1.3版の制作にあたって_1.3

Last-modified: 2019-08-25 (日) 17:52:49

千幻抄を制作してから10年以上が経ち、東方projectも大きく広がりました。
TRPGに関しては、ニコニコ動画などでキャラクターを利用したリプレイ形式の動画などが人気を博しており、TRPGというものに触れ、興味をもつ機会も増えているものと思います。

千幻抄はこうした動画等で紹介されているTRPGを、幻想郷を舞台として遊ぶためのルールです。
原作のキャラクターを遊ぶのではなく、プレイヤーの分身となりうるオリジナルのキャラクターを作成し、幻想郷での異変解決を楽しむことができます。

1.3版では、主に以下の点について改訂を行っています。

  • 情報収集に関するルールの導入:千幻抄では、情報収集などの取扱はGM各自のやり方に一任する方針として、特に情報収集に関するルールを作成していませんでした。1.3版では、様々な商用のTRPGで使用されている情報項目型のルールを念頭に、GMが処理しやすい形で情報収集に関するルールを作りました。ただし、かなりGMの裁量に任せる形のルールであり、ややガイドラインに近い位置づけとなっています。GMは、シナリオの傾向などに合わせて、独自に情報収集関連を取り扱っても構いません。
  • セッションの進行に関するガイドラインの整備:千幻抄では、これまでセッションの進行や戦闘ルールの運用に関して特に指針を示していませんでした。このことが、戦闘ルールの複雑さや幻想郷という舞台の複雑さに対し、プレイヤー及びGMが取り付きにくいルールとなっていたとの反省があります。1.3版では、こうした事情を考慮し、シナリオの例示や戦闘ルールの運用ガイドラインなどを作成しています。
  • 非公式サプリメント「夢演想劇」からの一部要素の取り込み:「夢演想劇」は、千幻抄プレイヤーの方が有志で作成したサプリメントであり、千幻抄に対する追加要素やバランス修正が多く行われています。制作者から見ても、これらの追加や修正の多くは確かに千幻抄のルールの未熟な部分を修正するものでした。1.3版にあたって、許可を得た上で「夢演想劇」から幾つかの要素を採用し、公式ルールとして使用しています。
  • 戦闘ルールの若干の修正:戦闘ルールの大幅な修正による軽量化は行いませんでしたが、部分的にバランス修正を行いました。特に、牽制用の攻撃としてはホーミングと弾幕が基本的に使用され、ショットを伸ばす意味が薄かった(DPをつぎ込むのであればレベル1でもよい)点を修正し、ショットが当てやすくなるように調整しました。また、近接攻撃についても、「近接距離に留まる」オプションを導入し、近づくことで牽制となるようにしています。その一方で、ショット及び近接攻撃については、判定ダイス数をいくつかの選択肢に固定するルールを導入しています。これは、攻撃側と防御側の両方が自由にダイスを振る意味は薄く、攻撃側についてはダイス数1個の調整で時間を取る必要はないのでは、という意図によります。
    • 「類型」ルール:これまで公開していた修正版において、キャラクターが物語において果たしうる役割に注目して類型を定めることで、キャラクターが意図した役割を果たしやすくなる、というアイデアに基づいて「類型」ルールを提示していました。一方で、データ量が増加してしまうことなどの理由から、やや扱いにくいルルールであることも確かです。このため、現状では選択ルールとしてルールを提示する形としました。

以下の点については、アイデアなどを挙げていましたが、今回の改定では断念しました。

  • 戦闘ルールの大幅な修正による軽量化:千幻抄は戦闘ルールの重さやデータ量などから取り付きづらい部分が多くありますが、それでも10年以上少しずつでも遊んでもらえてきたことは、今のルールに独自の面白さを見出してもらえているからだと思います。十分な調整を行う時間もない現状で極端な修正を施して面白さを失わせてしまうよりも、現在のルールを維持し、戦闘ルール運用やセッション進行のガイドラインを整備することで遊びやすさを高める方が適切だと判断しています。