サガフロンティア2

Last-modified: 2020-06-22 (月) 22:41:26

発売日

オリジナル版(PS)1999年4月1日 6,800円+税
スクウェア ミレニアム コレクション版(PS)2000年6月29日 3,800円+税
PS one Books版(PS)2002年3月29日 2500円+税
アルティメット ヒッツ版(PS)2006年7月20日 1,500円+税
ゲームアーカイブス版(PS3/PSP/PSV)2008年12月10日 571円+税

概要

サガシリーズ8作目となる作品。
『フロンティア』の名を継いでいるが、前作の『サガフロンティア』とは違ってSF要素はなく、『ロマサガシリーズ』と同様のファンタジーな世界観。
BGM作曲も従来のシリーズを担当していた伊藤賢治氏ではなく、浜渦正志氏が起用されている。
主となるメロディのモチーフを3種に絞り、それをほぼ全ての曲に使うことで統一感を持たせるという手法が採られている。
これはゲーム内の世界観を統一させることにも一役買っており、プレイヤーからも非常に好評。
ちなみに今作の楽曲は全てドイツ語のタイトルが付けられている。

グラフィック面では当時のPSゲームに見られた3Dポリゴンではなく、淡い水彩画のような2Dグラフィックが採用されている。
派手な演出こそないものの、柔らかで温かみのある色彩は世界観とマッチしており、プレイヤーからの評価も高い。

術という要素が戦闘だけでなく、生活においても深く浸透しているサンダイルという世界が舞台。
術を使うことが当たり前という世界において、術を一切使うことができない苦悩の王族であるギュスターヴ13世の人生を描いた表の歴史と、古代より存在する呪われしクヴェルであるエッグとの因縁の戦いを繰り広げるウィリアム・ナイツの裏の歴史をプレイヤーが追体験していく。
ちなみに今作では神というものは一切存在しないため、人以外の何かを崇拝するという文化はほとんど見られない。まあ出てきたところでサガシリーズの神は総じてろくなことをしないが

ストーリーの都合上、完全フリーシナリオではなく、ヒストリーチョイスという進行システムが採られている。
世界各地に散らばった小さな歴史を年代順に読み解いていくという、言わば基本一話完結のストーリーを順番に進めていくという形である。
そのため自由度は低めであり、シナリオに登場するキャラクターは場面ごとに変化していくという特徴がある。
主要の主人公はギュスターヴとウィリアム・ナイツの2人だが、各シナリオに登場するキャラクターにスポットを当てた群像劇形式であるため、ゲーム全体の主人公の数はサガシリーズの中でも最も多い。
中には敵が主人公という他には類を見ないシナリオも存在する。

ちなみにシナリオ選択画面では年表を見ることができ、シナリオをクリアしていくと内容が追加されていく。
ただし、ギュスターヴ編のシナリオは歴史の教科書に載るような出来事であるため、ゲーム開始直後の時点で大筋はほとんどネタバレされている。
これは一行でしか書かれないような出来事を、神目線であるプレイヤーに詳細を追っていかせるという趣旨である。

主要人物

ギュスターヴ13世

フィニー王国に生まれた、術を全く使うことができない悲劇の皇子。主要主人公の一人。
7歳の時に行われた王位継承権を証明するファイアブランドの儀式でアニマ(術の媒体のようなもの)を持たないことが発覚し、父・ギュスターヴ12世に追放された。
術を使うことが当たり前のこの世界ではアニマを持たない者は迫害されるため、王族生活から一変し、苦悩の人生を辿ることになる。
しかしギュスターヴは術が使えないことを逆手に取り、術を阻害する金属に目をつけ、15歳の時に一本の剣を生成。
後に鋼鉄軍を結成して短期間で覇権を握り、術至上主義を打ち破ったことで鋼の13世と称えられるようになる。
迫害を受けたこともあって喧嘩っ早い粗暴な性格であった時期もあったが、母・ソフィーや友人であるケルヴィンなど周囲の人物には非常に恵まれていた事もあって、心身共に大きく成長していった。
ちなみにギュスターヴは劇中に死ぬ
生涯結婚をせず、正式な子孫も残さなかったこともあって、彼の死は後の世界に大きな波乱をもたらすことになってしまった。

