戦闘ルール_1.3

Last-modified: 2019-08-25 (日) 19:30:11

戦闘ルール

戦闘ターン

 戦闘が開始された場合、「ターン」と呼ばれる時間単位に区切った処理へ移行する。

 1ターンは10秒程度とする。1ターンの間に、通常のキャラクターであれば1回の攻撃行動と自由な数の防御行動(但し、行動によっては回数制限がある)を行うことができる。

ダイスプール(DP)

 弾幕戦闘では、互いに弾幕を張り合って技を競いながら相手の動きを制限し、追い詰めて攻撃を命中させたり、あるいはミスを誘ったり、といった戦いが基本となるとする。このような状況下での「行動の余裕」をダイスプール(DP)として数値化する。

 戦闘に参加しているキャラクターは、基本的に全ての行動判定で自由にダイスを振ることができない。行動判定に用いるダイスはダイスプール(DP)にまとめられ、これを消費することで判定を行うことが
できる。

 DPを1消費する毎に、行動判定でダイスを1つ振ることができる。行動判定では「{特性値}+〈スキル〉Lv+(状況による修正)+「判定ダイス数」D」を計算して達成値とする。

 DPは行動判定でのみ用いる。ダメージ決定ではDPを使用しない。行動判定で消費するDPは、それ
ぞれの攻撃行動や防御行動の解説を参照すること。判定を行わずにDPのみを消費する行動も存在する。
また、弾幕を回避することを選んだ場合、弾幕の効果によって規定された量のDPを消費する。

 通常、各キャラクターは戦闘開始時に「DP最大値」に等しいDPを持ち、各ターンの始めに「DP回復数」ずつDPを回復できる。(「ダイスプール(DP)」を参照)但し、身動きが取れない状況や狭い所に閉じこめられている状況、自分のごく近くまで視界が遮られている場合などでは、DPは回復しない。

行動順序とDP

 各ターン開始時、DPの回復を行ったあと、残りDP量を申告する。これをイニシアティブとする。イニシアティブが高い順に行動を行う。

 行動順を遅らせる場合、残りDPを申告する時に、合わせてより少ない数をイニシアティブとして申告してよい。例えば、「残り20→イニシアティブ10」などのような形で申告すること。イニシアティブが同値の場合、PC側を優先する。「NPCのあとに動く」ことを選んでもよい。PC間やNPC間で同値だった場合、誰が先に行動しても良い。もし対立するPC同士だった場合は、DPの高い方から順に、先に行動するか後に行動するかを選んでよい。DPも同値だった場合は、3D6を振って高い順に序列をつけるなど、ランダムで時間のかからない方法で選択権のあるPCを決める。

行動順の簡易処理
 オンラインセッション時などは、このルールに従って処理すると時間がかかることが多い。処理時間を短縮する場合、イニシアティブは最初のターンに決め(通常、各キャラクターのイニシアティブはDP最大値と等しくなる)、以後戦闘終了まで同じイニシアティブを使用する簡易処理を行うとよい。

“前衛”と“後衛”

 戦闘に参加しているキャラクターは、パーティー毎に“前衛”と“後衛”に別れる。千幻抄の戦闘では、必ずしもキャラクターが整列しているとはイメージしないでよい。3次元的に広がって戦っていて、その中で攻撃を重視しているか、回避を重視しているか、という差が前衛と後衛の違いになる。

 ※ここでは用語の簡潔さを優先してこのような呼称にしているが、「攻撃機動」「回避機動」等と呼ぶ方がイメージとしては正しい。“前衛”は積極的に攻撃に出ている状況、“後衛”は攻撃を無理に行わず、他のキャラクターに隠れたり回避を優先して行動している状況である。

 各ターンの開始時、前衛と後衛のどちらであるかを選んで宣言する。但し、後衛にいるキャラクター数は、前衛にいるキャラクター数以下でなければならない。前衛か後衛かによって、以下のように行動に影響を受ける。

