梅ガム事件
Last-modified: 2023-10-08 (日) 17:12:24
梅ガム事件【うめがむじけん】
概要
- 2010年6月10日開始の「マビノギ×ロッテ タイアップイベント」で起こった騒動の事。
「マビノギ×ロッテ タイアップイベント」そのものはタイアップ仕様の梅ガムの中に含まれるクーポンコードの結果如何でロッテ装備や古代暗黒ネコシリーズを入手可能というなんとも太っ腹なイベント。
しかし、「どのイベントアイテムの入手にも梅ガムを購入した後のクーポンコードから出るアイテムが必要」という事と「梅ガムの販売地域が首都圏に限定されていた」事が物議を醸し出し、首都圏民と地方民というなんとも言い難い対立軸の原因となってしまった。
- なおこのネコ装備は、軽鎧限定の高ダメージエンチャントである古代暗黒が「部位の制約を無視して」頭・手・足にもついているというもの。これらの部位において、ダメージの高さは当時存在していたエンチャントやエンチャント付き装備を大幅に上回り「正規の作成手順では絶対に作る事が出来ない最高装備」であった。
- また、ネコ装備ばかりに焦点が当たりがちだが、ロッテ装備の方を見るとランダム入手という極悪仕様である。
そして苦労して手に入れたとしてもそのロッテ装備には取引、染色、修理不可と三重苦が揃っている。
- 誤解されがちではあるが、ロッテ装備のデザインや造型そのものは実際のところ良く出来ていた。現在もほとんど見られないバイザー型の頭装備、露出度が高く健康的でセクシーな衣装は目を引くつくりになっており、後に追加された傘があればレースクイーンのようないでたちも可能だった。世界観とは合わないが・・・。
当時の状況
- 装備の取得条件は、部位ごとに決められた3種類のクーポンアイテム(ガムの形)を集めるというもの。クーポンは関東で販売されているロッテ「梅ガム」に印刷されたシリアルから1~2個得られる。なおガムによって得られるクーポンは計11種類あり、その内ネコ装備に使うアイテムは5種類。引き運にもよるが、エンチャントの数値が幅の大きいランダムで変動するため、現実的にはゲームを破壊するまでには至らなかった。未だにこの件がやり玉に挙がるのは、主に後述する理由。
- もちろん、高い数値のものはとんでもない額が付いたが、それらのほとんどは人目につくことなくハイスペックプレイヤー層でやりとりされていた。
- この件で引退宣言したりフレンド関係が一気に険悪になった人々が居るのは事実。運営が何を思って首都圏限定で販売される商品のイベントにしたのかは定かではない。
- ロッテ装備の上記特性から、ロッテ装備の方に古代暗黒が付加されていればここまで問題にはならなかったかもしれない。着用者が増えてロッテの宣伝にもなっただろうに、そういう意味ではなんとも残念なイベントである。ちなみに2023年現在でも倉庫キャラクターにロッテ装備をさせている熱心なファン(?)は存在している。
- ガムを賞味しつつあわよくば高性能な装備も入手できる嬉しいお祭り・・・のはずが、ヤフオクやMOMの様相などを見ると、最初から商売目的で買い占めたであろう出品者が多数見られ、イビツなものを感じずにいられない(これに限った話ではないが)。
- 鯖によっては実装翌日からMOMに百個以上の古代暗黒ネコ装備が並んだ。ネコシリーズ愛好家は無論、高ダメージエンチャント愛好家にも衝撃が大きかったとか。
- 無論いっそう高いダメージが得られると喜んだ者もいるため、一概に悪いイベントとは言えない。ただ、古代暗黒でにぎわう市場の片隅に、やたら使用感のあるネコシリーズが捨て値で並んでいる光景は複雑なものを感じさせた。
- ネクソンは過去にも「メイプルストーリー×ロッテ タイアップイベント」でガム(ミントブルー)を販売した事があったは、そちらは25万個限定で全国販売だった。またテイルズウィーバーでも全国販売で同様のイベントあり。(クールミントガム)
詳しい内容は「メイプルストーリーガム」「テイルズウィーバーガム」でググってみよう。
こういった前例がより一層、このイベントの不公平感に拍車をかけていたかもしれない。
- 今回のイベントでのガムの販売地域についてロッテにも問い合わせが多数行われ、販売地域について検討するという回答が返ってきた事例もあったらしい。しかし、実際にどういった対応がされたかは定かではない。
