スマブラ個人小説/スマゲンの小説/謎のゲーム ―忘れられた記憶―

Last-modified: 2009-07-22 (水) 18:30:55

『謎のゲーム ―忘れられた記憶―』は、マリオに降りかかる数々の試練と、その試練を乗り越えるマリオを描いた、中編小説です。
この小説はテレビドラマ『ザ・クイズショウ』を参考にして、執筆しています。

主な登場人物

  • マリオ
  • 謎のファイター

小説の設定・説明

『謎のゲーム ―忘れられた記憶―』でのマリオの一人称は「俺」になっています。ご注意下さい。

視点

基本的にキャラクター視点で描きます。

本編

『空中スタジアムで待っている。』

手紙には、それしか書いていなかった。

とにかく、空中スタジアムへ行けばいい。それで真相がわかる。それだけだ。

―空中スタジアム―

着いた。
俺はゆっくりと入り口をくぐる・・・

見慣れた光景が広がっている。

誰かいるぞ。

マントで身を隠していて、正体はわからない。宙に浮かぶ床の上に立って、俺を見ている。
俺はゆっくりと歩いて、そいつに近づいていく・・・

ある程度近づくと、少し距離が開いた状態で、そいつはしゃべりだした。同時に俺は歩みを止める。

「・・・よく来たな。マリオ・・・」
俺はじっとそいつを見る・・・。だが何もわからない。真相はつかめない・・・。

「お前、誰だ?」
俺はきいた。
「・・・」
答えは返ってこなかった。

しばらく、沈黙が続く。俺には正体不明のやつは俺を見て、かすかに笑っているように見えた。
何をたくらんでいるんだ?

沈黙を破ったのは、やつの方だった。
「来てくれると思っていたよ。絶対来ると思ってた。」
「あれだけの内容の手紙を送っただけで、そう確信してたのか?」
「何言っているんだ。実際、来てるじゃないか。」
「・・・まぁ、そうだが・・・。」
「君の性格上、あの内容だけでも『きっと何かあるぞ。行かないと。』と思うと思っていたんだ。あれだけで十分。いや、むしろあれだけの内容だったからこそ、ここに来る気を起こしたのかもな。」
これで一つわかったことがある。やつは俺のことをある程度知っている。
「あぁ、その通りだ。確かに俺は『これは何かあるぞ・・・』とすぐに思った。・・・だが、その『何か』が何なのか、全く知らないが・・・。」

しばらく、俺は考えていた。
こいつは誰だ?何のために俺をここまで来させた?
俺は単刀直入、正体不明のやつにきいてやった。
「もう一度きく。おまえは誰だ?何のために俺をここまで来させた?何が目的だ?」
「・・・君がゲームをクリアしていったら、わかるさ・・・」
「何の話だ!?」
「・・・」
「なぁ、マリオ。お前、何か忘れていないか?」
やつの口調が変わった。
「忘れている・・・?何の話かさっぱりわからない。・・・さっきからいったい何なんだ?」
「まぁまぁ・・・。」

俺は何のことやらさっぱりわからないままだった。
だが、これから『何か』が起きることは間違いないだろう。

「・・・そろそろゲームスタートするか・・・。」
「な、何なんだ!?その『ゲーム』っていうのは?」
俺は一瞬、パニックになったが、その『ゲーム』とやらがこれから起きる『何か』なのだと確信し、少し冷静になった。
慌てた様子を見せず、俺は冷静にやつにきいた。
「その『ゲーム』ってのは、どこで何を行うものなんだ?」
「・・・規模は大きい。たくさんのファイターを巻き込むことになるだろう・・・。」
そう言われても、自分でも驚くほど、俺は冷静だった。
「ほぉ・・・」
「今からお前にたくさんの試練を与える。とにかく、お前はその試練を乗り越えればいい。それだけ。」
「ほぉ・・・。何が目的なのかは知らないが、とにかく、与えられた試練を乗り越えればいいのか。」
「あぁ。」
「なぁ。何かを失ったりはしないのか?」
「試練を乗り越えれば、何も失わないだろう・・・」
少し冷静さが欠けた。何かを『失う』可能性がある・・・
「ここまで来たからには、ゲームへの参加を断ってもらうわけにはいかない。もう後戻りはできないぞ。参加は強制する。」
もう後戻りできないのか・・・。でも、俺は後戻りする気なんて全くない。なぜだ?俺は事の重大さをわかっていないのだろうか?仲間を巻き込むかも知れないのに、何かを失うかも知れないのに・・・
「もうなんでもいい!よくわからんが、さっさと俺はそのゲームに挑戦し、クリアする!」
俺はただ「試練を乗り越える」ということだけを考え言った。
「一応きいておくが、コンディションは大丈夫か?闘いが待っているぞ。そして仲間は放って置いていいのか?」
「あぁ!大丈夫だ。問題はない!後戻りできなくなる可能性もあるだろうと思って、やっておけることはやっておいて、ここに来た!」
「もうやり残したことはないな?」
「あぁ!」
「ではいくぞ!ゲーム・・・スタート!
いったいどうなっているんだ?なんで俺はこんなにこころよく受け止めた?自分でも驚いている。これから後悔するだろう・・・。・・・だが、もう仕方ない。試練を乗り越えるしかないのだ!

「さぁ、最初の『試練』は何だ?」
「・・・ドンキーコング達がいる、ジャングルを襲撃する。」
「!?」
「お前はその襲撃を止めるのだ!そして、ジャングルを、ドンキーコング達を助けるのだ!」
「!?」
驚きを隠せなかった。だが、『試練』とは最初からこういうものだと思っていた。
「何グズグズしている!早く行かないと間に合わないぞ!」
「あ、あぁ!」
俺は走り出した。
さすがに俺はさっきの冷静さがなくなり、急にパニックになったが、走っているうちに、だんだんと冷静さを取り戻した。

やつは俺の敵なのか?やつは何が目的なのか?これから俺たちはどうなるのか?
そんなこと考えている暇はないのに、つい走りながら考えてしまった。
でも、今は何よりジャングルに行かないと!

しかし、一つだけ気掛かりなことがある。
やつの「なぁ、マリオ。お前、何か忘れていないか?」、あれはどういう意味だったんだ?