☆第1回
わたしはこの国の王女様なの。
で、なんだか今日は外がいつもよりにぎやかだなぁって思ったら、勇者様が今日、この国に戻ってきたらしいの。
この勇者様ってのは、今回北の国にいた魔王を倒しに行ってたらしいの。
うんっ、魔王を倒したってことは、その勇者様ってのはとっても強いんだろうなぁ…
わたしの旦那様になる人もその勇者様のように強い人がいい。
あっ、そうか。「ように」じゃなくってほんとに勇者様と結婚してしまえばいいんだ。
魔王を倒した勇者様なら、身分不相応ってことも言われないだろうし、みなさんも祝福してくれると思うからね。
あれ?
でもよく考えてみたら(よく考えなくても)わたし、その勇者様のこと何にも知らないのよねぇ。実は顔も見たことないし…
まぁ、魔王を倒した勇者様が帰ってきたってことは、凱旋記念パーティーみたいなのはするんだろうし、その時にお話とかしてみましょう。
つづく
☆第2回
ってわけで、勇者様の凱旋記念パーティーに顔を出してみたんだけど、まぁ第一印象としてはなんか『勇者様』っていうよりも
『勇者様の横にいる戦士様』って感じの筋肉むきむきな大柄のおじさまだった。
その勇者様と少しお話してみたんだけど、どうやら勇者様ってあんまり女性とお話したことがないらしくて、
わたしのちょっとした質問にも顔を真っ赤にして、一言ぼそりと返事をするだけなの。
なんかかわいい…
あの勇者様とだったら結婚するのも悪くないかも。
なーんて思ったりもしたんだけど…
その前に実際にこの目で勇者様の強さを見てみたいなぁ。
何か良い方法はないかなぁ…
なんて思っちゃってたのね。
「ではこうしませんか?」
つづく
☆第20回
そういえばお城の人たちはもうわたしがいないことに気付いたのかなぁ…
まぁここにきたこと自体は後悔してないんだよね。ここには全然人が住んでないみたいだから静かだし、魔王さんもわりとやさしい人(魔王さんだけど…)だし、その上強いらしいから。
まぁこれは勇者様がきたときに見せてもらうとして…
今日はゆっくりしようっと。
「王女様。着替えを持ってきたので、ここに置いておきますね」
ありがとうございます。
魔王さん帰ってきたんだ。それじゃあそろそろあがろうかな。
ざぱーっ。
…
しゃこしゃこしゃこ…
がらがらがらがら… ぺっ。
さてっと、歯磨きも終わったから今日はもう寝よっかな。
魔王さん、おやすみなさーい。
つづく
☆第21回
1日いろいろあったから、もう疲れて寝ちゃったの…
ちゅんちゅん。
ふわぁぁぁっ、よく寝た。
ん? あれ? なんかベッドがいつもと違うような…
あ、そっか。わたし、魔王さんのお城にお泊まりしたんだっけ。
なんか外を見てみたら、太陽がえらく高くまでのぼってるし。ってことはかなり寝坊したんだろうなぁ…
慣れないところで寝たのになんだかすっかりくつろいじゃってるし、わたしにとってこのお城はいごこちいいみたいだね。
そういえば魔王さんはどうしたのかなぁ? もう起きちゃってるのかな? 魔王さんの部屋に行ってみようかな。
ではさっそく着替えてっと…(魔王さんはわたしの持ってる服を全部こっちに持ってきてくれたんだよ)がさごそ。
はい、着替え終了。ではでは、さっそく魔王さんの部屋に行きましょう。
コンコン…
コンコンコンコン…
魔王さーん。
あれー、返事がないなぁ。まだ寝ちゃってるのかなぁ?
つづく