No226 エセックス/元ネタ解説

Last-modified: 2018-02-22 (木) 17:35:10
所属United States Navy
艦種・艦型エセックス級航空母艦→攻撃航空母艦(1952)→対潜航空母艦(1960)
正式名称USS Essex (CV/CVA/CVS-9)
名前の由来Essex County マサチューセッツ州エセックス群
City of Essex アメリカマサチューセッツ州エセックス群エセックス市
愛称Fightin'est Ship in The Fleet
モットーE Navibus Pugnissima
起工日1939.9.25
進水日1940.12.14
就役日(竣工日)1941.10.20
退役日(除籍後)1969.6.30 1973.6.1除籍(1975.6.1売却後解体)
全長(身長)266.0m
基準排水量(体重)27100英t(27535t)
出力Babcock&Wilcox式重油専焼缶8基Westinghouse式蒸気タービン4基4軸 150000shp(152080.5PS)
最高速度33.0kt(61.11km/h)
航続距離15kt(27.78km/h)/20000海里(37040km)
乗員2600名
装備(建造時)5inch38口径Mk.12両用砲連装4基8門単装4門
40mmボフォース機関砲x32(8x4)
エリコン20mm機関砲x46
艦載機90~100
装甲舷側:2.5~4inch 甲板:1.5inch 操舵室上:2.5inch
建造所Newport News Shipbuilding, Newport News, Virginia
(ニューポート・ニューズ造船所 アメリカ合衆国ヴァージニア州ニューポート・ニューズ市)
勲章Presidential Unit Citation
Navy Unit Commendation
Navy Meritorious Unit Commendation
Navy Expeditionary Medal
China Service Medal(extended)
American Campaign Medal
Asiatic-Pacific Campaign Medal(13 stars)
World War II Victory Medal
Navy Occupation Medal(ASIA clasp)
National Defense Service Medal(2 awards)
Korean Service Medal(3 stars)
Armed Forces Expeditionary Medal(2 stars 3awards)
Philippine Presidential Unit Citation
Korean Presidential Unit Citation
Philippine Liberation Medal(2 stars)
United Nations Service Medal
Republic of Korea War Service Medal (retroactive)

エセックス級について

  • 通称「月刊航空母艦」エセックス級24姉妹の長女。予定では32姉妹だった。
    某駆逐艦と並んでアメリカ兵器の「必要なのはわかるが、そこまで沢山作る理由がわからない」を体現する船である。
    そして太平洋戦争ではその内の半分くらいしか参戦できていない。そもそもに長女エセックスでさえ就役は1942年の暮である。
  • ロンドン条約が失効した後の1938年、ヴィンソン・トランメル法案で4万トンの制限内で空母を建造する運びとなった。2万トンはホーネット建造に充てたため
    残り半分の排水量でエセックス級を建造する事になった。90機の大型高性能機を載せられる大型空母として建造が始まった。
  • 第1甲板に厚さ2.5インチのSTS特殊鋼製装甲版が張られ、水線下には四重の防御縦壁を仕込んで魚雷の爆発力を吸収、船底も三重構造とまるで要塞のような防御力を誇っていた。
    空母としては破格の対15.5cm防御であるが、あくまで船体部分の話。飛行甲板は非装甲のため、その下の格納庫共々吹っ飛ばされた艦はいくつかある。
  • 搭載数はゲーム中の通り最低でも90機。100機以上載せたこともある。だが格納庫面積は実はそんなに広くない。面積だけなら赤城の半分ちょいだとか。
    この搭載数の一番の要因は、搭載機の翼折り畳み機構がかなりえげつなかったこと。F6Fなどはゼロ戦よりコンパクトに畳める。*1
    格納庫でも露天係止でも、日本空母より有利だったのである。露天係止時の絵面のみっちり感……。
    また3基のエレベーターのうち、中央の1基を舷側エレベーターとしたことで格納庫面積の利用効率も非常に高くなっている。

太平洋戦争での戦歴

  • エセックス級は大戦型空母の中でも最高傑作で、帝國海軍が保有する翔鶴型をも凌駕するスペックを持っていた。
  • 1942年12月31日に就役したエセックスは、太平洋戦争の主戦場に多く参加している。
  • 就役後の翌年、43年だけでもウェーク島攻撃、クェゼリン攻撃、ブーゲンビル島沖海戦、ラバウル空襲、タラワ攻撃などに参加、日本軍に対して攻撃を加えている。
  • 形勢が逆転した1944年以降においてもエセックスは精力的に活動し、日本軍に徹底的な攻撃を与えている。
    44年のオーバーホール後は第15飛行群が搭乗、マリアナ・パラオ諸島をめぐる戦いにおいて航空支援に活躍している。
    また、この際第15飛行群を率いていたのはアメリカ海軍きってのエースパイロット、デヴィット・マッキャンベル少佐*2
    前述したゲーム内キャラクター、ベルマッキャンの元ネタとなったエセックスと縁のある人物である。
  • レイテ沖海戦では駆逐艦藤波を撃沈する戦果を挙げている。
  • その後も各戦線にて戦い続けていたエセックスだったが、レイテ攻撃後の11月25日に神風特攻隊の空襲を受ける。
    エセックスには特攻機2機が突入、うち1機が命中し15名戦死と多数の負傷者、そして艦に損傷を負った。
    この特攻によりエセックスの所属する第38任務部隊はフィリピンから撤退した。突入された際にかなりの爆発が生じたが、あんまり効いていなかった。
    大破しても服が全然破れないのは、エセックス級の驚異的な防御力を反映したからだと思われる。
  • 修理を完了し1945年に戦線復帰したエセックスは硫黄島の戦いを援護するため日本列島への空襲に参加。
    3月19日には帝國海軍の一大拠点、呉軍港を空襲している。しかし味方艦から誤射を受けて損傷。
    その後は沖縄戦にも参加し、あの戦艦大和の最後となった坊ノ岬沖海戦にも参加し、所属航空隊が大和へ攻撃を加えている。
    4月11日、また特攻機に突入され損傷している。
    7月には呉軍港空襲に参加し、商船改造空母・海鷹を撃沈。1945年8月に終戦を迎え、エセックスはアメリカ本土へ帰還した。
  • エセックスは1947年に予備役艦隊へと編入され、束の間の休息に入った。
  • 水餃子のように量産された妹たちは欠ける事無く全員生存している。完成度の高さを如実に物語っていると言えよう。
    フランクリンのみ、帝國海軍の航空攻撃で沈没寸前までいったが……。
    • ちなみに沈没していないだけで、日本軍から受けた損傷により終戦までに現役復帰できなかった艦も存在する。
      事実上、帝国海軍は撃沈ではなく「撃破」には成功したとも言える。

