ピンク・ジルコン

Last-modified: 2020-09-03 (木) 23:32:15


17.ピンク・ジルコン
宝石言葉:苦しみからの救い

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あらすじ ※ネタバレ注意※

※ 17話は重要な会話が多いので、メインストーリーの会話内容を
ほぼ全て別ページに載せています。
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考察の各項目最後からも掲載場所へダイレクトに跳べます。

プロクト城・謁見の間
パジャーユ火窟
魔王の世界
イカルガ
魔王の世界・奥

 

冒頭回想・ワタル&ヤマト編

図書室で勉強をしているワタルとヤマト。
分からない、と頭を抱えて唸っていたワタルが、ふと表情を改めてヤマトに尋ねる。
「……オレさ、間違えてると思う?」
「何を?」
「タクヤのこと、庇ったの。」
タクヤを庇った際にワタルも殴られ、そのことで母に心配されたのだ。
そう話しているところへタクヤが偶然図書館へ入ってくる。
しかし、自分のことを二人が話しているのを聞き、二人の死角で足を止める。
ワタル達は、タクヤに気づかないまま話を続ける。
「オレだって怖いよ。何にも心配してないわけじゃない。
けど、助けたい気持ちは本当だから。それに嘘つきたくないから。」
「止められないんだろう、その気持ち。なら、仕方ないじゃないか。
ワタルの色々考えている気持ち、伝わっていないわけがない。
それで友達なんて言えないだろう? ワタルはワタルのままでいればいい。」
ヤマトの言葉に、悩んでいたワタルは元気を取り戻す。

その翌日。タクヤは屋上から飛び降りる。

プロクト城・謁見の間

ワタル達は謁見の間を5人揃って訪れる。
パジャーユ火窟の奥に出現した魔法陣の奥に、魔王がいると伝えると、
クオンと共に討伐に向かう許可があっさりと出される。
あまりにもすんなり事が進んだため、拍子抜けした風なワタルに、
「それが、この世界を作った魔王の意思なのでしょう。
自分のところに来てほしいということですね。」
とアヤネは推測を伝えた。
謁見の間を退出する直前、国王がヤマトに問いかけた。
「汝が知っているのはそれだけか」
「はい」
と肯定するヤマトに、国王は念押しをする。
「あの娘と同じような精神の厄災を生むことはないか」
ヤマトは
「己の価値に無知な者は、過大評価する者よりも重大な役際をもたらす。
以前にそうおっしゃった続きでしょうか。
自分の価値は正しく理解いたしております。」
と、答えた。国王は何か言いたげではあったが、沈黙を守った。

謁見の間から出て階段にさしかかった時、スミカがワタルに釘を刺した。
「ワタル、忘れてないよね?」
「うん、ちゃんと話すよ。最初の魔王のことも、今の魔王のことも、
魔法陣の向こう側に行ったら。」
スミカは満足そうに頷いた。こうして一行は、パジャーユ火窟へと向かう。

パジャーユ火窟

最奥部にたどり着いた一行。
魔方陣の前で、スミカに促されたワタルは、約束通り魔王の正体を皆に告げた。
最初の魔王がワタルの祖父だと知り、驚くスミカとアヤネ、クオン。
「声が頭の中に聞こえてきて。
あの言葉は、あの声は、絶対にオレのじいちゃんだった。」
しかし、どうして祖父が魔王になってしまったのかはワタルにも分からない。
そして、ワタルはこの魔法陣の奥にいる魔王も自分の知っている人だ、と告げる。
クオンはそれに気が付いたから言わないでくれたのだと。
「この先にいる魔王は、いったい、どなたなのですか?」
アヤネに聞かれ、ワタルは第2の魔王の正体を明かした。
そして、自分の気持ちを皆に伝える。
「この先にいる魔王に、確かめたい、聞きたいんだ。
どうしてこんな世界をつくったのか。大切だからこそ、痛みを知りたいんだ。」
「あんたの望む答えは返ってこねえぞ。それでもか?」
とクオンがワタルの気持ちを確かめるが、ワタルの気持ちは揺るがない。
「クオンがオレにしてくれたことで、伝えたいことを見つけたんだ。」
ワタルは真っ先に魔法陣に乗った。

「なんで、ワタルの大切な人ばかりが魔王にならなきゃいけないの?
自分の大切な人が、魔物を生み出すようになるなんて、
そんなのあんまりじゃない……。」
と悲しむスミカを、ヤマトが励ます。
「今は目の前の魔王に集中しないと。大丈夫。ワタルなら乗り越えられるさ。」
それを聞いて元気を取り戻したスミカは、ヤマトと共にワタルを追った。

クオンと二人きりになったアヤネは彼に尋ねる。
「……ワタルさんの望む答えは返ってこない、どうしてそう思うのですか?」
「俺の生き方が、あいつに反するものだからだ。」
クオンは、やや自嘲気味の笑顔を浮かべる。
「この先にいる魔王さんは、きっと俺のそっくりさんだ。
正義や勝利の正論に叩きのめされてぐちゃぐちゃになっちまった。」
それを聞いたアヤネは優しい笑顔を浮かべた。
「……私、誤解していたみたいです。
クオンさんは、自分にも他人にも厳しい方だと思っていました。
この先にいるのは、この世界でクオンさんを排除しようとした方。
その方のお気持ちを、汲みとってさしあげるのですね。
もう少し自分にも甘くなってよろしいと思います。」
思いがけない言葉に、クオンはただこう返すのみだ。
「あんたが男相手にお喋りさんになる日がくると思わなかったよ。」
クオンとアヤネも皆の後を追った。

