倉知淳 『日曜の夜は出たくない』 創元推理文庫
30過ぎてもスーツの似合わない、童顔の猫丸先輩が活躍する短編集。
収録されている7つの短編はハードボイルド、スラプスティック、人情ものなどバラエティに富んでいる。
そこに共通しているのは作者の人間観の暖かさであり、読後は爽やかな気分になれる話が多い。
……なのだが、最後のふたつのエピローグで作者への印象はがらっと変わった。
実は短編集とはいっても、ただの短編集ではなく意図されて構成されており、その真意が最後に明かされるのである。
個人的にこういう結末は好きなのだが、少々強引な気もした。
短編の出来が良かったのも踏まえると作者も作中で書き残しているが、「蛇足」だったかもしれない。
似たような構成で若竹七海さんの『ぼくのミステリな日常』がある。
本作を気に入られた方にはこちらもお勧めしたい。
担当者 - ライホ