スマブラ個人小説/なしぃの小説

Last-modified: 2012-06-17 (日) 10:10:49

なしぃの個人小説

頑張って描きますので、よろしくお願いします。
 
 
注意点

  • キャラの性格なんかはこちらの想像です。
  • 更新不定期。まあのんびりと。
  • 受験や部活の影響で停滞気味…でしたが、引退したのでちょくちょく描けると思います。。。
     
     

ひとりごと

時間もない、文才もない
 
 
頑張ります
 
 
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長編連載

アイクとカービィ

ラグネルを宿舎の部屋の隅に片付けると、アイクは部屋のイスに座った。
丸いテーブルの上には花びんが置いてある。そこには1輪のピンク色の花が差してあった。
 
マルスの趣味だった。ガーデニングが好きらしく、花を好いていた。
どこからともなく様々な色の花を摘んできては、部屋に飾っていた。
 
手にとって眺めてみる。
アイクには花の良さが理解できない。花は花だ。
 
確かに観ているとそれは綺麗だが、そこまでだ。
いちいち摘んできては、部屋に飾るほどの物でもない。単なる植物である。
一度、花を外で眺めてみたことがある。
だが無愛想で、他人のことなどまるで眼中にない彼に花はあまりにも似合わない。っと笑われてしまうのだ。
 
それは自分でも自覚している。俺は花なんかには興味はない。
でも実際にぼんやりと眺めてみると、綺麗だと関心してしまう。マルスはそんな綺麗さに心を奪われたのかも知れない。
 
「アイク、何やってるの?」
 
さわやかな声が耳に届いた。
気が付けばマルスがいた。
 
彼も同じように鞘に収めたファルシオンを部屋の隅に立てかけると、アイクへ近寄ってきた。
 
「ご飯も早々に食べ終わってさ。らしくない、ってフォックスが笑ってたよ」
「俺が飯をさっさと食い終わろうが最後まで食い続けようが、俺の勝手なんだがな」
 
マルスは苦笑いをする。
こんな風に冷たいというか、本当に他人の気遣いを気にしないアイクにはもう慣れた。
 
「ん…。 へえ… アイクにも花の綺麗さが分かってきたのかなあ」
 
どうやらアイクが花を持っていることに気が付いたらしい。
アイクが花を花びんに戻した。
 
「興味はないぞ。…ただ、綺麗だから見てただけだ」
「それ、矛盾してない?」
 
マルスが意地悪そうな笑顔を見せた。
ため息を付く。これだから他人と関わるのは。
 
窓の外を見ると、既にもう夜は深まっていた。
いつもならこの後さっさと寝るのだが、今日はそうはいかない。
 
「トレーニングしてくる」
「トレーニングって… まだ今日のこと気にしてるの? 本当にらしくないよ」
 
ラグネルを手に持つ。ずしりとした重量感が右手を襲った。
マルスの言葉などもはや無視した。会話は本当にめんどくさい。
 
今日、カービィと対峙した。
終点での、セオリーどおりのタイマンである。
カービィはラッシュ時は恐ろしいが、距離を取りつつ慎重に戦えば苦戦すら必要ない。
 
だが、気が付けば試合は終わっていた。
反撃する間もなく、アイクは地面に叩き付けられていた。
油断していた。最も警戒すべきである前投げをいとも簡単にもらい、あっという間に勝敗は決まっていた。
 
負けることに怒りを覚える訳ではない。
カービィは能天気なヤツだった。いつも昼寝をしたり、食べ物を追いかけていたりと、そんな奴だ。
とても普段修練をしているような性格とは思えない。
 
屈辱だった。練習をしないような奴に負けてしまうとは。
アイクは修行を欠かさない。
例えるとアイクは人に踏まれながらも成長する雑草、カービィは放っておいても保護され、成長する花だ。
 
廊下を歩くと、“カービィ、デデデ、メタナイト”をかかれたドアが目にはいる。
カービィ達の部屋だ。中からはデデデの騒がしい音が聞こえる。
…恐らくカービィも中にいて熟睡しているか、食べ物を取り合っているかだろう。
 
