でがめつい性格であるが、ポーシャの機転によって罰金を払わされた上、キリスト教に改宗させられてしまう。
    • 当時のユダヤ人の定義はユダヤ信者であることであったため、これ以降彼はユダヤ人ではない何者かになってしまったことになる。
      つまりこれは単なる改宗ではなく、彼のアイデンティティそのものをも奪ってしまうことを意味する。
    • シャイロックのこの性格付けは「ユダヤ人=お金にがめつい」というイメージから生まれたものとも言われており、ユダヤ人差別を助長する原因ともなっているといわれる。
      • 当時のユダヤ人は公民権を与えられておらず、金以外に頼るものが無かったので、金にがめついのも当然と言えば当然なのだが…。
  • 英語ではShylockといえば「高利貸し」「卑劣な男」という意味になる。
    • 上記の文を読めば分かるように、ゲーム内でのシャイロックは冷たいだけの人間というわけではない。この事はG15を進めることではっきりと見えてくる。
  • いい印象のない名前ではあるが、イギリスにおけるあのシャーロック・ホームズをはじめとする名前の由来はこの「シャイロック」からだという説がある。

※現在、G15主要人物の各項目でバサーニオの人物像の解釈を巡って意見が対立しています。
加筆・修正は慎重に行って下さい。

※物語中、彼は並行する二つの物語の接点になっているため、
その立場が複雑で、下記はまだ整理されていない部分があることを付記しておきます。

G15ネタバレ
  • 元はイメンマハの平民で、妻と娘の3人暮らし。農業を営むごく普通の家庭だった。
    この頃から貴族と平民との格差に不満を持っていたが、それなりに平穏に過ごしていた。
  • ある日、娘がネックレスを拾ったが、置いていくよう諭した妻に「どうせ貴族が気まぐれで捨てた物だ」と持って帰るよう勧めた。後日、失踪していたアランズの夫ビゴリンが「盗まれた」と騒ぎ出し、該当するネックレスを身に付けていたシャイロックの娘は窃盗容疑で拘束、取調べと称して貴族の屋敷に監禁されてしまう。妻はそのショックで体調を崩し、寝込んでしまう。
  • 原因はアントーニオの告発。たまたまシャイロックの娘がネックレスを身に付けているのを見て、それを持ち主に伝えたところ、娘は窃盗容疑として拘束されてしまったのだ。
    • アントーニオにはシャイロックを貶めようとしたのではなく、単に行方不明になっていたアランズの持ち物であったのを手がかりになるのではないか、とビゴリンに伝えたようだった。
    • 娘の身の潔白を証明しようと、アントーニオに証言を求めるが門番によってそれを拒まれてしまう。
      どんなに泣こうが叫ぼうが、彼が顔を出すことは無かった。なぜ彼がそうしたのかは不明ではあるが、彼には彼の理由があったようだ。
  • 数日の拷問に近い尋問の末、極刑こそ免れたものの、娘は「盗人」のレッテルを貼られ、鞭打ち10回の刑に。
    傷そのものは命に関わるほどではなかったが、傷が原因で感染症を引き起こし娘は数日後に死亡、妻も追うように亡くなってしまう。
    • 一連の事件のショックのためか、シャイロックの足が悪くなったのもこの頃らしい。
  • シャイロックの手記から、客観性を欠くかもしれないがビゴリンは兵士に大量の金貨を渡し、過剰に刑罰を重くかけようとしていた節がある。
  • このとき、シャイロックの娘を治療したのがアグネスヤブである。
    (刑に使われた鞭からの細菌感染の可能性もあるが…)
    • 彼女の年齢を考えると、この事件はそう遠い昔の話ではないだろう。
  • 一度に二人の愛する人間を失い、絶望の淵に居た彼の目に入ったのは、無邪気に友人と笑って歩くアントーニオの姿だった。
    「貴族は平民を人と見ていない」と悟った彼は、アントーニオへの復讐を心に誓う。
    この復讐は「平民も同じ人間だ。貴族が平民にやるように、平民も同じことをしてやろう」という意味もあったようである。これはイメンマハでは実現できないことだったが、法の下に平等であるとされるベルファスト島では可能だった。
    • ちなみに、原作でも彼は似たようなセリフを言っている。
      もっともこちらは、ユダヤ人だからという理由で一方的にキリスト教徒から虐待されることへの怒りと復讐の言葉である。
  • どれほどかの月日が流れ、ある日アントーニオが、その友人バサーニオの結婚費用のために3000万Gを借りようとシャイロックのもとを訪れた。
    絶好の好機と見たシャイロックは、アントーニオの心臓を抵当に借りるように差し向けて復讐を遂げようとする。バサーニオの反対もあったが、アントーニオは法として拘束力を持つ「契約」を結んでしまう。
  • 結局、アントーニオは借金を返せなくなり、裁判ではシャイロックとの契約が有効と認められ、アントーニオは投獄。3日後に心臓を抉り出すように判決が下ってしまう。
    • しかし、アントーニオ本人は判決については不当だとは考えておらず、むしろ復讐心のみで動くシャイロックのことを案じてすらいた。
      イメンマハの件についても、アントーニオには非がないにも関わらず、彼なりに心を痛めており、自分の命を差し出すことでシャイロックの心が休まるのなら、と考えている。