ウィリアム・ナイツ

クヴェルの発掘を生業とするディガー。通称ウィル。主要主人公の一人。
父の冒険仲間であるアレクセイに両親を殺害されており、以降は叔母であるニーナの元で暮らしている。
ディガーとして活動する最中にアレクセイを打倒するが、彼の持っていた卵型のクヴェル(通称エッグ)に悪寒を覚え、生涯に渡ってエッグを追い求める運命に振り回されてしまう。
基本的に常識人だが、エッグのこととなると周りが見えなくなる節があり、行動や言動からもエッグへの高い執着心が伺える。
ちなみにエッグ側からもアニマ感知能力に優れたウィルは天敵と認識されており、所有者を通して「いつか殺してやる」と言わしめられている。(正確にはエッグに封じ込められた父のアニマを感じ取っている。)
今作は100年弱程の歴史を描いた作品だが、ストーリーの都合でウィルは85歳という高齢でも戦闘をこなすことになる。
ちなみに劇中で「老い先短い」と発言しているが、それから20年弱はのうのうと生き続ける

エッグ

現世より遥か昔の先住民族の意思が内包されているクヴェル。諸悪の根源。
所有者を利用して、自身らの復活と世界の覇権を再び我が物とするために暗躍する。
手にすると強大な力を得ることができるが、代償として精神を完全に支配されてしまい、自身では決して手放そうとしなくなる。
エッグは持ち主の思考や行動パターンを元にして行動するため、周囲には精神を支配されていると気づかれにくいという特徴があり、他の精神支配の類と比べるとかなり毛色が異なる。
(例えば他の精神支配であれば高笑いするケースがあったりするが、傲慢な性格でもない限りはしないし、小心者であれば基本的に逃げ腰、野心家であればそれが色濃く出る等。良くも悪くも所有者次第で、使い手に恵まれないとエッグとしても不都合ということになる。)
そのため、歴史の表舞台であるギュスターヴ編ではエッグの描写がほとんど無く、エッグを認識している人物はかなり少ない。
ただしエッグと言うワードが出ないだけで、間接的にギュスターヴ編のラスボスも務めている。

バトルシステム

旧サガシリーズで見られた耐久度システムが採用されている。
今作の装備は、遥か昔アニマより伝わるアニマを無限に秘めているクヴェル、それを模して人工的に作られたツール、アニマを遮断し、術を阻害する関係でサンダイルの人々から忌み嫌われている金属と大きく3つに分類される。
この内、ごく一部の例外を除いてツールは耐久度が有限であり、使う度に耐久度を消費していき、0になった場合は戦闘終了後に壊れて使えなくなってしまう。
クヴェルと金属は耐久度が無限ではあるが、前者はツールと比べると数が少なく、後者はJPが下がってしまうというデメリットがある。

術は世界観に沿ったものとなっており、戦闘面でも色濃く反映されている。
装備欄にセットするだけでは使えず、各術に必要なアニマをツールやクヴェルから引き出す必要がある。
また、水辺での戦闘であれば水、岩場であれば石といった具合に戦闘の地形からも確保することも可能。
習得手段は限られるが、術技と呼ばれる、言わば術と技の合体技も存在する。
ただし設定上、ギュスターヴは術及び術技を一切使うことができない。
ちなみに従来のシリーズと違って相反する術系統という概念が存在しない。

前作で好評だった連携が続投。
更に行動順の指定をすることができるようになったため、より連携を狙いやすくなった。
今作の連携は後続のダメージ上昇倍率が凄まじいため、全作品中でも屈指の強さを誇る。
ただし、雑魚を含めて敵の耐久力が総じて高いため、連携を用いないとダメージを稼ぎにくい。
他の作品は繋がればラッキー程度であることに対して、今作の場合は繋がることが前提のゲームバランスになっている。

