スマブラ個人小説/ななみの小説/亜空の使者 ~もう一つの物語~7

Last-modified: 2015-02-13 (金) 07:48:31

亜空の使者 ~もう一つの物語~6の続きです。続編ではありません。
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第48話 戻ってきたスパイ、浮かぶザキラの野望

プリン「にしても妙ね~。あの虫にさらわれて、こんな形で帰ってくるなんて。」
チョッパー「おれもそう思った。でも、帰って来れたのは事実だから、帰って来ただけ良かったよ。」
そう言ってチョッパーは5人の近くに焚き火をくべ、5人の体を温めていた。
ドクターマリオ「体温はやや低下していますね・・・。ですが、しばらくこのまま温めていれば、すぐに回復するでしょう。」
そしてドクターマリオは5人にそっと毛布をかぶせた。
その時である。

「何~~~~~~~~~ッ!?」

耳をつんざくような大声がした。その声はクッパとワリオのものだった。

クッパ「お前ラ・・・我が愛しの息子をぶっ飛ばしたのカ~!?」
ルフィ「いや、だからぶっ飛ばしちゃいねぇけど、ちょっとぶん殴った。ような気がする。」
ワリオ「てめぇ!聞けばワルイージもぶん殴ったのか!?」
フランキー「あ~・・・なんかラケット持ってた奴ぶん殴ったような~・・・。」
クッパ&ワリオ「コラーーーーーーーーッ!!」
二人が大声で叫んだ。そしてクッパはしくしくと泣き出し、ワリオは地面を殴りつけた。
クッパ「おォ、息子ヨ~・・・!パパが居たら守ってやれたのにナ~~~・・・!」
ワリオ「居なくなったと思ったら殴られてたってなんだよ、きょうだ~~~~い!」
ウルフ「(意外に身内だの仲間思いな連中だな・・・。)」
ロボット「(ソウ言エバ、くっぱノオ子様トわるいーじサンハ元々亜空間ダッタノニ・・・イキナリ居ナクナッタノデシタネ・・・。)」
すると、Mr.ゲーム&ウォッチが何か思い出したような動きをした。
Mr.ゲーム&ウォッチ「あ・・・。なんか忘れてた気分。」
クッパ&ワリオ「は?」
Mr.ゲーム&ウォッチは、目の前にマンホールを出した。そしてその中に飛び込む。
しばらくして・・・Mr.ゲーム&ウォッチは、手に何かを持って戻ってきた。
Mr.ゲーム&ウォッチ「あったよ~!コレ、クッパンとワリオっち宛ての手紙!」
クッパ&ワリオ「マジで!?」
二人はそれぞれの宛て名の書いてある手紙を受け取り、手紙を読んだ。そこには・・・!!

「パパへ
 パパががんばってるので、ボクもパパのおてつだいをします!
 だからどっかにしのびこんでなにかやくにたちそうなものもってくるね!
 ちょっとあくうぐんからはぬけるけど、パパがきらいになったわけじゃないからね!
                                    クッパJr.」

「兄弟・ワリオへ
 お前もなかなか頑張ってるな・・・。
 だけど亜空間の野望にばっかり力入れてたら、宝盗みに行けねぇだろ?
 だから代わりに俺が何か盗んできてやるよ!
 お前ももっと頑張れよ、兄弟!
                              相棒・ワルイージより」

「うお~~~~~~~~~~~ッ!!!」
手紙を読むとすぐ、二人は泣き出した。うれし泣きだろう。
フォックス「よ、良かったな~、二人とも・・・。」
その時である。

「パ~~~~~パ~~~~~!!」
「待たせたな、きょうだ~~~~~い!!」

大声が二人の後ろからやってきた。二人は後ろを向く。
そこから走ってきたのは・・・クッパJr.とワルイージだったのだ!
クッパ「ム・・・息子ヨーーーーーーッ!!」
ワリオ「き・・・きょうだぁーーーーーい!!」
再会した彼らはひしと抱き合い、クッパとワリオは嬉しさに涙を流した。
クッパ「おお息子ヨ!怪我は無かったカ!?」
クッパJr.「うん!大丈夫だよ、パパ!」
クッパ「そうかそうカ!じゃあ今度、無事に帰って来たお祝いニ、出かけようカ。」
クッパJr.「パ~~~パ~~~!今度っていつ?今度っていつ?」
クッパ「そうだなァ・・・じゃあ、元の世界に返った次の日にしようカ。」
クッパJr.「わ~い!次の日!次の日~!」
何をお出かけについて話しとるんだ(汗) で、ワリオの方は・・・。
ワリオ「バカ野郎~~~!無駄な心配かけさせやがって~~~!!」
ワルイージ「はっはっは!悪かったな!だが色々がっぽり手に入れてきたぜ!」
そしてクッパJr.とワルイージは背負っていた袋を降ろし、中身を見せた。そこにはディスクやらお宝やらが入っていた。
クッパJr.「お宝あるかな~と思ったんだけど、意外に少なくって。で、他の物盗ってきたの~!」
ワルイージ「なにやら情報もちょっとは聞いたがな~。盗み聞きだけどな。」
そう言うと、ワルイージはテープを取り出した。
スリッピー「え?まさかそれん中に情報入ってんの?」
ワルイージ「あぁ。多分真の目的・・・って奴だ。」
そう言うと、ワルイージはテープのスイッチを入れた。ノイズ混じりに、声が聞こえる・・・。
『まぁ多少の計算違い・・・・、どうせここからは全て・・筋書き通りになろう・・・。
全ての世界は!私のものとなるのだ!!
その言葉に、悲愴感とケロロ小隊は驚きの表情を浮かべた。
田中「あ、あれ!?なんか話と違うような・・・?」
ケロロ「ちょ、ちょっとー!?“この世界”で各々の理想郷作るんじゃなかったのー!?」
ワルイージ「ま、分かる事は一つ。ザキラは鼻から“この世界”だけじゃなくて他の世界も欲しかったってこった。
ロディ「じゃあ・・・ザキラ軍の人の大半は、それを信じて騙されているって事・・・!?」
クッパJr.「そ!理想郷とかカッコイイこと言っておいて、結局は全部欲しかったってコト!」
するとウルフはまとめて言った。
ウルフ「分かるワードは三つ・・・。“計算違い”“筋書き通り”“全ての世界は私のものとなる”。これから連想するに、“この世界”だけとは思えねぇな。」
すると、マリオは言った。
マリオ「・・・ザキラ軍の同行を探ろう!このままじゃきっと彼の思い通りになる・・・!」
ドンキー「だけど、どうやってやんだ?内部事情を知ってる奴は騙されてるだろうし、易々と教えてくれるはずねぇだろうしよ・・・。」
その時である。

「ポチャポッチャ~~~~ッ!!」
「わふわふ!わふふ~~~~~!!」
「・・・・・・・・チッ。」

誰かがマリオ達の所へ走ってきた。
フォックス「ん?何だ、一体・・・?」
「ポッチャ!ポチャポチャ、ポッチャ!」
「・・・・・・・・チッ。」
ペンギンのような小さな生き物と、紫色のカエルのような生き物は、さっとフォックスの後ろに隠れた。
「るっぷ・・・わふ!パラドゥ~!」
そして耳の長い猫のような生き物は、緑色の宝石の付いたリングを取り出した。そしてそこから緑色の弾を撃つ。それはケロロに当たった。すると・・・ケロロの頭が、空気を入れられた風船のように膨らんだのだ!!
ケロロ「えッ!?ちょっと!?困るよ、キミ!?」
ケロロの言葉にも耳を貸さず、その生き物はケロロの頭の後ろに隠れた。
フォックス「な、何だ一体・・・?」
フォックスが不思議に思った、その時である。