    • このとき、アントーニオが借金を返せなかったのは予定していた積荷が海賊の襲撃によって船が沈没してしまったからであるが、憶測に過ぎないがこれはシャイロックが手を回していたようだ。彼はシェイクスピアの予知によって、アントーニオの船の動向を知っていたからと思われる。
  • 恐らくは、アントーニオに罪はないということはシャイロックもわかってはいたようだ。
    にもかかわらずアントーニオの心臓を要求したのは、実はシェイクスピアとの契約に必要なためであった。
    シェイクスピアは、シャイロックの家族を生き返らせる代償として、ミレシアンのアルビダンジョンへの来訪と、アントーニオの心臓を要求した。
    家族に会いたい一心でシャイロックは自分の中の(不当な)復讐心を燃え上がらせ、そして前述のような行動に及んだのである。
    • しかし、自分の愛する人のために罪なき人を殺めることはできず、また「復讐は新たな復讐しか生まない」というアントーニオの言葉もあって、シャイロックは復讐を断念する。
      最終的にはアントーニオと和解し、馬を与えその牢を開いた。
      • 彼が本当に冷酷な人間であれば、何の躊躇も無くアントーニオの心臓を取り出したであろう。それが出来なかったのは、ラストクエスト開始時に問われる質問からも分かるように、彼が真に家族を愛する人間だったからである。
  • 彼はシェイクスピアとの契約を履行することはできなかったが、それでも家族に会いたい彼は、アルビダンジョンの奥にいるシェイクスピアのもとに向かうにあたり、ミレシアンの助力を請う。
    • シェイクスピアはアントーニオの心臓に代わる代償としてシャイロック自身を要求し、シャイロックを自分の作品の中の登場人物とする事で家族に会わせてやれる、と語り、シャイロックはそれを受け入れてエリンでの生を捨て去り、物語の中で永遠に生き続ける存在となったのだった。
    • 実際のところ、シェイクスピア自身はシャイロックが復讐を断念するであろう事を予知夢によって把握していた。
      つまり一旦「家族を蘇らせる事ができる」という希望を与えた後、それを潰えさせる事により、シャイロックが最終的に自らを差し出すように仕向けたのである。
      シャイロックの苦悩や葛藤は、全て茶番に過ぎなかったのだ。シェイクスピアがなぜそこまで彼を追い詰める必要があったのかは今もって不明である。彼の「いれもの」としての存在が必要であった旨は語られているが、それだけではあまりにも無慈悲である。
    • 実際、原作のヴェニスの商人も一般的に喜劇と言われているが、シャイロックの立場から見れば悲劇とも受け取れる内容である。
      • G15クリアジャーナルのアイコンは何故かシャイロックである。C4のテーマであるシェイクスピアを取るなら、彼の物語の中へと消えていったシャイロックこそ相応しい、「ベルファストの商人」の主人公である、とも言える。
  • G15クリア後に獲得出来るペルソナは「シャイロックの足取り」。
    演劇ミッションがなかったにも関わらず、シャイロックのペルソナだけが手に入る理由は、彼がシェイクスピアの作品世界に取り込まれた事と無関係ではないのだろう。
    彼は果たして物語の中で愛する家族と再会出来たのだろうか。本の世界ではあるが、その幸せを願わずにはいられない。なんとも重い気分にさせられる話である。
    • けど足取りはとっても軽くなる。ふしぎ!(゜∀゜)
G16ネタバレ
  • G16メインストリームの冒頭にて、彼がG15での牢獄破りの後、負傷した兵士達を見舞い、さらにオーウェン提督に「ベルファストの兵士を負傷させたことでプレイヤーを処罰しないように」と懇願していたことが判明する。(ベルファストの法律では兵士を負傷させた者は死刑になるため)
    最後の最後まで彼に手間をかけさせてしまったことを思うと、切なくなる。
  • 法律で統治されているベルファストで、法を曲げさせたということはそれだけオーウェン提督がシャイロックを信頼していたことの証拠である。もちろん、兵士の怪我が軽かったからなのだろうが、シャイロックの影響力、発言力の強さがうかがい知れる。
    • そう考えると、ベルファストの平民達にとって心強い味方であったろうシャイロックを失っただけのG15とは一体なんだったのだろうか・・・。
  • このとき同時に、彼は自分の体に触られるのを極端に嫌ったこと、ベルファストに移住してからひとりの少女に出会い、結婚寸前まで発展したことがオーウェン提督の口から語られる。
    が、少女の父親(彼にとっては義父にあたる)から大きな真珠のついた杖を贈られたことがきっかけで、そのまま彼のほうから一方的に結婚を破談にしてしまったという。
    • 真珠のネックレスが娘ジェシカ・妻レアの命を奪う原因となったことから、真珠は彼にとってタブーだったのだろう。
    • この少女が何者であるかはゲーム内では詳しく語られていない。裕福な家庭のお嬢様であることは確か。
      誰とも親しくしようとしなかったシャイロックの心を開かせるほど、彼女は彼にとって特別な人物だったのだろうか。
      • ひょっとしたら、彼女に家族の面影を見たのかもしれない。

♪BGM「NPC_Shylock(正式名称なし)」