- 地方在住の人間の主な不満
- イベントに参加出来ない(機会不均等)
- イベントの基点が梅ガムを購入する事であり、地方在住者は梅ガムを購入する機会が与えられていなく、不公平。
- 首都圏民に富が集中(地域格差)
- 梅ガムを大量に買い込んだ人が余ったネコシリーズや交換用アイテムを露店やMOMで高額で販売する事例が後を断たななかった。
- 首都圏在住の人間の不満
- タイアップイベントでネコ装備を手に入れただけで非難される。
- 目の前にあるものを買うなというのもおかしな話ではあるが、そもそも目の前になくて買えないプレイヤーが多かったが故の問題であるため、致し方ないことでもある。地方民にこれのために上京しろというのも、また無理のある話であるからだ。もちろん首都圏在住者でも、買占めやお店が商品を扱っていないなどで手に入らないプレイヤーもおり、そのためによそへ足を伸ばすケースもあったであろう。だが、かけることになる労力、更には金銭的負担の差はとても無視できるものではない。だからこそ、この件がこれほどの騒動になったのである。
- 共通の不満
- 頑張って作った装備が一日で価値が無くなった(努力の否定)
- この声の主な原因は部位の制約を無視して古代暗黒が貼り付けられている為であり、「既存品を大幅に上回る上に正規の作成手順では絶対に作る事が出来ない装備」をガムのおまけとしてつけた事によるものが多い。
- 今まで価値があるとされていたエンチャントやネコ装備、ネコ装備の交換に必要なキャッツアイが一気に値崩れした(相場の崩壊)
- 値崩れの主な理由は下地としての価値の低下や性能差による相対価値の減少、希少価値の喪失によるものである。ただし、イベントが終わり古代暗黒ネコ装備の産出が止まった時に相場がどう動くかは不明である。当時の記憶も薄れた2014年現在では、ランダムボックスからも細工済みネコ装備が出現していたため、二束三文というほどではないが大枚をはたくようなレアアイテムでもない、といったところ。
- 旧来のネコシリーズを人前で着づらくなった(印象の変化)
- これまで記されてきた諸々の理由で、ネコシリーズ装備者に対する印象が事件前と大きく変化した。そのため、誤解(数値目当てに着ていると思われる、相対的にキャラスペックが低く見える、等)を恐れて自前のネコ装備の着用を見合わせるケースがある。完全な風評被害であり、単純に和装が好きなプレイヤーにとっては甚だ迷惑な話である。気にしなければいいというには騒ぎが大きく、諦めて捨てればいいと言うには制作労力が大きすぎるため、怨嗟が大きい。
- また、ネコ鎧=古代暗黒、という刷り込みがなされてしまったプレイヤーからは、古代暗黒の付与されていない場合に「手抜きをしている」「装備をサボっているくせに見た目だけ取り繕っている」といった印象を持たれることもある。場合によっては嘲笑や罵倒にもなり、もちろん相手側のプレイヤーの問題ではあるが、これによって極めて不愉快な体験をしたプレイヤーは、以降ネコ鎧を装備しないどころかそれ自体を毛嫌いするようになったというケースも決して少なくない。
- これらは「梅ガム事件」の影響が薄れた現在でも見られる弊害で、重鎧を装備した際の格闘術やレンジアタックのペナルティを避け、かつ、それなりの防御力を必要とするプレイヤーにとって、軽鎧は選択肢として充分なスペックを持っている。とりわけ派手すぎず地味すぎないネコ鎧は、近接エルフを中心に根強い人気がある。この事件に対して拒否感の強かったプレイヤーは、自らが装備することを避けることも少なくないうえ、他者がネコ鎧を装備していると、心理的に身構えてしまうこともあるとか。
- イメージの一人歩き
- 古代+暗黒は大変に強力なエンチャントではあるが、実際のところ育ちきったプレイヤーが「それ以上」を求めるレベルになってこそ漸くその真価を得られるものであって、成長途中にあるプレイヤーでは、さほどの恩恵は得られない。これは「通常はつけられない部位についている高ランクエンチャント」「期間限定で入手」といったプレミアム感だけが先行し、また首都圏のみ対象という不平等感に起因するイメージの産物であり、万人が手にした瞬間、最大の効果が得られる、というような夢のスーパーアイテムではない。
