吸血の家

Last-modified: 2009-10-13 (火) 23:23:40
 

二階堂黎人 『吸血の家』 講談社文庫

 

有名といえばあまりに有名な本格推理の王道、蘭子シリーズの4作目にあたる本作には、三つの密室トリックが使われている。

 

24年前に起こった雪上での不可能殺人。屋敷内で起こった刺殺事件。ぬかるんだテニスコートで足跡なき刺殺体。
その中でも特に目を引くのが、1番最初の雪の中で起きた足跡なき殺人事件だ。

 

雪の上に足跡を残さない殺人事件は、他の作品でもよく見受けられるが、
このトリックは、それらの中でもトップクラスにあたるのではないだろうか。
最後に明かされる真相には、そう言いたくなるほど、完全に裏の裏をつかれた。

 

蘭子のキャラクターだけでも、最初から最後まで、一気に読ませる力を持っているが、
彼女を取り巻く面々も一癖あって、非常に楽しませてもらった。

 

担当者 - 零零丸