「待てッ!こら~~~~~~~~~~!!!」

またしても誰かがマリオ達の所へ走ってきた。どうやら少女のようだ。
「どこに行ったんだよ・・・って、あだっ!!
誰かは何もない所で突然コケた。
「う~、いてててて・・・。」
誰かは、顔をさすりながら起き上がった。そしてその誰かは目の前に居たマリオ達を見ると、いきなり何か尋ねてきた。
「あッ!そこのキミら!この辺にポッチャマグレッグルクロノア、来なかった!?」
フォックス「え?ポッチャマとグレッグルと・・・クロノア?最初2匹は名前は知ってるが・・・なんだ、そりゃ?」
「いや~、あのね。あの3人・・・ってか3匹。物語を書くのに協力してもらおうと思ってたの!3匹をメインとしたお話、書きたかったの。でも写真撮った瞬間、突然逃げ出しちゃって・・・。ポッチャマもグレッグルもクロノアも・・・思った以上に逃げ足速くって!本当に来てない!?」
フォックスは・・・話そうにも話せなかった。
なぜなら、後ろでグレッグルがどくづきの準備をしているのだ。これは話せまい・・・。
フォックス「いや、知らない。」
「そっか・・・。じゃあ仕方ないね。他を当たるよっ!」
そして誰かはマリオ達に背を向け、駆け出して行った。だが・・・いきなり止まった。そして向きを180°変えると・・・再び戻ってきた。
フォックス「・・・・・な、何だ?」
「いや、怪しいな~と思って・・・。そこのカエル。
そう言うと、誰かはケロロを指差した。ケロロは慌てた。
ケロロ「いやっ!全然怪しくなんかないでありますよ~!?」
「怪しいよ、十分に。だって周りの他のカエルは顔の大きさ同じなのに、何故かキミだけ大きいな~と思って。調べさせてくれる~・・・?」
そう言って誰かはケロロの頭をぐいっと押した。するとケロロの口からぷしゅーっと空気が抜け、頭は元の大きさに戻った。そして・・・隠れていた耳の長い猫のような生き物・クロノアの姿が見えた。
「・・・こ~んな所に隠れてたの、クロノア!?ったくもー!知らない人・・・って言うかそもそも、人に向かって風玉使っちゃいけないって言ったでしょ!?」
クロノア「わふ~・・・わふわふ!パラディラル~!」
クロノアは誰かに対して何か言った。
「だから分からないっちゅーに・・・。で、クロノアが居るって事は、ポッチャマとグレッグルも、この辺に居るよね?」
そう言って誰かは後ろを見た。フォックスの背中に、ペンギンのようなポケモン・ポッチャマが張り付いている。
「見っけたぞ~、ポッチャマ!何で逃げるような事すんのさっ!」
ポッチャマ「ポチャポチャ!ポッチャマ~~~~!!」
「だからポケモンの言葉も分からないってーの・・・。」
その時、誰かの上に何かが迫った。紫色のカエルのようなポケモン・グレッグルだ。なんとどくづきを繰り出そうとしているのだ・・・!!
だが、誰かはそれをさっと避け、グレッグルの腕を掴んだ。
「コラ~?そういうケンカっぱやいのはダメだと思うよ~?」
グレッグル「・・・・・・・・チッ。」
「舌打ちすんなや(怒) ゴメンね~。この子ら、迷惑かけなかった?」
フォックス「いや、別に何も・・・。」
すると誰かは安心したような顔をした。
「そっか。なら良かった!じゃ、ウチはこれで!」
そう言って誰かは3匹を引っ張って帰ろうとした。だが、3匹は帰りたがらない。
「・・・ちょっと!?何で抵抗するかな~~~!?」
ポッチャマ「ポチャ!ポチャポチャポチャチャ~~~~~!!!」
グレッグル「チッ・・・。」
クロノア「わひわひわひ~~~~~~!!!」
その時・・・ピカチュウとケロロが言った。
ピカチュウ「・・・ポッチャマに、グレッグル?もしかして、ヒカリとタケシのポケモンの二人でチュか!?」
ケロロ「・・・『やだやだやだ』って言ってるでありますよ?」
その言葉を聞いた途端、誰かは驚いた顔をした。
「え・・・!?ピカチュウ、キミ・・・この子らを知ってるの!?それにカエルはこの子の言葉分かるの!?」
するとポッチャマとグレッグルはピカチュウの方を見た。
ポッチャマ「ポチャ!?そう言うキミはサトシのピカチュウなのポチャ!?」
ピカチュウ「そうでチュ!サトシのピカチュウでチュ!」
ポッチャマ「よ、良かったポチャ~~~!会いたかったポチャ!ポケモン友達がグレッグル以外居なくて不安だったポチャ~~~!」
ポッチャマはピカチュウがサトシのピカチュウだと分かると、大喜びした。
グレッグル「・・・かったりぃ・・・。」
「お前ら喋れたの!?(汗) って、それはそうと、カエル!キミ、ホントにこの子の『ファントマイル語』が分かるの!?」
ケロロ「はぁ・・・。まぁ、曖昧ではありますがね~・・・。」
クロノア「らぱどぅ!?ルッパぁ!」
ケロロ「『本当!?すっごい!』って・・・まぁ、軍曹に我輩にとっては簡単でありますよ~!」
「調子に乗んな、カエル。」
誰かのパンチが飛んだ。ケロロは吹っ飛ばされる。
マリオ「それで・・・キミは一体何者なんだい?」
ななみ「あ、ウチ?ななみだよ。よろしく、マリオ達。」
ルイージ「・・・あれ?どうしてキミ、僕達の名前知ってるんだい?」
ななみ「ああ?ウチの世界は、たくさんの世界の情報が行き来する世界だからね~。キミらの情報も、ウチは知ってるよ。まぁ・・・キミら全員の名前、一応頭には入ってるけどね~。」
スリッピー「えっ!?そんな所があるんだ~・・・。」
するとななみはケロロに尋ねた。
ななみ「ところでカエル・・・いや、ケロロ小隊のケロロ軍曹、クロノア達がどうして写真撮ったら逃げちゃったか、聞いてくれない?」
ケロロ「あ、分かったであるます!え~っと・・・何で嫌だったんでありますか?」
クロノア「ららどぅルピラルちゃっどぅわふ・・・。」
クロノアの言葉を聞き、ケロロは翻訳した。
ケロロ「えーっと・・・『いきなりまぶしくなったから・・・』って言ってるであります。」
ななみ「えッ!?じゃあカメラのフラッシュにびっくりしただけだったの!?じゃ、じゃあ悪かったね~・・・ゴメンね。」
富竹「富竹フラッシュ☆!」
ななみ「言ってるそばからやるんじゃねぇ!(怒) ってか、キミのその名前もペンネームでしょ?富竹ジロウ、自称フリーのカメラマンさん。
富竹「おや、よく知ってるね~。あっはっはっはっは・・・へぇあ」
その時、ナミはななみに尋ねた。
ナミ「ちょ・・・ちょっと待って!?何でザキラ軍だったケロロの情報知ってるの?もしかして、あなた・・・ザキラ軍?」
ななみ「まっさか~?違うよ。妙にデータ集めるのが得意な知り合いが居てね~。そいつからデータも貰ってるの。」
フォックス「そ、そうか・・・。で、そいつは何ていう名前なんだ?」
フォックスが尋ねると、ななみは答えた。
ななみ「魅花だよ。」
フォックス「魅花・・・!?じゃあ、そいつを呼んでくれないか!?ザキラ軍の本当の目的は何なのか、知りたいんだ!」
ななみ「・・・なんで魅花じゃなきゃダメ?魅花に会った事あんの?」
クリスタル「えぇ。一度だけだけど・・・彼女、すごい膨大な情報を持っていた。ザキラ軍が動き出した今、彼女の情報が必要なの!」
するとななみはうなずいた。
ななみ「オッケー、オッケー。呼んでみるよ。」
そう言ってななみは電話を取り出し、電話をかけた。
魅花『もしもし?』
ななみ「あー、魅花?ウチ。ななみ。」
魅花『あぁ、ななみね?で、何の用?』
ななみ「なんかキツネが来いって。」
魅花『嫌よ。』
ななみは一回会話をやめ、フォックス達に言った。
ななみ「嫌だって。」
ファルコ「おいおい、ふざけんな!理由聞いてくれ!」
ななみ「・・・理由は、ってトリが。」
魅花『今アニメ「SLAM DUNK」の27話を見てるのよ。木暮の名言が出るのよ。見逃せる訳がないでしょう?』
ななみはまた一回会話をやめ、フォックス達に言った。
ななみ「・・・アニメ見てるからダメって。」
ディディー「アニメぐらい録画すりゃいいじゃん!ジャングルにそんなのないけど。」
ななみ「・・・録画しろって猿が。」
魅花『ワンセグで見てるんでメモリーがいっぱいいっぱいで入らないのよ~。』
ななみ「なんでいっぱいいっぱいなの~?入るでしょ、普通。」
魅花『何を思ったのかシティーハンターを高画質で全話入れようと・・・』
ななみ「そりゃ入る訳ねぇよ、テメェの携帯のメモリー256KBしかねぇんだぞ!!」
ななみはまたしても一回会話をやめ、フォックス達に言った。
ななみ「・・・どうしても見たいからヤダって。」
スネーク「他に方法はないのか?」
その時・・・ななみの視線はオタコンに向いた。
ななみ「一つだけあるかも・・・。」
そう言うとななみは即席で何かを書き始めた。それをオタコンに渡す。
ななみ「はい、じゃ携帯に向かって一言~。」
オタコン「何が全国制覇だ………何が日本一だ!!何が湘北を強くしてやるだ!!」
魅花『・・・!・・・?・・・』
オタコン「お前は根性なしだ……三井……ただの根性なしじゃねーか……根性なしのくせに何が全国制覇だ…」
魅花『来るか・・・来るか・・・!?』
ななみ「(URUSEEYO.)」
オタコン「夢見させるようなことを言うな!!」
魅花『キタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!!!!!!!!!』
オタコン「・・・スネーク、『三井』って誰?『湘北』って・・・何?」
スネーク「そうだな・・・きっと『湘北』というのは兵器で、『三井』というのは操縦者の事じゃないか?」
オタコン「そうか~!それでメタルギアの開発者である僕に・・・」
ななみ「(全っ然違え・・・。)」
その時である。
魅花「ってな訳で・・・来たわ。
全員「マッハで来よった!!?」
魅花はウキウキした顔で嬉しそうだっ。たが・・・周りをきょろきょろ見回すと、残念そうな顔になった。
魅花「・・・木暮は?」
ななみ「居ないよ。声出したのはオタコンだもん。」
みかの やるきが 10ポイント さがった! ▼
オタコン「あ、あの・・・もし嫌だったら帰ってもいいんだよ?無理にとは言えないし・・・。」
ピンピロリーン☆ みかの やるきが 1000ポイント あがった! ▼ (え!?何で!?)
魅花「いいえ、やるわ。で、何が聞きたいの?この私に言って御覧なさいな?」
フォックス「(ちょっと偉そう・・・。)ザキラの真の目的が何なのか・・・分かるか?」
すると魅花はうなずいた。
魅花「ええ。まず・・・テープで分かる通り。ザキラは全ての世界を手に入れる事を望んでる・・・ま、簡単に言えば世界侵略よ。
そして、それには“4人の夢で見た事を現実に起こす能力を持つ人間と、一人の召喚師が必要”って言ってる。だから・・・“この世界”に伝わる伝承を信じているんでしょうね。」
ミュウツー「伝承・・・?“この世界”に伝承があったのか・・・?」
魅花「ええ。ずーっと昔から・・・ね。その伝承にはこう記されているの。
『4つの光を持つ者達が光を合わせしとき、狭間の空間への道開かれ、“世界の鍵”、召喚師の名の下に召喚されん』・・・ってね。」
ロイ「そうか。『4つの光を持つ者達』『召喚師』・・・ってキーワードがそれか。」
魅花はこくりとうなずいた。
魅花「その通りよ。“世界の鍵”は基本的に全世界を統治する神の血筋を引く者が代々受け継ぐ事になっていて、“この世界”、亜空間、そして他のたくさんの世界・・・その狭間にある“狭間の空間”の中でその特殊な召喚を行う事で取り出して、次の世代の者がそれに触れる形で受け継いで、世界を安定させるの。」
サムス「・・・“触れる形で”?じゃあもし赤の他人が触れたら・・・?」
すると魅花は答えた。
魅花「それが問題なのよ。警備が厳重なのは、“世界の鍵”が触れた人間を継承者と見なして、その人間に全ての世界を統治する権利を与える物だから。
だからその伝承が書かれた書は召喚でないと出せないし、召喚師なんてそうそう来ないのに・・・ザキラは、なんらかの形で召喚術を心得て、その書を召喚したんでしょうね。」
英孝「それじゃーあの4人取られたら終わりじゃーん!」
英孝の言葉に、魅花はうなずいた。
魅花「そうね。あの4人は死守すべきよ。でも、もし仮に彼らを奪われてしまったとしても・・・止める方法はあるけどね。」
カービィ「あるの!?何それ!?」
カービィの質問に、魅花は答えた。
魅花「仮に“狭間の空間”へ行ったとしても、その後の召喚はものすごく複雑なの。もしザキラが失敗したり、時間をずっとかけたりすれば・・・あるいは。」
リンク「そうか・・・。じゃあ召喚の間にザキラを倒せば?」
魅花「それもある。だけど・・・戦うんだったら相応の用意はするのね。“この世界”では元の世界の人間同士がその観念で戦おうとしない限り、その観念は存在しないって事は知っているでしょう?あんた達の中には、ザキラと同じ世界の観念を持つ人間が一人も居ない・・・。
だから前も話したように、ザキラは本来あるはずの『墓地』という観念を無視してカードから無限にモンスターを呼び出せる。イコール、相手の兵力は無限。分かるわね?」
クリスタル「それが問題ね・・・。どうにかして、ザキラに召喚術を教えた人が協力してくれれば・・・。」
魅花「難しいでしょうね・・・。ザキラに忠誠を誓っている可能性もあるし。」
魅花が言うと、次はゾロが尋ねた。
ゾロ「おい。知ってるかどうかは知らねぇが・・・コイツは何だ?」
そう言って、ゾロは七色の錠剤の入っているビンを魅花に手渡した。
魅花「これは・・・あんたに教えたでしょ?ななみ?」
ななみ「あ、うん。聞いた。これはね~、簡単に言えば“スマッシュボールを無理矢理固めたもの”だよ。ただ、闘争本能を5倍に引き上げるようにしてるらしくてね~・・・。あんま飲まない方がいいよ。戦えない人とか、戦いを嫌う人が飲んだら・・・大変な事になる。いきなり殺気をばらまいたりとか・・・ね。」
その時、ゾロはあの時の事を思い出した。
これを服用したシェイミは、突然殺意を宿し・・・そして今、倒れているのだ。
ゾロは一瞬、「あの時止めていれば」と思った。その途端、ななみが言った。
ななみ「辛気臭いの禁止!それにキミのせいじゃないぞ。あんまり暗いと黒い羽根がつくぞ~。って、ま・・・いきなり言っても仕方ないね。じゃあ4コマとか小説とか読ませたげるよ。何がいい?『株式会社・ポケモンズにて。』とかあるけど。」

