神戸

Last-modified: 2024-03-30 (土) 20:25:18
いつの間にか開拓使が所有していた謎多きイタリア産の牝馬。

1.基礎情報

馬名:神戸(こうべ)

性別:牝

父:不明

母:不明

毛色:鹿毛粕

生年:1861年(文久元年)

死年:1884年(明治17年)

産地:イタリア

2.解説

・イタリア産と言われている鹿毛の牝馬。輸入された経緯も良く分からず種別も不詳。なぜ「神戸」と名付けられたのかも良く分からない。

・とりあえず馬車を牽くために購入されたようだ。購入?誰がどこから…?うーん分からない。謎が多すぎる。

・函館大経は開拓使の命令により「函館」と「森村(現:森町)」の間を結ぶ馬車会所を明治6年9月に開設した。

・神戸はこの馬車会所で馬車牽きの労役を担っていたとされている。

・馬車会所の馬リストでは洋馬が3頭いる事が確認出来る。そのうちの牝馬1頭が神戸なのであろうか。リストには6歳と書かれているが、神戸が文久元年生まれであればこの時は12歳である。ちょっとサバ読み過ぎなんじゃないかなと不安にならざるを得ない。

・函館大経の苦心により開設されたこの馬車会所であったが、早くも翌明治7年の4月に閉鎖となってしまう。「函館-森村」間では短すぎたのかもしれない。

・馬車会所が閉鎖されたのち、神戸は七重官園に移送され繁殖の用に供された。

・そして明治17年に死亡。確認出来る産駒は明治11年生まれの「北星」号(父ドンジュアン)の1頭のみである。

・北海道における最初期の洋種牝馬ではあったが産駒数も飛花より遥かに少なく、繁殖牝馬としてもあまり成功しなかったと言える。

3.遍歴

・1861(B1):イタリアで生まれる。【以下全て資料1】

・年代不明:来日し、開拓使の所有となる。

・1873(M6):函館馬車会所に送致され、馬車牽きに供される。

・1874(M7):馬車会所が閉鎖。七重官園に移送され繁殖に供される。

・1878(M11):「北星(牡)」を出産。(父:ドンジュアン)

・1884(M17):死亡した。

4.資料


【資料1】Hippophile = ヒポファイル(54);2013・10
https://dl.ndl.go.jp/pid/11694796/1/14

神戸号は鹿毛粕、1861(文久元)年イタリア産。明治7年5月旧函館馬車会より(七重官園へ)移入。明治17年4月23日病死。5尺3寸5分。車種と書かれているがイタリアは主要馬産国ではなく、品種は判然としない。

洋種牡馬には次の4頭がいる。

一号 北星 鹿毛粕 11.3.10生まれ 父ドンジュアン 母神戸
(以下略)




【資料2】北方資料データベース
開拓使時代 2,6,12 (農業,牧畜,漁業) 149ページ
https://www2.lib.hokudai.ac.jp/cgi-bin/hoppodb/kyuki.cgi?id=0A011890000000000&page=149

馬車馬表
番号:一番
毛色:牝鹿毛
歳附:六歳
生国:亜米利加(*)
売値:450円

*イタリア産の誤りと見られる




【資料3】開拓使事業報告 第2編
https://dl.ndl.go.jp/pid/784404/1/206

7年4月 函館馬車会所を閉ち洋種1頭、国産17頭を七重に、同8頭を札幌に移す。