魔王の世界

魔法陣の向こう側──魔王の世界は、思いのほか美しい世界だった。
しかし、
「もやもやしたものが、こみ上げてくるっていうか。」
とスミカは違和感を口にする。
ヤマトは、「負の感情エネルギーが流れているんだろう」と推論を言う。
そして、こう続けた。
「位置でいうと、プロクトと世界の狭間の中間にある。
世界の狭間に溜まった感情の一部が流出しているのもあるんだろう。」
一連の言葉にクオンは疑念を抱くが、他の3人は何も気にならないようだ。
ヤマトはクオンの様子には気づかず、防御魔法を張って仲間の負担を減らした。
一行は魔王の世界を進んでゆく。

魔王の世界の奥にたどり着いた時、最奥部へ転移するための魔法陣を発見する。
中に入ろうとするワタルにクオンが声をかける。
「ひとつ聞いていいか。
この先にいる魔王を救うことは、あんたがここに来た原因、
それを生んだ人物の行動を認めることになる。
変な世界に吹っ飛ばされて、魔物と命がけの戦いをやらされて、
その裏で甘い蜜をすっている人間のやったことを、あんたは受け容れるの?」
ワタルは答えた。
「こうなることが目的だったわけじゃないと思うんだ。ただ幸せになりたかっただけで、大切な人を助けたかっただけで、魔物とか、戦士とか、
そういうのは、結果的にそうなっただけなんだって。」
そして、ワタルは笑顔を見せる。
「オレは皆一緒に幸せになりたいんだ。だから、ここにいることを後悔なんてしない。」
それを聞いて
「図太いお花畑らしい答えだな。」
と、相変わらずのクオン。
「今のお言葉もきっと、クオンさんなりのお褒めなのですよ。」
クオンの心中は、アヤネにはお見通しのようだ。
一行は歩を進める。

イカルガ

その頃のイカルガ。
避難所となっている学校の体育館では、ココロが生徒たちから責めたてられていた。
「てめえのせいでこんなことになってんだろうが!」
「てめえが変なことしたから、魔物とかいうのが出るんだろ!?」
ココロがワタルにオーブを渡して儀式をしたことが、周囲に伝わってしまったらしい。
「違う……! 私はただ、お兄ちゃんと一緒にいたくて……!
こんなことになるなんて……!」
と、ココロは必死に弁明するが、状況は変わらない。
タクヤとココロをゲス兄妹だ、人の心を持ってるとは思えない、
などと畳みかけ、ココロの気持ちを無視して、とことん追い詰める生徒たち。
「犠牲になった子が辛すぎて痛々しいわ。きっと今頃魔物にやられてあの世で──」
一人がそう言いかけた時。
「やめて!」
叫んだのはシマカだ。シマカはココロを後ろに庇い、生徒たちを睨み付ける。
「ワタルお兄ちゃんを悪口を言う理由にしないで!
ワタルお兄ちゃんは、皆で幸せになる方法を見つけるために
一生懸命戦っているはずなんだから。」

その時、何らかの力がココロに向かった。
それは、かつてアザリーに向かったのと同じ光だが、誰も気づいていない。

シマカは、怒りを生徒たちにぶつけ続ける。
「お兄ちゃんが、お兄ちゃんたちが、戦っているのをムダにするな!
自分が気持ちよくなるために、
他の人を嫌な気持ちにさせたら意味なんてないんだから。」
だがそのうちに、ワタルを心配する気持ちと不安が強まってしまったのだろう、
シマカの語気は弱くなっていく。
「だから、ワタルお兄ちゃんはかえってくるんだ。
シマカたちのことだって、置いていかない、忘れないんだから……。
戻ってこないなんていわないでよぉ……!」
とうとう泣き出してしまったシマカは、娘の様子を見に来た母親に縋った。
(どうしてよワタル。どうしてワタルはいつも、私に何も言わないのよ……!
……あの時からなの。あの時から、ワタルは、ずっと……)
娘を抱きしめる母の表情には苦悩が浮かんでいた。

場所は変わって、タクヤが行方不明になった魔法陣の前。
そこにはケイスケとユウジがいた。ユウジは、
タクヤは魔法陣の先にいるだろう、とケイスケに話した。
しかし、魔法陣の先へ行こうとして色々試しても、どうにもならないのだ、と。
疲れを見せるユウジを気遣うケイスケは、怒りを露わにする。
「ライバル校のやつらがここぞとばかりにユウジを叩きやがるもんな。
「妹を犠牲に天狗になってる戦士」とか何も知らずにほざきやがって。」
「そういう現場に遭ったら割って入らずにいられないのは、ケイスケ兄妹の共通項?」
ユウジがたずねる。
「ワタルは特にそうなんだ。あの時からかな。」
ケイスケは過去を語りはじめる。
ワタルの一家は、父方の家族と母方の家族の仲が悪かった。
母方の祖母が亡くなり、葬式をすることになったが、ワタルは参列できなかった。
父方の祖父が
「俺はあんなやつの葬式なんて行かんぞ」
と言ったためだ。
そこで、祖父を宥める役にワタルが選ばれたのだ。
ケイスケは長男、シマカは祖母が可愛がっていた唯一の女の子だったからだ。
「その経験がムダにワタルを家族離れさせた。自分を傷つけることで他人を救う。
手っ取り早い方法の味を占めやがった。その結果がこれだ」
と、さすがに辛そうなケイスケだが、表情を改めた。
「だからタクヤくんがそんなワタルにブチギレたなら、それは当たり前の反応だ。
ユウジがスミカちゃんのこと、いろいろ悩んでるのだって、参って当然だ。
だから、ちょっと力抜けって。」
とニヤリとするケイスケに、ユウジは決意を伝える。
「俺は生きるよ。生きて戦う。
スミカと次に会えた時、スミカが後悔しなくていいように」
二人は苦笑いを浮かべる。
「兄貴ってのは辛いもんだな」
「ああ、本当に」