  • 後衛のキャラクターは「ショット」「近接攻撃」の対象にならない。
  • 後衛のキャラクターは「ショット」「近接攻撃」「他人に対するガード」を使用できない。
  • 消費型スペルカードによる場合など、特に明記されている場合、このルールの制限を無視できる。

戦闘ターンの進行

戦闘ターンは以下の順序で進行する。

  • ターン開始時:DP回復の処理や、ターン開始時に発生するイベントの処理などを行う。
  • 前衛・後衛の決定:前衛・後衛を決定する。
  • イニシアティブ決定:イニシアティブ値を決定する。
  • セットアップ:イニシアティブ順に、セットアップ時に使用できる能力や行動を行う。
  • メインフェイズ:イニシアティブ順に、各種の攻撃行動を行う。
  • ターン終了時:ターン終了時に発生するイベントの処理などを行う。

セットアップ

セットアップでは、キャラクターはセットアップ時に使用できる能力や行動を行う。
通常は、補助的な能力の使用などが行われる。また、GMは適当な行動(例えば、周囲を警戒するなど)をセットアップ時に可能な行動としてもよい。
GMが特に定めない限り、セットアップ時の行動はDPを消費してダイスを振る。

イニシアティブ順に、セットアップ時の行動の有無を宣言して実行する。
このとき、抵抗が必要な能力を受けた場合や何らかの攻撃を受けたキャラクターは、防御行動を行うことができる。

能力の使用は、「攻撃行動」の「能力の使用」に従う。
通常、1ターンに使用可能な能力は1つのみであることに注意。
何らかの特殊な効果なしに、セットアップとメインフェイズのそれぞれでスペルを使用することはできない。

メインフェイズ

メインフェイズでは、キャラクターは攻撃行動を行うことができる。
(例外的に、セットアップで実行できる攻撃行動も存在する)
通常はメインフェイズの1回のみが攻撃行動の機会となる。
このとき、抵抗が必要な能力を受けた場合や何らかの攻撃を受けたキャラクターは、防御行動を行うことができる。

武器について

 武器を複数持っているとしたい場合や、「近接攻撃」の際に格闘による攻撃を織り交ぜたい場合など、毎回の攻撃行動ごとに特にペナルティなく持ち替えを行ったとして良い。[魔法の武器]のように特殊な効果を持つ武器の場合は、その武器で攻撃したことにしたときだけ、各種の効果を適用する。(通常はメリットもデメリットもすべて同時に適用する)
 また、スペルの発動などに「手を使う」などの条件がある場合、スペルの発動時のみ武器を仕舞っているなどと解釈して良く、武器の所持はペナルティとならない。スペルを使用したターンに「ガード」や「近接攻撃」(通常は1ターンに2回以上の攻撃行動を行うことは出来ないが)を実行する場合も、そのときに武器を準備しているものと解釈して良い。

攻撃行動

 戦闘に参加しているキャラクターは、原則としてメインフェイズに1回、下記の攻撃行動の中から可能なものを1つ選んで実行することができる。(強力なNPCを登場させた場合など、1ターンに複数回行動するような処理をGMの判断で行うことは禁止しない)

弾幕:DP消費3

 弾をばらまいて相手の行動を制限する戦闘行動を指す。
〈弾幕〉スキルがなければ行えない。DPを3消費する。判定不要で成功し、敵の全てに影響する。
弾幕に対する回避は、通常は必ず成功するものと見なし、ダメージを与えない。代わりに、回避を選択したキャラクターのDPを弾幕の「DP減少数」の分だけ減らす。減らすDPが足りないキャラクター、あるいはダメージを受けることを選択したキャラクターにはダメージを与える。ダメージは固定値で「弾幕基本ダメージ+能力レベル」となる。
 通常は味方に影響はないが、上記の効果に加えて、「任意の味方にダメージ無しに影響を与えて眠りから覚ましたり、[チャーム][コンフュージョン]などの状態からの回復判定を行わせる」等の効果を適用することも可能とする。
DP減少値と弾幕基本ダメージは以下の表6.1を参照する。

