ヴァジュラ

「ヴァジュラ」とは、インド神話の神・インドラが用いた武器である。仏教では帝釈天とも呼ばれるインドラは、古代インドの叙事詩・マハーバーラタ等で語り継がれる雷を司る神（ラーマーヤナでは天空神）で、時代と教義により守護神であったり悪魔であったりする。古代インド神話において、インドラが悪の首領ヴリトラを討伐するにあたりブラフマー（仏教・梵天）に相談すると「偉大な聖仙ダディーチャに、骨が欲しいと頼んだならばその身を捨てて骨を与えてくれるから、その骨でヴァジュラを作りなさい」と言われた。インドラは文言通りに実行し、ダディーチャはその身を捨てて骨を遺した。インドラは工匠神トヴァシュトリにヴァジュラを作成するよう告げ、トヴァシュトリは見事ヴァジュラを完成させる。その後インドラはヴァジュラを用いてヴリトラを打ち倒し、ヴリトラの影響に苦しんでいた人々を救ったのである。

ヴァジュラは「雷光」を語源とし、金剛杵（こんごうしょ）とも呼ばれ、金剛の名の通り硬い金属もしくはダイヤモンドで出来ているとされ、雷を操る武器である。古代インド神話では形状については語られず、密教において別の神の棍棒がモチーフにされた後インドに流入し、現代では様々なアレンジが施され、仏教で法具として用いられている

余談だが某天空の城で使われた「インドラの矢」は、ラーマーヤナで語られる、ソドムとゴモラに住む怠惰な人々を焼いた天罰のエピソードを基にしている。マハーバーラタでは悪の王ラーヴァナの軍隊を焼き尽くしたとされる。

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