忠義に厚い家臣を持った士が
遺した雅なる扇。花を映す扇が
風を誘い、命を儚く散らす。
(狐扇ハナノナゴリヲ)
命は散り、乱れ落ちる。雅なる
扇の花風に抗える者は無し。
狐扇ハナノナゴリヲ強化/最終型。
(くれなゐの色扇の薄重)
愛し君が涙に暮れぬよう、厄難
祓う扇を持ちて、我は出づ。
純一無雑に願う、安寧たれと。
(くれなゐの色天薫風扇)
MHXにて初登場した、泡狐竜タマミツネの素材から作られる片手剣。
本項では、MHXXで登場した二つ名持ち個体・天眼タマミツネの武器及び
MHR:Sで登場した焔狐竜タマミツネ希少種の武器についても解説する。
目次
概要
- 扇の名の通り扇子型をしており、これにもミツネ武器特有の桜模様があしらわれている。
同じ扇でもテッセンとは異なり、納刀状態では閉じて抜刀時のみ開くというギミック付き。
ただし、持ち手の部分には普通の扇子でいう要に当たる箇所に団扇にある長い柄が付いているという、
いわばハリセン団扇と扇子を足して割ったようなデザインとなっている。
- そして、盾の方はというと…無い。
画面をよく見るとちっぽけな数珠のようなもの*1が扇子剣に付属しており、
いざこの武器を装備するとハンターの右手にこの数珠が腕輪として取り付けられるだけである。
これだけで敵の攻撃を防げるのか不安になるが、それでもちゃんと防御できちゃったりする。
その数珠から何かしらの霊力を発していてそれで敵の攻撃を弾いていると解釈するしかない。
あれ、前にもそんな片手剣あったような…
性能
MHX
- 派生元はなく、直接生産には錦ヒレ、鱗、尻尾などが必要。
強化においてあの悪名高い爪は要求されず、尻尾も物理攻撃値の高い武器でしつこく攻撃すればすぐ切れる。
ただし、途中強化と最終強化の際に普通に逆鱗や水玉を求められることには注意。
- 最終強化はくれなゐの色扇の薄重。
物理攻撃値200、水属性値32、会心率10%、そしてスロット1個とバランスの良いまとまった性能。
斬れ味は素でかなりの緑ゲージに青40、更に斬れ味レべル+1の段階で白25が出現する。
両方とも平均的な値だが、会心の刃薬も利用しつつ属性会心や超会心でそれぞれの攻撃値を底上げできる。
- 本作ではバランス型の水属性片手剣が他にもあり、具体的には
攻撃力が互角で水属性値は上を行き、さらにスロット穴が2つも開いている先輩格のロアルドスクロウ、
斬れ味+2の白ゲージが水属性片手剣最高で、防御ボーナスまで付く盾鎌コンビのデュアルシザー、
攻撃力で僅かに勝るが、属性値および斬れ味の面では劣っているレア素材食いのマスターオデッセイ
などがあげられる。- デュアルシザーは薄重にはない特徴を数多く備えているが、こちらは作成時期が遅くなりがちなため、
どちらかというとほぼ同じ時期(★7)に完成するロアルドスクロウがライバルと言えるかもしれない。
防御力補正とそれなりの継戦能力が欲しいならデュアル、スロット2個という汎用性が欲しいならロアル、
プラスの会心率による爆発力を求めるなら薄重と、その時の装備やスキル環境で使い分けるのが良いだろう。 - 他には虫夫婦の両聖十字グラディアトとか嵐を起こす古龍の天嵐ノ宝【碧霄】があるが、
こちらはほぼ物理特化型なので少なくとも薄重とは比較対象にはならない。
- デュアルシザーは薄重にはない特徴を数多く備えているが、こちらは作成時期が遅くなりがちなため、
MHXX
- くれなゐの色扇の薄重を限界突破しその後強化を重ねることでくれなゐの色天薫風扇となる。
ラスボスの素材が必要な上、獰猛化タマミツネ素材や天鱗も当然求められるため作成難度は高い。
くれなゐの色天薫風扇の性能は、- 高めの攻撃力310
- 若干伸び悩んだが十分な水属性値35
- 変わらない会心率10%
- スロットも1つ備える
- 斬れ味も素で白40、匠で追加されるゲージは全て紫(つまり紫50)
