No196 M1/元ネタ解説

Last-modified: 2020-08-07 (金) 13:00:04
所属Royal Navy
艦種・艦型M級潜水艦(潜水モニター)*1
正式名称HMS M1
起工日1916.7
進水日1917.7.9
就役日(竣工日)1918.4
除籍日(除籍理由)不明(1925.11.12沈没)
全長(身長)90.14m
基準排水量(体重)1594英t(1620t)?
出力浮上時:Vickers式12気筒ディーゼルエンジン2基2軸 2400shp(2433.3PS)
潜水時:モーター4基2軸 3200hp(3244.4PS)
最高速度水上:15.0kt(27.78km/h) 水中:9kt(km/h)
航続距離水上:10.0kt(18.52km/h)/4500海里(8334km)
水中:2.0kt(3.70km/h)/80海里(148.16km)
乗員62名
装備(建造時)12inch40口径Mk.IX単装砲1門
3inch25口径Mk.II単装砲1門
18inch魚雷発射管艦首4門
装甲なし
建造所Vickers-Armstrongs Limited,Barrow-in-Furness,Cumbria
(ヴィッカース・アームストロング社バロー=イン=ファーネス造船所 イングランド国北西イングランド地域カンブリア州バロー=イン=ファーネス)
  • 1916年、ドイツ軍の潜水艦による通商破壊戦に頭を悩ませたイギリス軍は、ドイツが当時主流としていた『商船の目前に浮上して主砲で威嚇し、乗組員を退避させてから撃沈する』という戦法に着目し、
    商船攻撃用により強力な主砲、すなわち戦艦の主砲クラスを潜水艦に搭載することを試みた。
    この発想を元に建造されたのがM級潜水艦である。
  • 最大の特徴は装備された305mm単装砲であり、これを直撃させれば装甲のない商船などほぼ一撃で行動不能に追い込めると期待されたが、主砲の重量が凄まじくバランスが悪く、
    装填作業も浮上しなければできない*2など運用上の問題が多数見つかり、対潜攻撃の発展もあって潜行状態からの魚雷攻撃が主流になると判断され、M級潜水艦は実験的な産物として役割を終えた。
  • M1潜水艦は訓練などに使われており、1925年春の大演習では戦艦フッドの側面900mから急速浮上、主砲1魚雷4の命中判定を出して表彰されている。
    この演習の反省点から戦艦などの護衛に対潜水艦の探知・攻撃能力の重要性が認識されるようになった。
    しかし11月、M1民間船舶と衝突事故を起こし、あろうことか主砲がもげて基部から大量浸水し沈没した。
    M1喪失後残り2隻は主砲を撤去され、M2は航空機を格納する実験を、M3は機雷敷設用になった。
    その後今度はM2が訓練中に沈没(一説には格納庫の扉を閉め忘れたまま潜行したとされる)、残ったM3も1932年に解体されている。
  • 1930年、ワシントン軍縮条約を延長しさらなる規制拡大も目指したロンドン海軍軍縮会議により、
    潜水艦は上限排水量は2000トン、備砲は5.1インチ以下。3艦に限り2800トンで6.1インチ以下。(アメリカの既存の大型潜水艦に配慮した形)
    という規約が設けられた。
    これは潜水艦が長射程の大型艦砲で港湾部へ砲撃することへの懸念からである。

*1 海軍の艦種分類は潜水艦
*2 ドイツ軍の潜水艦も浮上しなければ装填できない点は同じだが、少人数で装填・砲撃ができる小型の砲を備えていた。さらに、浮上時に砲の中の海水を速やかに排出して装填動作に移れるよう、砲の尾栓を開いたまま潜航するなどの工夫もしていた。