魔王の世界・奥部

ワタル達は、魔王の世界最奥部へと到着し、第二の魔王と相見える。
「……伝えに来た。教えてもらいに来たよ。自分の気持ち、本当の気持ち」
ワタルが一歩前に出る。
「タクヤ!」
異形となったタクヤが言う。
「……いやなんだ。たったひとりの ともだちを 
ぎせいにして いきるなんて たえられない……!」
「犠牲なんかじゃない! タクヤのことが大切だから、タクヤに生きてほしいから!」
ワタルの必死の呼びかけにも、タクヤには届かない。
負の感情に飲み込まれ、魔王としての力を増していくタクヤ。
「きずついてほしくない たたかって いたいおもいをして 
そんなめに あわせたくない! 
まおうのちからを つかってでもいい 
たいせつなひトヲ タスケタイ カチノナイ ジブン ナンカヨリモ」
「タクヤ」
ワタルは武器を手にする。
「その言葉だけは、絶対に許さない!」

戦いは厳しかったが、ワタル達は第2の魔王に勝利する。
負の感情から解き放たれたタクヤは、人間の姿を取り戻し、我に返る。
「ワタル……? そうだ、こんなのやめよう。
もともと僕は死んでるんだ、ワタルが犠牲になる必要なんてないんだ」
「嫌だ。きけないよ。」
「どうして! 辛いんだ、苦しいんだ! 
自分なんかがのうのうと生きるなんて、胸が痛い、耐えられないよ!」
タクヤの血を吐くような叫び声にも、ワタルは首を縦に振らない。
「皆で幸せになるには、皆が生きていないといけないから。
オレも耐えられないんだ。タクヤを失う痛み。
今ここでタクヤのこと諦めたら一生後悔して、一生幸せになれないから。
生きるとき、幸せを探すとき、他の誰かの幸せとぶつかって、痛くなることもあるけど、その辛さは分かっているつもりだけど。
それでも、タクヤに生きてほしいんだ。」
タクヤも食い下がる。
「そこまでしてもらう価値、僕にはないよ。
この世界で分かっただろう? 
ワタルを護るというエゴのために、たくさんの人を傷つけた。存在を消そうとした。
ワタルと対等な関係であろうとした、あると思い込みたかった。
そのために、幻惑世界の中とはいえ、多くの兵士を苦しめたり……」
タクヤはクオンに眼差しを向ける。
「君は僕を恨んでいるだろう? この世界の中で殺そうとしたんだから!」
一呼吸おいてタクヤの正面に歩み寄ったクオンは、肯定する。
「そうだな。爆発魔法一発ぶちこみたい程度には」
「クオンくん!」
背後でスミカが焦るが、クオンはタクヤに笑顔を向けていた。
「血反吐吐いても恨まれても護りたかったってことだろ。
「なら、それでいい。やり方が曲がっていたとしても、
その思いが本当なら、間違いなんかじゃねえよ」
再びワタルがタクヤに語りかける。
「タクヤが生きること、幸せになること、間違いだなんて言わせない。
誰かの幸せを否定するなら、オレはそいつを許さない。
辛くなったら思い出してほしいんだ。最初の気持ち。幸せになりたい気持ち。
タクヤが忘れないでくれれば、オレも忘れないでいられる。
タクヤといる時間が、痛みに変わらずに済む」
その言葉に、タクヤはついに気が付く──というより、思い出したようだ。
「……そうだ。僕は救われてた。ワタルと一緒にいた時間に。
だけど、気持ちが行き場がなくなって世界から逃げ出したくて、
救いだったはずのワタルとの時間まで意味のないものだと思いこまないと、
生きるのを諦める決心がつかなくて……!
ごめん……! こんなことして、あの日、ワタルに何も言わないで、
自分で自分を殺したりして……!」

