ちょっともっとこっちみて

Last-modified: 2024-11-21 (木) 06:55:32

砂浜が見えた瞬間、足を速めた。波の音が聞こえる。
自分でもテンションが高いのがわかる。胸のドキドキが波の音と同期する。

「もー!遅いんだしー!」

思ったよりも大きな声が出てしまった。特に急ぐ気配はなし。なんかだ恥ずかしくなってきた。これはイタズラ決定だ。
特にすごいやつをお見舞いしてやろう。

風が髪をくすぐる。
砂の上を走りながら、思わず笑ってしまった。こんなに楽しい日がまたやってくるなんて、思ってもみなかった。

今日はイタズラするにはもってこいの日。

波打ち際に着くと、足元に冷たい水がびちゃっとかかる。でも、そんなの気にしない。笑顔が伝染する。
私も自然と笑顔になっちゃう。不思議。

「にししー♪イタズラ確定なんだしー?」

いつものように視界に入る。
なるべく記憶に残るように、かわいくあざとく。


──『ちょっともっとこっちみて』より抜粋