弾幕効果表
〈弾幕〉Lv123456789~ 
DP減少数12344556偶数Lv 毎に+1
ダメージ12345566奇数Lv 毎に+1

ショット:DP消費=1or3or6

 狙い澄まして攻撃を集中したり、絶え間なく連射しつつ薙ぎ払うようにして追い詰めたり、あるいは自分の機動も交えて追い込んだり、といった行動から大きなダメージを積極的に当てに行く攻撃を指す。
 〈ショット〉スキルがなければ行えない。また、後述の「“前衛”と“後衛”」のルールによる制限を受ける。
 「{特性値}+〈ショット〉」を判定値とする。判定はDPを消費して行い、消費したDPと〈ショット〉Lvによってダイス数を決定する。能力によるショットで使用できる特性値は攻撃種別表を参照のこと。

  • DP消費1:狙いの甘い攻撃。判定ダイス数は1個。
  • DP消費3:きちんと当てに行くための攻撃。判定ダイス数は3個+スキル補正
  • DP消費6:相手を追跡して当てに行ったり、狙いすまして打ち込んだりする攻撃。判定ダイス数は6個+スキル補正
スキル補正表
〈ショット〉Lv123456789~ 
3DPショット001122332Lvごとに+1
6DPショット011223342Lvごとに+1

 相手の防御行動と対抗判定を行い、攻撃側が達成値で勝って命中すれば威力分のダメージを与える。威力は、通常はダイスを用いて「([使用する能力]Lv)D+使用する特性値」によって与えられる。(射撃武器による攻撃では、[使用する能力]は、[射撃武器鍛錬]となり、さらにダメージに+〈ショット〉Lvする。)詳細は攻撃種別表を参照すること。後述の通り、ショットによる攻撃は、グレイズを消費してダメージを増やすことができる。
 [射撃武器鍛錬]Lvが0の場合でも、射撃武器によるショットでは「1D-3+身体」のダメージを与えることができる。但し、この場合は、グレイズによるダメージの増加はできない。

ホーミング:DP消費2×対象数(追加消費による強化あり)

 自動的に相手を追尾する能力を持つ弾を放つ。無理に動く必要が無いためDP消費が低く、複数の対象を狙えるが、威力はショットに若干劣る。
 〈ホーミング〉スキルがなければ行えない。後述の「“前衛”と“後衛”」のルールによる制限を受けない。
 単体へ攻撃する場合、DPを2消費する。ダイスを振っての命中判定は行わず、達成値を直接「{特性値}+〈ホーミング〉+10」として与える。使用できる特性値は攻撃種別表を参照のこと。
 上記の達成値を用いて相手の防御行動と対抗判定を行い、命中すれば威力分のダメージを与える。威力は、通常はダイスを用いて「([使用する能力]Lv÷2)D+{特性値}」(切り上げ)によって与えられる。詳細は攻撃種別表を参照。
達成値上昇:ホーミングによる攻撃を行う際、DP消費を2ずつ増やすことで、達成値をさらに6ずつ増やしてもよい。一度にDP消費と達成値を増やせる回数は、「〈ホーミング〉Lv2毎に1回」となる。(Lv1で0回(+10に固定)、2~3で1回(+16まで可)、……)
対象数増加:ホーミングは、複数の対象に攻撃を行うことができる。この場合、単体への攻撃でのDP消費量を対象数だけ倍にする。対象数は、最大で「〈ホーミング〉Lvの半分(切り上げ)+1」までとなり、この範囲で対象を自由に選べる。ダメージは1回だけダイスを振って求め、命中した敵全てに同じダメージを与えるとする。

ホーミングのオプション表
〈ホーミング〉Lv12345678 
達成値上昇の最大回数011222333Lv 毎に+1
最大対象数223344552Lv 毎に+1

※例)〈ホーミング〉レベル4の場合、以下の選択肢がある:
・達成値「〈ホーミング〉レベル+特性値+10」、対象数×2のDPを消費。最大3体。
・達成値「〈ホーミング〉レベル+特性値+16」、対象数×4のDPを消費。最大3体。
・達成値「〈ホーミング〉レベル+特性値+22」、対象数×6のDPを消費。最大3体。