「謝るのはオレの方。気づくのが遅すぎた。
オレの理想をタクヤに押し付けていたから、
タクヤの気持ちの行き場がなくなって、世界からいなくなるしかなかったってこと。
タクヤの痛み、この世界でしっかり感じたのに、
その痛みから逃げさせないで、生きてくれって頼むんだから。
謝るのも、お礼を言うのも、オレの方。ありがとう。オレの幸せ、叶えてくれて。」
ワタルとタクヤのわだかまりは解けた。
しかし、現実的な問題に直面している。それを言ったのはヤマトだ。
「魔王として存在している以上、魔物を生み続けることになる。」
それはタクヤにとって不本意だ。大切な人を苦しめ続けてしまう。
その時不意に、タクヤの背後にココロが現れた。
「ココロ!?」
「お兄ちゃん……!?」
タクヤ兄妹も、そしてワタルも何が何だか分からない。
それを見ていたヤマトがポツリと呟く。
「アザリーさんの時と同じだな」
「嫌だ! また世界の狭間に追い出すなんて!」
ワタルは、タクヤとココロが、祖父とアザリーのように封印されることを察する。
「私、何をすれば……?」
ワタル達に問いかけるココロに、ヤマトが感情循環の仕組みを説明した。
「何かないのかよ、他の方法! 
誰かに全部押し付けて解決する、そんなのおかしいだろ!」
ワタルは納得がいかない。しかし、それを聞いたココロは封印されることを決心する。
「シマカちゃんの言うとおりですね。
「お兄ちゃんは皆の幸せのために戦っているんだ、
おにいちゃんを悪口の理由にするな」って。」
ココロは自分のわがままで多くの人を不幸にしたことを後悔していた。
だから次は、他の誰かの幸せを救いたいのだ、とワタルに自分の気持ちを話す。
タクヤも同じ気持ちだ、と言った。
「大丈夫。生きたいって気持ち、幸せな気持ち、ワタルが教えてくれたから。
だから死なないよ。自分の感情にだって負けない。
本当の気持ち、最初の気持ち、忘れないよ。
ワタルなら見つけられるよ、皆で幸せになれる方法。その時までは、僕が頑張らないと」
二人の決心は変わらない。ワタルの表情にも決意が浮かぶ。
「絶対見つけるから! こんな繰り返し、終わらせる方法!」
「うん。待ってるよ」
そして二人は、世界の狭間へと消えていった。同時に、空間魔法が溶け始めた。
クオンが皆に言う。
「空間魔法が解ける。本当のプロクトに戻るんだ。」
ワタルは
「絶対に見つけてみせる! 勇者と魔王の繰り返しを、終わらせる方法を!」
と決意し、空間魔法の中から脱出する。ヤマトも続いた。
スミカは、アヤネに呼びかける。
「アタシ達も探そう。幸せになりたいって気持ちが、誰かを不幸にする仕組みなんて嫌だよ!」
「はい。終わらせましょう、私達の手で!」
同じく決心をかため、アヤネも空間魔法の外へ出て行く。
後に続こうとしたスミカを、クオンは引き留める。
しかし、それにも関わらず、彼は彼女に背中を向けてしまう。
クオンが発したのは、次の言葉だった。
「……この世界が作り物なら。この世界でもらった言葉も、嘘になるのか。」
どうやら照れくさくて正面を向いて聞けないようだ。
スミカは柔らかい表情で答える。
「……あの時ね、ワタルの声が聞こえる前にね、誰かの声がしたの。
それまではね、なぐさめの言葉はアタシのものじゃないって思ってたけど。
初めて「スミカ」って呼んでくれて、それで、アタシに言ってくれてるって分かったの。
ありがとう。」
クオンに真実を告げ、感謝を伝えるスミカは笑顔だ。
「今の言葉も、雪原でかけた言葉も、アタシは嘘にしないよ。
この気持ちを諦める方法を、嘘をつく方法を覚えたら、
アタシ、きっと、誰のことも好きになれなくなるから」
スミカは先に脱出する。
一人だけになったクオンは、やや憮然とした表情をしている。
「やっぱり、爆発魔法ぶちこんでおけばよかった」
そして、その場にいないタクヤに声をかける。
「虐められて、追い詰められて、そんなあんたなら分かるだろうが。
救われた時の気のきいたセリフなんて用意できてねえよ、バーカ」
その表情は、キュコートス雪原で何とか「ありがとう」と言った時と同じ、なんとも照れくさそうなものだった。
その後心中で語られた言葉は、クオンの秘密だ。

――確かにここが、あんたのエゴのための世界でも。
ここで起こった出来事に、間違いなく救われたんだ。

それは偽りの終わり。もう、嘘をつく必要はない。

※ネタバレ注意※

考察 ※ネタバレ注意※

ページ容量の都合で、会話は別ページに載せています。
一括して見たい場合は、こちらに直接跳んでください。
考察の各項目最後からも掲載場所へダイレクトに跳べます。
17話は重要な会話が多いので、メインストーリー部分のものはノーカットで掲載しています。
完全なネタバレですので、ご注意ください。

ショートカット
プロクト城・謁見の間
パジャーユ火窟
魔王の世界
魔王の世界・魔法陣前
イカルガ・シマカとココロ
イカルガ・ケイスケとユウジ
魔王の世界・最奥部
第2章締めくくり
演出について

 

 

第17話のタイトル「ピンク・ジルコン」の宝石言葉は「苦しみからの救い」。
第2の魔王の苦しみからの救済が描かれる。
と同時に、苦しみから救済されるクオンの物語を締めくくる言葉ともいえるだろう。

