世界観/五匹の竜の話

Last-modified: 2023-12-07 (木) 22:01:54

MHWorldにて初登場した伝承。おとぎ話として知られている。
の話」であり、「頭」「龍」と書くと誤りである点に留意されたし。

目次

概要

  • MHWorld世界に伝わる伝承。世界の成り立ちを示したおとぎ話の一つとされる。
    島に姿を変えてしまった"五匹の竜"と、その理由を訊ねに海を渡った"青年"が主軸となる。
    MHWorld作中では「新大陸古龍調査団」所属の人々から事ある毎に触れられており、
    古龍調査団自体のエンブレムにもこのおとぎ話に登場する「五匹の竜」が描かれている。
    • 作中にて頻出する「導きの青い星」の出典もこのおとぎ話となっている。
      物語の中では竜の一匹が青い星へと姿を変え、それを目印として青年は海を渡っている。
      この青年を「古龍渡り現象解明のため海を渡った調査団」と置き換えている訳である。
      調査団エンブレムの中央上部にも星の意匠があり、左半分は共に進む星々が描かれているが、
      これも目印となる星、および同じ目標を目指して進む調査団の在り方を描いたものであるらしい。
      • 調査団エンブレムが「五匹の竜の話」を基にしたことは相棒の編纂者から聞ける。
        彼女いわく元1期団の祖父から何度も聞かされていたらしく、馴染み深い話であるようだ。
        一方、世界全体における知名度については判然としない部分がある。
    • なお、MHWorldストーリー中ではNPCの口から頻繁に関連するセリフを聞けるものの、
      システム上プレイヤーが読むことは強制されておらず、むしろ少し判り辛い場所に用意されている。
      進行度が進むごとにNPCと会話するような世界観重視のプレイヤーならともかく、
      任務クエストを優先して進めている人は「青い星とは何?」と疑問に思うだろう。
  • 一期団船にはこの話を基にした「五匹の竜の間」が船室に設置されている。
    一期団船はトラブルによって岩の上に打ち上げられ、大きく損傷してしまったが、
    現在は調査拠点アステラの最上層、集会所「星の船」として利用されている
    五匹の竜の間は健在であり、今でも美しいガラス工芸をみることができる。
    このガラスには「五匹の竜の話」が描かれており、ロード画面でも見掛けることがある。
    集会所からプレイヤーもこの部屋へと入ることができる。
    各種カウンターがある酒場フロアと同じ階層にある船尾側、両隣を上り階段に挟まれた部屋がそれ。
    ここからは各種マイハウスへと移動できるが、「五匹の竜の間」を選ぶと赴ける。
    中には「物静かな四期団」が滞在しており、彼からは調査団各期団の旗印の由来なども聞ける。
    また、彼いわく誰も居ないタイミングを見計らって調査団総司令が一人で訪れているらしい。
  • ストーリーを進行すると開放される特等マイハウスはここを改装したものであり、
    グレードアップすると見た目が変わってしまう。
    そのため集会所から五匹の竜の間には入れなくなる*1
    特別任務『異世界からの来訪者』や一期団メンバーを中心とした会議ではここが使われるため
    「五匹の竜の間」に戻った部屋が見れる。
  • 主人公(プレイヤー)もこの「五匹の竜の話」をおとぎ話として読むことが出来る
    前述の「五匹の竜の間」最前列左席に置いてある本に記されているため集会所解禁直後から読めるほか、
    特等マイハウスが解禁されると、ベッドの枕元に置かれた本から読むことが可能。
    • この物語を読んでいる間は専用のBGM「五匹の竜の物語」が流れる。
      物語に集中しがちであるが、BGMに耳を傾けてみるとメインテーマのアレンジであることがわかる*2
      ただ、特徴的でもあるサビ部分は一切使われておらず、星の輝きを思い起こさせるイントロ部分と、
      アステラのBGMにも用いられている勇ましい曲調の序盤部分の2箇所しか用いられていない。

全文

「おとぎ話を読む」

むかしむかし、白いせかいのまんなかに、
五匹の竜と人々がくらしていました。
そこには、太陽と、永遠のときだけがありました。
永遠のときのおかげで、人々はなにも失いませんでしたが、
なにかを得ることもありませんでした。

あるとき、はじまりも終わりもないことを
ふしぎに思った人々が、
竜たちにそのわけをたずねました。
すると竜たちは、口から水をはいて海と空をつくり、
泳いでいってしまいました。