「ホントかーーーーーっ!?」

その時、植木が大声で叫んだ。
植木「ななみ、お前『株式会社・ポケモンズにて。』の作者だったのか!?」
目をキラキラ輝かせながら、植木が声を弾ませる。
ななみ「うん。そうだよ?応援してくれてんの?あんがと。」
植木「ああ、応援してる!サインくれ。」
植木はどこにあったのか、さっと色紙を出した。ななみはそれにさらさらっとサインを書いた。
ななみ「ところでさ、キミらの仲間の・・・ジャック、宗屋ヒデヨシ、ロビン、雷門太郎、春原陽平、雪光学、そんでブラック☆スターとその武器・中務椿。この合計8名、姿見えないね。どこに居るの?」
スノウ「え?えっと、ジャック達は倒れちゃったから休んでるんだ。・・・って、え?ロビン?」
サンジ「んっ?そういやどこに行ったんだ、ロビンちゃんは・・・?」
その時、ゾロの腕の中で倒れていたはずのシェイミが飛び起きた。脅えたような目つきで、辺りを見回す。
ゾロ「シェイミ・・・?どうした?」
シェイミ『嫌な気配がするです!ロビンとヒデヨシが・・・戻ってこなくなる気がするです!』
ウソップ「おいおい、お前いきなり何言い出すんだよ?」
その時であった。
全員の背中に、身の毛もよだつような空気が流れてきた。それはヒデヨシ達を休ませている所の方向から流れてきた。
鬼太郎「な、なんだ・・・?今の嫌な空気の流れは・・・?」
ギロロ「奴らを休ませている所からだ・・・!行くぞ!」
各々が武器を構え、飛び出していった。その時、誰かが立ち塞がった。それは・・・ロビン
ルフィ「ロビン・・・!?どこ行ってたんだ?探してたぞ~!あ、そうだ!そういやさっき、嫌な感じがしたんだよ。ロビン、何か知らねぇか?」
だが、ロビンは何も答えなかった。・・・いや、何か呟いている・・・。虫が鳴くような、小さな声で・・・。
ロビン「私は・・・誰の役にも立てていない・・・。やっぱり私は・・・死ぬ事でしかみんなを幸せに出来なかった・・・!」
チョッパー「ロビン・・・?どうしたんだ?なんか変だぞ?」
その途端、嫌な空気は途端に強くなった。その空気はロビンが発していたのだ・・・!
ロビン「レオルドの時もそうだった・・・。船長であるルフィに『レオルドを助けろ』と言われても・・・私は何も出来なかった・・・。私は・・・死ぬ事でしか人を幸せに出来ないッ!!
ロビンが叫んだ途端、その空気は真っ黒なロビンの姿を作り上げた。そしてその真っ黒なロビンは、ルフィ達に襲い掛かったのだ!
ナミ「ちょっと、どうしたのよロビン・・・!?何でこんなのが・・・!?」
だが、真っ黒なロビンは止まらなかった。ナイフを取り出し、ナミに襲い掛かる・・・!
ナミ「はっ・・・!?」
ポッチャマ「ポッチャマ~~~~~~~ッ!!」
ナミの前に飛び出し、バブルこうせんを放ったのはポッチャマだった。真っ黒なロビンは体勢を崩し、地面に倒れた。だが、また起き上がってナイフを構える。
ナミ「ポッチャマ・・・!ありがとう・・・。」
ポッチャマ「とーぜんポチャっ!」
その時である。
ななみ「赤信号は止まれの色ッ!
ななみが大きな筆の先に付けた赤い絵の具を、真っ黒なロビンのナイフを持つ腕にぶつけた。その途端、絵の具が固まり、腕は動かなくなった。
ななみ「ん、魅花!あれの仕業だね、明らかに!」
魅花「そうね。全くザキラ軍もタチの悪い道具造るわ・・・。」

突然暴走を始めたロビン。原因は“あれ”・・・。
果たして“あれ”とは何なのか?シェイミの「ロビンとヒデヨシが戻ってこなくなる」とはどういう事なのか?
そしてヒデヨシ達は・・・!?

第49話 闇に埋もれた光

ジャック達を休ませている場所の少し先で、ロビンは精神の暴走を起こしていた。そしてその時、ジャック達は・・・。
ジャック「う・・・、うぅ・・・っ。あ・・・?」
ゆっくりと目を開けたジャックは、辺りをきょろきょろと見回す。
ジャック「あれ・・・?ここ、どこッスか・・・?」
その時である。ジャックの背中に寒気が走った。ジャックはばっと後ろを振り向く。
だが、そこに倒れているのはモン太、陽平、学、ブラック☆スター、椿、そしてフィギュア化したヒデヨシだけだった。
だが、ジャックの寒気は消えない。仲間の近くだと言うのに。ジャックはそっと目を閉じた。
ジャック「(見えないものを感じる力・・・シックスセンスを使えば、見つかるんじゃ・・・?)」
ジャックはシックスセンスを駆使し、辺りを探る。すると・・・真っ黒なオーラが見えた。目を閉じたままのジャックは、シックスセンスで見える視界を通してそのオーラはどこから出ているのかを見た。
それを放っていたのは・・・ヒデヨシだったのだ。
ジャック「(ヒデヨシ!?どうしてッスか・・・!?ヒデヨシの能力に、こんなのあったんスか!?)」
黒いオーラに脅えながらも、ジャックはヒデヨシを見つめ続けた。その時である。

-うっ・・・うぅっ・・・ひっく・・・ひっく、・・・うぅ・・・。-

誰かの泣き声が聞こえた。だがその声は、この場に居る誰の声とも違ったし、ジャックの知っている声でもなかった。
ジャック「(誰か泣いてる・・・?そう言えば、ずっとそうだった・・・。さっき気を失ってた間も、誰かがずっとオイラの近くで泣いてた・・・。)」
ジャックは声のする方を向いた。そこにあったのはフィギュアになったヒデヨシだった。
ジャック「泣いてる・・・?ヒデヨシが・・・?」
「あぁ、そうだ。」
誰かの声がした。目を閉じたままのジャックは、目を開こうとした。だが、それは手で覆い隠された。
ジャック「(!? な、何するんスか!)」
「いいか?黙ってよく聞けよ?ヒデヨシには今黒い羽根が付いてる。きっと、今のあいつの心は闇に覆われてる。だから・・・とっとと心を開かせてやれ!でないと・・・大変な事になるぞ!」
ジャック「またアレをやれって言うんスか!?無茶ッスよ、そんなの・・・!それやって今まで倒れてたのに!」
「じゃあ仲間を見殺しにしても良いって言うのか!?」
その言葉に、ジャックは戸惑った。だが・・・目の前で、仲間が苦しんでいる・・・。ジャックには、どうにもならない、何とも言えぬ感情が沸き起こった。
ジャック「分かった・・・。やってみるッス・・・!!」
ジャックは目を開ける。その時、周りには誰も居なかった。ジャックは辺りをきょろきょろと見回した。誰の影もない。そしてその事を確認し、少しため息をつくと、ジャックはフィギュアになったヒデヨシにそっと手を触れた。そしてゆっくりと目を閉じた。
ジャック「(開け・・・ヒデヨシの、心の扉・・・ッ!)」
そしてジャックは眩い光に包まれていった。

どんがらがっちゃーーーーーーーん!!!!
ジャック「いっ、つつつつつつ・・・!!」
着地に失敗したジャックは、頭をさすりながら起き上がった。そして目を開けると・・・そこは、真っ暗で何も無い空間だった。
ジャック「・・・・・! パノさんの時も、こうだった・・・。ヒデヨシ、どこに居るんスか!?ヒデヨシ!?」
ジャックが駆け出した、まさにその時である。
「うっ・・・うぅっ・・・ひっく・・・ひっく、・・・うぅ・・・。」
先程の泣き声が聞こえた。ジャックはその方へ振り向く。
ジャック「誰か・・・誰かそこに居るんスか!?」
ジャックは向きをそちらに変え、駆け出していった。
しばらくして・・・ジャックはいつの間にか真っ白な空間に辿り着いていた。色は白に変わったが、何も無い事には変わりない。
ジャックは辺りを少し見回した後、そのまま走り出していった。すると・・・真っ白な空間の中に、黄色い何かが見えた。どうやら髪の毛のようだ。その色には・・・ジャックは見覚えがあった。だが、目の前に居たのはヒデヨシではなく、小さな子供だった。
ジャック「(・・・ヒデヨシ・・・?いや、でもヒデヨシはもっと背が高いし・・・。)」
よく見ると・・・その子供は泣いていた。
「うっ・・・うぅっ・・・ひっく・・・ひっく、・・・うぅ・・・。」
先程の泣き声だ。泣き声の持ち主は、この子供に違いない。その時、子供は泣き声に混じりながら何か言った。
「みんなどこいっちゃったの・・・?おうち・・・どこ・・・?」
ジャック「・・・ヒデヨシ・・・?」
「!? ヒデノリ!?」
その子供はばっとジャックの方に振り向いた。だが・・・ジャックの顔を見ると、また泣き出した。
「ヒデノリじゃ・・・ない・・・。うっ・・・、うえ~~~~~~んッ!!
ジャック「お、落ち着くッスよ!それより・・・誰ッスか?ヒデノリって・・・。」
すると子供は泣きながら顔を上げ、言った。
「双子のヒデノリにいちゃん・・・。オレ、弟・・・。」
ジャック「そっか。じゃあ、つまりキミはそのにいちゃんを探してるんッスね?」
ジャックの言葉に、子供はこくんとうなずいた。
「かくれんぼしてたら・・・知らないところに来ちゃって・・・。帰りたい・・・。おうちに帰りたいよぉ・・・!うわぁ~~~~ん!!」
ジャック「わ、分かった分かった!じゃあオイラがにいちゃんを探すのを手伝ってあげるッス!」
「!? ホント!?」
子供はうれしそうに言った。涙も少し止まったようである。
ジャック「うん。そのヒデノリおにいちゃんを探せばいいんッスね?どんな顔してるんスか?」
「双子だから・・・オレとおんなじ。でも、かみのけはまっかなんだ!」
ジャック「そっか~。じゃあキミと同じ顔で、髪が真っ赤な子を探せばいいんッスね。よし、それじゃ行こっか!」
ジャックが歩き出す。その時、その子供はこてんと転んだ。
ジャック「!? だ、大丈夫ッスか!?」
「い・・・いったぁ・・・。」
子供は再び泣き出しそうになった。その時、ジャックはズボンのポケットから種を取り出した。そして地面に置くと、バトルスコップのÄRMを具現化させた。そしてスコップの先を地面に刺す。
ジャック「・・・育てッ!」
すると種は瞬く間に成長し、そこから草が生えた。ジャックはその草を取ると、そこからさらに葉を一枚取った。そしてそれを子供の傷の所に張った。
ジャック「こうしてれば、すぐに良くなるッスよ。」
「あ・・・ありがとう!スコップのにいちゃん!」
ジャック「あ、そういやオイラ、まだ名前言ってなかったッスね。オイラはジャック。見ての通りの農夫ッスよ。」
すると子供はうなずいて、答えた。
ヒデヨシ「オレ、そうやヒデヨシ!よろしく、ジャックにいちゃん!」
ジャック「!? ヒデヨシ・・・!?」
ヒデヨシ「うん、そだよ。どしたの?」
ヒデヨシの言葉に、ジャックは首を横に振った。
ジャック「ううん・・・何でもないッス。じゃ、にいちゃんを探しに行こう。」
ヒデヨシ「うんっ!」
ジャックはヒデヨシをおぶると、まっすぐに歩いていった。

