世界観/スカベンジャー

Last-modified: 2019-12-31 (火) 19:24:16

主に動物遺体を専門に食する生物のこと。腐肉食動物とも。
「Scavenger」は英語で掃除人を意味する。

概要 Edit

  • 動物遺体や他の肉食生物の食べ残し、生物の糞を主食とし、あるいは依存する生物。
    落ち葉などの植物遺体をも主食とし還元する生物は分解者*1と呼び区別される。
    とはいえ、これらは厳密な定義や区別が難しい概念でもある。
  • 遺体に群がるせいか負のイメージを持たれがちだが、死骸を解体し自然に還る手助けをするため、
    生物界においては無くてはならない重要な役割だと言える。
    またスカベンジャー本人からすれば、狩りに伴うエネルギーの消費や負傷するリスクを抑え、*2
    容易に食糧を確保できる手段と言える。腐肉食は自然の理にも生物の理にも適っているのだ。
  • このように極めて有効な生存戦略である腐肉食だが、当然と言うべきか難点も存在する。
    腐肉を食べた際に腹を壊すことへの耐性自体は基本*3なのだが、それ以外にも課題は多い。
    • まず食料となる動物遺体を、狩猟のように任意のタイミングで確保できないことが挙げられる。
      これは、生き物はいつか死ぬため死骸が絶えることは無いが、その場所や時期が不安定なため。
      スカベンジャーたちが今にも死にそうな生き物の周囲に群がるのは、そんな切実な事情がある。
      例えお腹が空いても狩りをする能力が乏しいために、そうしなければ生きられないのであろう。
    • 次に、死骸は雑菌の繁殖などで腐敗すると不衛生なので、触れると病気の元になること。
      例えば後述のハゲワシやコンドルの頭が見事に禿げているのは、死骸に頭を突っ込んだ際、
      羽毛に腐った血液や肉片などが染みこんだり付着したりしないための適応と言われている。
      彼らはストレスや加齢でハゲている訳ではない。進化の過程で必要に駆られて禿げたのだ。

現実におけるスカベンジャー Edit

  • 現実世界ではハゲワシやコンドル、シデムシ、グソクムシ、ヌタウナギなどがそれにあたる。
    • ハゲワシとコンドルは、全く別の大陸で進化*4を果たした鳥である。ちなみにハゲタカと言う鳥は居ない。*5
      両種はともに死骸のみを食べることに特化した形態を持っており、それ以外の狩猟行動は基本的に行わない。
      そのため、ほぼ腐肉だけを主食する彼らはスカベンジャーと称して相違ない生態の持ち主であろう。
  • 小型甲虫であるシデムシの多くは、同じ腐肉に群がるウジ等を捕食することもあるが、それも死骸ありきの行動で、
    幼虫を育てる肉団子も腐肉で作り出すなど、何をするにも死骸と腐肉無しでは成り立たない種が多く存在する。
    このように、生活のほぼ全てを動物遺体に依存している種に関しても、紛うこと無きスカベンジャーだと言えよう。
    とは言えシデムシにも上記以外の生態を持つ種が少なからず居るので、全てを一括りには出来ない。
  • 蝶は花の蜜や樹液、果実を吸うイメージが強いが、
    タテハチョウ科は特に生物の死骸から出る体液や糞を好んでいる。
    自身の唾液や尿をかけて糞をドロドロに溶かしそれを吸う。
    タテハチョウにとっては糞も貴重な栄養源であり、死骸や糞に含まれるアンモニアなどの物質を摂取している。
    これに関してもスカベンジャーの一種としても言えなくもない。
    • グソクムシ・ヌタウナギなども含む鯨骨生物群集*6を形成する深海の生物には、
      やはり沈んできた死骸に依存する種が多い。これは餌となる有機物の乏しさに由来しており、
      深海に沈んだ動物遺体を最大限利用しなければ、生きることも覚束ないからであろう。
      ただしこの両種も、ごく小さな生物や弱った生物に齧り付くことはあるようで、
      腐肉食の傾向が目立つものの、時と場合によっては捕食も行うと言われている。
  • 基本的に肉食動物は生きた獲物も腐った死骸も別け隔てなく食料とみなし、
    頂点捕食者であっても腹が減っていれば屍肉や腐肉をあさることは珍しくない。
    例えばライオンは狩猟も行うが、ハイエナやヒョウから屍肉・腐肉を横取りすることも多い
    また、槍や石器を用いて動物を狩る狩猟民族というイメージを持たれがちな古代人類についても、
    「生物の死骸を漁り、動物が砕けない骨髄を石器で割って食べていた」という説があったりする。*7
    何であれ、自然界において屍肉・腐肉を食べるという行為自体はそれほど珍しいものでもないのである。
    • ただしライオンも太古の人類も、全きスカベンジャーとは言い難い。
      何故ならライオンも人類も狩猟能力を持ち、積極的に獲物を仕留めることも少なくないからである。
      上述もしたが、本格的な(つまりこの項で紹介する)スカベンジャーに関しては、
      そもそも狩猟する能力はおろかその意思さえ持たないこともままある。
    • ちなみにライオンが腐肉食になりがちなのは、個としての力の強さに加えて群れを成しているがために、
      他の獣より死骸を占有するのが容易く、その戦闘力でもって他者から獲物を奪い易いことによる。
      頂点捕食者であるがゆえに戦わずして勝てるからこそ、死骸や腐肉を口にする機会も多くなるというわけである。
      こういった事例は、捕食者を多数擁する生態系においてはまま見られる。
  • なお、一般的にスカベンジャーと呼ばれることが多い動物としてハイエナが挙げられるが、
    ことブチハイエナは自ら獲物を狩ることも多く、狩猟は動物の中でも得意な部類に入る
    特に殆どの種は強靱な顎で他の動物が食べ残す骨をも噛み砕いて食べることが可能で、
    またブチハイエナに関しても、水中や泥中に仕留めた獲物を保存することがあるため、
    死肉・腐肉を漁るという現在のイメージは、その辺りから流布・定着したものであろう。
    というわけで、ハイエナがスカベンジャーそのものかというと実はそうでもなかったりする。*8
    そもそもハイエナ自体、種類によっては食性も生態もだいぶ異なるので一緒くたにはできない。*9
    ハイエナと呼ばれる生物のうちに、スカベンジャーとして活動するものが居るということである。

