結局、予報通り第六層には雪が積もった。
明日には溶けてしまう白化粧を味わおうと、軌道エレベーター近くの小さな公園に出かけた私は、驚きの光景を目撃した。
いや、驚きというよりも、なんというか、心臓が跳ねるような出来事だった。
それは、着物姿のカノンだった。
「えいっ!」
カノンが大きく振りかぶったかと思うと、雪玉が私の頬をかすめて飛んでいった。
ぽてっと地面に落ちた雪玉を見つめながら、私は動揺していた。
気がつけば、カノンには小さな子どもたちが群がっていた。
ぽて、ほて、と柔らかな雪玉たちがカノンを襲った。
「もう、やりましたねぇー?」
カノンは再び雪玉をにぎると、「えい!」と振りかぶり、子どもたちの居ない隙間を縫うような超コントロールの一球をお見舞いした。
「また避けられちゃいました~」
大騒ぎする子どもたちの中で、カノンが微笑んでいる。
いつもの明るく元気なカノンそのものだけれど、なぜか今日は違う。
なんというか、イタズラっぽい。
刹那、ひゅん!と、再び、カノンの雪玉が頬をかめて飛んだ。
子どもたちに当たらぬよう、そして私をギリギリかすめるように雪玉を投げているのだ。
しかも、着物で。
「運命くんもやりませんか、雪合戦!」
一体どういう経緯で着物で雪合戦を、しかも、子どもたちとしているのかは定かではないけれど、妙に目を引くカノンの笑顔を前に、私には首を縦に振る以外の選択肢はなかった。
と、その瞬間、視界が真っ白に飛んだ。
冷たい。雪玉が顔面に直撃したのだ。
雪合戦に参加することが決定するやいなや、カノンの正確無比な速球が私を襲ったのだ。
舌を出してウィンクする。そんな顔をするなんて、ずるいなあ。
でも、次はあの人を狙おう!じゃあないんだよ。
子どもたちがわらわらとカノン連合軍に参加していく。
「えへへ♪ごめんあそばせっ!」
カノンは大きく振りかぶると、雪玉を青空のに向けて投げた。