とはいえ、今作も水属性片手剣はライバルがひしめいており、上記3本の究極強化先もすべて優秀である。
それに加えて後述の天眼武器も登場し、使い分けや差別化がますます重要となっている。
MHRise
- タマミツネ再登場に伴い、狐扇ハナノナゴリヲも再登場。
強化順は「狐扇ハナノナゴリヲI→同II→くれなゐの色扇の薄重」
最終強化は古龍の血が必要なのでナルハタタヒメと戦えるようになってからになる。
一応、落とし物でも落ちるのでナルハタタヒメ撃破前でも入手することは可能といえば可能。
- 最終強化「くれなゐの色扇の薄重」の性能は以下の通り。
- MHXシリーズと比べるとかなり物理寄りになったものの、相変わらず性能は高水準。
高い攻撃力に会心率を備えているのはポイントが高く、その物理性能を更に百竜スキルで伸ばせる。
また、匠Lv1から白ゲージが出るのは非常に大きく、高レベルの匠の発動が難しい本作の環境にマッチしている。
- 本作の水属性武器は4系統あるが、ロアルドスクロウと蛙式・斬リカエシは
中盤で最終強化出来てしまうため最終強化としては性能が低く、実質マスターオデッセイとの2択。
オデッセイは属性特化型なので、物理型のこちらとは十分使い分けが機能する。- ちなみに、こちらはタマミツネの逆鱗・水玉、オデッセイは3種のモンスターの玉石と、
どちらにしても製作難易度がかなり高い。
- ちなみに、こちらはタマミツネの逆鱗・水玉、オデッセイは3種のモンスターの玉石と、
- 余談だが、今作の片手剣は「片手盾」と揶揄されるほど、ハードバッシュ+旋刈りのコンボが主流になっている。
しかし、そのコンボをこの片手剣で使えば、正に「片手拳」である。
戦う武器は、己の拳のみ!
カウンターで滅・昇竜撃をキメようものなら気分はまさしく格ゲーである。
なお、後に個性的すぎる性能の片手拳仲間も登場している。
- Ver.3.0から百竜剣【陵谷変遷】というライバルが登場。百竜スキルの内容にも寄るが、
全体的に斬れ味の長さでは勝る反面、火力面では負けてしまう事が多い。
スキル自由度ではくれなゐの色扇の薄重が上回っているため、そちらで差別化していきたい。
他武器種にも言えることだが、水属性武器自体の出番が少ない点に関しては解決していない。
MHR:S
- MR強化が追加。「くれなゐの色扇の薄重改」→
「くれなゐの色天薫風扇」→「くれなゐの色天薫風扇改」の順で強化される。
「くれなゐの色扇の薄重改」は一発生産も可能だが泡狐竜の剛爪×4を要求されるため、在庫と要相談。
また、「くれなゐの色天薫風扇」への強化でしっかり泡狐竜の天鱗を要求される。
- 最終強化を施した「くれなゐの色天薫風扇改」の性能は以下の通り。
- 攻撃力320
- 会心率15%
- 水属性36
- 斬れ味は紫20、匠で延長可能
- スロットはLv1×1と変更なし
- 百竜装飾品スロットLv2
だが、会心率15%と斬れ味紫の補正で物理期待値は水片手でトップとなり、
属性期待値も3位という物理寄りのハイバランス型に仕上がった。
素では紫ゲージが短いため、剛刃研磨などでフォローしたいところ。
スロットがLv1が1つのみというのは明確な欠点だが、会心率に割くスキルを15%分節約できるということでもある。
水属性自体の出番も水属性を弱点とする強敵が追加されたことで追い風が吹いている。
- ライバルとなる水片手剣は4本で
- こちらと同じく斬れ味紫、Lv4×1とLv2×1というスロットに
防御力+30まで備えたデュアルシザー - 水属性片手で最高の属性値67を誇るアガメムノン
- 白ゲージながら攻撃力340に達し、Lv4スロットと防御力+30を持つ真蛙式・斬リカエシ改
- 攻撃力330と属性値51にスロットLv3×1とLv1×2まで備えている上に
レア素材不要で作れる属性寄りのハイバランス型、水刻ロアルドロス改
XXでもライバルだった盾鎌コンビも再登場し、中々の激戦区に。これでも通常属性では一番少ないのだが