接近:DP消費=判定ダイス数

 近接攻撃のための間合いを詰める行動。〈近接戦闘〉スキルがなければ行えない。また、後述の「“前衛”と“後衛”」のルールによる制限を受ける。
 相手に接近できるかどうかを判定する接近判定を行う。「{身体}+〈回避〉」を判定値として、相手の「{身体}+(〈回避〉or〈弾幕〉)+15」(高い方)を目標値とする。この判定ではDPを自由に使うことができる。 判定に成功すると、相手に接近し、続けて「近接攻撃」を実行できる。

近接攻撃:DP消費=1or3or6|

 間合いを詰めて自分の体や手持ちの武器で攻撃する。後述のグレイズによるダメージへの変換効率が高いが、DPの消費が大きい。
 「接近」の行動に成功した場合でなければ実行できない。
 「{身体}+〈近接戦闘〉」を判定値として命中判定を行う。判定はDPを消費して行い、消費したDPと〈近接戦闘〉Lvによってダイス数を決定する。相手の防御行動と対抗判定を行い、攻撃側が達成値で勝って命中すれば威力分のダメージを与える。近接攻撃の威力は、通常の武器ならば「{身体}+([近接武器鍛錬]Lv)D+〈近接戦闘〉Lv」によって与えられる。後述の通り、近接攻撃による攻撃は、グレイズを消費してダメージを増やすことができる。
 [近接武器鍛錬]Lvが0の場合でも、近接攻撃では「1D-3+{身体}+〈近接戦闘〉Lv」のダメージを与えることができる。但し、この場合は、グレイズによるダメージの増加はできない。
 属性を有する存在の場合、格闘による近接攻撃も同じ属性を持つ。

ショットの場合と異なり、DP1の近接攻撃にもスキル補正が発生する。

  • DP消費1:牽制のための大雑把な攻撃。判定ダイス数は1個+スキル補正。
  • DP消費3:きちんと当てに行くための攻撃。判定ダイス数は3個+スキル補正
  • DP消費6:狙いすました大技。判定ダイス数は6個+スキル補正
スキル補正表
〈近接戦闘〉Lv123456789~ 
1DP近接000111223Lvごとに+1 (10,13,16…で+1)
3DP近接001122332Lvごとに+1 (9,11,13…で+1)
6DP近接011223342Lvごとに+1 (8,10,12…で+1)

能力の使用:DP消費=判定ダイス数(最大3D)

 準備時間に特殊な記載のない能力に関しては、戦闘中にも使用することができる。セットアップに使用可能な能力はセットアップ中に、それ以外のはメインフェイズの攻撃行動として実行する。
 [二重詠唱]などの特技がない限り、原則1ターンに1回しか能力の発動を試みられない。例えば、セットアップに能力を使用していた場合はメインフェイズで能力を使用できず、メインフェイズで能力を使用したければセットアップで能力を使用していてはならない。例外は個々のスペルや能力に従う。
 DPを消費して能力の発動判定を行う。この際、判定に使用できるダイスは3Dまでとなる。能力の効果や抵抗判定などについてはそれぞれの能力の項を参照のこと。

防御行動

 攻撃行動が行われた場合、1つの攻撃に対してどれか1回のみ行える。条件さえ満たしていれば、防御行動は1ターンに何回でも行うことができる。
 相手の達成値を見てから判定を宣言してよい。DP消費もこのときに決める。
 対抗判定は防御側が有利(達成値が同値の場合は防御行動が成功する)なことに注意。

回避:DP消費=判定ダイス数

 攻撃を避ける。〈回避〉スキルが無くても判定を行える。
 「{感覚}+〈回避〉」を判定値とする。判定はDPを消費して行い、DPが許す限り自由な数の判定ダイスを振ることができる。通常は、回避に成功すればダメージを受けない。さらに、規定された量のグレイズを得ることができる。弾幕に対しては回避を行わないことに注意。