冒頭回想・ワタル&ヤマト編

冒頭回想では、ワタルにも実は怖いという感情があることが描かれる。
15話の回想で、タクヤはワタルに
「自分も巻き込まれるって、分からなかったわけじゃないだろう!?」
と訊いている。
それに対しワタルはイエスともノーとも言わず、話題を変えて無言の逃亡をしていた。
その後のタクヤのモノローグ冒頭は、
「──正直、理解はできなかった。」
となっている。そして、
「あまりに当たり前のように言われたからだろうか。
僕はそれ以上、この話を続けられなかった。
頭が追いつかなかったんだと思う。
そんなことを言われたことがなかったから。」
と続く。(参考→15話重要会話
タクヤにしてみれば、質問の答えをはぐらかされて、
一方的にワタルの全体幸福論を押し付けられていたのだ。
ところが、偶然にも図書館で二人の会話を聞いてしまい、
「本当は怖いという気持ちを、ワタルは自分に隠していた」
タクヤはきっとそう思ったはずだ。
そしてヤマトの
「ワタルの色々考えている気持ち、伝わっていないわけがない。
それで友達なんて言えないだろう?」。
この言葉が止めとなり、タクヤはワタルの傍にいられなくなって、
自殺してしまう。
タクヤの自己肯定感が低くなければ、また違っていたかもしれないが……。

そして、ここでも出たのが例のセリフ。
「ワタルはワタルのままでいればいい」
回想シーンの中ではあるが、
そろそろ初見のプレイヤーも薄ら寒いものを感じているのではないだろうか。

※ 冒頭シーンの会話はこちら→冒頭回想・ワタル&ヤマト編
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冒頭回想・プロクト城・謁見の間

謁見の間での場面では、
「あの娘と同じ精神の厄災を生むことはないな?」
という、国王のヤマトへの問いかけに注目しよう。
あの娘とはアザリーのことである。
後のサブイベントで発覚することだが、国王はアザリーを気にかけていた。
(参考→サブイベント会話集の「お人形を届けて」)
ヤマトからアザリーと同じ匂いを感じるのだろう。
まだ明かされていないアザリーの根本的な「やらかし」は、
自己肯定感の欠如からくる、ワタルへの視野狭窄ともいえる執着から生まれたもの。
また、おそらく国王はアザリーが魔王とともに封印されたことをよく思っていない。
要するに傷ついている。
この他人を傷つける行為を「精神の厄災」と表現しているのだ。
自分の価値を正しく評価しないと精神の厄災を生むというのが国王の考え。
ヤマトは「正しく理解している」と答えているが、
その評価が間違っているのは、プレイヤー視点からは明らかだろう。
そして、ヤマトの答えに国王は納得していない。
国王の理論でいくと、ヤマトは後に精神の厄災をもたらすことになるのだが、
どうなっていくのか、見守ろう。

17-2.jpg

※ 謁見の間での会話はこちら→プロクト城・謁見の間
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パジャーユ火窟

パジャーユ火窟では、魔法陣に乗る前のヤマトのセリフに着目しよう。
どうしてワタルの大切な人ばかりが魔王にならなくてはならないのか、
自分の大切な人が魔物を生み出すようになるのはあんまりだ、というスミカに対して、
「今は目の前の魔王に集中しないと。大丈夫。ワタルなら乗り越えられるさ。」
と言っている。一見まともそうに見えるが、深く考えれば、話題を逸らしスミカの思考を遮っているということ。
このあたりは制作ブログで言われていた「人狼」の設定が生かされている、と考えることが出来る。

17-4.jpg

また、アヤネとクオンの会話が見どころ。
この世界の魔王はクオンのことを排除しようとした。それにも関わらず、
「そんな酷い奴が、ワタルの望むことを言うわけない」
というような反論を、クオンはしていない。それどころか、
「この先にいる魔王さんは、きっと俺のそっくりさんだ。
正義や勝利の正論に叩きのめされてぐちゃぐちゃになっちまった。」
と、魔王の苦悩を汲み取っているのだ。
ここでアヤネは、何だかんだで他人を見捨てられないクオンの本質に気が付く。
(※ クオンの本質については、制作ブログにて
「実はクオンが一番少年的な性格」と述べられていた。)
クオンの厳しさや屈折は「家族を護れなかった」という、自責の念から生まれたものであることも掴んでいるかもしれない。
そのうえで
「もう少し自分にも甘くなってよろしいと思います。
先ほどのワタルさんのお言葉も、素直に受け取ってよいものですよ。」
と言っているのだ。
そして、アヤネ自身も男性に対してのバリアがだいぶ薄くなったように思える。
これは
「あんたが男相手にお喋りさんになる日がくると思わなかったよ。」
とクオンが言っているとおり。

※ パジャーユ火窟での会話はこちら→パジャーユ火窟
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魔王の世界

魔王の世界へ転移した直後の会話では、ヤマトの
「負の感情エネルギーが流れているんだ。
位置でいうと、プロクトと世界の狭間の中間にある。
世界の狭間に溜まった感情の一部が流出しているのもあるんだろう。」
「こうやって、軽く防御魔法をかければ大丈夫だ。」
このセリフがポイント。
やはりというか流石と言うべきか、クオンは何かに気づいた様子だが……?
(※ 2枚目の画像でクオンの上に吹き出しが出ているのにご注目。
前回、パジャーユ火窟最奥部の解説で分かり易くほのめかしていた「頭脳明晰な”彼”」とは、もちろんクオンのこと。)

17-6.jpg

17-7.jpg

少しだけ言っておくと、ヤマトはここで多少ボロを出してしまっている。
ヒントをいくつか記載しておこう。
一見すると気づきにくいが、初めて聞く情報がいくつかないだろうか?
何故、すぐに適切な対応が出来たのだろうか?
ヤマトは、どこかで誰かから情報を聞いていなかっただろうか?
これを思い返してみて欲しい。

