Video Games Live in Japan2009 レポ

Last-modified: 2018-10-14 (日) 01:53:01
 

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  • データ
    日程:2009-9-21~22
    場所:東京国際フォーラム ホールA(約5000人収容)
    演奏:東京ニューシティ管弦楽団、洗足学園音楽大学フレーバーコーラス隊、
    演奏:Tommy Tallarico(MC/E.guitar) Jack Wall(conduct/A.guitar)
    山岡晃(E.guitar) マーティンラング(pf) 近藤浩治(pf) 日比野則彦(sax)
    ゲスト:中裕司(video上映) 光吉猛修(客席21日のみ) 瀬上純(客席22日のみ) 光田康典(壇上/客席)
    大谷幸(客席21日のみ) 山下絹代(壇上挨拶) 山根ミチル(壇上挨拶) Ralph H. Baer(skype中継)
 

 
  • 演目
    • イントロ
      (1)コスプレコンテスト(拍手の数で優劣判定。優勝者にはグッズなど贈呈)
      (2)YouTube動画
      (3)YouTube動画
  • 第一部
    (1)レトロゲームメドレー
    (2)キングダムハーツ(宇多田ヒカル - 光)
    →中裕司コメントムーヴィー
    (3)ソニックザヘッジホッグシリーズメドレー
    →客席に瀬上純
    (4)フロッガー(客2人によるゲームプレイに合わせ演奏)
    →ラルフベアー x トミータラリコ、ネット回線(スカイプ)による中継インタビュー(翻訳なし)
    (5)サイレントヒル feat.山岡晃(E.guitar)
    (6)Myst(本公演指揮者ジャックウォールによる作曲)
    (7)ファイナルファンタジー ピアノメドレー feat.マーティンラング(pf)
    (8)ワンダと巨像
    →大谷幸、客席挨拶(21日のみ)
    (9)ゼルダの伝説メドレー
    →近藤浩治、壇上で挨拶
 
  • 第二部。
    (10)メタルギア ソリッド 3 スネークイーター feat.日比野則彦(sax)
    (11)Advent Rising
    (12)World of Warcraft
    (13)スーパーマリオブラザーズシリーズメドレー
    (14)スーパーマリオブラザーズ feat.近藤浩治(pf)
    (15)Halo
    (16)クロノトリガー/クロノクロス
    →光田康典、壇上挨拶(21日は客席挨拶)
 
  • アンコール
    (17)ファイナルファンタジーVII
    (18)テトリス/スーパーマリオブラザーズ feat.マーティンラング(pf)
    (19)悪魔城ドラキュラ feat. Tommy Tarallico(E.guitar)
    →山根ミチル+山下絹代、壇上挨拶
 

 
  • 感想
    思うにトミータラリコだって元は普通のゲーム少年だったのだ。いつかは僕もゲームの仕事がしてみたい、音楽を書いてみたい。なれるだろうか、なれないだろうか。僕の好きなゲームを作った日本は凄い国だ。出来るなら自分の作品を抱えて日本の土を踏みたい。日本のゲームファンは私の音楽を気に入ってくれるだろうか。いやそれよりも私の好きなゲーム音楽を作った日本という国に感謝をしたい。去来するものを抱えながらトミーは日本に着陸した事だろう。
 

オールドゲームメドレーを聞いていて、ふと中学時代を思い出してしまった。あの頃の僕も、少年時代のトミーもそう変わらなかったのではないだろうか。筆者には楽譜も読めなければ音楽の才能も無く、その後の人生は天と地ほどの差がある訳だが、一介のゲーム少年だった事に関しては、そうは違わない。それが今回、片や主宰者として、片や観客として、数十年後同じ空間で音楽を聴いて楽しもうというのだから、セットリストがどうのこうのと文句を言うのは野暮な気がして気が引ける。当然トミーの嗜好、客の嗜好、私の嗜好は違うであろうが。

 

今回特に注目したのは、外国人から見たゲーム音楽観とアレンジに対するアプローチだった。前者がもっとも顕著だったのは「悪魔城ドラキュラ」が大トリで拍手がまばらだった事だろう。恐らくトミーは「ドラキュラ」を出せば盛り上がると思ったのだろうが実際はそうは行かなかった。ドラキュラのテーマを聴いて興奮を憶えるのは主にオールドゲーマーであり、客席を占めた(と思われる)大半のスクエニ大好き少女は唖然としただけでは無かったか。2曲前のFF7の方が圧倒的に客が涌いていた。この辺りの認識に齟齬が有ったように思う。(個人的にはドラキュラ>FFなので問題ないのであるが) また洋ゲーに関しては賛否両論あろうが、まったく無いというのも困るだろう。日本向けにカスタムした楽曲も有れば、海外で喝采を浴びている演目も聞きたいものだ。ただ、それが日本の音楽を凌駕するほどの楽曲でなかっただけで、海外のトレンドを演奏して頂く事自体は歓迎すべきだと思う。

 

オーケストラアレンジに関しては、海外アレンジャーの手による編曲なので期待していたが、ストレートなマーチ風スネアとハリウッド風混成合唱が殆どでアイデアを感じなかった。中盤で演奏された洋ゲーは特にゴシック風サスペンススコアの呈でしか無く、一聴してゲーム音楽と判る時代はとうの昔に過ぎて居る事を伺わせる。インゲームでオケ想定だった曲をなぞるよりも、元がロックであったりPSG音源であったりした曲をオケで編成し直してこそ面白味が出てるのでは無いかと私は思うのだが如何だろうか。その意味では冒頭のポン/インベーダーから始まるオールドゲームメドレーは聴きごたえが有ったし、ドット画とオケのミスマッチに年月という感傷が加味されて興味深かった。一部トミーがギターを弾く楽曲が有ったが、こちらはオケに足しただけと云う塩梅で、シンフォニックロックの域に達して居ないのは勿体ない気がした。

 

選曲で特徴的なのは、シューティング、体感ゲーム(レース/飛行機/車)が無いこと。大雑把に言えば、感動する曲は有れど燃える曲が無いのである。トミーはゲームセンターに興味の無い人間なのだろうか。家庭用ゲームばかりだ。すなわち大仰なテーマ曲ばかりとなってしまう。例えば「ダライアス」や「グラディウス」の様なタイトル曲よりもステージBGMの方に比重が有る曲が有ってもいいと思う。全部が大エンディング、大オープニングの様な曲ばかりで、多少アクションゲームが緩和してくれた面は有ったが食傷気味であった。

 

最後に、最も気になったのは音の悪さ。モノミックスし低レートのmp3に落としたような酷さである。以前から感じていた事だが、国際フォーラムはオケに向いていない。スピーカー自体も悪いが音響特性も良くないのだ。ムービーを映写しながらのオケ演奏が可能なハコ、という条件は難しいだろうが、次回開催時には真っ先に改善を望むポイントである。コーラス含め140人というアナウンスが有ったが、そんなに居るようには感じなかった。それは同会場で開催された別のオーケストラコンサートでも同様だったので、このハコの宿命=すなわち会場選択ミスという事になると思う。PAも「そもそも、この会場じゃ無理なんだよね」と呟いているのではないだろうか。

 

優れた部分には触れず仕舞となったが、楽しかった事は間違いない。オケとなると畏まってしまうのが日本にありがちな態度であるが、トミーのパフォーマンススタイルは好感触。メタルギアソリッドが何故3なのか?等と言い出したらキリが無いが、それは次回改善を期待するという事で良いかと思う。

 

 
 

 

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