弾幕をダメージで受ける:DP消費無し

 弾幕攻撃に対して、DPを減らすのではなくダメージを受けることを選択する。演出上は、被弾しているが小さなダメージで済んでいる、と考えてもよいし、ぎりぎりで展開しているスペルカードなどに影響を受けつつ回避している、と考えてもよい。

ガード:DP消費=判定ダイス数

 弾や攻撃を近接武器で受け止める。〈近接戦闘〉を習得していれば、1ターンに1回まで、「ショット」「ホーミング」「近接攻撃」に対してガードを行ってもよい。
 「{身体}+〈近接戦闘〉」を判定値とする。判定はDPを消費して行い、DPが許す限り自由な数の判定ダイスを振ることができる。攻撃に対して対抗判定を行い、成功すればダメージを受けない。失敗した場合でも、ダメージを「〈近接戦闘〉スキル×2」だけ減らす。成功・失敗にかかわらず、グレイズを得られないことに注意。
 自分が“前衛”であり、そのターンに「カバー」を行っていなければ、他のキャラクターへの攻撃をガードすることもできる。対象のキャラクターの回避判定の代わりに行い、失敗すれば攻撃を本来受けるキャラクターが攻撃を受ける(失敗時に「カバー」の効果はなく、ダメージ軽減効果も生じない)。

カバー:DP消費=判定ダイス数

 他人のダメージを肩代わりする。自分が“前衛”である場合のみ行える。そのターンに「他人へのガード」を行っていなければ、1ターンに1回まで、「ショット」「ホーミング」「近接攻撃」に対してカバーを行ってもよい。
 「{身体}+〈回避〉」を判定値とする。判定はDPを消費して行い、DPが許す限り自由な数の判定ダイスを振ることができる。攻撃に対して対抗判定を行い、成功すれば「カバー」を行った者が代わりに攻撃を受け、命中した(回避判定を放棄した)として扱う。

抵抗:DP消費=判定ダイス数(最大3D)

 精神的な影響を与える効果や、あるいは肉体的に障害を与えてくる何らかの状況に対抗する。〈抵抗〉を習得していなくても、0Lvとして判定を行える。
 「{意志}+〈抵抗〉Lv」(意志抵抗と呼ぶ)あるいは「{耐久}+〈抵抗〉Lv」(耐久抵抗と呼ぶ)を判定値として抵抗判定を行う。ダイス数はDPから消費し、使用できるダイス数は3Dまでとする。多くの抵抗可能なスペルの場合、目標値は「10+[術者の能力]Lv+(達成値×2の十の位)」として与えられる(「10+[術者の能力]Lv+(達成値÷5、切り捨て)」と同値。)ルールで定められている能力以外で抵抗を行う必要がある場合には、GMが抵抗判定の目標値を定める。

その他の行動

 原則的に、戦闘中(DPを用いて処理を行っているシーンの間)、判定を要するあらゆる行動はDPを消費する。例えば、戦闘しながら周囲の状況を警戒したり、何かを探したりする場合の「{感覚}+〈感知〉」などの判定もDPを消費する。状況としては、戦闘しつつ周囲の状況にも意識を回しているため、それだけ隙ができやすくなる、とイメージすればよい。通常行動の場合、使用できるダイス数は3Dまでとする。
 
 これら「その他の行動」と攻撃行動を1ターンの行動として同時に取れるか(「その他の行動」を攻撃行動の代わりに行うことになるか、同時に実行可能か)、あるいは複数の異なる「その他の行動」を1ターンの行動として実行できるか、といった事柄は最終的にはGMが判断する。また、知覚判定などの場合、ターンの開始時やターンの終了時に判定を行わせる、といった処理も可能とする。原則として、こうした行動判定を求められた場合、DPを消費せず「判定を行わない」ことを選んでもよい。
 