ロールシステムが登場。
簡単に言えばロマサガシリーズの陣形補正を各キャラクターへ任意に割り振ることができ、事前にロールをセットしておくことで攻撃力や防御力が上昇、乱戦にならなくなるなど様々な効果を得ることができる。
ロールは各キャラクターに1つずつ割り振られており、加入する毎に種類が増えていき、以降は場面に応じて付け替えることが可能。
ただし、戦闘中に戦闘不能等で一人でも行動できなくなると、ロールの効果は解除されてしまう。

パーティバトルのほか、敵味方1対1で繰り広げるデュエルという戦闘方式がある。
パーティバトルと比べると成長率が良い反面、1対1なのでゲームオーバーにもなりやすい。
デュエルでは装備欄にセットした技術(通称アーツ)を選択して戦うのではなく、斬る・払う・ためるなどの基本動作のコマンドを4つ入力するというもの。
特定のコマンドを組み合わせるとアーツを合成することができ、それが未習得だった場合、以降はパーティバトルでも使用可能になる。
合成による習得は閃きと比べると爽快感に欠ける反面で比較的習得が容易であり、その気になれば1つ目のシナリオでほぼ全てのアーツを習得することも可能。

特定のシナリオ限定だが、コンバットと呼ばれるシミュレーションRPGのような軍隊戦がある。
最大で9×12に区切られたフィールドに自軍と敵軍に分かれてユニット配置されており、基本的に大将を討ち取った側が勝利となる。
各ユニットは1ターンに1回動かすことができ、敵対ユニットと重なるとパーティバトルが発生する。
ただし戦闘に参加するのは装備やステータスが固定の汎用ユニットであり、1ターン経過すると強制的に終了する。
その1ターンの戦況で判定が起き、敗北すると最大2マス後退させられるが、戦闘で全滅したり、後退先候補が無かった場合はユニットは消滅させられる。
ちなみにユニットに予備兵がいれば1ターンに1人まで補充される。
ギュスターヴ編のラストバトルはこのコンバット形式なのだが、自分と比べて敵軍の強さが圧倒的であり、大将以外のユニットも強力な技や範囲攻撃を持っているせいで、非常に難易度が高い。
他のコンバットシナリオは育成したキャラを持ち込めることがあったり、戦力差が大きくない場合がほとんどだが、こういった救済措置が一切無いため、完全にプレイヤーの腕次第になる。

昨今の制限プレイ

難所という難所は非常に少ないため、全体で見れば難易度は低め。
連携が強力なこともあって、装備とアーツを揃えればレベル上げすら不要とも言われる。現にRTAであってもレベル上げが行われることがない。
ただし各シナリオのラストバトルだけは双方えげつないため、制限内容次第では非常に高難易度になる。

サガフロ2界の代表的な制限プレイといえば、最悪な状態から卵割ってみたであろう。
発売当初はラスボスのエッグ戦で詰んだという声が続出し、多くの詰みプレイヤーを生み出すレベルの強さを誇っていた。
一度シナリオを選択すると他のシナリオに戻れず、原則LPを回復できない点、キャラクターの入れ替わりが多い点、武器の耐久度制、最後の最後にとんでもないトラップが仕掛けられている点などの仕様とエッグ戦の難易度が噛み合っていないため、当時は最初からやり押すことが推奨される程であった。
そんなゲームバランスの中、最後のシナリオで一切の所持品を持たず、アーツも揃っていない状態でリアルタイム36時間でゲームをクリアするというものである。
「サガフロ2は詰みゲーではない」ということを証明したかったらしく、時間設定についても「週末頑張ればクリアできる」と想定したらしいのだが、どう考えても最初からやり直したほうが早い。

ちなみにサガフロ2はサガシリーズの中でも解析量が凄まじく、wikiにも高度な変態にしか縁が無いような大量のマスクデータが掲載されている。
解析が進んでから制限プレイは急速に増加しており、最少戦闘回数や1人でエッグを打倒など数多くのプレイが行われている。