MH世界におけるスカベンジャー Edit

  • MH世界ではガブラスラドバルキンギィギウロコトルクンチュウなどがこう呼ばれる。
    とは言えギィギやウロコトルは、ガブラスと異なり積極的に捕食を行うことも多く、
    また共にモンスターの幼体であるため、成長するにつれ生態や食生活も変化する。
    なおクンチュウもスカベンジャーであると同時に分解者の側面も持ち合わせている。
    このため、厳密な意味でのスカベンジャーは(モンスターとしては)ガブラスとラドバルキンくらいである。
  • MH4以降のガブラスは、スカベンジャーとしての生態がより強調されており、
    ハンターが他のモンスターを討伐すると、その死骸に群がる様子が見られる。
    同族の死体にも平然と喰いつくその姿に嫌悪感を抱くハンターは少なくないが、
    上記のように労せずして食料を確保出来るため、自然界では有効な手段なのだ。
    何れにせよ、生きるのに必死なモンスターたちからすれば余計なお世話であろう。
    物欲センサーに引っかかって周回させられまくり気が立っているハンターには八つ当たりで狩られてしまうことも多いが
    • 本種の滑らかな皮膚は、羽毛や鱗に不潔な肉片がこびり付かないようにするため、
      長い首と小さな頭は、大型モンスターの死骸により深く突き込めるようにするための
      適応だと見ることも出来る。上記のようなハゲワシやコンドルに近いかもしれない。
      蛇モチ-フだからそのまんま蛇っぽくしただけという可能性は無きにしも非ずだが。
    • ガブラスが古龍の周囲に群がっている理由も、スカベンジャーの生態ゆえと思われる。
      圧倒的な力を持つ古龍の側なら、彼らが作り出す死骸のおこぼれに預かれるからだ。
      そうして強者に纏わり付いた結果が「災厄の使者」なる仇名を奉られた所以であろう。
      • 砂地にしか生息していない為印象に残り辛いが、デルクスもガブラスと似た様な生態をしている。
        MH4でガブラス共々ダレン・モーランのムービーに登場しているのがいい例だろう。
        こちらは「(古龍以外を含む)大型モンスターとハンターが対峙している場合のみ攻撃的になる」、
        というより狡猾な性質をしている。
  • ラドバルキンは、動物遺体のさらに骨にのみ依存するという風変わりな存在である。
    縄張りへの侵入者は排除しても、生きた獲物や骨以外の部位には見向きもしないため、
    完全なスカベンジャーと言って構わないだろう。
    大型モンスターとしてはかなり珍しいケースに見えるが、
    これは本種が死骸が絶え間なく供給されては骨になるという瘴気の谷の特殊な環境に適応した結果である。
    空から降るか地面から生えるかの違いはあれど、大量に存在する動かない食料源として捉えれば
    骨は草木と同じようなものであり、見方を変えれば大型草食動物と同じような生態と言える。
    • ちなみに誰もが見向きもしない骨を食べるという生存戦略は、上記のハイエナに通じるものがある。
      尤も彼らとて流石に骨だけを食べてはおらず、主成分のカルシウムも殆どが糞便として排出される。
      そんなハイエナの糞は含有するカルシウムが由来で白亜のように真っ白だと極一部で有名なのだが、
      骨を偏食するラドバルキンの糞が、果たしてどんな色艶をしているのかは気になるところである。
  • クンチュウは少々特殊な生態を持つが、概ねスカベンジャーと呼んでも差し支えない。
    彼らの主食は動物遺体やモンスターの老廃物、腐葉土などであり、狩猟行動は行わない。
    モンスターに飛びついて老廃物を摂食するのも、捕食や吸血などとはやはり異なっている。
    これらの行動はコバンザメなどに見られる片利共生*10にも通じる生態であるが、
    見られるのが上位の個体のみであり、スカベンジャーの条件からかけ離れたものでもない。
    • ただ前述したように、彼らは腐葉土のような植物遺体を主食とする面も多分にあるため