- また、古代も暗黒も発動させるには条件があり、それらは直接戦闘時にダメージの上昇が得られるようなものではないため、これらの条件を満たすよりも先にすることがあるのでは? というケースも散見される。
- 実際、錬金術師がウォーターキャノンで戦う場合、全身古代暗黒装備で固めた場合よりも、全部位をリプルだけ貼り付けたほうがダメージが高く推移する。もちろん、発動条件を満たした近接・弓師にとっては今なお燦然と輝くスペシャルなものであることは事実である。
- こうして様々な問題を書き綴ってきたが、結局のところ本イベントの問題は「販売地域を限定したこと」という一点に尽きる。
- ネットカフェ限定アイテムやオフラインイベント限定アイテムの配布は2014年現在でもちらほら行われているが、その規模は小さく、対象のアイテムもトロフィー的なもの(レアカラーであったり、オマケ程度の性能)であったため、ほとんど不満は出なかった。これほどに根の深い問題を残してしまったのは、その報酬が高性能すぎた点もある。
運営もその問題点を認識しており、以降はこのような特殊なアイテムはそもそも配布されないか、その入手難易度を大きく引き下げることになった。
現在
- G16を経てGENESISを迎えたマビノギには、高性能なエンチャントが多数追加された。
入手難易度は高いものの、ネコも杓子も古代暗黒というわけではなくなりつつある。
- 具体的には戻した白馬などに代表される「装備を専用化する」ESである。
売り買いや受け渡しの手間が増え、市場に出回る量を抑制することで、既存装備のレアリティをある程度保持しながらも上位互換を実現した。
なお、あまりにも手間がかかりすぎたためか、2022年ごろから専用エンチャントまわりの仕様は若干改善されている。
- 細工の実装により(どの程度の試行回数=資金が必要かは論じないとして)ES以外のプロパティによる強化が可能になったことも追い風になったか。
- 細工の強化は既存ESにない新しいカテゴリによるものも多いことと、ESと細工は共存できることから、古代暗黒装備を駆逐するというわけではなく、むしろ共存することでより価値が高まったともいえる。
- また、錬金術の台頭や魔法の仕様変更、GENESISによるシステムの改変を経て、現在のエリンでは何でもかんでも最大ダメージ、クリティカルが重用される風潮ではなくなったことなどが理由とされている。
- ZEROアップデートにより、各種マスタリや防御数値が一部見直されたため、状況によっては防御ステータスも重要視されるようになった。ネコ鎧は軽鎧に属し、ランクによっては高い防御性能を得ることができる。しかし、これにより「暗黒」ESのデメリットである防御低下のプロパティが比較して大きくなり、全身を古代暗黒で固めてしまうと、相当に打たれ弱くなってしまうというペナルティも受けることになる。
- 2019年辺りからはランダムボックス限定の強力なエンチャント、装備、ペットが多数登場しているが、機会の平等性を損なうものではないためか、大きな反発はない模様。
- 現在のエリンでは、当時大騒ぎしたプレイヤーの大半はすでにマビノギから去っているか、古代暗黒を受け入れた上で新装備へと切り替わっているため、完全に風化し、もはや過去の記録の中の出来事となっている。
- とはいえ、事件そのものはともかく古代暗黒シリーズが相変わらず有用なのは同じである。
いい数値のものが高値なのは相変わらず。しかしながら、それらの品物が出まわるのは極めて珍しい。つまるところ、『選択肢のひとつ』程度に落ち着いている。
- 一方で、未だに当時味わった苦渋を忘れられないプレイヤーも残ってはいる模様。食べ物(?)の恨みとは恐ろしいものである。
- 2021年4月17日に放送された「16周年前夜祭生放送」において、この梅ガム事件に少しだけ触れており、一部からどよめきが起こった。
運営側にとってもわざわざ言及するほどには大きな出来事だったことは間違いないようで、同じ愚を犯さないように腐心しているであろうことがうかがえる。
- さすがに2023年現在においては、古代暗黒ネコ装備を上回る高性能エンチャントや装備そのものが持つ特殊効果などが実装されており、いまや18年にわたるマビノギの歴史の中の出来事として、人々の記憶の中にしまわれようとしている。