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詐欺

Last-modified: 2019-04-14 (日) 18:07:37

架空請求

*これはフィクションです*

「ん?」
ない。……ない。生徒手帳がないなぁ。
こないだカラオケ行った時出しっ放しにして落としてしまったかもしれない。幸い今日は土曜日だし、明日にでも寄って拾って帰ろう。
「おい、白上。どうした?」
「いやちょっと考えてただけ。」
「ふーん。それよりもこないだのカラオケ楽しかったなぁ。」
「ああ、みんなもまた誘って今度行こう。」
「そうだな。」
神崎が振り返った拍子になにかが落ちた。
「生徒手帳落ちたぞ。」

♢♢♢
「さて、これはどうしたものか。」
男の右手には丁寧に折りたたまれた茶封筒、左手には一つの生徒手帳が握られている。見比べた後にため息をついてもう一度どうしようと唸る。

右手の茶封筒は会社からの『お前、もう来なくていいよ』の書面。
「……はぁ。」
流石に妻には言い出せない。
やけになってカラオケに来たらこれだ。いかにも面倒くさい。
警察に届けるのがセオリーだが非常に面倒くさい。この10時くらいに大人がスーツで警察に行くのは絵面が酷い。だが長期にわたって持ってるのも見つかると不味い。この白上健人とか言うやつが今日の学校終わりにここに来るだろう。

どうしたものか、そもそもお金を稼がなくてはならないのにこんな事に時間を割いてる場合ではない。
…ないのはわかるのだが……もう働きたくない。
やだな、もう。そもそもなぜ俺がリストラされないといけないのか。
そんな意味のないことを悶々と自問自答しているのも飽きて、ペラペラと生徒手帳をめくってみる。

すると複数人の電話番号が書いてあった。一番上に〈カラオケメンバー〉と書いて括られてるからきっとここに来た面々なのだろう。

そこで男は閃いた。これを使って金儲けをしよう、と。

♢♢♢
「はぁ、そうですか。ありがとうございました。」
「お力になれず申し訳ないです。」
「いえいえ、こちらこそ。」
困った。
カラオケにもないらしい。どこにあるのか。
あっ。
「あの、部屋に防犯カメラってありましたよね。見せてもらう事ってできませんか?」
必死に記憶を手繰りよせて防犯カメラがあったことに気づく、が。
「すいません、あれはダミーなんです。いわゆる“dummycamera”なんです。」
「はぁ?あ、いえ、そ、そうなんですか……。」
「本当にっ!大変申し訳ないですっ。」
「あっ、いえ。」
思わず、はぁ?と言ってしまった。防犯上、それはどうなんだろうか。

しかし後で調べたところ、こういう利益の少ないお店は9割くらいがダミーカメラらしい。頼りにならないなあ。

「あっ、あのぉ!」
「はい?」
「差しでがましくてすいません!ひっ、拾った方が警察に届けたのではないでしょうか!」
ふむ。一理あるな。しかし、今日はもう遅い。
来週の日曜あたりに取りに行くか。

♢♢♢
よし、これでいい。
今はネットカフェ『カフェリア』の会員登録を終わらせた所だ。
これからやる事は少なくともパソコンが二台欲しい。あと自分のスマホがあれば十分だ。

先ず、自分のパソコンでTwitterをひらいてアカウント登録画面を出す。
そこに白崎健人と打ち込む。
「だめだ、出ない。」
次にメモした電話番号を自分のスマホに登録しておく。
すると、Twitterを開くときに電話番号からフォローという場所が出るのでタップ。

「ふむ。」
白崎健人はTwitterをやっていないようだ。
最近の子供はTwitterは必ずやっていると思ったのだが…。
もしかしたらスマホを持っていないのかも。

しかし、四人めの谷川ななと言う人はTwitterをやってるらしい、実名で。

不用心だな。
しかもこないだ行ったカラオケメンバーの写真がアップされている。
改めて白崎健人の顔を見るとあまり感情表現が苦手なようだ。笑っている写真があまりない。

まあいい。

今が丁度学生の帰宅時間らしいので(生徒手帳に書いてあった)
別のパソコンでTwitterを立ち上げ新規登録画面を開く。
もう一つのパソコンでgoogleアカウントを取得する。
そのアカウントでTwitterの登録を済ませる。

googleアカウントは
kento0507@gmail.com
としておいた。
0507は生徒手帳に書いてあった誕生日だ。

これから、白崎健人になりすます。
新しく作ったTwitterから谷川ななをフォローして個人メールにて
『携帯を変えたついでにTwitterを初めて見た。
あと携帯を変えたからお前のgmailアカウントを教えてくれ』
と送る。
ちょっと不愛想風に文を作ってみた。

