2019年6月以降、PotPlayerに含まれるようになったアドウェア(Adware)に関する説明です。
(2019年9月時点の状況)
アドウェアの概要
バージョン1.7.18958でインストール実行中に外部アプリの宣伝が入るようになりました。
また、1.7.19955ではPotPlayer本体を起動するだけで広告の強制表示が可能になっています。(本体での広告は、現在韓国内でのみ適用されています)
バックグラウンドでの強引な広告情報の取得や強制的な広告表示により、ウィルス検査エンジンによってはPotPlayerを「安全ではない」と判定する可能性があります。
バージョンによってはWindowsセキュリティからも警告されます。
PotPlayerは従来のような気軽さで使うには抵抗を覚えるアプリになりつつあり、これからユーザーは利便性と「余計な挙動」を秤にかけて使用を判断していくことになりそうです。
開発者は「PotPlayer本来の使い勝手を損なわない範囲でサービスの高度化を進める」とコメントしています。
PotPlayerの広告に関して
急に露骨な収益化に乗り出した印象がありますが、Kakaoの業績が悪化したからというわけではなく、むしろ逆のようです。→ 参考
こうした収益化の方針は、DAUM時代とは違うKakaoの企業風土を感じさせます。
インストール時の広告
PotPlayerは2019年6月のバージョン1.7.18958以降、インストール実行中のページでサードパーティー製アプリの追加インストールを勧めてくるようになりました。
広告内容や言語は国・地域に合わせて表示されますが、このローカライズの仕様は当初のものから変更されています。
広告のためのDLLの実装も、セキュリティソフトから警告を受けにくいものへと変更されています。
使用契約同意のチェックを外すのを忘れると、そのまま外部アプリがダウンロードされてしまいます。
回線接続が無い場合は広告ページは表示されず、外部アプリもインストールされません。
もし宣伝されたアプリを入れたとしても、後でWindowsのアプリ管理設定やコントロールパネルからアンインストールできます。
ただし元の状態に戻すために、設定やファイルを確認し直す手間も発生します。(特に競合する同種アプリを他にも入れていた場合など)
インストール中に作られて一時フォルダに残されたままのファイルの中には、注意が必要なものもあるようです。
間違って入れないために
こういうアプリ広告は、ユーザーが間違ってインストールしてしまうことを狙っています。
間違って入れないようにするには、インストール画面をゆっくり進めて外部アプリの使用契約同意のチェックを確実に外してださい。
Unchecky(自動チェック外しツール)はまず役に立ちません。
インストール中にうっかり外部アプリの使用契約同意のチェックを外すのを忘れて「次へ>」ボタンを押してしまったら、「<戻る」ボタンを押しても使用契約ページへは戻れません。
その場合はインストールを一旦キャンセルしてやり直してください。
「次へ」ボタン名が「受け入れる」、「戻る」ボタン名が「拒絶」になっている場合でも、同様に使用契約同意のチェックを外してから「受け入れる」を押せば、外部アプリは入りません。
更新確認画面からの自動更新でクイックインストールする場合(PotPlayerインストーラのオプション画面が表示されない場合)、使用契約の同意画面も表示されないため、いきなり外部アプリを入れられることはありません。
しかしバージョン1.7.18958(2019年6月)以降、クイックインストールオプションは削除されています。
広告画面とバックグラウンドの通信が気になる人で通信管理できる場合は、ファイアウォールで送信の規則を追加してセットアップファイルからの送信をブロックすると、広告ページは表示されずインストールもされません。
実行しないでセットアップファイルから7-Zipなどの解凍ソフトで中身を吸い出す方法もあります。
ただしインストーラの実行は最新の環境設定に調整する役割もあるため、この方法は設定操作やファイル内容の確認に慣れているユーザーにお勧めです。
本体使用時の広告
インストール画面での広告に加えて、同年8月の1.7.19955では、更に通常の使用時にもポップアップ広告の強制的な表示が可能になっています。
2019年9月現在、このポップアップ広告の表示は、韓国内からインターネットに接続する場合に限定されています。
PotPlayerを起動してまもなくすると、10秒ほど通知領域の付近に広告が浮かびます。
PotPlayerやシステムの通知領域の設定では抑止できません。
広告内容は随時入れ替わります。
日本などの韓国以外で使用する場合、韓国内のサイトを普通に利用してもPotPlayerに広告は表示されません。
しかし、例えばVPNで韓国内のゲートウェイサーバーからインターネットに接続するような環境では広告が現れます。*1
注意すべきなのは、これはKakaoのネットサービスに関連付けられた広告ではないということです。
KakaoTVのを利用して配信映像を視聴中に、時々広告映像が挿入されるという仕組みは従来からありました。
しかしこのポップアップ広告は、ローカルファイルを再生するためにPotPlayerMini(64).exeを実行しただけで表示されます。
既に強制広告の機能を作ってしまっている以上、韓国以外の国・地域でも必要と判断すれば簡単に有効にできると思われます。
現在、広告表示の頻度は一日に1回、または多くても2~3回に抑えられています。
また、なるべく再生映像の邪魔にならないように、広告を再生領域内に挿入することを避けています。
まだ手探りしながら実装を進めている様子もあり、今後どう調整されていくのか目が離せません。
個人的に一週間ほど広告表示付きのPotPlayerを使ってみましたが、広告無しが当たり前のWindows PCでは、想像以上に厳しいと感じました。
一日に1回であっても、何か再生しようとするタイミングで広告を見せられる日が続くと、多くの人は既定の再生アプリとして常用する気にならないかもしれません。
開発の行方
アプリの収益化は一概に否定できません。
PotPlayerはプロプライエタリソフトですが、たとえオープンソースのプロジェクトであっても、資金的な理由から開発停止に追い込まれるケースは後を絶ちません。
PotPlayerの収益化に関する方針は会社上層部の決定事項であり、開発者個人の意向が入る余地は限られています。
資金的な強みと引き換えに、営利組織に所有されることの代償とも言えるでしょう。
PotPlayerは既にKakaoTVサービスの一部となっているため、今更Kakao外部へ売り渡されるような可能性は低いとみられます。
いずれにしても、PotPlayerが有用なアプリである以上は、開発の継続と収益化の関係について注視していきたいところです。