やはり物理期待値が最高である点を生かして差別化していきたいところ。 - こちらと同じく斬れ味紫、Lv4×1とLv2×1というスロットに
破邪之銀扇ヒメヒカゲ
白銀の扇は繚乱する霊蝶の如き
白焔を熾す。煽げよ煽げ、
この地の穢れを焼き祓わん。
MHR:S
- MHR:Sで登場したタマミツネ希少種の素材で作られた片手剣。
通常種武器にあった花びらが蝶になっている。
- 通常種武器からの派生または一発生産で「破邪之銀扇ヒメヒカゲ」を作製できる。
生産は焔狐竜の天鱗、派生は直前に泡狐竜の天鱗が要求されるため、手順に関わらず天鱗が1枚必要。
性能は、- 通常種武器と同じ攻撃力320
- 斬れ味は圧巻の紫70。匠で延長可能
- かなり低い火属性20
- 会心率10%
- スロットLv2-2-2
- 百竜装飾品スロットはLv1
- 強みは長大な斬れ味と拡張性が極めて高いスロット構成にある。
紫70もあれば斬れ味ケアも軽く済み、
さらに、武器スロットだけでLv2スロットの火力・便利系スキルをLv3にすることができるため、
スキル構成の自由度がかなり高い点が強みになる。
- 一方、ライバルに比べて火力は低く、百竜スロットがLv1なので傀異錬成の自由度も低い。
紫だけなら2位の長さで長期戦には強いが属性寄りにしてあまり変わらない時間戦えるライバルもいる。
ライバルたちも相当手強いので、適切に強みを活かしてやらないといけない。- 火属性の快適枠なら虫武器のセクトトレスルージュ。
あちらも拡張性が強みで武器スロットLv4-2-1を備えるうえ、百竜装飾品スロットもLv3。
また、こちらの紫とあちらの白は長さが同じで、あちらの白運用と方向性が近い。
ルージュの属性値は39であるため属性ダメージでは負けてしまうが、
見切り・弱点特効のみで会心率が100%になるのはわずかだが差別化点になり得る。
Lv4装飾品がない見切り・攻撃・弱点特効・超会心が盛りたくなった場合出番があるかもしれない。
属性型だが会心率・スロットとバランスが良く隠し毒属性をあわせ持つ同期のカクトスゲダイエン、
火属性の強力なライバルが多い。
優秀な装飾品も多数増え、エヴォルイフリートでも紫の維持が難しくない今、
火力にも独自性にも欠けるこの武器はやや厳しい立場にある。
今後追加される装飾品によってはさらに厳しくなるかもしれない。
基本は無属性運用で、できれば強力な固有スキルをもつ防具と共に使って高いスキル自由度を活かしたい。
勿論、己の拳だけで戦うのも一興だろう。 - 火属性の快適枠なら虫武器のセクトトレスルージュ。
- Ver.16にて登場した刻銀の砕剣はかなりの強敵。
攻撃力320、龍属性41と素紫30…とここまで見れば普通寄りの性能だが、
スロットLv4-4-4と百竜装飾品スロットLv3を持つ為に中々侮れない。
こちらは火属性と紫ゲージの長さで対抗したい。
紫に関しては天衣無崩で踏み倒す事も可能だが。
天眼扇・鏡花風月
MHXX
- MHXXで天眼が追加され天眼扇・鏡花風月が登場。形はほとんど変わらないが色に変化があり、
通常種武器が春を彷彿とさせるのに対し、こちらは赤や橙色で染まっており秋を思わせる見た目に。
ここから強化を重ね、「さにつらう色扇の唐楓」(LV3,4)を経て
LV5でさにつらう色法忌風扇となる。
集めるのに苦労する天眼の尻尾を3つ、そして天鱗も2個使用する為作成難度はかなり高い。
- 気になる性能は、
- 通常種より僅かに高い攻撃力320
- さらに上がった会心率20%
- 逆に通常種より低いが、それでも低すぎない水属性値30
- 斬れ味は白30、匠+2で紫40と若干短いが、それでも優秀。
- スロットなし
- お馴染み狩技ゲージボーナス付き
MHXXの一般的な運用法では武器自身の会心率は無駄になることもあるものの
水弱点のモンスターには、グラビモスやリオレウス希少種などの部位破壊をしなければ