五匹の竜は、海のまんなかへとたどり着き、
体を島に変えました。
一匹は、海にしずんで陸となりました。
一匹は、空を見上げて山となりました。
一匹は、うずくまって湖となり、うろこは雨となりました。
一匹は、眠りについて森となりました。
そしてさいごの一匹は、空にのぼって青い星となり、
島の真上でかがやきました。

人々は、竜たちがなぜ島にすがたを変えてしまったのか、
どうしてもわかりませんでした。
やがて、一人の青年が、竜たちにそのわけをたずねようと、
質素な外套をまとって、冥い海に小船をだしました。
ついに青年は、青い星をたよりに、
竜の島へとたどり着きました。

しばらくたってから、青年がもどりました。
人々はたずねました。
「やあ、竜たちに会えたか」
青年はこたえました。
「ああ、竜たちに会えたよ」
さらに人々はたずねました。
「では、竜たちが島に変わったわけはわかったか」
しかし、青年はそれにこたえず、
外套から竜のかけらを五つ、とりだしました。
そして、人々にかけらをわたすと、
どこかにいってしまいました。

人々は、白いせかいをでて海にゆき、
五つのかけらから
大きな陸を、山を、湖を、森をつくりました。
さいごに、青年をみちびいた星がさびしくないようにと、
あかるい月をつくりました。

大きな陸は太陽をさえぎり、朝と夜を生みました。
山と湖と森は、季節を生みました。
月は、海に波を生みました。
こうして、せかいに時が生まれました。
時がながれだすことで人々は死を得ましたが、
同時に命も得たのです。

人々が大きな陸でくらしはじめてから、
一万回の朝がおとずれ、一万回の夜が去りました。
人々は、竜を忘れ、時が生まれたわけを忘れました。
しかし、五匹の竜がすがたを変えた島は、
海のまんなかのもっともたいせつな場所として、
その後も人がうつりすむことなく、
かわらぬままでありつづけました。

考察

世界観上での考察

  • 「おとぎ話」とされるように、非常に抽象的な要素が多々見られる話である。
    竜たちの体やかけらによって世界が始まる、いわゆる「創造神話」としての側面が強い。
    また、「青年がどのような心境で海を渡ったか・どんな答えを得たか」という部分には触れられず、
    作中では調査団所属者から様々な解釈をされている様子が窺える。
    • 創造神話として見た場合、人が創造神の如く描写されている点が興味深い。
      不死の存在であった人が世界を創造することで今のような姿になったというのである。
      主人公のような無敵のハンターの存在は先祖返りと考えればこれを裏付けていると言えよう。
  • 「五匹の竜」の正体についても不明な点が多数存在する。
    調査団エンブレムに描かれた五匹の竜にはそれぞれ特徴が見受けられ、
    プレイヤーの間では「この竜はあのモンスターではないか?」といった考察もなされている。
    • ただし、このエンブレム自体が調査団の想像によるものである以上、
      そこまで確度の高い情報で描かれたとは思われず、公式言及がない限り実態は不明である。
  • プレイヤー目線ではスケールが大きく、現実味を欠くような記述も多々見られる。
    一方、MHWorldのストーリーと関わっているようにも見受けられる部分も存在しており、
    単なる空想の話というよりは、過去に起こった事象に基づいて発生した物語のようにも感じられる。
  • また、調査団所属者がよく口にする「導きの青い星」についても、
    MHWorldのラスボス格モンスターと関連付けて考えることも出来る。
    件のモンスターと戦うことになる任務クエスト「収束の地」では最初にイベントが発生するが、
    ラスボスが現れる場所は青く輝き、そこを起点にして様々な事象が起こっていた。
    その場所に向かう際には小舟を用い、竜人族のハンターもおとぎ話に準えて話を進める。
    主人公は謎を追い求め、導かれるようにその場所へとたどり着くこととなる。
    • おとぎ話の中では落命、ないし星となったように描写されている。
      件のモンスターはかなり特徴的な存在であるのに加え、
      専用BGMがメインテーマの、五匹の竜の物語でも用いられているフレーズのアレンジであること、
      更に言えば、MHWorldのエンディング曲が彼との戦闘BGMのアレンジであり、
      そのタイトルが「導きの唄」であること、
      何より青い光を放っていることから、
      おとぎ話と照らし合わせて考えるのも面白いだろう。
    一方、プレイヤーの一部からは別の指摘も出ており、
    "導蟲"が青く輝きながら誘導する現象を指すのではないか?」と考える人も居る。
    導蟲の特性を発見・研究したのは調査団総司令であるという話は作中でも聞けるが、
    実際はおとぎ話の発生時期頃には既に発見されていたことを示すのではないかとする説であり、
    実際に裏付けとして、
    • 龍結晶の地に存在する龍結晶の内エリア3から間近に見ることができる、
      古龍の生体エネルギーが特に集中している巨大龍結晶から青い光が放たれている
    • HR100で解禁される、龍結晶の地で歴戦の古龍種3種を討伐するクエストの名前が「導きの青い星」である
    の2点が存在する。
  • 後にMHW設定資料集に於いて提唱された「仮説」として、
    古代竜人ですらも忘却の彼方とする古の時代、「竜人」と「古龍」には繋がりがあったのではないかとし、
    過去に竜人が隆盛を誇る時代があったとすれば、この新大陸の完成された大自然の創造さえ可能だったのでは…との記述があり、
    五頭の竜のお話を彷彿とさせる仮説となっている。

