No496 ノーフォーク/元ネタ解説

Last-modified: 2021-12-03 (金) 17:03:19
所属United States Navy
艦種・艦型ノーフォーク級対潜巡洋艦→嚮導駆逐艦→フリゲート
正式名称USS Norfolk (CLK-1→DL-1)
名前の由来City of Norfolk アメリカ合衆国バージニア州ノーフォーク市
起工日1949.9.1
進水日1951.12.29
就役日(竣工日)1953.3.4
退役日(除籍理由)1970.1.15(1974.8.22売却)
全長(身長)164.6m
基準排水量(体重)5556英t(5645t)
出力Babcock & Wilcox水管ボイラー タービン発電機各4基2軸 80000shp(81110PS)
最高速度33.0kt(61.11km/h)
航続距離20.0kt(37.04km/h)/6000海里(11112km)
乗員士官42名 兵員504名
装備(竣工時)3inch50口径Mk.33連装砲4基8門
20mmエリコン機関砲x8(4x2)
ウェポン・アルファ4基
21inch四連装魚雷発射管2基8門
装備(1960)3inch70口径Mk.26連装砲4基8門
ASROC八連装発射機1基
装甲なし
建造所New York Shipbuilding Corporation, Camden, New Jersey
(ニューヨーク造船所 ニュージャージー州カムデン)
  • ノーフォークはアメリカが戦後に建造した対潜特化型駆逐艦。同型艦はない。
    • この名前の由来はバージニア州の同名の都市から。
      世界最大の海軍基地とも称される「ノーフォーク海軍基地」の所在地である。
      同じ名前でもこちらはイギリスの州からの命名。
  • 第二次世界大戦中の大西洋はドイツUボートとの戦いが終始行われ、英米をはじめとした連合国軍は各種対潜作戦や装備を整えながら戦い抜いてきた。
    しかしこれに対応するようにドイツでもUボートの進化が進められており、本格的な出撃を前にしてドイツが降伏してからはその新鋭Uボート=XXI型が接収されるに至る。
    驚くべきはその性能で、接収艦を用いて行われた模擬戦では実戦経験豊富な対潜戦部隊でもっても捉えることができず、逆にやすやすと攻撃を受けるという結果になった。
  • これを受けて直ちに対策を講じることが提唱され、航空戦での対空哨戒艦=レーダー・ピケット艦に対する対潜戦での対潜哨戒艦=ソナー・ピケット艦構想が持ち上がった。
    安定した高速性能やソナー性能の最大限発揮を考慮した船体設計を要求されることになり、複数の案を検討した結果、アトランタ級の船体設計をベースとした比較的大型な「対潜巡洋艦」(CLK=Cruiser; Light, sub-Killer)が2隻建造されることが決まる。
    • 艦種…
      実は当初艦種に設定されていたCLKは進水時点で廃止されており、それに代わる艦種として「嚮導(きょうどう)駆逐艦」(DL=Destroyer; Leader)があてられた。
      それ以前にも嚮導駆逐艦的な艦(級)はあったものの独立した艦種があてられることはなく、その意味合いではアメリカ海軍初の嚮導駆逐艦であるともいえる。
      また就役から間もなく艦種記号はそのままに「フリゲート」へ艦種を変更している。
    • 2番艦…
      上述のように当初計画では2隻の建造が予定されていた。
      しかしこの艦の調達費用が非常に高額(6190万ドル)であったため、通常の駆逐艦(のプロトタイプ)であるミッチャー級駆逐艦を優先する形で棚上げ、結局起工さえされないまま2番艦は建造中止された。
      • このミッチャー級も実は結構大型で、当時世界最大の駆逐艦とまで言われたほどであった。
        ノーフォークにしろミッチャー級にしろこの大型ゆえの高コストが仇になり、より小型かつ安価であることが求められ、次級のフォレスト・シャーマン級駆逐艦に繋がっていく。
  • この艦の開発経緯からして、まず求められたのは対潜性能であった。
    QHBと呼ばれる全周走査可能なアクティブ・ソナー、Mk108「ウェポン・アルファ」324mm対潜ロケット砲、Mk35対潜誘導魚雷など、新規開発された対潜兵器が一挙に搭載された。
    その次として対空兵装が載せられたが、当初予定していた70口径3inch砲の開発が遅延していたことから、50口径3inch砲をひとまず載せることとした。
    • 就役してからしばらくは各種兵装の試験運用を行っていたこともあり、比較的大柄な船体を活かして本格的なミサイル駆逐艦化を目指す案、ウェポン・アルファを一部降ろしてASROCQH-50 DASHを搭載する案などが存在した(ASROCに関しては1960年以降実際に試験搭載された)。
  • ノーフォークの艦歴としては、嚮導駆逐艦としての役割を果たすがごとく、各地の艦隊における駆逐艦部隊の旗艦を歴任しつつ、新大陸国家群の海軍と共に行われる国際演習においては対潜巡洋艦の名を表すがごとく対潜水艦訓練を率いた。
    就役から20年弱をそのようにして過ごし、1970年に退役、その数年後にスクラップとして売却されることとなった。
    • ちなみに、残念ながらノーフォークのほとんどはすでに述べた通り70年代に解体されているものの、ノーフォークの主砲2基と鐘は今でも残されている。
      主砲はノーフォーク海軍基地にて保守作業が行われており、鐘は博物館船となったウィスコンシン(@バージニア州ノーフォーク)のすぐ北側に設置されている。