※ 魔王の世界での会話はこちら→魔王の世界
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魔王の世界・魔法陣前

魔王の世界、魔法陣前での問答は、本作のテーマに直結するもの。
誰だって最初から負の感情を持っていたわけではない。
最初は皆、ただ幸せになりたいだけなのだ。
「途中に発生する負の感情を自分の本心だと思い込まず、最初の気持ちを思い出そう」
というのが、本作のひとつの大きな主張だ。
例えばスミカの場合、最初の気持ちは「誰かの役に立ちたい」だった。
しかし、途中に「カインコンプレックス」「同級生の心無い言葉」など、負の感情を生み出す要素が発生してしまう。
(※ カインコンプレックス…兄弟姉妹の間でおこる憎しみや嫉妬などの葛藤のこと。)
それが原因で、スミカは自分を「承認欲求の塊」だと誤認し、
「役に立ちたいなんて嘘で、愛されたいだけの醜い心」を自分の本心だと思い込んでしまった。
教育的なメッセージが明確に描かれているのは、特にフリーゲームという媒体では珍しいのかもしれない。

他に軽く注目することは、
「図太いお花畑らしい答えだな。」
というクオンの答えにアヤネがフォローを入れていること。
(※非常に分かりにくいので翻訳すると、ワタルの答えを否定していない=ワタルの言うことを認めているということ。
つまり、アヤネの言うことは大正解。)
ここにきて、クオンとアヤネの関係が大きく変わってきたことが示されている。
ある種の絆が出来上がりつつある二人は、後の話で協力することになる。

※ 魔法陣前での会話はこちら→魔王の世界・魔法陣前
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イカルガ・シマカとココロ

イカルガのシーンでは、まずココロの台詞が先ほどのテーマ、
「途中に発生する負の感情を自分の本心だと思い込まず、最初の気持ちを思い出そう」
の復習になっている。
ココロは、初めから世界を滅ぼそうなどと考えていたわけではない。
兄・タクヤを大切に思うが故の行動が、結果的に魔物を呼び寄せてしまっただけなのだ。
また、ココロを囲む人々の構図は「正義や勝利の正論で叩きのめす」構図になっている。
パジャーユ火窟の会話でクオンが言っていた構図
──クオン自身が痛いほど味わってきたこと──の再現なのだ。
クオンとの大きな違いは、そこにシマカが駆けつけ、
「ワタルお兄ちゃんを悪口を言う理由にしないで!」
と、攻撃する側を糾弾することにあるだろう。
補完者が以前に解説した、
「上っ面だけの正義を振りかざすマスコミや世論への、
作者様の痛烈な批判ではないか」
ということは、このシーンを見ればある程度納得していただけるのではないだろうか。
余談だが、この中に割って入るシマカのメンタルは、年齢を考えればかなりの強者だ。
だが、ワタルと祖父の安否が分からず、不安で泣いてしまうのは年相応
……というか、当然ではある。

ここからは筆者の好みだけで語る余談だが、もしワタル兄妹とクオン兄妹がもっと早くに出会っていたら。
ワタル兄妹は、世間から疎まれるクオン兄妹を庇ったのではないだろうか。
シマカとマドカは同い年だと制作ブログで語られている。
マドカの傍にシマカがいたとしたら、もしかしたらマドカには別の道があったかもしれない。

もう一つ、ココロにアザリーと同じ光が向かったこともポイント。
この現象は、ある人物が無意識に行ったことで、
この光を受けた人物には、強制的にある役割が与えられてしまう。
この段階で応えを言うわけにはいかないので、ちょっとしたヒントを出しておこう。
ここまできても謎の多いキーワードが二つ、なかっただろうか?

※ イカルガ編・ココロとシマカパートの会話はこちら
イカルガ・シマカとココロ
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イカルガ・ケイスケとユウジ

ケイスケとユウジのシーンでは、
ついにワタルの全体幸福主義の原因となった出来事が語られる。
その原因とは、父方と母方の家族のイザコザだった。
詳細は後の回で出てくるので、今は割愛するが、
その結果、ケイスケがいう「手っ取り早い方法」をワタルは発見してしまったのだ。
それにしても、ワタル一家の抱える事情が妙に生々しいと感じたのは筆者だけだろうか。

補完すると、これが「ファンタジーの世界に現実の価値観を取り入れる」
ということなのかもしれない。
無界版のベクターレビューで、作者様がそう語っていた。
また、ブログにてこうも書かれている。
>自分は物語を通じてとにかく受け手を揺さぶりたい、読み終わった後に何かを残したいと思っているので、
>ついつい現実の価値観が前にでちゃうんですよね。ファンタジーの世界観だと他人事に見えてしまって……

また、ユウジの決意の言葉は、イカルガ編のひとつの答えになっている。
イカルガ編は「救われる側」に焦点があたる話だと、何度か解説してきた。
「俺は生きるよ。生きて戦う。
スミカと次に会えた時、スミカが後悔しなくていいように」
は、
「自分を救ってくれた人が、そのことを後悔しなくていいように、精一杯生きる」
という意味だ。
この一文だけなら「ありきたりな結論だな」と思うところだろうが、
ユウジの決意のセリフは、本作だからこそ意味のあるセリフなのだ。