メタ視点での考察

  • MHWorldでは「五匹の竜」が調査団エンブレムとして作品のロゴマークにも採用されている。
    このことや、主人公が新大陸古龍調査団の"5"期団として新大陸へと渡ったこと、
    MHWorld開発陣の「気持ち的にはナンバリング」という発売前の発言を基に、
    MHWorldとは即ちMH5なのではないか?」というメタな考察が散見される。
    MH4G以降の作品としてはMHXMHXXといった作品が存在しているが、
    これらについては公式より「ナンバリング(つまりMH5)ではない」と言及されている。*3
    続く本作でも、公式から発表されているナンバリングを外した理由は新規プレイヤーを意識したものであり、
    ナンバリングすることでシリーズ未経験者が触れ辛くなる点を避ける意図が説明されている。
    • それでもなお「MH5なのではないか」という俗説が散見されるのには理由がある。
      それは「5」という数字がMH世界において忌諱されているという設定を踏まえ、
      「ナンバリングでも"5"を冠するのを避けたのではないか?」と見なす人がいること、
      無印、MH2、MH3、MH4の各据え置きナンバリング作品では
      それぞれ一匹、二匹、三匹、四匹の竜がタイトルロゴに描かれていた点が挙げられる。
      • また、もっと穿って「元々のタイトルが改題されたのではないか?」と見なす人も居る。
        本作はMH4~MH4G頃から開発が始まっており、長い期間開発が続けられてきた作品であり、
        その中で元は「MH5」だったものがナンバリングを外したことでMHWorldとなったのではないか……
        といった考え方もたしかにできなくはない。
      • ロゴに五匹の竜が描かれていることについては、
        従来のナンバリングタイトルのロゴに見られる竜の数と同様の意味を持つ旨が、
        MHWorld発表時のインタビューで藤岡氏の口から語られている。
        とはいえ、直後に「辻本が違うと言ったらごめんなさい」と念を押しているため、
        あくまで藤岡D個人とMHWorldチーム内での拘りであり、
        カプコンの公式見解で共有している定義ではないことがうかがえる。
  • 上述の通りMH世界では「5」が忌み数として扱われており、
    MHシリーズの経験者であればそれに引き摺られて「5」に苦手意識を持つこともある。
    一方、この「五匹の竜の話」はそういった忌むべき話というよりは、
    かつて存在したであろう人々と竜の距離感を窺わせる、寓話的な話となっている。

余談

  • MHWorldのロゴマークについてはTGS2017などで触れられており、
    「5匹の竜(龍)が描かれている」という点についてはプレイヤー側も大勢認識していた。
    また、一部実機プレイにて「五匹の竜の話」について編纂者(受付嬢)が言及しており、
    このロゴマークに世界観的な設定があることも予め示されていた。

関連項目

シリーズ/モンスターハンター:ワールド
世界観/アステラ - 集会所にはおとぎ話を基にした「五匹の竜の間」が存在する。
世界観/新大陸古龍調査団 - 調査団所属者の多くがこの話を知っている。
世界観/伝承
世界観/5


*1 特等マイハウス=五匹の竜の間であるが、集会所からの該当移動先はマイハウスだけで五匹の竜の間を選択できなくなる
*2 マイハウスに改装する前の五匹の竜の間ではBGMは流れない
*3 MHFやMHSTなどに代表される「派生作品」という扱い、位置づけではない