一方その頃、ロビンに立ち向かう魅花達は・・・。
ロビン「来ないで!もう、放っておいて!もう、死なせて・・・!!」
魅花「はっ!何言い出すかと思えば・・・。そんな事?バカな事言うわね・・・。
ニコ・ロビン?貴方の無数の腕は、何人もの人間を救ってきたんじゃないの?仲間達を何度も助けてきたんじゃないの?」
ナミ「そうよっ!」
そこに同調したのは、ナミだった。
ナミ「あたし、何度もロビンに助けられてる・・・!もしロビンが居なかったら、あたしきっと・・・ここには居ない!」
ロビン「ナミ・・・?」
そして、ナミに続くように、フランキー達も言った。
フランキー「魅花の言う通りだ!お前はその有り余る手で、既に何人もの人間を救ってる!!!おれもその一人よ!」
サンジ「ナミさんは良いとして、何おいしいとこ持ってってんだよフランキー!世界中でおれほどロビンちゃんに幸せにしてもらってる人間は居ねェだろ!!!」
チョッパー「おれもだ!!!」
ウソップ「おれもな!!!」
ブルック「私もです!!」
ゾロ「右に同じ・・・。」
ルフィ「そしてこれからも、ロビンはずっとおれ達の仲間だ!!!
彼らの言葉は、ロビンの心を打った。
ロビン「・・・みんな・・・。」
すると、ロビンの体から黒い雲が出てきた。ロビンは倒れる。
そしてその黒い雲は空中で渦を巻いた。そして今度は、ナミの方へと向かって行ったのだ!
ナミ「え・・・ッ!?」
「消えるが良い!」
その黒い雲に手をかざしたのは、魅花だった。すると、黒い雲は突然止まり、そしてゆっくりと消えていったのだ。
魅花「・・・これでオッケーね。これで誰の心にも乗り移らないし、ロビンも自分を取り戻すわ。」
フランキー「おい、何だったんだよ、さっきのは?あんな事は、こいつはもう吹っ切ったんじゃねえのか!?」
ななみ「吹っ切っただろうね。でもね、黒い羽根はそんな事すら思い出させて、付いた人間の心を苦しめる。そして成長しきった黒い羽根は、心を闇だけで染め、やがて自分も相手も、誰も信じられなくする・・・。だけどそれはザキラにだけは無効で、ザキラがつけ入って服従させる・・・。そういう計画の道具だよ。」
ななみの言葉に、植木達ははっとした。
植木「じゃあ、ヒデヨシは・・・!」
ななみ「うん、付けられた可能性が高いよ。しかも今までの行動を見ると、彼の羽根の方が成長してる。」
鈴子「でも・・・仮にロビンさんと同じ時期に付けられていたとしても、何でヒデヨシ君の方が成長しているんですの?」
そこに魅花は答えた。
魅花「あの黒い羽根は、付けられた人間が恨みや憎しみといった感情を持った時に成長する道具。だから、彼の方がその機会が多かったんでしょうね。」
清一郎「そうか・・・。そうやな。あいつ、因縁があるカプーショチームの連中と何回も顔会わせとったしな。無理も無いか・・・。」
ゾロ「それに、あいつは双子の兄貴と訳ありらしいしな・・・。」
プリン「えッ!?あいつ、兄ちゃん居たの!?しかも、双子!?」
その言葉に、スノウはうなずいた。
スノウ「うん・・・。だけど、ヒデヨシはすっごくその人の事を恨んでた・・・。」
ななみ「そっか・・・。じゃあ聞くけど、今までヒデヨシがらしくない行動をした事ってあった?」
ななみが尋ねると、あいは答えた。
あい「ヒデヨシ、カプーショチームの人に会う度にすごく怒ってた。確かに因縁はあるかも知れないけど、あんなに怒った事なんてないし、ヒデヨシはあんなに怒る奴でもないし・・・。」
ななみ「きっと、黒い羽根が原因。それで、そうなったのはいつ頃?」
レオルド「ソノ行動ヲシダシタ時期カラ推測スルト・・・じぇねれいたーヲ入手シタ後ダト思ワレマス。」
ななみ「そうなの?じゃあジェネレイターを入手する際、ヒデヨシとロビンは、なんか罠にかかったりしなかった?」
すると野久保ははっとし、答えた。
野久保「ジェネレイターから力を吸い取ってる罠があった!それで、その罠にかかったレオルドを助けようとしてヒデヨシ君はその中に突っ込んで行って、ロビンさんはその前にハナハナの実の能力でレオルドを助けようとして、その罠に触れてた!」
魅花「じゃあきっとその時ね。その罠には黒い羽根が仕掛けられていた。そしてそれに触れた二人は、無理矢理心に闇を宿された・・・。こう考えるのが妥当ね。」
上地「でも、その考えだとレオルドもかかってるんじゃ?それに、羽根が付いてれば気付くんじゃ・・・。」
魅花「あれは人間にしか効かない道具なの。だからレオルドは無事だったけど、二人はかかったのね。
そして、あれは人に触れるとすぐに消えて心に侵入する道具。その形はすぐに消してしまうわ・・・。気付かないのも、無理は無いわね。」
マリオ「とにかく、ヒデヨシが危ない!急ごう!」
そして、フランキーがロビンを抱えた事を確認すると、マリオ達はジャック達を休ませた所へと急いだ。

そして・・・ジャックは・・・。
ジャック「う~ん、どこッスかね?ヒデノリにいちゃんは・・・。」
ヒデヨシ「・・・もしかして、オレのコトなんか忘れて・・・帰っちゃったのかな・・・。」
ジャック「それは絶対にないッス!」
ジャックはヒデヨシに対して叫んだ。
ジャック「家族が家族を忘れるはずないッス!きっと心配してるッス!」
ヒデヨシ「・・・そう、だよね!オレ、きっとヒデノリと帰る!」
ジャック「そうッスか。なら良かったッス。」
微笑みながらそう言って、ジャックは歩いていった。すると、赤い光が見えた。
ジャック「? なんスか、これ?」
ヒデヨシ「わかんない・・・。オレ、知らない。」
ヒデヨシの言葉を聞くと、ジャックはその光に触れた。
その途端、ジャックの脳裏に何かが見えた。

「ヒデノリ、ヒデヨシ。お誕生日おめでとう!二人とももう5歳ね~。」
「ほら、お誕生日プレゼントだぞ~。こっちはヒデノリ、こっちはヒデヨシのだ!」
プレゼントを受け取った幼き日のヒデヨシは、受け取ってすぐに箱を開けた。
「あっ!!“滅悪戦隊ライティンジャー”のライティタイガー!これほしかったんだ!ありがとパパ、ママ!」
ヒデヨシは喜んで言った。そしてヒデノリも箱を開けた。
「ライティイーグル・・・。ヒデヨシのもいっしょにしたら、これで三体そろったんだ・・・。」
「あ!ダメだよ、おにいちゃん!これはボクのだもん!」
ヒデヨシはそれを貸そうとはしなかった。同じようなライオンのおもちゃと鷹のおもちゃを手に持ったヒデノリは、「かしてよ」とも言わず、ちょっとうなずいただけだった。

ジャック「え・・・・・ッ!?」
ヒデヨシ「ジャックにいちゃん・・・?どしたの?」
ジャック「い、いや・・・。何でもないッス。大丈夫ッスよ。」
ヒデヨシを安心させるようにジャックは言った。そしてまたゆっくりと歩き出した。

レッド「・・・居た!みんな、ここだよ!」
レッドの声に、全員が飛び出す。そこにはモン太、陽平、学、ブラック☆スター、椿、そしてフィギュア化したヒデヨシが居た。
だが、その光景をギンタは不思議に思った。
ギンタ「ジャック・・・ジャックは!?ジャックはどこに居るんだ!?」
ギンタの言葉に、全員がはっとした。ジャックの姿だけが見えないのだ。
パノ「まさか・・・ジャック君!?そこに居るの!?
パノはフィギュア化したヒデヨシに向かって叫んだ。

ジャック「・・・・・えっ?」
ジャックは立ち止まった。そして後ろを振り向く。だが、そこには何も無い。
ヒデヨシ「こんどはどしたの?」
ジャック「いや・・・。さっき、パノさんに呼ばれた気がした・・・。」
ヒデヨシ「パノさん?」
ジャック「オイラの好きな・・・じゃなくって、友達ッス。なんか、声がした気がしたんッスけど・・・。」
ジャック自身も、気のせいかと思った時である。またジャックの脳裏に何かが見えた。

「ヒデノリ!?どうしてオレのライティタイガー壊したんだよ!?」
あの時見えた映像より、二人は成長していた。8歳ぐらいのように見える。
ヒデヨシは強い語勢でヒデノリを責めた。その足元には、足がバラバラになり、体にヒビが入ったライティタイガーのフィギュアが落ちていた。5歳の誕生日の時の物だ。だが、ヒデノリは全く動じなかった。
「“三体合体させたいだけだから貸してくれ”って頼んだだけなのに、お前がヤダって言うから・・・。だからなんにも言わずに持ってった。それで合体させようとしたら・・・落っこちた。それで、壊れた。」
「なんでなんにも言わずに持ってくんだよ!?なんで、どうしてっ!?」
「だって話したら貸さないじゃん。それに、落ちただけで壊れたって・・・お前、あんまりいい使いかたしてないだろ?オレもイーグル落としたコトあるけど、壊れなかった。だからお前が変な使いかたしてるとしか・・・。」
「・・・ヒデノリのバカヤロウ!!お前なんか大ッキライだ!!
そう叫んで、ヒデヨシは駆け出していった。その後姿を、壊れたライティタイガーを拾い上げたヒデノリはじっと見ていただけだった。

ジャック「・・・ッ・・・!? また・・・!?」
ヒデヨシ「さ、さっきからどうしたんだよ!ジャックにいちゃん?」
尋ねるヒデヨシに、ジャックは小声で聞いた。
ジャック「お前・・・本当は、にいちゃんの事嫌いなんじゃないッスか?」
ジャックの言葉を聞くと、ヒデヨシは答えた。
ヒデヨシ「・・・ライティタイガー壊されて・・・その時に、謝ってもらえなくって・・・。それに、あの日からライティタイガーも返してもらえなくて・・・。本当に、怒った。それで・・・“あんなヤツ、大ッキライだ”って思った・・・。
でも、気付いたんだ。」
聞き覚えのある声が、その小さな子供の声と重なった。重なっていたのは、ジャックにとっては聞き覚えのあるヒデヨシの声だった。
『ヒデノリはそれでも・・・オレのたった一人の、大切な兄ちゃんだ、って・・・。』
ジャック「・・・・・!!!」
ジャックは、そこにヒデヨシの本心を垣間見た。そしてそれは、ヒデヨシの素直になれない思いだとも気付いていた。
ヒデヨシ「・・・なぁ、ジャックにいちゃん!黙ってないでさ!ヒデノリ探してくれるんじゃなかったのー?」
ジャック「あ・・・そうだったッスね。どこッスかね、にいちゃんは。」
そう言うと、ジャックは再び足を進めた。
その時である。真っ白だった風景が、少しずつ町並みへと変わっていった。
ジャック「ん・・・?ここは?」
ヒデヨシ「あれ・・・?ここ、知ってるぞ!?」
ジャック「ホ、ホントッスか?!ここを知ってるんスか?」
ヒデヨシ「うん・・・。多分。」
曖昧だが、ヒデヨシはそこを知っているかのようだった。ジャックはうなずく。
ジャック「よし、じゃあここの道はヒデヨシを信じて進むッス。」
ヒデヨシ「えっと・・・多分、あっち!」
ヒデヨシが曲がり角の左を指差した。ジャックはそちらへと左折する。すると・・・その道の右手に、小さな空き地が見えてきた。
ジャック「空き地・・・?ここが、どうかしたんッスか?」
ヒデヨシ「ここだよ!ここでオレ、かくれんぼしてたんだ。そしたら・・・あそこに居て・・・!」
ジャック「それって・・・一体・・・?」
その時である。ヒデヨシの後ろに、何か黒い影が見えた。その黒い影は、ジャックの知っているヒデヨシの姿をしていた。そしてそれは顔を上げると・・・真っ赤な目で、ジャックを睨んだ。
ジャック「ッ!? う、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!
ジャックは額を押さえた。あまりの痛みに、地面を転がる。
ヒデヨシ「ジャックにいちゃんっ!?」
ジャック「(なんスか、この痛み・・・ッ!頭が、割れる・・・ッ!!)」
その時、やはりジャックの脳裏に何かが見えた。

