VIP/今北産業

Last-modified: 2017-09-02 (土) 22:00:00

……このスラング、知らない人が見たら何かの会社の名前にしか見えないのでは無いだろうか。
 
 

意味

/来たから/三行で/流れを説明してくれ」という文を略したスラングである。使用場所は主にVIP。「今北三行」という書き方もある。
VIPは2007年前後で流速が最も速い板であったため、
物凄い流速のスレッドに、「面白そうだけど>>1から読むのめんどいから最初から見てたやつ何が起こったのか誰か説明してくれ」という意味合いで書き込まれていた。VIPや2chの外部では、ねとらじ?したらば?とかでもよく見かけた。peercastやWME?を利用した個人配信のしたらばで使われてたかどうかは(知ら)ないです。

発生

初出は全く不明だが、お礼は三行以上で?日本ブレイク工業?ゴランノスポンサー?定礎?月極?この先生きのこるには等の他のスラングも発生に関わっていたと推測される。

応答と派生

「今北産業」に応答する際には、本当に三行で流れを説明するのではなく、
 
113 以下、名無しに変わりましてVIPがお送りします 2007/09/02(土) 21:13:37.77 ID:Nn0cAzGA
今北産業
 
121 以下、名無しに変わりましてVIPがお送りします 2007/09/02(土) 21:14:33.77 ID:T0k1amEe
>>113
>>1
家が
大混乱
 
135 以下、名無しに変わりましてVIPがお送りします 2007/09/02(土) 21:15:33.37 ID:Nn0cAzGA
>>121
把握した
 
……のように、3行どころか3文節程度で返信するのが普通であり全く返答になっていない。
だがそもそも「今北産業」と書き込む側もその程度の答えしか期待していない。時は2007年、まだ引きこもりがインターネットを制圧していた時代。「今北三行」は謎の連帯感を生み出す「お約束」とか「仲間内でだけ通じる符牒」みたいなものの一つでしかなく、それで十分だったのである。お礼には「把握した?」か「把握」と書き込むことが多い。
 
ちなみに当時のVIPやしたらば?で使われていた他の単発ID?による初カキコ?には、おいすー?、今北、等が存在した。
 

衰亡と消滅

しかし2017年9月、今や「今北産業」という言葉はすっかり消滅し、聞くとしてもせいぜい「今北」くらいになってしまった。それどころか、「今北」という言葉すらめっきり見なくなった。
これには明白な理由が挙げられる。2007年以降のインターネットの大きな2つの変化である。
それはtwitterニコニコ動画の誕生、そして爆発的普及である。
 
twitterは2010年程度になるまでIT系のやべーやつ?が利用する場所でしかなく影響力は非常に小さかった。それよりも2007年当時に圧倒的に多大な影響を及ぼしたのは、ニコニコ動画であった。
 
皆さんご存知の通り、ニコニコ動画には1行しかコメントが出来ないのである。*1このため、今北産業というスラングそのものが実質的にニコニコ動画内で機能を停止した。また、ニコニコ動画では基本的に安価?を貼れないので*2、今北産業したところで産業してくれる人*3がいないのである。
こうしてニコニコ動画では「今北三行」は無くなり、後にニコニコ生放送が実装された時に「今来ました」という意味で「今北」だけが残った。しかし当時のニコ生と言えばIP?*4すくつ?であり、利用したユーザーは殆どいなかった印象を受ける。
 
そして「今北」すらもネットの海を生き延びることは出来なかった。何故なら「わこつ」が存在していたからである。
「わこつ」は「おじゃす?*5」ほどメジャーではないが主に2chの実況系の板で使われていた単語でもあり、更にあの時代にニコ生なんかにわざわざ見に行くからには敬意か何かしらを抱いている人間が配信しているわけであって、「今北」等と挨拶するのはやや失礼にあたるため、「わこつ」に「今北」はすぐに取ってかわられてしまった。
 
また、twitterが流行ってからも、「今北産業」は使われなくなった。改行することこそ可能であるが*6、誰も改行なんてしないからである。そもそも「スレッド」という概念が消滅した時点で「流れ」等というものが存在しないのである。
 
こうして「今北産業」も「今北」も見なくなり、唯一の生き残りは「今沖田?だけになってしまった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
それでも私は生放送に入る時、今でもコメントするのである。「わこつ」ではなく「今北」と。
いつかきっと、ねとらじの時代がまた復活することを祈って。しねえよ


*1 ※実はニコニコ動画が誕生してから数日の間のみ、コメント欄の行数は無制限で、アスキーアート等をそのまま貼り付ける事も可能だった。ありとあらゆる動画にひろゆき?のアスキーアートを貼り付けたりクマー?のアスキーアートを貼り付けたり麿呂?のアスキーアートを貼り付けたりして動画が見えなくなるというわけのわからなくない事態に発展したためこの機能は数日で廃止になった。当時コメントオフ機能があったかどうかは覚えていない。余談だがこの時代のニコニコというのは(β)ですらなく(仮)の時代であり、回線をyoutubeから無断で引っ張っていて怒られたというやべー時代である。アニメ等も普通に丸揚げされていた。
*2 チャットルーム動画やコマンドテスト動画では分数と秒数を安価代わりにして会話する事があったが
*3 「産業してくれる」というのは「三行で流れを説明してくれる」ということ。
*4 多分暫くページを作らないと思うので脚注しておくが、IPとは一般ピーポー、非VIPPERの略
*5 お邪魔します。ゼロ年代インターネットを生きていない人間にはわからないだろうが、当時は今ほどエンコード技術や配信サービスが発達しておらず、せいぜいあるとすればpeercastのようなP2P形式の配信ツールであり、画面配信をしたい場合には個人個人が上り回線を使って画面を配信する必要があった。更に、大抵の場合、当時の通常の家庭環境では10枠が限界である。10人しか見れないのである。この10人の中に大規模の鏡さん?を呼んで40人枠を増やしたり色々な手段が講じられていたが、いずれにしても当時、「配信を見させていただく」というのは大変ご迷惑をおかけする行為だったのである。このために「お邪魔します」という言い方を我々はしたのであった。
*6 初期のtwitterって改行出来たっけ?よく覚えてない