じとじと。
左隣から突き刺さる湿り気のある気配に紫亜は参っていた。
いつもなら笑って許してくれる叢裂は、今日に限っては虫の居所が悪かったのか、あるいはやり過ぎてしまったからかまったくもって許してくれる気配がない。
「ふいっ!」
淡い銀紫色の細い髪が左右に揺れる。
目を向けるとすぐにそっぽを向いてしまい、謝るにも謝りにくい。
むしろ、謝ったら負け、の世界で生きている紫亜には、なんなら生まれてはじめての難所であった。
わざわざ「ふいっ」と声を出すあたりに叢裂のかわいさに心の中で悶えつつ、思いっきり弄り回してやりたい感情を抑えて紫亜は切り出した。
「明日、じゃ、だめだし?」
「ふいっ……」
淡い銀紫色の細い髪が左右に揺れる。
さっきよりも勢いが弱まったことに、目ざとい紫亜が気づかないわけがなかった。
──『放課後はティーパーティ』より抜粋