※ イカルガ編・ケイスケとユウジパートの会話はこちらイカルガ・ケイスケとユウジ
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魔王の世界・最奥部

ここまでくれば、第2の魔王がタクヤだということを予想できた人は多いだろう。
タクヤはワタルを護りたいという思いが強かったため、この世界では
「ワタルに危害を加えると報いを受ける」
というルールができあがっていた。
タクヤの専門は空間系魔法で、魔法戦士ではクオンのみが察知できるもの。
空間魔法は面識のない人間であるほどバレやすいので、
タクヤの自殺後に転校してきたクオンには気づかれやすかったのだ。
(尚、クオン自身が空間系統の魔法を扱えることは、
以前に解説したとおり、チャットなどでサラッと明かされている。)
さらに「魔王の世界」は紫色のオブジェクトが並んでいる。
(下記画像参照)

17-1.jpg

加えて、パジャーユ火窟で空間魔法が作動した際の魔法陣は、紫色だった。

13-14.jpg

第1話から張り巡らされ、巻かれていた伏線と布石が、ワタルの「タクヤ!」で回収される。

この回では、戦闘勝利後のワタルとタクヤの問答に大切なことが出てくる。
「辛くなったら思い出してほしいんだ。最初の気持ち。幸せになりたい気持ち」
ワタルのこの台詞は、本作の主張(テーマ)のひとつが明確に出ている。
また、ワタルの
「気づくのが遅すぎた。オレの理想をタクヤに押し付けていたから、
タクヤの気持ちの行き場がなくなって、世界からいなくなるしかなかったってこと。」
というくだり。
実は、とっかかりは前回のパジャーユ火窟でスミカに言った台詞の中に既にある。
「……スミカ、前にオレに言ったよな。「変わらないことを望みすぎだ」って。
それってさ、オレが変わろうとしない分、誰かが犠牲になってるってことなのかな。」
それが、ここへきてハッキリ現れ始めたということだ。
理想の押し付けに気が付き始めたワタル。
その押しつけは、タクヤだけにとどまらず、一番大切な友達にさえも……。
これが次回以降となる第3章の議題となる。

現実問題を持ち出したのがヤマトなことも、大切なポイントだ。
とことんドライで、タクヤに対してはあまり気遣いがみられない。
タクヤ兄妹に感情循環の仕組みを淡々と説明する様は、まるで感情がないかのようだ。
他人には丁寧に優しく接する彼らしくない行動だといえるだろう。

17-25.jpg

初見では気が付きにくい点だが、改めてみるとヤマトの行動の異常性が見える。

また、ここではワタルとタクヤのやり取りに目が行きがちだが、クオンのタクヤへの対応も見どころ。
「君は僕を恨んでいるだろう? この世界の中で殺そうとしたんだから!」
というタクヤに対して「そうだな。爆発魔法を一発ぶち込みたい程度には(怒っている)」と述べたうえで、
それでも「タクヤの行動は間違いじゃない」とタクヤを許し、彼の気持ちを推し量っている。
これは公式でこのような見解が述べられている。

>クオンは色々あって捻くれていますし、
>だからといって許されるわけではないこともたくさん言わせました。
>だけど、その弱さがあるからこそ、
>「しょーがねえなー」と言って誰かに付き合ってやれるんだと思います。
>心の弱さから来る行動を許してやれるのってクオンだと思うし、それはタクヤ絡みで描写済みですし。

ハイスペックでイケメンという表側に目がいきがちだが、クオンの本当の魅力は、こういった人間臭さではないだろうか。

※ 魔王の世界・最奥部での会話はこちら→魔王の世界・最奥部
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第2章締めくくり

そして、今回で第2章(13~17話)は終了。
それに伴い、第2章の主役だったクオンの物語も一区切りとなる。
ラストシーンに、この章で最も大切なことが詰め込まれている。
まずは、スミカのこのセリフ。
「……あの時ね、ワタルの声が聞こえる前にね、誰かの声がしたの。
それまではね、なぐさめの言葉はアタシのものじゃないって思ってたけど。
初めて「スミカ」って呼んでくれて、それで、アタシに言ってくれてるって分かったの。ありがとう。」
これを聞いたクオンは初めて、自分(とアヤネ)の呼びかけがムダでなかったと気づき、ようやく誤解を解くことが出来た。
それは、「自分は誰も助けられない」というクオンの呪縛にも似た思い込みから、彼を解き放つ救済の言葉でもある。
そしてさらに重要なのが次のセリフ。
「今の言葉も、雪原でかけた言葉も、アタシは嘘にしないよ。
この気持ちを諦める方法を、嘘をつく方法を覚えたら、
アタシ、きっと、誰のことも好きになれなくなるから」
「この気持ちを~」は、第1章(1~12話)ではクオンの生き方を否定するために用いられていた。
しかし今は、「クオンへの感謝の気持ちや、雪原でかけた言葉(クオンを救った言葉)を嘘にはしない」
という、クオンを肯定する台詞へと変わっている。
作中でのクオンの変化が、この言葉の捉え方の変化にリンクしているのだ。

では、第2章の最後を締めくくる、クオンのモノローグを見てみよう。

──確かにここが、あんたのエゴのための世界でも。
ここで起こった出来事に、間違いなく救われたんだ。

これにより、タクヤの行動が肯定されている。
タクヤの創造世界で起こった、雪原での出来事に、クオンは救われたからだ。
タクヤもクオンも第2章では「救われる側」として描かれていた。
この二人は、ラストシーンにて行動を肯定されている。
そして第2章は「救われる側」を描く話だった。
つまり第2章イカルガ編は、「救われる側の肯定」の物語でもあったといえる。
言い換えれば「救われるに値しない、そんな人なんていない」ということだ。