 ※杓子定規に「あらゆる判定にDPを使用しなければならない」とは規定していない。例外的な処理としてGMが認めた場合、DP消費をせずに通常の行動判定を行ってもよい。例えば、戦闘中に何か道具を使用し、その道具の効果が「作者のスキルで使用時に判定」などとGMが取り扱いを規定していた場合、判定は通常通り3Dで行い、使用者はDPを消費しないとする、といった扱いが考えられる。
 

ダメージと追加ダメージ

 ダメージを与える攻撃行動を行い、相手が回避できなかった場合などは、ダメージを与える。ダメージの値または計算式は個々の攻撃行動に対して設定されている。ダイスを用いて決定するのであれば、直ちにダイスを振ってダメージを求め、攻撃の対象に適用する。ダメージを受けた場合、状況によってはダメージの軽減効果などを適用した後、本人のHP(スペルカード展開中であればスペルカードのHP)を減少させる。

 能力や状況によっては、追加ダメージが生じる場合がある。この場合、追加ダメージも含めてダメージを決定すること。ルール上は、「本来のダメージに依存して追加ダメージが決まる」場合に、追加ダメージと本来のダメージを分けて考慮するために区別を行っている。

ダイス無し判定

 移動や知覚判定では、DPを消費せずに判定値そのままを達成値として判定を行ったことにしてよい。他の行動でも、GMが許可すればこの扱いができる。「特に意識しなくてもその行動を行えるか否か」を判断の目安とする。

 攻撃行動や回避行動では、ダイス無し判定は全て不可能とする。判定値だけで成功している場合でも、必ずダイスを1つ以上振ること。ダイスを振らなかった場合は放棄したと見なし、自動的に失敗する。

待機

 攻撃行動を行うタイミングで、「そのターンは攻撃行動を行わない」ことを選んでもよい。

 この場合、「待機して状況を見極める」という行動に出たものとして、次ターンのダイスプール回復数を+2する。

防御専念

 ターン開始時、イニシアティブ決定後にのみ宣言できる。「“前衛”と“後衛”」ルールにおける“後衛”にいなければならない。
 防御専念を宣言したターンは、攻撃行動を行えない。能力の効果などを適用した後、弾幕の効果を半減(切り上げ)して適用し、判定を伴う全ての防御行動に+5の修正を得る。「グレイズ」の項の「霊撃」は、弾幕の効果を半減した後に適用する。

戦闘中の移動

 千幻抄の戦闘ではマップなどは使用しないため、移動の正確な距離や方向はルール的にははっきりした意味を持たない。

 キャラクターの移動速度は十分大きいはずなので、キャラクターは戦闘中自由に移動しながら戦っていると見なす。特に移動を制限する要素がなければ、戦闘状態を維持している各キャラクターは、互いに有効射程(30m)以内の距離を保っている限り自由な位置に移動できるとしてよい。このため、十分な大きさを持たず、内部に相手を閉じこめる効果のない結界の影響などは、既に展開されて位置がわかっているものであれば、基本的に抵抗判定など行わずに任意で影響を回避してよい。結界の大きさが微妙(半径29mであったらどうするか)であったり、屋内で移動範囲が狭い場合などの扱いは、最終的にはGMが定める。十分な移動範囲があれば戦闘へのペナルティーは無いとしてよく、結界など範囲に効果を及ぼす能力などであれば、処理を簡単にするため「効果を発揮するか、しないか」だけで判断することを推奨する。

 戦闘中に移動距離を扱う必要が出た場合、{身体}+〈回避〉判定を行い、(達成値)mまで移動することができる。これは他の攻撃行動と同時に行ってよく、ダイス数の上限はない。スペルの発動なども戦闘行動に含むため、これらも移動しながら行ってよい。({身体}+〈回避〉)mまでは、判定無しに問題なく移動できることになる。

 逃げる場合は、戦闘状態を維持したままターン終了時に{知性}+〈飛行〉などで対抗判定を行う。上記の戦闘行動と同時に行って良い。GMの判断によるが、一回で逃げられては味気ないような場合では、逃げる側が勝つ毎に+1、追う側が勝つ毎に-1として、決められた数値に達した時に逃げ切れる、といった処理を行うとよい。