…全く、本当に駄目だな俺は。
 
鉄製の扉を開くと、宿舎の外だ。
 
 
手をかけ、開く。満天の星空が広がった。
 
「綺麗だな、全く」
 
自分でも、今のはらしくないと思った。今日はなんだかロマンチストだ。
 
とりあえずラグネルを振り上げ、軽く素振りをした。
ラグネルは重い。両手剣である。
アイクはそれを片手で扱わねばならない。少し振っただけで汗が噴き出す。
 
スタミナも鍛えなければ駄目だな。
 
そう思いつつ腕で顔の汗を拭う。
  
目を開けると、ぼんやりと夜の世界には不釣合いなピンク玉が映し出される。
 
「…!」 
 
カービィだった。
カービィはアイクを見ると手を振り、近づいてきた。
 
「何しに来たんだ?」
「ぽよ!」
 
カービィが丸い手で自分の口の中に手を突っ込んだ。
真っ赤なハチマキを取り出すと、頭に縛る。
そしてパンチを空気に向かって高速で連射すると、体を回転させミドルキックを空に放った。
 
どうやら、修行をしに来たらしい。少し驚いた。
 
まだまだカービィは攻撃の手を休めない。慌ててアイクも、ラグネルを振った。
 
 
 
 
 
「…お前、中々やるなあ」
「ぽよ」
 
さすがのカービィも疲れたらしい。地面に座りこんでいた。
かく言うアイクも汗だくだくである。だが、カービィがいたおかげで切磋琢磨しながらトレーニングができた。
 
こいつを誤解してたな…。まさかこんな奴でもトレーニングをしていたとは。
 
気がつけば、心の苛立ちは消え去っていた。今はただ清清しい。
 
「今度、お前に肉やるよ。いい練習ができたしな」
「ぽよー!」
 
よほど嬉しかったのか、体を半回転させ、カービィは走り出す。
あっという間に扉を跳ね開け、宿舎の中に消えていった。
 
まだあいつは体力が有り余っているらしい。アイクも扉を開け、宿舎に入った。
 
 
 
 
「やあおかえり。いい汗かけた?」
「…まあな。上々だ」
 
部屋に入ると、マルスは本を読んでいた。
題名はアイクには読めなかった。まあ気にしない。
 
机の上の鮮やかな花が、ふと目に入る。
それを手にとってみた。
 
マルスがきょとんとしてアイクを見ていた。
 
「どうしたの…? また花なんか持って」
「いや……… 花も中々いいもんだと思ってな」
 
 
マルスはどうやら理解できていないらしい。首をかしげ、“本当にどうしたの?”と呟いている。
 
花を覗きこんでみた。甘い花粉の香りが鼻をくすぐる。

その花は、鮮やかなピンク色をしていた。

フォックスの苦悩【前編】

「あー、対戦はもうないのか」
 
背伸びをして、大きなあくびを一つしたのは、“やとわれ遊撃隊”スターフォックスのリーダー、フォックスである。
午前10時。ようやく温かくなってきた時間帯だが、今日は彼の試合の予定はもうない。
 
「今日はもうのんびりしていようか」
 
試合待機室のゆったりとしたソファーから立ち上がった。モニターではファルコとウルフが対戦をしている。
室内にはアイクやピーチ、マリオといったファイターがくつろいでいる。
とりあえず部屋に戻るかと、フォックスは立ち上がったのだ。
 
 
ブラスターをホルダーから取り出した。お気に入りの物だ。
とりあえず部屋に帰ったらこいつの手入れをしよう。手入れは欠かせない。
そう思いつつ、部屋に戻る。ファルコたちはいないから、一人だ。
 
 
「ふう」
 
部屋に戻ると、フォックスはベッドの上で大の字になる。
試合がないとつまらないものだが、たまにはこんなオフの日があってもいい。
 
部屋の中にはテレビが設置してあって、いつでも試合の様子が観戦できる。
とりあえずテレビの電源を入れた。
 
「やっぱりファルコの方が強いんだな」
 
ストックの差が既に一個ついている。
テレビに顔を向け、のんびりとブラスターをタオルで磨く。汚れを落とすのだ。
 
 
「まったくブラスターってのは作りが難しい…ッうぉ!」
 
聞き慣れた銃声と共に、弾丸が発射された。
 
どうやら間違えて引き金を引いてしまったらしい。弾丸は棚に突き刺さった。
 
危ない…。安全装置がついていないものだから、トリガーを引くだけで弾が出る。
いや、弾を抜けばいいだけの話か。何を言ってるんだ。
 
がたん、と物音がする。
見るとファルコのブラスターが床に落ちていた。どうやら棚から落下したらしい。
 
「あいつ、ブラスター持っていってないのか」
 
未だ銃口から煙を立たせるブラスターを傍らに置き、代わりに落下したファルコのブラスターを拾い上げる。
 
フォックスのものとは型が違う。連射力は劣るが、威力は自分のより高くて…
 
 
……ぁ
 
 
「…壊れてる」
 
引き金を引いても、撃鉄が空しくカチンと鳴るだけで、弾が発射されない。
いや、単に弾丸が入っていないだけか? なにぶん自分のものとは勝手が違うため分からない。
 
 
ってかなんでここにあるんだよ。なんで乱闘に持っていってない?
 