次回からは第3章「完結編」に突入。
ここでついにヤマト、そしてワタルに焦点が当たることになる。
悲しい過去から生まれた、腹黒い感情が渦巻くヤマト。
全体幸福主義を押し付け、それを壊されないように無意識の逃亡を繰り返すワタル。
この二人が、ある事実の発覚をきっかけに、自身の欠点に向き合うことになっていく。

演出について

17話ラストでは、12話と同じBGMが使われている。
ゲームでのタイトルは「決心」となっていて、アザリーとワタルの祖父、
タクヤとココロ兄妹、そしてワタルの決意を抽象的に表現しているのだろう。
この曲の元のタイトルは「Prologue」で、有名な素材屋「Wingless Seraph」様で配布されている。
実はこの曲、対になる「Epilogue」が全く同じメロディーを使用しており、セットで使うと効果的、と配布元では紹介されている。
つまりこのメロディーは、プロローグでありながら、エピローグでもあるのだ。
面白いのは、魔コネでの使用シーンが第1章、第2章の区切りだということ。
次章でも裏テーマの区切りとなるシーンに使われている。
登場人物の心情を表現する手助けをしているだけではなく、配布元の意図した物語の結末としての意味も持たせていることになる。
偶然なのか意図的なのかは不明だが、演出に優れた作者様のことなので、計算されていたとしても全く不思議ではない。

※ネタバレ注意※

攻略

魔王の世界へはパジャーユ火窟を経由して行く。

フィールドチャット

「魔王の世界に行くには、パジャーユ火窟の魔法陣を通るんだよね。」
「魔王との戦闘になる可能性は高いです。
持ち物を確認しておきましょう。」

パジャーユ火窟

♪パジャーユ火窟(曲名:Volcano /配布元:Presence of Music)

最奥部の魔法陣に乗ると選択肢が出る
「先に進む」を選択するとイベントが開始し、魔王の世界へ移動する。
魔王の世界とプロクトは自由に行き来できる。

サブイベント情報

  • ピクシー大量発生
孤島のオアシスにピクシーが大量発生しました。
退治してください。
ポーレートから孤島への船が出ているはずです。

孤島のオアシスに大量発生したピクシーを対峙して欲しいという依頼。
ポーレートから船に乗って孤島へ行こう。
孤島の船着場すぐ右下にあるオアシスに討伐対象の妖精がいる。
クリア報酬は橙の欠片、緑の欠片、遊技場カードⅢ。

ボス攻略
ボス戦の攻略はこちら→オアシスピクシー
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尚、オアシス北に宝箱がある。中身は100.000coin。

※ サブイベント会話集に会話掲載あり
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  • 水の魔跡地
    島の南に水の魔跡地がある。
    ピクシー討伐の依頼(ピクシー大量発生)と同時にこなすと楽だが、
    パーティの成長具合によっては、一度孤島から出て
    回復やアイテム補充などする必要があるかもしれない。
ボス攻略
ボス攻略はこちら→オアシスピクシー
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※ サブイベント会話集に会話掲載あり
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魔王の世界

♪魔王の世界(曲名:recollecthions /素材集:Dignified Fantasy Music Vol.2)

初回訪問時、長めのイベントが発生する。
初回チャット時に各欠片を入手するので、早めに済ませておき、
必要なら魔装石を合成するといい。

チャット内容

「魔王のすぐ傍にいる魔物だからかな。
やっぱり強くなってる気がするね。」

──各欠片を5個ずつ獲得──

「魔装石も見直さねえと。
火窟までの魔物とは傾向が違うし。」

魔物の傾向から、物理耐性、闇耐性、転倒耐性、光攻撃の手段を用意しておくと攻略が楽になる。

ダンジョンにギミック等はなく、光の道を進んでいくことになる。
道は最初に左右に分岐するが、結局同じ場所に出る。
しかし、宝箱は左右両方のルートにあるので、全回収したければ両方行く必要がある。
合流地点についたらテレポレスで入り口に戻り、今度は最初とは逆の道へ進むと楽。

  • 宝箱の中身
    右回り:
    光強化++、物理耐性++、火傷付与攻撃++、幼竜の牙(5)
    左回り:
    転倒耐性++、闇耐性++、純血の雫(5)
    奥部:物理耐性++、闇耐性++、火傷付与攻撃++、光強化++、物理ダメ率減少++、
    転倒耐性++、ゴールドエリクサー

奥部手前に魔法陣があり、それに乗ると選択肢が出る。
「進む」を選択すると奥部へ移動する。
そこから魔王のいる最奥部まで、1本の道が延びている。
その道にはいくつかの宝箱があり、それぞれ強力な魔装石が入っている。
全て魔王戦で有用なもので、魔王戦の戦い方のヒントにもなっている。

最奥部につくと、イベント後に魔王戦となる。
魔王戦前には必ずセーブをしよう。
魔王を倒すと来られなくなるので、魔物図鑑を埋めたい場合は特に注意しておきたい。

  • 魔王戦の攻略はこちら→魔王・○○○
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