「お前!どうしていつもそう仕事仕事で子供達の面倒を見ないんだ!お前が目を離して同僚と仕事の話なんかしてたから、ヒデヨシは車にひかれそうになったんだぞ!!」
「なんですって!?あなたこそ、仕事ほったらかして家にずっと居て・・・今生活を支えてるのは、私じゃない!」
「生活の事を言ってるんじゃない!お前があまりにも無責任だって言ってるんだ!子供から目を離さないのは当然の事だろう!それなのに、お前はヒデヨシから目を離して・・・!!」
「じゃあいつも家に居るあなたが見ていれば良かったんじゃない!あなたがずっと家に居たから悪いんでしょう!?」
その光景は、ジャックが最初に見た穏やかな雰囲気とは全く違った。夫婦の仲は険悪に見える。何かの意見が食い違っている。そこに・・・8歳ぐらいのヒデヨシが姿を見せた。
「父ちゃん、母ちゃん・・・!ケンカ、やめ・・・」
「まだ寝てなかったの!?もう寝なさいって言ったでしょう!?」
「大人の話に、首を突っ込むんじゃない!」
「・・・・・!!?」
「全く、ちゃんと寝ないなんて・・・。どうしてこんな悪い子に育ったのよ!」
「お前にそんな事を言う資格はない!!お前のせいじゃないのか!?」
「何よ!!」
その様子を見て、ヒデヨシはだっとヒデノリの部屋へと駆け込んだ。
「ヒデノリ!父ちゃんと母ちゃんが・・・!!」
「ほっとけよ。」
「何で・・・!?だって父ちゃんと母ちゃんが!」
「オレ達が首突っ込んでも何も変わらないって。もう寝とけ。」
「・・・・・ッ・・・・・!」
兄は、止める事すらしなかった。そして次の日・・・その兄と父は消えていた。
「お前とはやっていけない」という、手紙を残して・・・。

-ヒデノリは・・・家族のコトなんて、どうでも・・・よかったんだ・・・!!-

そしてそれは、兄への憎悪へと変わっていったのである・・・。

起こった事:ロビン、心の闇から開放される。
ジャック、ヒデヨシの心の中へ潜入。

第50話 I believe. ~オレは信じてる~

ジャック「はぁ、はぁ、はぁ・・・。」
ジャックは目を開けた。頭の痛みは引いている。ジャックは頭から手を離した。
ジャック「ヒデヨシ・・・?」
ヒデヨシ「あぁッ!?あれ・・・!」
突然ヒデヨシが叫んだ。ジャックが顔を上げると、道路にヒデヨシは突っ立っていた。
ヒデヨシの目の前の道路には、ぽつんとライティタイガーのフィギュアが置いてあった。よく見ると、足の部分に名前ペンで「ひでよし」と書いてある。
ヒデヨシ「あれ、オレのだ・・・!良かった!こんなトコにあったんだ!」
ヒデヨシは駆け出していく。ジャックが慌てて駆け出そうとした、その時である。
ヒデヨシの飛び出した角に、車が突っ込んできたのだ。ジャックは目の前の光景を疑った。
ジャック「(え・・・ッ!?)」
車はヒデヨシに迫っていく。ジャックはヒデヨシの所へと飛び出そうとした。だが、その時ジャックの足がもつれ、転んでしまったのである。
ジャック「ッ・・・!ヒデヨシーーーーーーッ!!!!
そして車は、ヒデヨシのもうあと10mほどの位置に迫った。

-どうして・・・ヒデヨシは助かったんだろう・・・?-

-一体、何があって・・・?-

その時だった。何か赤いものが、ヒデヨシの迫る方向から駆け出してきた。
そしてそれは、ヒデヨシをそのまま突き飛ばした。ヒデヨシはそのまま後ろに突き飛ばされる。赤いものはヒデヨシの頭を抑えた。そして・・・車は急ブレーキをかけ、止まった。
「おい、気ぃつけてくれよ!車は急には止まれねぇんだぞ!」
車に乗っていた男が怒鳴った。そしてそのまま、その曲がり角を右へ曲がっていった。
ヒデヨシ「・・・ヒデ・・・」
「バカ野郎!!!」
赤いもの・・・いや、赤い髪をした少年は、ヒデヨシが何か言う前にヒデヨシに怒鳴りつけた。
「いきなり道路飛び出して・・・死んでたらどうするんだよ!!」
ヒデヨシ「でも、ライティ・・・!」
「命よりオモチャの方が大事なのか!?お前にとってあれが大事なのは分かる・・・!だけど、お前が死んだら・・・家族はどうなると思ってんだよ!!
赤い髪をした少年は、ますます語勢を強めた。
ヒデヨシ「う・・・うっ、うぅっ・・・。」
「泣くなよ、男だろ。それに・・・ライティタイガーだって、きっと直すから。」
そう言うと、赤い髪の少年は、壊れたライティタイガーを拾い上げた。
ジャック「・・・・・?」
「そこの人!ヒデヨシをここまで連れて来てくれたんだろ?ありがと。」
ジャック「え?あ、えっと・・・キミがヒデノリッスか?」
ヒデノリ「うん。宗屋ヒデノリ。ヒデヨシの事、探してたんだ。ありがと。」
ジャック「いいッスよ、礼なんて。」
ジャックがそう言うと、ヒデノリはそっとヒデヨシを起こした。
ヒデノリ「・・・帰るぞ、家に。」
ヒデヨシ「・・・うんっ!」
そして、双子の兄弟はまっすぐに歩いていった。その様子を見て、ジャックは安心して目を閉じた。
その時である。

-ありがと、ジャックにいちゃん。-

ジャックの脳裏に、ヒデヨシの声が響いた。ジャックはばっと目を開ける。すると・・・そこは真っ白な空間になっていた。
ジャック「ヒデヨシ・・・?」
ヒデヨシの姿を探し、ジャックは辺りを見回す。すると・・・白い空間の中に、ぽつんと、黒い点が見えた。
ジャック「あれ・・・なんスか・・・?」
黒い点を見ると、ジャックはそこへと走っていった。黒い点は、近づくにつれて大きくなった。そして・・・それははっきりと、黒いドアの形をしていた。
ジャック「黒い、ドア?さっきまでこんなの無かったような・・・。」
その時、そこから黒い風が吹いた。風にさらされたジャックは、何か強く、暗い、恐ろしいものを感じた。
ジャック「ッ・・・!? ひで、よし・・・ッ!?」
ジャックはそのドアを睨んだ。その向こうに、ヒデヨシは居る・・・そう思ったのだ。ドアノブを回し、ドアを開けた。
そこには・・・果てしなき闇だけが広がっていた。
ジャック「ヒデヨシ・・・!こんな闇を、あいつは・・・独りで抱えてたって言うんッスか・・・!」
闇は深く黒かった。ジャックは辺りを見回す。すると・・・誰かのささやくような声が聞こえたのだ。
ジャック「・・・こっちッスね!?」
声の聞こえた方へ、ジャックは急いで駆け出していった。
走りながら・・・ジャックは一つの“記憶”を見た。

「ただいまー、母ちゃん!」
学校の制服を着た、ヒデヨシが自宅へ上がった。ジャックの知っている顔のヒデヨシだった。つまり、最近の記憶であろう。
駆け込んできたヒデヨシは、リビングへと直行した。
「母ちゃん、どうして入学式来てくれなかったんだよ?それよりさぁ、クラスが・・・。」
リビングの光景を見たヒデヨシは、手に持っていた鞄をどさっと落とした。
母親が、目の前で・・・倒れているのだ!
「母ちゃん!?しっかりしろ、おいっ!」
ヒデヨシは母親の体を起こす。だが・・・母親は動かない。ヒデヨシは電話機を取った。
「もしもし!?病院ですかッ!?あのっ!母親が倒れたんです!お願いです、早く来てください!!」
『落ち着いて!まず、住所を教えてください。急いで行きます!』
「あ・・・すみません。えっと、住所は・・・」
しばらくして・・・救急車がやって来て、母親は病院へと搬送された。
母親が倒れた理由は・・・急性アルコール中毒だった。
医者は「父親とキミのお兄さんがどこかへと消え・・・ストレスが溜まっていたのだろう。それを、キミの知らぬ所で酒を飲んで落ち着けていたのかも知れない。それが依存症になり・・・この症状にかかったのだろう」と語った。そして・・・医者は、ヒデヨシにとって最も辛い事を言った。
「残念ですが・・・キミのお母さんの症状は、思ったより重い。しばらく、断酒させる必要があります。断酒のための施設に入れる以外・・・助かる道はないでしょう。」
「え・・・ッ!? ちょ、ちょっと待ってくださいよ!?家でも、断酒ぐらいは・・・!」
「キミは学生でしょう?学校がある。例えどんなにキミが母親に飲ませないように気を配っても、学校に行っているその間に、お酒を飲んでしまう可能性があります。ですから・・・。」
「じゃあ・・・オレは、どうやって・・・!?」
「しばらく、孤児院か知り合いの家で面倒を見てもらう他ないでしょう。辛い事でしょうが・・・これが、キミのお母さんを助ける唯一の方法なんです。」
「・・・分かりました・・・ッ。」
ヒデヨシは、病室を出る直前・・・母親の顔を見た。母親は眠ったように動かなかった。ヒデヨシは拒む気持ちを抑えながら・・・病室を出た。

重くなる足を引きずりながら、溢れ出る涙を必死で拭きながら、ヒデヨシは家へと戻っていった。その時・・・隣の「たいようの家」から、男性が顔を出した。
「ん?どうしたんだ、お前は?」
「え、オレ・・・?オレ・・・。」
「その感じを見ると・・・何か辛い事でもあったか?」
「そ・・・そんな事ッ!」
「あったんだな?」
ヒデヨシが言葉を発する前に、男性は先に言った。まるで、ヒデヨシの心を見透かしているかのようだった。
その時である。家からたくさんの子供達が顔を出した。
「ネロさーん!勉強おしえて~!」
「ネロさん、遊んで~!」
「ああ、分かった分かった!今行くから、少し待っててくれ?」
「はーい!」
子供達は元気に返事をした。その時、一人の子供がヒデヨシを見た。
「ネロさん・・・その人誰?」
「え、オレ・・・。」
「・・・子供の質問には、答えてやるもんだぞ?」
ネロの言葉を聞くと、ヒデヨシはそんな気がした。
「ヒデヨシ・・・、宗屋ヒデヨシ。」
「・・・わーい!わーい!おにいちゃんだ~!」
突然子供達はヒデヨシの所へ群がってきた。
「おわっ!?な、何だよ一体!?」
「ハハハ・・・!お前、子供に頼られてるみたいだな!」
「そんな事言ったってよ・・・!」
だが・・・ヒデヨシは、少し・・・居場所を見つけたような気がしていた。