これがバレた時のファルコのリアクションを想像する。
いつものようにドジだ、と嘲笑するだろうか。
 
いや、自分の大切な物が壊されているのだ。相手を笑うような感情より、怒りの感情の方が早いだろう。
そう考えるとタメ息が出る。何をやっているんだ俺は。 
 
テレビを覗くと、アイクとピーチ、それにマリオとウルフが画面に映っている。
…ってことは、ファルコはもうすぐこの部屋に現れるだろう。
 
 
とりあえず自分の手ではどうもしようがない。
スリッピーに通信するか。 いや、どこで? 部屋では無理だ。廊下も危ない。
トイレ…何だか怪しまれそうだ。
 
他にいないのか。
誰か、重火器に詳しいやつは。
 
 
 
…。
 
 
一人しか、思い浮かばない。
 
フォックスは溜め息をつきつつ、部屋を出た。
 
 

ガノンくん

それはある暑い日の事でした。
 
透き通るような湖。
底が見えてしまいそうな湖のほとりに、ガノンドロフが体操座りをしていました。
 
ガノンは照りつける日差しや足元を飛び跳ねる昆虫には目もくれません。
ただただ一心不乱に、透き通る水を眺めています。
 
 
しばらくすると、ファイターの背後に物影が立ちました。
 
「ガノンおじさーん、何やってるのー?」
 
緑衣を纏ったその少年の顔はあまりにもあどけない童顔です。
少年は剣を携えています。ですが、それもガノンほどの大男から見れば、まるで小刀のようです。
 
ガノンは背中を丸めました。
後ろから純粋な視線を感じます。とてもとても、汚れなど無い真っ白な視線です。
 
しかし、ガノンは答えませんでした。
不思議に思った少年は、剣を鞘に納めるとガノンに近づきます。
 
やがてすぐ背後に立った少年は、心配そうに背中越しからガノンの表情を覗こうとしました。
ガノンは、拒むように顔を更に地面に落としました。
 
「…おじさんはね、今どうすれば強くなれるか考えているんだよ、トゥーン」
 
ぼそりと、少しでも注意がそれていたら聞き取れないほどの小さな声で、ガノンは呟きました。
その声はあまりにも暗く、覇気が無かったのでトゥーンは心配になりました。
 
もっと問い詰めたかったのですが、その勇気もないので、トゥーンは挨拶をして足早に帰る事にしました。
 
 
辺りにはまた静寂が訪れます。
耳に入るのは、湖の水の音のみです。
 
小石を一つ、水面に投げ入れます。
ぽちゃりと、静かな音と共に小石は透き通った水の中に沈んでいきました。
 
 
ガノンは目を見張りました。
揺れている水面に、緑衣の青年が映っています。
それは、紛れもなく今までに幾度も戦いを繰り広げた、ライバルでした。
 
「おー、何してんの?」
 
気さくな声です。ガノンの小さな背中とは対照的な口調でした。
返事を返そうと思いましたが、言葉が見つかりません。うつむくことしかできませんでした。
 
水面に映るリンクの表情は、おや、っとしたようなものになります。
返事が無いのを確認したリンクもまた、ガノンに近づきました。
 
背中越しに気配を感じます。
間が持ちません。
 
水面に映る整った顔立ちが崩れ、意地悪そうな笑みに変わります。
 
「あー、まさかまたオレ弱いどうしようとか思ってんじゃないの?」
 
ぴくりと身体が反応してしまいました。図星です。
その僅かな反応を、リンクの眼は見逃しません。
 
「おい、誰に負けたんだよぉ? 教えてくれよ」
「う、うるさい。 いいじゃないか、俺だって一人になりたい時があるんだ」
 
ガノンは今すぐにでもここから逃げ出したいと思いました。
でも、逃走してもガノンの足ではすぐ追いつかれてしまいます。
 
どうにかこの空気を何とかしないと、っと素早く思考を開始すると、不意に目の前が暗くなりました。
 
 
眼の周囲にごつごつとした感触が伝わります。どうやら、後ろから両手で眼を塞がれたようでした。
 
「いーじゃんか、別に言いふらしたりしないって」
「っ………プリンに負けたんだよお」
 
仕方なく、本当に仕方なく白状しました。
 
ぷっ……っという、空気の漏れを耳元で感じます。
笑いをこらえているのでしょう。
 
「プハハハっ! そんな事で黄昏てんの?」
「…俺がどんなことで傷つこうが勝手だろう!?」
 
笑われてしまいました。思わず、ガノンは赤面してリンクを振り向きます。
そこには案の定、目頭から涙を流して笑っているリンクの姿がありました。
 
「ハハハハハハハハハハハハハハ!」
「わ、笑うなあ!」
 
 
………。
 
 
……………。
 
 
 