戦後のエセックス

  • 予備役となったエセックスであったが、時代は再び彼女たち航空母艦を必要とした。冷戦の幕開けである。
  • 第二次世界大戦後、ジェット機の誕生によりWW2時開発の航空母艦の基本概念は大きく変わっていく事になる。主たる理由が艦載機の大型化である。
    今まで大量の艦載機を詰めた艦も搭載機数が減り、さらに大型な空母が求められるようになっていった。
    こうして時代の流れに連れて大戦時の航空母艦は運用方法の変更や大規模改修の必要を迫られた。
  • これらの流れにより陳腐化すると思われていたエセックス級だったが、その後も主戦場を変えて活躍。
    揚陸艦や対潜空母や練習空母などに役割を変えて冷戦中期まで使用された。
    ちなみに練習空母であったレキシントン(CV-16)は1991年まで現役であった。
  • ネームシップであるエセックスは近代化改修を1951年に施し、朝鮮戦争にも従軍している。
    1956年には現代空母の特徴でもあるアングルド・デッキに改装された。
    • アングルド・デッキは甲板後方から斜めに入った着艦用甲板を有する飛行甲板である。
      従来の直線型甲板に比べ、甲板に駐機したまま着艦が行える、着艦失敗時に甲板上に駐機した機体との接触事故を防げる利点がある。
      特にジェット機が主流となった第二次大戦後、高速機であるジェット機の着艦はフックが外れれば大惨事を招きかねなかった。
      こうした理由から、着艦時の安全確保と発着艦の効率化が行えるアングルド・デッキは1950年代から急速に広まったのである。
  • 1961年4月15日、ピッグス湾事件が発生。キューバでのカストロ政権転覆を試みたアメリカ主導の軍事クーデター作戦である。
    結果はCIAが支援するキューバ人傭兵部隊の壊滅とカストロ政権の勝利で幕を下ろした。この事件は後のキューバ危機へと繋がって行く。
    この事件の際にはエセックスも出動、爆撃機を護衛する密命も受けていたが実現はしなかった。
    余談だがクーデター失敗の要因の一つとして爆撃機が制空権の問題で満足に動けず、航空支援が不可能だった事が挙げられる。
    もしエセックスによる航空援護が実現していれば、結果は変わっていたのかもしれない。
  • 1962年10月、キューバにソ連の核ミサイルが搬入された事が切欠で米ソ開戦の危機が発生。後にキューバ危機と呼ばれた大事件である。
    エセックスはギアリングと同じくキューバ危機にも参加。海上封鎖任務に投入された。
    この核戦争勃発の危機は両者の政治交渉により何とか解決、キューバからのミサイル撤去後、エセックスはアメリカ本土へ帰還した。
  • 1967年にはアポロ計画にも参加。地球へ帰還した宇宙飛行士の収容母艦として使用され、実際にアポロ7号のクルーをプエルトリコ沖にて収容している。
    余談だが月面へ初着陸したアポロ11号の船長、ニール・アームストロングはエセックス乗艦のパイロットとして朝鮮戦争に従軍している。
    このように、ゲーム内実装艦の中でも宇宙計画に関わりのある珍しい艦でもある。
    ちなみに他に宇宙計画に関与した艦船にはジャイアットパワーが存在する。戦後アメリカ艦ならではの光景。
  • 1968年5月25日、ノルウェー沖で演習中、偵察のため異常接近してきたソ連のTu16が操縦ミスで墜落。乗員全員が死亡する事故が発生した。
  • 太平洋戦争、朝鮮戦争、キューバ危機、アポロ計画と様々な戦争・事件や計画へと参加したエセックスは、1969年に退役。
    73年に除籍されたのちにスクラップとして売却され、航空母艦としての生涯に幕を下ろした。
  • 現在、同エセックス級航空母艦は「ヨークタウン」「イントレピッド 」「ホーネット 」「レキシントン」が現存し、博物館や記念艦として公開されている。
    また「イントレピッド」はイントレピッド海上航空宇宙博物館としてニューヨークで公開中である事も有名。

*1 零戦はエレベーターの幅に収めるため、主翼の先端部分を僅かに折り曲げれる程度であったが、F6Fなど米軍艦載機は主翼の根元に近い部分から折りたたみ可能で、かなりのスペースを節約できた。
*2 1910年~1996年没、太平洋戦争で34機の日本軍機を撃墜した