範囲に効果のあるスペルの扱い

 戦闘中に範囲に効果を及ぼすスペルをかける場合、互いの位置関係が具体的に設定されていないため、以下のようなルールで扱うとする。キャラクターは、スペルを発動する際、移動している敵の位置関係から適当なタイミングで攻撃を仕掛けることができるとする。このため、以下に示す範囲で、目標を任意に選択してよい。「同時に効果範囲に巻き込まれないように注意して動く」といった行動も不可能ではないが、これらを処理していると煩雑になるため、味方の弾幕の援護などで移動をある程度絞り込めるとしてこのような簡単な扱いを行う。
基本的には、ターン開始時に結界の中にいるキャラクターを決め、何らかの能力の影響を受けない限り、そのターン中は結界の中にとどまっているものとする。
(選択ルールとして位置関係に注意した移動などを導入したければ、「どの2キャラクターの組で位置関係を注意するかターンの開始時に宣言し、それぞれの組合せについて、各キャラクターは1点のDPを消費する」といった扱いをするとよい。)

範囲攻撃の対象数表

大きさ(直径)対象
~5以下任意に選んで1 人。味方であれば2人。3人以上が同時に内部に留まるとペナルティー。
~10m以下任意に選んで2 人。味方であれば3人。5人以上が同時に内部に留まるとペナルティー。
~20m以下任意に選んで3 人。味方であれば5人。9人以上が同時に内部に留まるとペナルティー。
~30m以下任意に選んで、4人か敵の半数の多い方まで。味方は全員。
~60m以下任意に選んで、5人か敵の3/4 まで。味方は全員。
60m以上戦闘に参加している敵味方全員を範囲に含めることができる。

グレイズ

 弾幕ごっこの途中、敵の射撃攻撃を回避した場合には、グレイズを溜めることができる。グレイズが蓄積する状況と、蓄積する量は以下の通りとする:

  • 弾幕を回避:弾幕によるダイスプールの減少分がそのままグレイズになる。ダイスプールが足りずに命中した場合、あるいは弾幕を無視することを選んだ場合、グレイズは得られない。
  • ショットの回避:回避に成功した場合、攻撃側のダイス数+回避側のダイス数が得られるグレイズになる。
  • ホーミングの回避:回避に成功した場合、回避のダイス数の2倍が得られるグレイズになる。
  • 近接攻撃を仕掛ける:近接攻撃の際に攻撃側が行う回避判定が成功した場合、回避判定に用いたダイス数のグレイズを攻撃側が得る。
  • ※近接攻撃の回避:回避に成功しても、グレイズを得られないことに注意。
  • 回避ではなく、ガードやカバーによって攻撃を防いだ場合、グレイズは得られない。

 グレイズの使用方法は以下の通りとする。これは戦闘中や戦闘終了前の任意のタイミングで行ってよい。

  • 霊力の回復:グレイズを5点消費する毎に霊力を1点回復する。
  • ショットの強化:グレイズを2点消費する毎にダメージを+1する。
  • 近接攻撃の強化:グレイズを1点消費する毎にダメージを+1する。
  • 抵抗ボーナス:〈意志抵抗〉〈耐久抵抗〉の際、3点消費するごとに達成値に+1する。
  • 霊撃:攻撃行動「弾幕」が行われたときのみ使用可能。自分への「弾幕攻撃」1つからのダイスプール減少を、グレイズ3点消費する毎に1つ緩和する。
  • ※スペルカードによって拡大したショットによる攻撃など、複数に対するダメージを強化する場合、ダメージは個別にグレイズを消費して増加させること。

 戦闘シーンが終了したことをGMが宣言した時点で、グレイズは全て無くなる。このタイミングで霊力の回復などを行ってもよい。

 グレイズのルール上、「味方同士で当てる気のない弾幕を撃ちあってグレイズを溜めれば、霊力をいつでも自由に回復できる」ことになるが、このような行為はルール上禁じ手とする。(あるいは、「註:グレイズのルールについて」を参照)