・・・どれくらい走っただろうか。気が付くと、ジャックは大きなシャボン玉の前に立っていた。
ジャックは目を凝らした。シャボン玉の中に、何かが見えたのだ。だが・・・周りが暗いため、シャボン玉の中は全く見えなかった。
ジャック「こいつは・・・なんなんッスか・・・?」
次の瞬間・・・周りが少し明るくなった。そして・・・見えたのは・・・ヒデヨシだった。
ジャック「!! ヒデヨシ・・・!」
ジャックの声に、ヒデヨシはうっすらと目を開けた。だが、またすぐに閉じてしまったのだ。
まるで、関心が無いかのように。ジャックはヒデヨシに言った。
ジャック「・・・少しは、落ち着いたッスか?ヒデヨシ・・・。落ち着いたんなら、帰らないッスか?みんなの所へ・・・帰ろうッス。」
ヒデヨシ「・・・嫌だ・・・。」
ジャック「何言ってるんスか?みんな、ヒデヨシの事、心配して・・・」
ヒデヨシ「そんなはずないっ!あいつらが・・・オレの事考えてるはずがないッ!!」
ジャックの言葉を、ヒデヨシはことごとく否定した。ジャックはその語勢に怯んだが、キッとヒデヨシを見た。
ジャック「どこにそんな根拠があるんスか・・・!」
ヒデヨシ「だって・・・オレは弱いし、役立たずだし!こんなオレが必要とされてるわけねぇだろ!きっと家族もそうだ・・・!オレが必要ないから、みんな居なくなったんだ・・・!会いに来ちゃくれねぇんだ!」
ジャック「バカ言ってんじゃねぇッス!!」
ジャックは一気に怒鳴り散らす。そして語勢を弱めぬまま、言い続けた。
ジャック「世の中にはな、会いたい人に会いたくても会えない人なんて山ほど居んッスよッ!オイラだって、オヤジに会いたい・・・。会いたいけど、絶対に手の届かない所に行っちまって・・・何しても、どうあがいても、何を願っても会えないんッスよ!自分だけが不幸だなんて、バカな事考えてんじゃねぇッ!!!」
ヒデヨシ「・・・でも・・・でもッ!!」
その途端、ジャックはバトルスコップを出すと、シャボン玉にしがみ付いた。
ジャック「そんなに出たくなけりゃ・・・これブチ破って、意地でも連れ帰るッス!!
ジャックはバトルスコップでシャボン玉を突き始めた。だが、シャボン玉は一向に割れる気配がない。
ヒデヨシ「お前・・・どうして、そこまで・・・。」
ジャック「仲間だから・・・。仲間だからに決まってるッス!!」
その言葉が聞こえた途端・・・ヒデヨシの中で、何かがプチンと音を立て、弾けた。それと同時に、シャボン玉がプチンと音を立てて割れたのだ。
ヒデヨシ「ジャック・・・オレ、みんなと一緒に居て・・・良いんだよなッ!?良いんだよなッ!?
泣きじゃくりながら、ヒデヨシは言った。その途端、周りの風景は広大な平原へと変わった。きっと、ヒデヨシの本当の心の姿であろう・・・。
ジャックは笑顔で答えた。
ジャック「当たり前ッスよ。だって、仲間なんだから。」
ヒデヨシ「・・・・・・・・おうっ!!」
こぼれた涙を拭き取ると、ヒデヨシは笑顔を見せた。
ジャック「さて、みんなが待ってるはずッス。オイラはそろそろ帰るとするッス!」
そう言って、ジャックは歩き出した。
ヒデヨシ「おい、ぶっちゃけ大丈夫か?ちゃんと帰れるか?」
ジャック「大丈夫ッス!とりあえず歩けば、どっかに着―――」
その時であった。ジャックは突然、苦しそうに胸を押さえながら、地面に伏せたのだ。
ヒデヨシ「ジャック!?どうしたんだよ、おいっ!?」
ジャック「・・・分かる・・・。分かるッス・・・。オイラ・・・消えかけてる・・・。」
ジャックは自分の手を見て言った。ジャックの手はやや透明がかり、向こうの景色が見えていた。
ヒデヨシ「何で・・・!?どうしてお前が消えなきゃなんねぇんだよ!?」
ジャック「椿が言ってたッス・・・。」
ヒデヨシ「!? でもお前・・・その時、倒れて・・・!?」
ジャックは首を縦に振った。
ジャック「うん・・・。だけど、少しは届いてたッス・・・。『もし原因を突き止められなかったり、むしろ人の心を傷付け過ぎたら、心から出られなくなってしまう。その上侵入した人の心が入った人の心と融合して二重人格みたいになってしまったり、入った人が消えてしまう事もある』って・・・。オイラ、きっと消えてるんッス・・・。」
ヒデヨシ「ッ・・・助けてくれたのに、そんなのねぇよッ!まだお前に恩返しもせずにお前が消えちまうって・・・そんなのねぇよッ!!」
すると・・・ジャックは笑顔を向けた。
ジャック「そんなの、いらないッスよ?ヒデヨシ。オイラ、こうなるような気はしてたんッス。」
ヒデヨシ「え・・・?」
ジャック「ヒデヨシの心や思い出を見ていくうちに・・・ヒデヨシの心の闇を解くのは、そんな簡単じゃないって、分かってたッス。だから・・・せめて、ヒデヨシの心だけでも救えたら・・・オイラ、消えてもいいって・・・。」
ヒデヨシ「フザけんな!!」
ヒデヨシはジャックに対して怒鳴った。その声は空に響いた。
ヒデヨシ「ぶっちゃけお前・・・さっき『みんなが待ってる』って言ったよな?じゃあ帰る気は十分にあんだろ・・・?あれは嘘だったのかよ!?帰るぞ、みんなの所に・・・!」
ジャック「・・・その気持ちだけでも、十分嬉しいッス・・・。」
すると、ジャックは左手首に付いているバトルスコップのÄRMを外し、ヒデヨシに手渡した。
ジャック「これ、オイラのマブダチに・・・ギンタに、渡してやって欲しいッス。それか、メルヘヴンの誰かに預けて、オイラの母ちゃんに渡してくれたら・・・。」
ヒデヨシ「何『もう死にます』みたいな事ぬかしてんだ、アホ!帰るんだろ!?みんなの所に!!」
ジャック「・・・みんな・・・今まで、ありがと・・・ッス・・・。」
その途端、ジャックは倒れた。そして、体が次第に光の粒子となって消え始めたのだ。
ヒデヨシ「待て!ちくしょう・・・ぶっちゃけ行くんじゃねぇよ、ジャック!!」
ヒデヨシはジャックをおぶると、出口を探した。だが・・・そんなものは全く見えない。
ヒデヨシ「出口・・・!オレの、心の出口・・・!」
その間にも、ジャックの体はどんどん消えていく。
ヒデヨシ「(消えるな・・・!消えるのだけはすんじゃねぇ、ジャック・・・!!)

ぶっちゃけどこだよ、オレの扉ッ!?

「お前・・・またこんな所に隠れてたのか?」
ヒデヨシ「・・・え・・・?」
声のする方に、ヒデヨシは振り向いた。そこには・・・ヒデノリが立っていたのだ。
ヒデヨシ「ヒデノリ(●●●●)・・・!?お前、何で・・・?」
ヒデノリ「・・・久々に、その名前で呼んでくれたな?ヒデヨシ。にしてもお前。なーんか背負ってんなー。ハッキリ言って、何だそりゃ?」
ヒデヨシ「!! コイツは・・・。」
ヒデヨシが答えを言う前に、ヒデノリはうなずいた。
ヒデノリ「あー、アレだ。友達、だろ?お前の事だから、コイツを一刻も早く出してやりたい・・・違うか?」
ヒデヨシ「どうして、それを・・・。」
するとヒデノリは笑った。
ヒデノリ「どうしてってそりゃあ・・・双子だから?双子って、どっか通じ合ってるって話だぜ?」
ヒデヨシ「・・・悪ィ、オレ急いでんだ!どいてくれよ!?」
急いで走ろうとするヒデヨシを、ヒデノリは止めた。
ヒデノリ「急いだって・・・正直良い結果は生まれねぇ。」
ヒデヨシ「でも、早くしないとコイツが・・・!」
ヒデノリ「慌てんな、ヒデヨシ。答えは意外と、目の前にあるモンだぜ?」
そうヒデノリが言った途端・・・ヒデヨシの目の前に、光の玉が見えた。
ヒデヨシ「・・・・・!! ジャック、消えるんじゃねぇぞ!?」
ジャックは、もうほとんど透けていた。今にも消えそうである。ヒデヨシは急いでそこへ走った。
ヒデノリ「・・・良い友達作ったじゃねぇか、ヒデヨシ・・・。」
ヒデノリはふっと笑うと、光に包まれながら消えていった。
ヒデヨシ「・・・よし、着いた!ジャック、消えるな!?消えるんじゃねぇぞ!?」
そう言ってヒデヨシは光の玉を手に取り、ジャックにかざした。すると・・・ジャックは光に包まれ、消えていった。そして光は空へと消えていったのだった。
ヒデヨシ「・・・消えるなよ、スコップにいちゃん・・・!」

ゼルダ「これは・・・一体、何があったのですか!?」
マリオ達は、驚愕した。
突然、ヒデヨシの胸辺りから、光の玉が出てきたのだ。そしてそれはゆっくりと地面に降り立つと、人の形を作った。
そして光は消え・・・そこには、ジャックが残っていた。
ギンタ「!? ジャック!どうしたんだ!?何があったんだ!?」
アラン「コイツ・・・魔力が著しく減ってやがる・・・?いや、それだけじゃねぇな・・・。誰かの力が、コイツにまで流れ込んでいやがる。」
その時、レノは尋ねた。
レノ「おい、魅花!あの闇って・・・また誰かに取り憑くんじゃねぇのか!?」
魅花「彼の場合は・・・きっと、ジャックがどうにかしたのね。闇の気配が消えてるわ・・・。」
ギンタ「とにかく、ジャックを助けねぇと・・・!バッボ、アレやるぞ!」
バッボ「あ、あれか!?し・・・仕方あるまい、第2家来の身の危険じゃ。やってやるわい!」
ギンタはバッボのハンマーの柄を強く握った。
ギンタ「バッボ・バージョン4!アリス!」
その途端、バッボは美しい女性の姿をした天使へとその姿を変えた。
ギンタ「アリス、ジャックの回復ッ!」
アリスはうなずき、ジャックに両手をかざす。すると、ジャックの右手の指がぴくりと動いた。
ギンタ「あ・・・動いたっ!」
アリスを元のバッボに戻すと、ギンタはジャックに呼びかけた。
ギンタ「ジャック!聞こえてるか、ジャック!?」
すると・・・ジャックは少し目を開けた。
ジャック「・・・オレは?ぶっちゃけ、ここは・・・?」
その異変に気付いたのは、パノだった。パノはジャックに呼びかける。
パノ「ジャック君!あなたはヒデヨシじゃない!ジャック君なの!」
その言葉を聞くと、ジャックは自分の手を見た。
ジャック「ジャック・・・?オレは、ジャック・・・?それとも・・・ヒデヨシ?」
パノ「あなたはジャック君なの。ジャック君なんだよ?」
ジャック「・・・ジャック・・・、そうだ。オイラはジャック・・・ジャックッスね・・・。」
頭を押さえると、ジャックはヒデヨシの方を見た。フィギュアになったままのヒデヨシをしばらく見ていると・・・ジャックはヒデヨシの台座に触れた。すると、ヒデヨシはフィギュア化から解放されたのだ。
フォックス「!? ジャック、お前・・・!」
ななみ「心配すんなって、キツネ。ヒデヨシならもう平気だよ。」
ヒデヨシは、頭を上げた。仲間達の顔を、一人一人確認する。
ヒデヨシ「みんな・・・オレ・・・。」
植木「お前は、ヒデヨシだぞ?」
ヒデヨシ「いや・・・それは分かってる。ジャックは?」
ヒデヨシは辺りをきょろきょろと見回す。その視界に、ジャックの姿が映った。するとヒデヨシは、ほっと胸を撫で下ろした。
ヒデヨシ「良かった・・・。あいつ、オレじゃないよな?」
あい「? ジャックはジャックでしょ?」
ヒデヨシ「ああ、分かってる。でも・・・あいつ、オレの中に居た。オレの思い出、頭ん中に入ってきたって言ってた。だから、あいつ・・・オレと少し、同化してたんだ。消えそうになってた。助かってて、良かったよ。」
清一郎「そ・・・そないな事があったんか。」
そして、ジャックは目を開け、辺りを見回した。
ジャック「分からない・・・。オイラ・・・本当にジャックッスよね・・・?」
すると・・・パノがジャックに向かって叫んだ。
パノ「ジャック君・・・あなたはジャック君だよッ!!ジャック君、あの力を使ったんでしょ・・・?分かるよ、あたしもあの力で助けられたから・・・。だけど・・・ッ!!
ジャック君、無茶しないでよ!もし何かあったら・・・!
その直後、やや虚ろだったジャックの目に、光が戻った。そして、パノに言ったのだ。
ジャック「・・・ごめんなさいッス・・・。」
それは、ヒデヨシのものでもジャックとの中間のものでもなく、ジャック自身の言葉だった。

ダイチ「・・・なぁ、空海・・・。」
空海「分かってる・・・。ジャックって奴にヒデヨシ助けるように言って・・・ザキラ軍の作戦の、邪魔したって事は・・・。」
ダイチ「んな事したら、あいつらが・・・。」
空海「そんな事も分かってるッ!! でも・・・出来なかったんだよ、見過ごすなんて!心に闇を植えつけるなんざ・・・×たま作ってんのと同じじゃねぇか!オレ、何やってんだ・・・!!」
ダイチ「空海・・・。」
空海の心には、次第にザキラの作戦に対する疑問が沸いてきていた。
ジャックにヒデヨシを助けるように言っていたのは、彼だった。それは・・・その疑問から生まれた行動だったのである。
彼もまた、守るために戦っているのだった・・・。

起こった事:ジャック、ヒデヨシの心を救う。

第51話 素晴らしきあいの能力!?