      スカベンジャーであると同時に、分解者であると定義することも出来ると思われる。
      或いは、腐肉や動物由来の有機物を主食とする傾向の強い雑食生物とも言えるだろうか。
  • 先述の通り、ウロコトルとギィギに関してはガブラスとはやや事情が異なっている。
    幼体時はもちろん、成体であるアグナコトルギギネブラも腐肉食を行うことはあれど、
    ガブラスほど動物遺体に依存したり、腐肉食に特化した様子が見られないのである。
    • ウロコトルは、他のモンスターの死骸や食べ残しを骨も残さず食らうという。
      反面、自ら狩りを行い小動物や虫系モンスターを仕留めることもままあるため、
      より厳密には腐肉食傾向の強い狩猟動物と言った方が正しいと思われる。*11
      また彼らは幼体の段階であるため、生涯に亘って腐肉を主食にする訳では無い。
    • ギィギの場合もウロコトル同様、成長するに従って狩猟動物の色が濃くなっていく。
      加えて幼体時でも他の生物へと襲いかかり、生き血を吸って肥大化することから、
      吸血動物としての側面も持ち合わせており、腐肉食とはまた異なった生態を持っている。
    • そして成長した暁には、生態系において上位に位置するであろうその力を以てして、
      供給の不安定な死骸を頼るよりも、己の力を恃みに新鮮な肉を作り出す方が早い。
      以上の事柄から、彼らが死骸を解体し腐肉を摂食するという傾向を考慮した上で、
      更に成体と区別してもなお、スカベンジャーと呼ぶのは語弊が生じると思われる。
  • モンスターではないが、MHWorldでは「ニクイドリ」と呼ばれる鳥類の環境生物が存在する。
    ニクイドリの周辺に討伐後ないし捕食跡のモンスターの死骸があると、
    ニクイドリの群れが死骸に集まり餌としている光景が見られる。
    ニクイドリに分解者としての性質があるのかは不明で、スカベンジャーとしての性質がより強いものとなっている。
    • MHW:Iで復活したイャンガルルガはそのニクイドリを追い払って死骸にありつき、
      それが痕跡として扱われる。
      これは力が弱く自ら狩猟出来ないから…ではなく、イャンガルルガが狩りを不得手としている為である。
  • 同じくMHWorldにて、「スカベンチュラ」という実にそのまんまな名前の環境生物もいる。
    瘴気の谷に生息する小型のクモ(といっても現実世界準拠で見ればかなりの大型だが)で、
    こちらはモンスターの死骸に群がる訳ではないが、採集ポイントである骨塚付近に現れる。
  • モンスターの中には、疲労時に腐肉を食べることでスタミナ回復を図るものもいるが、
    彼らの殆どは自発的に獲物を仕留めるため、前述した通りスカベンジャーとは呼ばない。
    なおこの事例から、狩猟動物の一時的な腐肉食はモンハン世界でも珍しくないことが判る。
  • 設定上、小型モンスターを狩ったあとの死体が消滅するのも彼らの仕事によるものだという。
    全体的に、甲虫種や甲殻種などの特に小さいモンスターは(比較的)消滅までの時間が短く、
    アプトノスなどのように大きな図体を持つ連中はそれなりの時間、屍を野に晒している。
    視覚的にはわからないものの、いずれも「食われて」消えることを反映しているのだろうか。
    こんな細かいところにも、モンスターハンターにおける自然の摂理を感じさせる要素があるのだ。
  • ちなみに、大抵の場合、剥ぎ取りを終えた死体は速やかに空へと消えてゆくが、
    剥ぎ取らなくても一定時間で消滅する。エリア内の小型モンスターの数には限りがあるので、
    通常は1匹消滅するごとに新たなモンスターがリポップする仕組みである。
    特に厄介なランゴスタ等の甲虫種やブルファンゴなどに限って消滅が早く、
    あたかも倒したそばから復活したかのように感じられる。
    しつこさと鬱陶しさは死後もまた健在である。