しばらくしたら返信が来た。
『健人もTwitterを始めたんだ!!
よろしく!
フォローしといたよー
gmailアカウントは今分からないからちょっと待ってて。』

とのことだ。
明日にはこれが成りすましと分かってしまうので、今日のうちに個人情報を掠めれるだけ掠めとろう。

♢♢♢
やばい。忘れてた。
生徒手帳に電話番号を書いたんだった。これでみんなに迷惑をかけたくない。

なんて事を気付いたのが11:00だった。
今からメールを送ったら迷惑にならないだろうか。
しかし伝えておくに越したことはない。
……うーん。
まぁ、明日伝えよう。

今日は月曜だから6日後に警察に行くのか。
それまでに悪用されませんように……!

♢♢♢
「へっくしょん‼︎」
誰かに噂されてるのかな。

すごい首尾が順調だ。
なんか話してて分かる。多分幼地味なのではないかな、この二人。
で、谷川ななの方がおしゃべり好きらしい。

……ちょっと強く出てみるか。

『俺Twitterのやり方あんまわからんから詳しく教えてくれないか?
長くなったらごめん。』

すると一分もかからず返信が来た。
『ふぇー!健人がお願いなんて珍しいね。
いいよ、教えるね。
2;00ぐらいまでなら全然ok
あとアカウントね

nananana_nxn@gmail.com

これだよー!』

おい、それはいいのか。
最近の学生は夜更かしだな。

それよかアカウントの方が大事だ。
まず、パソコンから自分でwebsiteを作る。おっと、忘れてた。

『悪い、ご飯食べるからまた後で』

『ほいほい、りょうかーい』

危ない。
さて、作ったサイトにgmailを記入する欄を作り、さっきの
nananana_nxn@gmail.com
にしか反応しないようにして次の画面にさせるように組む。
こんぐらいは誰でもできる。
次の画面でアカウントのパスワードを記入する欄を作る。
googleのような色と配置にすれば完成。
これに記入した文字列を保存するようにして、次のページに
【エラー:期間が切れました。タイムアウトします。】
と言うページを作る。ちなみに最初にあのgmail以外を記入するとこのページに来る。

これでパスワードを抜き取れる。
この方法はいろんなサイトで使われている方法の中でもメジャーな方だ。

さていい時間ぐらい経ったしTwitterを開くか。
『悪い、風呂に入ってた。
後別の要件なんだけど今度またカラオケ行く時の候補を作っといた。見てくれ
http://www.karaoke/itiran/kouho/

さっきのサイトのリンクを貼っとく。
『りょうかーい。いいねー
そいでさー、さっきの続きね。
ここのボタンがこの……』

また説明が始まった。
とりあえず適当に相槌を打ってるとパソコンから通知が来た。
〔来訪者:一名〕

なるほど、もう行ったのかあのサイトに。
パスワードは
nanananan_nxn
だった。
メールアドレスと文字列が同じだ。こんなんじゃ突破されてしまうぞ。
現に突破したが。

『なんかエラーになるよ。。。
いいよ、また明日教えて。』

『了解』

さて仕事が終わった。

Twitterに谷川ななのアカウントにログインしてまずパスワードを変更する。そして全ての友達に
“白崎健人のメールアドレス知ってる?”
と送って通知を待つ。

さっき妻に残業で会社に泊まると言って社畜ぶりをアピールしておいたから今日は家に帰らなくていいい。

と、パソコンに通知が入った。

『ちょっと待ってて』

kent160221@exectrim.co.jp

『↑これだよー』

よし、これでメルアドと電話番号が揃った。

あとは自分のスマホでウイルスを作るだけ。
作った瞬間に自分のスマホに侵食するのでスクショを取ってスマホを初期化する。もちろん、google Photoに保存するのを忘れない。

これは架空請求のやつなんだがな。

♢♢♢
さて、整理しよう。
朝、起きたらメールアドレス宛に一通幼地味こと、谷川ななからメールが届いていた。

開いたらなんかいっぱい表示されて、この商品を買ったので支払え。と書かれているページに飛んだ。バックキーも使えない。

試しに押してみたらどうだろう。

よくなる気がする。

うん。
それしかない。

……ぽち。