空を見上げて、二人の少年が隣り合わせに座っていた。
ヒデヨシと、ジャックだ。
お互いに無言で、何も言わず、ただ空を見上げていた。
ジャック「・・・ヒデヨシ・・・。」
沈黙を破ったのは、ジャックだった。
ヒデヨシ「・・・んだよ。」
ジャック「不思議ッス・・・。人と記憶を共用する事って、不思議な感覚になるッスね・・・。」
ヒデヨシ「まぁ、ぶっちゃけオレとお前は他人な訳だし。仕方ないんじゃね?」
ジャック「そうッスか~・・・?」
その言葉を聞くと、ジャックはヒデヨシに尋ねた。
ジャック「お前、兄ちゃんの事は好きッスか?」
ヒデヨシ「・・・誰があんなヤツ・・・。」
するとジャックはにっと笑った。
ジャック「嘘つけ~。だってお前、兄ちゃんの事『ヒデノリ』って呼んで、『やっと名前で呼んでくれたか』って言われてたッス。何か変わったんじゃないッスか?」
ジャックの言葉に、ヒデヨシは眉をひそめた。
ヒデヨシ「・・・まぁ変わったっちゃ変わった。でもなぁ、アイツがカプーショチームに入ってる上にザキラ軍なら・・・敵対する事にゃ変わりねぇ。
それにオレ・・・ぶっちゃけまだアイツの事許してねぇぞ。」
ジャック「・・・そッスか。」
ジャックはただ、笑顔を向けただけだった。
ヒデヨシ「・・・じゃ、誰かにジェネレイターのプロテクト解除でも頼んで来っかな。」
ジャック「えッ!今からッスか!?ってか、何でまた?」
ヒデヨシ「そんなの決まってんだろ?能力は重要だし、使い慣れてる。でもオレの能力は錯乱には使えっけど、本格的な攻撃は出来ねぇ。
で、ジェネレイターは天界力使っちまうから、出してたら出してたで能力使えねぇし。それにこれは、オレだけのものじゃねぇ。ロレイラルの技術のモンだ。いつかロレイラルに返すべきだと思うし。
それにきっと・・・アイツに勝つには、ぶっちゃけそれしかねぇ。」
ヒデヨシの言葉に、ジャックは怒ったような声で言った。
ジャック「ヒデヨシ・・・・・。」
ヒデヨシ「・・・安心しろよ、ぶっちゃけ力が欲しい訳じゃねぇ。ただ・・・オレはアイツを越えたいんだよ。ガキの頃は何しても敵わなかった。でも、今なら、きっと変わったって信じてんだ。
もし負けたら・・・オレは何にも変わってねぇ。ぶっちゃけ、それだけのこった。」
ヒデヨシの目には、迷いすら感じられない。その様子を見て、ジャックは笑った。
ジャック「ヒデヨシ・・・。へへっ、いつ見てもお前ってみんなの兄貴っぽいッス。」
ヒデヨシ「まぁ、たいようの家のみんなが、よくオレの事頼ってくるからな。それじゃね?」
ジャック「やっぱり兄貴っぽいような事してるんッスね。オイラより年下とは思えないッス。」
ヒデヨシ「だろーな。 ・・・って、え!?お前、いくつ・・・?」
ジャック「オイラは14ッス。・・・背ぇ低いから、分からなかったッスか?」
ヒデヨシ「いやスマン、ぶっちゃけ全然気付かんかった・・・。」
そんな二人の会話の途中、誰かがゆったりと歩いてきた。ロビンだった。
ロビン「あら、二人でお話し?」
ジャック「はい、そうッスよ。」
ロビン「二人は年も近いから、話も合うのね・・・。フフッ。」
ロビンは笑顔で言った。そんなロビンに、ヒデヨシは聞いた。
ヒデヨシ「あんた、もう平気なのか?」
ロビン「ええ。もう大丈夫よ。・・・あなたこそ、平気なの?」
ヒデヨシ「え?あぁ、ぶっちゃけオレも別に・・・。」
ロビン「・・・本当は、気にしているんじゃないの?お兄さんの事。」
不意にかけられたロビンの言葉に、ヒデヨシは驚いた。
ヒデヨシ「知ってたのか・・・ッ!?」
ロビン「ええ・・・。実はシェイミの背中の毛の中に耳を咲かせてもらって、ちょっと聞かせてもらってたの。
色々問題があるんでしょう?お兄さんと。」
ヒデヨシ「・・・・・・。」
その言葉に、ヒデヨシは何も返せなかった。
ヒデヨシのその顔を見ると、ロビンは言った。
ロビン「大切なのは、信じる事・・・。信じていれば、きっと“隠れ家”じゃなくて“宿り木”が見つかるはずよ。」
そう言うと、ロビンは背を向けて戻っていった。
ロビンの姿が小さくなった所に、カービィの大声が聞こえた。
カービィ「みーーーーんなーーーー!!ごーはーんーーーーーー!!」
ジャック「あれ、もうそんな時間ッスか・・・。オイラ、先行ってるッス!ヒデヨシも絶対来るッスよ!」
そう言うと、ジャックも背を向けて戻っていった。
風を顔に受けながら、ヒデヨシは胸に手を当てた。
ヒデヨシ「・・・信じる事・・・。“宿り木”が、見つかる・・・。」
ロビンの言葉は、ヒデヨシの過去への執着心を、確実に溶かしていっていた。

~ザキラ軍~
ザキラ「“ザキラ軍を抜ける”・・・?何のつもりだね、空海君?」
空海「・・・聞こえなかったのか?そのまんまの意味さ。ここを抜けるって言ってんだよ。」
ザキラ「何故だね?ここに居ればキミの友達も、世界も、キミ自身も助かるというのに。」
その言葉に、空海は反発した。
空海「うるせえッ!お前らの計画してる事は、人の心に×たま作ってんのと同じだ!ガーディアンの元Jチェアだったオレには許せねぇんだよ!だから・・・オレはここを抜ける!」
するとザキラはほくそ笑んだ。
ザキラ「なら、どうやって帰ると言うのだね?それに・・・キミの大切な友達が居なくなっても、世界が無くなっても良いと言うのか?」
空海「いや、それは違う。オレはどっちも犠牲にはしねぇ。」
ザキラ「では何だ?まさか私を倒して世界を奪い返そうとでも言うのか?」
ザキラがそう言った直後、空海の体は光に包まれた。
そして光の中から再び姿を現した空海は、キャラなり「スカイジャック」になっていた。
空海「あぁ・・・そのまさかだッ!!
空海はボードに乗ったまま突っ込んでいく。ザキラはさっと2枚のカードを取り出すと、アポロヌスドラゲリオンとヘヴィ・デス・メタルを召喚した。2体は召喚されるやいなや、空海に飛び掛かっていく。
空海はボードのスピードを上げ、2体の攻撃をかわした。それを追うアポロヌスドラゲリオンの腕が迫る。そして横からもへヴィ・デス・メタルが飛び掛かって来た。普通なら、避けきれない・・・。
だが、空海は上空へと飛び上がった。すると空海に攻撃を仕掛けようとしていた2体は、攻撃を止める事が出来ず、お互いを攻撃した。2体はバランスを崩し、地面に倒れる。
空海「そんなデッカイ怪物が、スピード相手に勝てるわけねぇだろ?」
ザキラ「とっさに機転を利かせて逃げおおせたか・・・。だが、どうあがこうとキミには働いてもらう。」
ザキラは手をかざした。すると、倒れていた2体が再び起き上がったのだ。
空海「!? な、何・・・ッ!?」
ザキラ「残念だったな。“この世界”では、デュエルのルールは存在しない。私には無限の兵力があるのだ。
・・・幹部でありながら、その事を忘れていたようだな・・・。」
ザキラがそう言った直後、アポロヌスドラゲリオンの攻撃が、空海に向かって飛んだ。空海は避ける。だが、ボードの一方のジェット口に攻撃が命中し、コントロールが利かなくなった。
空海「!!!(まずい・・・!ボードをやられたッ!?)」
コントロールの効かなくなったボードは、そのまま落下していった。そして地面に激突し、空海はその衝撃で放り出された。
ザキラ「どうするのだね・・・?戦う力を失ったキミなど、私のモンスター達の敵ではないぞ?」
空海「へっ・・・。痛くも痒くもねぇよ・・・こんなモン・・・ッ!」
ザキラ「ほう?戦えないと分かっていながら、抵抗を続ける気かね?流石は私が幹部と認めた少年だ。」
空海「それを抜けるっつってんだよ・・・?分かってねぇな、てめぇはよ・・・。」
するとザキラはにやりと笑った。
ザキラ「そう言っているのも今のうちだぞ?」
ザキラは空海に手を向けた。
空海「!?」
その瞬間、空海は悪寒を感じた。そして、キャラなりを解いたのだ。
ダイチ「え・・・!?空海!?どうしたんだよ、いきな・・・」
空海「逃げろッ、ダイチ!!」
ダイチ「ど、どうしたんだよ空海!?」
空海「つべこべ言うなッ!早く逃げろッ!!」
空海の目つきは真剣だと悟ったダイチは、その場から逃げ出した。
そして次の瞬間、ザキラの腕が空海の額に突き刺さったのだ・・・!!
空海「ッ・・・・・・・・。」
ザキラはゆっくりと手を抜いた。空海の額には、傷すら付いていない。だが、空海はそのまま倒れた。
そしてザキラの手には、青く輝く光の球があった。
ザキラ「これでもう二度と・・・私に文句は言えまい・・・。」
倒れた空海を見ながら、ザキラはにやりと笑った。