「…それで、あいつは部屋に閉じこもってるのか?」
「そうだな。いやー、面白い面白い!」
 
光の溢れる昼下がり。食堂に座る3つの影。
緑衣を纏う青年が、茶色い液体の入ったコップを口につけると、思い出すように口を抑えて笑う。
 
「俺様としちゃあ、悪役をイジめちゃいかんと思うぞ。悪役ってのはムダにプライドが高いもんだ」
 
ウルフが、自慢のツメで皿に盛られたソーセージを切り裂きながら呟いた。
ジュウジュウと音をたてるソーセージを口に運ぶと、ウルフは身体を震わせる。
 
「そんなことしちゃ悪いよ…。ガノンがかわいそう」

反対側に座ったルイージがテーブルをとんとんと叩き、主張をした。
 
「いーんだって。それにあんなことをずっと引きずるやつじゃないって、あいつは」
「どうだか」
「ふふん、まあ見てろって。夜にはケロっとしてるよ」
 
ソーセージを頬張るウルフをよそに、リンクが立ち上がって、食堂を出ていった。
 
「………あいつって、性格悪いよな」
「…そうだよね」
 
残された二人は、気のない顔で食事を進めるのだった。

コメント

  • とりあえず代表作「工作戦争」書きました。 亜空の使者がありますが、代表作でそのまま亜空の使者はちょっとなあ…と思いまして。 あ、亜空の方もしっかり書きますよ。 -- なしぃ? 2009-07-29 (水) 23:22:56
  • 工作戦争の続きに凄い期待してます! タイトルがどんな意味かも気になるところです。 ↑5 いや、僕はもうすでになしぃさんに追い抜かされている感が…… -- オノグリーン? 2009-07-30 (木) 00:14:01
  • 『工作戦争』見ました!僕もタイトルの意味が気になります。『工作戦争』・・・。他の小説とは明らかに違う感じになると思いますねぇ・・・。 -- スマゲン? 2009-07-31 (金) 17:23:54
  • ↑↑読んでくれてありがとうございます。 タイトルにはそんなに深い意味は無いですねw ストレートに考えていいですよ。後、自分なんか未熟でまだまだですよ。更新頻度低いし… とりあえず読んでくださってありがとうございます。 -- なしぃ? 2009-08-06 (木) 23:23:57
  • ↑↑とにかく説明文を多くして個性的な作品に仕上げたいですねー。 その為にはまだまだ勉強が必要ですが…読んでくださってありがとうございます。 -- なしぃ? 2009-08-06 (木) 23:26:08
  • こちらにコメントするのは初めてですね、初めまして、ゼルダという者です。 前から思っていたのですが、『工作戦争』、細かい描写が多くて、その時の情景が想像しやすいですね!!想像がしやすくて話の流れがスムーズに分かり、面白かったです。これからも楽しみにしています (^^) では!! -- ゼルダ? 2010-01-24 (日) 22:19:54
  • ↑こちらこそ初めましてです! そう言って頂けると凄く嬉しいです。ですがまだまだ荒削りですので、精進していきたいです。良ければまた感想お聞かせください。。。 ありがとうございました。 -- なしぃ? 2010-01-27 (水) 16:33:00
  • なしぃさんも亜空の使者書いてるんですね。 なしぃさんの小説はレベルが高いので参考になります。 工作戦争の楽しみに待っています (^-^ -- グリーン? 2010-01-29 (金) 21:26:12
  • ↑ありがとうございます! ここに投稿した当時は亜空書いてました。 2話で放置してしまったワケですが…。今度はそんな事がないように頑張りたいです。 レベルなんて全然ですよ; -- なしぃ? 2010-02-06 (土) 20:30:46
  • 1000カウント記念。待ち続けます。プレッシャーをかける気はないけれど。・・・追記:日付がまずかったなぁ。わざとじゃないです。 -- ラモソ? 2012-04-01 (日) 16:07:50