スペルカードの使用

 スペルカードに関する詳細は、スペルカードの効果を参照すること。ここでは、スペルカードの使用タイミングなどについてまとめておく。

  • 展開型スペルカード:任意のタイミングで使用できる。但し、スペルカードを2枚以上同時に展開することはできない。スペルカードを展開すると、そのタイミングでDPが「DP最大値の半分(切り上げ)」だけ回復する。スペルカード展開中は、スペルカードに設定された特定の能力や行動にボーナスを得ることができ、ダメージはスペルカードに対して与えられる。ダメージを受ける直前にスペルカードを展開した場合、ダメージはスペルカードに与えられるとする。
  • 消費型スペルカード:自分の行動の際に使用する。スペルカードに設定された行動を、決められたボーナスを得て実行する。スペルカードを使用したタイミングで、DPが「DP最大値の半分(切り上げ)」だけ回復する。
  • 消費型スペルカードによる弾消し:消費型スペルカードはこちらの使用を選んでもよい。任意のタイミングで使用でき、即座に使用者のDPを「DP最大値の半分(切り上げ)」だけ、その他味方全員のDPを「各自のDP回復量」だけ回復する。
  • 消費型スペルカードによる喰らいボム:消費型スペルカードはこちらの使用を選んでもよい。攻撃を受けたタイミングで使用でき、使用者に対する攻撃の効果を打ち消す。また、即座に使用者のDPを「DP回復量」だけ回復する。

弾と攻撃種別

  • 射撃攻撃
     攻撃種別〈弾幕〉〈ショット〉〈ホーミング〉の攻撃を行う際には、以下のA),B)の両方が必要な条件となる。
    • A)攻撃手段となる弾が使用可能な条件:以下のうちいずれか
      • [神術・陰陽術](術式のみは不可)を習得している
      • [魔法]を習得している
      • [属性使い]を習得している
      • 妖弾化した[妖術」を習得している(加えて、スキルとの組合せを行っているのであれば、対応した行動が阻害されていない)
      • 特技[射撃武器鍛錬] (*)を習得しており、射撃武器を所持している(「ホーミング」は魔法の武器・業物でなければ不可)
      • 特技[近接武器鍛錬] (*)と特技[剣閃・波動]を習得しており、近接武器を所持している(「ホーミング」は不可)
    • B)攻撃を行うスキルによる条件
      • 「弾幕」の場合、〈弾幕〉スキルを習得している
      • 「ショット」の場合、〈ショット〉スキル
      • 「ホーミング」の場合、〈ホーミング〉スキルを習得している

(*)鍛錬がなくとも攻撃自体は可能だが、ダメージは極めて低い

※条件A)を複数満たしている場合、「複数の弾による攻撃を選択可能」となる。どの能力または武器を使用しているかについて、攻撃時に宣言すること。これによって、命中判定に使用する特性値やダメージが異なる。「攻撃行動まとめ」を参照。

  • 近接攻撃
     近接攻撃が使用可能な条件は以下A),B)の両方となる:
    • A)攻撃手段となる武器が使用可能な条件:近接武器を所持している
      (実用的なダメージを与えるには特技[近接武器鍛錬]が必要)
    • B)攻撃を行うスキルによる条件:〈近接戦闘〉スキルを習得している

(ver1.20からコピー、抵抗判定の名称変更を反映)
(〈近接戦闘〉スキル、および[近接武器鍛錬][射撃武器鍛錬]の定義を反映)
(「ショット」の判定ダイス数を制限。スキルによる補正を追加)
(射撃武器の「ショット」も〈ショット〉スキルを使用。〈射撃武器〉スキルは廃止。ダメージボーナスも廃止)
(「近接攻撃」のルールを変更。判定ダイス数を制限。スキルによる補正を追加)
(「ホーミング」の達成値上昇オプションの上昇幅を+10から+6に削減。)