余談 Edit

  • モンスターハンター:ワールドに登場するフィールドのひとつ、瘴気の谷は、
    モンスターの屍肉や骨が積み重なる場所であり、有機物を食料とするバクテリア「瘴気」が漂い、
    死骸を求めて徘徊するモンスターが数多く出現するという。そのため、この谷に生息する生物は
    少なからずがスカベンジャー、或いはその要素を多分に有しているということになるだろう。
    先述したラドバルキンもこの地に生息するモンスターである。

関連項目 Edit

フィールド/瘴気の谷 - スカベンジャー中心の生態系を構築している。
フィールド/死骸
モンスター/ガブラス - モンハン世界における代表的なスカベンジャー。
モンスター/ラドバルキン - ガブラスに続く生粋のスカベンジャー。





*1 分解者は、生態系における植物などの生産者、それを食べる動物などの消費者に連なる概念。スカベンジャーは消費者の形態のひとつである
*2 作中でのハンターがそうであるように、狩猟というのは莫大なスタミナを消耗し、獲物の反撃で自らが傷つき死に至る危険が常に付きまとうのである。狩猟であれ漁撈であれ、現実の狩人や漁師が罠を使うのはそのリスクとコストを極力抑えるための工夫と言えよう
*3 それくらい内臓や免疫機構が頑丈でないとスカベンジャーはやっていられないのだ。それでも病気にはなろうが、野生動物には死の危険が常に付きまとっているので、明日の病気を気にするより今日の飢えをどうにかしないとならない切実な事情がある
*4 同じような生態を持つ別の生物同士が、似たような形態や能力を獲得することを収斂進化という。イルカとサメが代表的だろう
*5 ハゲワシやコンドルの俗称として用いられることはあるが、正式名称ではない
*6 げいこつせいぶつぐんしゅう。深海底に沈降したクジラの死骸に群がり、それが骨になった後に独自の小さな生態系を構築する生物の集まり。グソクムシやヌタウナギはこの初期段階である沈降直後に、死骸から腐肉を食らい骨だけにする役割
*7 なおその説では、人類が誇る長距離移動能力も、死骸を速やかに発見するために発展したと主張している
*8 ブチハイエナ以外の現生ハイエナうち、カッショクハイエナは死肉漁りの方が多い。シマハイエナは獲物も屍肉も果実も食べる雑食で、もう一種のアードウルフは昆虫食がメインである
*9 ハイエナはハイエナ科の生物の総称であり、一括りにするのは同じイヌ科のオオカミとキツネとタヌキを同一視するくらい不適当であろう
*10 片方だけが利を得る共生のこと。コバンザメは大きな魚や鯨などのおこぼれを預かるだけである
*11 生態的地位に差異はあれど、現実世界で言うならライオンがその類である