弱点特効が活きにくいモンスターが多く、武器の会心率は十分に活かせる場合が多い。
- ちなみに、この武器の紫ゲージ時の物理期待値は約467となっており、真名ウンネフェルといった
無属性武器すら凌駕する非常に高いものとなっている。
そのため、今作の最強の水属性片手剣と言っても過言ではなく、これを作っておけばまず間違いない。
- ただ、二つ名武器らしくスロットは0で素の斬れ味は白30、属性値も30とそれほど高い訳ではなく、
他に優秀な水属性片手剣も数多く揃っているのでこの武器が必ずしも最適解となる訳ではない。
狩技が優秀な部類である片手剣としては二つ名武器というのは大きなメリットになるが、
片手剣らしく、しっかり他の武器と使い分けていきたいところ。
余談
- 通常種武器の初期名のハナノナゴリヲというのは漢字に直すと「花の名残を」になる。
武器説明文の「忠義に厚い家臣を持った士」からして、
『忠臣蔵』で有名な、吉良上野介に斬りかかった罪で
切腹を命ぜられた浅野内匠頭こと、浅野長矩がその際に詠んだ
「風誘う 花よりもなお 我はまた 花の名残を いかにとやせん」
(風に吹かれて散る桜の花は名残惜しいものであるが、それ以上に儚く散る私の、
この世への心残りはどうすればよいのであろうか)
という句から取られたものと推測される。
ただし、この部分は正確には伝わっておらず「花の名残を」ではなく「春の名残を」だったとも言われている。
- 最終強化に現れる「くれなゐの」は 漢字に直すと「紅の」。
紅色が鮮やかなことから「色」にかかる枕詞として使われる。
昔の「紅」というと紅花やそれで染められたもののことである。
紅花染めの中には鮮やかなピンク色の物もあるので、ピッタリな銘と言える。
- 天眼武器が冠する「さにつらう」も、頬が照り映えるように赤いという意味があり、「色」にかかる枕詞である。
通常個体武器より更に赤要素が増した天眼武器にふさわしい枕詞であろう。
- 概要にもある通り、扇子に数珠と言う、一見するとネタ武器にも思われそうだが
流石にミツネ武器と言うだけあって性能が実用的なので、性能面がクローズアップされ
個性的な見た目が誇張して取り沙汰されるケースは、ほとんど無い。
ミツネ防具一式と併せても違和感は無く、優雅にして風流なるイメージは損なわれない。
ちなみに特殊な仕様として、MHRiseでのポーズセット「武器構え」にて
地面に剣を突き刺すポーズ2種が他の片手剣とは持ち方が異なる。- 扇子を剣に見立てる武器ではガルルガ双剣の前例もあり、
あちらも高性能なので「ハリセン」などと揶揄される事も無く、率直に実用面で評価される。
現実にも『鉄扇』は武器として存在するが、どちらかと言うと物理で殴る切るの『鉄扇』と比べれば
ミツネの扇子は西遊記に登場する『芭蕉扇』に類するマジックアイテムに近い。
そもそも風属性は存在しないため、ミツネの扇は水属性ではあるが。 - そして、見た目が素手にも見える数珠の盾だが、
霊験あらたかなる妖狐の加護、…と説明されれば納得してしまう辺りも、ミツネ武器の由縁。
余裕があれば精霊の加護や英雄の盾を発動して
霊験あらたかなる妖狐の加護を狩場で実際に体験してみるのも一興であろうか。
もっとも、タマミツネは「狐」では無く「竜」ではあるが。
- 扇子を剣に見立てる武器ではガルルガ双剣の前例もあり、
- 希少種武器の銘は実在する蝶「ヒメヒカゲ」から取られている。
ヒカゲチョウはジャノメチョウの亜種(亜科)に分類されており、
蛇の目(じゃのめ)とある通り茶色の翅に複数の目玉模様があるのが特徴。
ヒメヒカゲを含め、地味な色合いと目玉模様の独特の迫力でガと勘違いされやすい*2。
ヒカゲ(日陰)の名の通り日光がそれほど強くない環境を好み、樹液や熟れた果実などを好む。
ユーラシア大陸に分布しており、日本にもいるが非常に局所的で生活圏の差が大きい。
絶滅危惧種に登録されている。