カプーショ「・・・・・。」
その様子を、カプーショはずっと見ていた。
ニコ「・・・リーダー?どうしたんだい?」
心配そうに見つめるチームメイトを見て、カプーショは口を開いた。
カプーショ「やっぱりボクは・・・あいつに従う。」
Uマリオ「お、おい!?そんなのリーダーらしくねぇじゃねぇか!どうしちまったんだよ、一体?」
ウーゴ「あれあれ?この前まで『ボク達の目的のために利用するだけ』って言ってたぞ!?」
ヒデノリ「・・・・・?」
疑問をぶつけるチームメイトに、カプーショは言った。
カプーショ「ザキラがやっていたのは・・・きっとあの出来杉とかいう子にやったのと似たようなやつだ。もし従わなかったら・・・ボク達の夢も閉ざされに閉ざされる・・・!
ボク達の夢は、あんな奴には邪魔させない!だからこそ・・・大人しく従うしかないんだ・・・。キミ達を、犠牲にしないためにもね・・・。」
カプーショの言葉に、チームメイト達は・・・。
ニコ「リーダーがあいつらに従うって言うなら、ボクはリーダーの意見に従うよ?」
ウーゴ「あれあれ?俺、“リーダーに従わない”なんて言った覚えないぞ?」
Uマリオ「俺達の目的のために、『ウルトラあいつらに従っておく』だな!?」
ヒデノリ「・・・ハッキリ言って、仲間を見捨てて何になるよ?」
彼らの気持ちは同じだった。リーダーのためなら、どこへでもついて行ってやると目が語っていた。
カプーショ「・・・ありがとう、みんな・・・。」
カプーショは帽子を被りなおした。その時である。5人の前に、出来杉が現れたのだ。
出来杉「やあ、こんにちは。どうしたんですか?こんな所で。」
カプーショ「・・・別に・・・。」
すると出来杉はくすくす笑った。すると、何か思い出したかのように言った。
出来杉「あ、そうだ。今回はあなた達に戦闘に出て欲しいって話ですよ。」
ウーゴ「あれあれ?何でまたいきなり?」
出来杉「もうあなた達や幹部以外の大半の人間は、ここを抜けてしまいましたから・・・。ケロロ小隊の人達や、悲愴感の人達も、帰って来ないと思ってたら寝返ってましたし・・・。
ですから、あなた達の実力を見込んで、4人を連れてきて欲しいそうです。」
出来杉がどうなっているのか、5人は知っていた。本来はあまり従いたくも無いが・・・。
ニコ「・・・成功させれば、ザキラ様は“例のもの”をボク達5人全員にくれるんだよね?」
出来杉「当たり前ですよ。ザキラ様が嘘をつくはずがないじゃないですか。
それで、今回の任務ですけど、いつも通り4人を連れてくるのが任務です。4人以外の人間が止めようとしたら、フィギュアにしてもいいです。能力者なら自己の観念を使って倒しても構いません。とにかく4人だけは傷を付けず連れ帰ってくださいね。
それと・・・今回は、合流させる“彼”が来たら、これを持たせて下さい。」
そう言うと、出来杉はポケットから、何やら真っ黒なものを取り出した。
カプーショ「・・・!? でも、あいつは・・・!」
出来杉「大丈夫ですよ。出て行ってくれて、こっちも都合が良かったですから・・・。」
そのまま、出来杉はその真っ黒なものをカプーショに手渡した。

一方その頃、マリオ達は・・・。
ロディ「・・・・・。」
マリオ「? どうしたんだい?」
マリオの言葉に、ロディは少しびくっとした。
ロディ「え?いや・・・大丈夫ですよ。」
マリオ「その割には、さっきから一口も食べてないけど・・・。」
すると、ロディの表情が曇った。そして、うつむき加減で言った。
ロディ「セシリア達が・・・大丈夫かなって・・・。」
マリオ「セシリア?」
ダークライ「彼の仲間の名だ。きっとまだ亜空軍があると思って行動しているのだろう・・・。」
その言葉に、トゥーンリンクは首をかしげた。
トゥーンリンク「もう亜空軍は無くなったんでしょ?何で知らないの?」
ダークライ「亜空軍は、破滅した事を誰にも話していない。だから恐らく・・・。」
その話を、陰から見つめている者があった。
「あ、亜空軍はもう滅んでたのか・・・!早くザック達に伝えないと・・・!」
その小さなネズミのような生き物は、急いでどこかへと向かって行った。

「ザック~~~~!大変だ!大変だよ~~~っ!」
小さな生き物は、慌ててザックの手の甲の上に飛び乗った。
ザック「ん?どうした、ハンペン?えらく慌ててんな。」
ハンペンと呼ばれた小さなネズミのような生き物は、その慌てた口調のまま言った。
ハンペン「さっき・・・!さっきあそこにロディ達が居て・・・!」
ザック「!? そうか、分かった!行くぞ!」
ハンペンの言おうとした事も聞かず、ザックは走り出していった。それにセシリア達も続く。
ハンペン「お、おいっ!オイラの話、最後まで聞・・・って、もう居ないし・・・。」
「・・・どうしました?」
ハンペンの言葉を唯一聞いていたのは、マリエルだった。
ハンペン「マ、マリエル・・・!」
マリエル「何か・・・あったんですか・・・?」
ハンペン「あぁ、まぁね。実は亜空軍はもう滅びてたんだよ。でもザック達、話聞いてくれなくて・・・。」
マリエル「急いで、伝えに行きましょう!」
マリエルはハンペンをそっと肩に乗せると、ザック達を追って走り出した。

ロディ「・・・・・。」
先程の会話から、ロディは何も口にしていなかった。
クリスタル「(相当気に病んでるのかしら・・・。何も食べていないし・・・。)」
ロディの事を気にしたクリスタルが、ロディに声をかけようとした時だった。
カービィ「暗い顔禁止~~~~~~~!!!」
ななみ「(KOEDEKEEYO.)」
だが、ロディはカービィのその言葉に対して、微笑みを浮かべた。
ロディ「そうだね・・・。悩んでいても、仕方ないね。分かった。セシリア達は、何とか僕が説得するよ。」
カービィ「OK!笑ってればOK、OK!」
その時である。ゼットが剣を抜き、ばっと後ろを振り返った。
それとほぼ同時に、ゾロが3本の刀を抜いた。
スリッピー「なななな、何だよ~!?何があったの~?!」
ゾロ「おい、誰でもいい!モン太達をどっかに隠せ!」
ゾロの言葉に、クルルはクックックと笑った。
クルル「クックック。任せとけ。」
クルルは倒れたままの5人に小さな機械を取り付けた。そしてパソコンを操作する。
すると、5人の姿がすーっと消えた。
スネーク「消えた・・・!?ステルス迷彩か何かか!?」
ギロロ「あれは『アンチバリア』だ。余程の事がない限り見えまい。
それより、解決すべき問題は・・・今ここに敵が居る事だ・・・!
ギロロもまた、重火器を構えた。
すると・・・誰かが木の陰から飛び出した。だがそれは一人ではなく、数人居た。
セシリア「ロディ、ゼット・・・いつまでそちらに居るのです?!」
真っ先に声を上げたのは、セシリアだった。やはり、ロディ達が騙されていると思い込んでいるようだ。
ロディ「・・・セシリア、聞いて。もうタブーは滅びた。もう、亜空軍は存在しないんだよ。ファルガイアが消される可能性も、ザキラを倒せばもう無いんだ!お願いだ、僕達と一緒に戦って!」
だが、その言葉には誰も首を縦には振らなかった。
ジェーン「あのねー!亜空軍がそうそう簡単に無くなる訳ないでしょ?それに誰よ、タブーって?」
ロディ「え・・・!?」
ゼット「バカ、あいつらはタブーを知らねぇんだよ!いいか!よーく聞け!マスターハンドはタブーって奴に操られてたんだよ!それでタブーって奴はもう倒れたから、亜空軍はもうねぇって言ってんだ!」
だがそれでも、誰も首を縦に振らず、納得したような表情もしていなかった。
ザック「お前が言うと、逆に怪しく感じるな・・・。」
ゼット「んなにぃ!?」
ロディ「ま、待ってよ!本当に亜空軍は・・・!」
すると、彼らは武器を構え始めたのだ。
ジェーン「何言っても通じないぐらい、完全に乗せられてるみたいね~。行くわよ、マクダレン!」
マクダレン「はっ・・・!」
真っ先にジェーンとマクダレンが飛び出す。マクダレンは剣を振るった。
その剣を防いだのは、ロイの剣だった。
ロイ「・・・みんな、ダメだ!彼ら、信じてくれないよ!」
ワリオ「あぁ!?じゃあどうしろってんだよ!?」
ロイ「亜空軍の面々はこっちに居る・・・。時間をかけて、分からせるしかないよ!」
そう叫ぶと、ロイはマクダレンの剣をはじく。マクダレンは体勢を崩したが、すぐに体勢を立て直した。
マクダレン「成程、なかなかおやりになるようですね・・・。ですがその剣には不慣れのようですね。」
ロイ「くっ・・・!(この人、強い・・・!それにこの封印の剣が僕の体に合ってないって事も見抜いてる!長期戦は不利だ・・・!)」

ジェーンは鈴子に向かって2発の銃弾を放つ。鈴子はそれに2つのビーズ爆弾を放って相殺した。
ジェーン「お宝いっただき☆」
その声と共に、ジェーンは鈴子にスライディング攻撃を仕掛けた。鈴子は転倒する。
鈴子「やりましたわね・・・ッ!? って、あれ?ビーズがない・・・!?」
ポケットを探って驚く鈴子に、ジェーンは手を広げて何かを見せた。
それは、鈴子のビーズだったのだ!
ジェーン「それが何なのかは知らないけど、これが無いと使えないんでしょ?大半は盗らせてもらったわ☆」
鈴子「(そんな・・・!ビーズが無くては、あの能力は使えないのに・・・!)」
ジェーンは鈴子に銃口を向けた。
その時、誰かの銃弾が飛んだ。ジェーンはそれを避ける。だが、盗んだビーズの半分は地面に落ちた。
鈴子「!? ロディくん・・・?」
ロディ「説得しようとしたのに、出来なかったのは僕だ。何とかするよ!キミは急いでビーズの回収を!」
ロディの言葉に、鈴子は思い出したようにビーズを拾い集めた。
ジェーン「・・・あくまでもそいつらの味方するの?」
ロディ「もう亜空軍である理由が無いからね・・・。」
ロディのその言葉に、ジェーンはロディに銃口を向けた。
ジェーン「ファルガイアを見捨てるって言うなら・・・もう容赦しないんだからね!?

ザック「うおおおおおおおッ!!!」
剣を抜くと、ザックはブルックに飛び掛かった。ブルックはその両刃の剣を自らの剣で防ぐ。
その時、ザックは鞘でブルックの腰を狙って攻撃を繰り出した。流石にそれは防げず、ブルックは横に吹っ飛ばされた。
ブルック「くッ・・・!速い・・・!?私と同じ、スピード重視の剣士ですか・・・!」
ザック「へっ。だがお前のその細い剣が、耐えられるかどうか分かんねぇぜ?」
ブルックはザックを睨むように見つめる。目は無いのだが、目の奥からは「彼にだけは勝たなくてはならない」という思いが見えていた。
その時、誰かの剣がザックに切りかかった。ザックは寸前の所で避ける。
そこに現れたのは・・・ゼット!
ブルック「ゼットさん!?」
ゼット「ゼぇぇぇぇ~~~~ットぉぉぉぉぉ!!ハッハッハ!任せておけ!この俺様が加勢したからには、敗北率は100%だ!!」
ブルック「・・・・・は?」
ゼット「あ、間違えた・・・。か、勘違いするな!『相手の』敗北率が100%って事だ!」
ブルック「あ、そういう事ですね!?」
ザック「(今のは絶対意図的じゃなかったよな・・・?)」
元々仲間でありながら、ザックとゼットはお互いに剣を抜いていた。
まるで、仲間となり前のように。

あい「あ、あわわ・・・。ど、どうしよう・・・!どうすればいいのよ~!」
目の前の状況に、あいはおろおろしていた。
何をしていいのか、分からないのだ。それに彼女の能力も、そんなに成功率が高いものではない。
彼女の能力「相手をメガネ好きに変える能力」は相手がぶりっ娘ポーズ(正確?には両拳を顔の前に上げ、右足を後ろに上げているポーズ)をしていなければ通じないのである。
それを無意識にでもさせるために騙すような形で限定条件をクリアしてはきた。だが、今回はそんな訳にもいかない。きっと通じるはずがないだろう・・・。
いや、彼女にも考えはあった。だがそれは「相手をメガネ好きに変える能力」を成功させているのが条件なのだ。
あい「(あたしの能力使って、誰か一人でも味方に付けてそのまま説得に持ち込もうと思ったのに・・・!どうしよー、こんな状況で通じるはずないよ~!)」
その時、彼女の背後に何者かが現れた。

第52話 “平和の才”