【年賀】ソロモン【1】
「皆の者、新年おめでとう! では、今年も聖獣たちに運気を占ってもらおう」 ソロモンは新年の祝賀行事として、決まって余興を行っている。魔術で三匹の聖獣を呼び出し、今年の国の動きを占ってもらうというものだ。ソロモンは動物と話す魔術をも身につけていた。 |
【年賀】ソロモン【2】
「まずは財運だ。貧しき国とならぬよう、これは必ず聞かねばならぬ」 ソロモンが呼び出したのはクジャクだった。クジャクは宝を持って空を飛ぶ鳥。この国では財運の象徴とされている。クジャクによれば、今年の国の財政は、贅沢をしなければ安泰との答えだった。ソロモンは、すぐに役人たちへ倹約を命じた。 |
【年賀】ソロモン【3】
「次は、大きな災いが起きぬか聞かねばならぬ」 二番目に呼ばれたのはネズミ。ネズミは天災が近づくと真っ先に逃げ出す動物。この国では災いの予兆を示すとされる。ネズミに聞くと、秋口に大嵐がくるという。ならば家屋を補強せねばならぬ。ソロモンは倹約令により生じる余裕をその費用にあてることにした。 |
【年賀】ソロモン【4】
「最後は戦の運だ、戦争に勝てるのかを聞かねばならぬ」 最後に呼び出したのは、戦の象徴である雄獅子だった。魔術により呼び出された雄獅子は眠っていた。ソロモンが問いかけても何も答えず、堂々と居眠りを決め込んでいる。これは、戦争が起きないというお告げだ。きっとこの一年は、安心して過ごせるだろう。 |