バンクーバーオリンピック 男子1500m予選

Last-modified: 2016-09-02 (金) 22:22:49

バンクーバーオリンピック>男子1500m>予選 - 準決勝 - 決勝


6名中上位3名が準決勝に進出する。
Q=準決勝進出 DSQ=失格 OR=オリンピックレコード WR=ワールドレコード

 

Heat1

<スタートリスト>

選手名(英語表記)選手名(日本語)年齢国名世界ランクその他の情報
1Lee Ho-Sukイ・ホソク23韓国4位世界選手権1位,トリノ銀
2Olivier Jeanオリビエ・ジャン25カナダ11位
3Liu Xianwei劉 顕偉22中国26位
4Ruslan Zakharovルスラン・ザハロフ22ロシア22位
5Blake Skjellerupブレーク・スケラーアップ24ニュージーランド64位
6Tyson Heungタイソン・ヒュンク30ドイツ35位トリノ17位

まず第1組は、&bold(){トリノオリンピックの1500m,1000m銀メダリスト、イ・ホソク}が登場。
悲願の個人種目金メダルへ、まずはここを無難に通過なるか。
地元カナダからは、今大会の出場選手で最も大柄なオリビエ・ジャンが登場した。

 

<レース展開>
この第1組はNHKの放送ではカットされていたため、詳細は不明。
Youtubeで一部一部を見る限り、オリビエ・ジャンが中盤?で先頭に立ち、
そのまま押し切る内容であったようである。

 

<結果>

1着Olivier Jeanオリビエ・ジャンカナダ2.14.279(OR)Q
2着Lee Ho-Sukイ・ホソク韓国2.14.329Q
3着Liu Xianwei劉 顕偉中国2.14.354Q
4着Tyson Heungタイソン・ヒュンクドイツ2.14.461
5着Blake Skjellerupブレーク・スケラーアップニュージーランド2.14.730
6着Ruslan Zakharovルスラン・ザハロフロシア2.14.929

予選、しかも1組でいきなりオリンピックレコードが出るという幕開けに。
イ・ホソクはまずここは2位通過。体力を温存した形か。

Heat2

<スタートリスト>

選手名(英語表記)選手名(日本語)年齢国名世界ランクその他の情報
1Jumpei Yoshizawa吉沢 純平24日本30位
2Sebastian Prausセバスティアン・プラウス29ドイツ31位トリノ21位
3Nicolas Beanニコラス・ビーン22イタリア17位
4Jordan Maloneジョーダン・マローン25アメリカ14位
5Liang Wenhao梁 文豪17中国-
6Charles Hamelinチャールズ・ハメリン25カナダ2位トリノ4位

地元の大声援を受けるカナダ勢の中から今度はハメリンが登場。もじゃもじゃ髭がトレードマーク。
前回トリノ五輪では、カナダチームの中で最も若手だったが、今回はエースとしての参戦。責任は重い!

あとは強豪国アメリカのマローンにも注目。アメリカの中では3番手選手だけど。
そして、強豪国・中国にいてしかも17歳ながら、個人3種目全てで代表となった、梁文豪にも未知の魅力ありか。

 

<レース展開>
まずイタリアのビーンが先頭に立つが、残り10周で地元カナダのハメリンが早くも先頭へ。
すかさず中国の梁文豪が2番手につけていき、3番手に吉沢、4番手はビーン。

それなりの力を持っているアメリカのマローンは、ずっと最後尾だったが
残り3周で仕掛けて4番手へ。さらにインから3番手に上がろうとしたが
その際、これまで3番手だった吉沢と接触し、吉沢が転倒する。

その後はハメリン→梁→マローンの順で変わらず。最後の直線でインから
梁がハメリンに並んできたところがゴール。

 

<結果>

1着Liang Wenhao梁 文豪中国2.16.152Q
2着Charles Hamelinチャールズ・ハメリンカナダ2.16.153Q
3着Sebastian Prausセバスティアン・プラウスドイツ2.17.058Q
4着Nicolas Beanニコラス・ビーンイタリア2.17.089
5着Jumpei Yoshizawa吉沢 純平日本2.30.701Adv
Jordan Maloneジョーダン・マローンアメリカDQ

1着争いは1000分の1秒差で梁文豪に軍配。
17歳。まだ体格もないし、国際大会の経験も多くない選手だが、次も期待できそうな内容。
カナダのエース・ハメリンもひとまずここは試運転といったところだろう。

そして吉沢とマローンの接触に関してだが、
マローンが&bold(){2番手の梁と3番手の吉沢との狭い隙間に入ろうとして失敗}し、
吉沢を交わしきれずにコーナーに入っていたため、マローンが失格に。
うーん、体力は余っていたように見えるし、焦らずもう少し4番手で待っておいて良かったかも・・

逆に転倒させられた吉沢には救済措置が適応され、準決勝に進出した。

また、4位入線のドイツのプラウスも、マローン失格により繰り上がり3位で準決勝進出。
ずっと5番手だったのだが、最後のゴール前で4番手に上がった甲斐があった。
ショートトラックは、最後まで諦めず上の順位を目指す姿勢が、たまにこういう幸運を呼ぶ。

Heat3

<スタートリスト>

選手名(英語表記)選手名(日本語)年齢国名世界ランクその他の情報
1J.R. CelskiJ.R.セルスキー19アメリカ-世界選手権3位
2Yuzo Takamido高御堂 雄三22日本16位世界選手権6位
3Paul Herrmannパウル・ヘルマン24ドイツ28位欧州選手権4位
4Nicola Rodigariニコラ・ロディガリ28イタリア15位欧州選手権1位,トリノ14位
5Benjamin Maceベンジャミン・マース20フランス32位
6Lee Jung-Suイ・ジョンス20韓国1位

世界ランク1位、金メダル大本命のイ・ジョンスがここで登場。
まだ20歳でオリンピックは始めてたが、自分の滑りを見せられるだろうか。

さらに、去年の世界選手権3位とこれまた強豪の、アメリカの&bold(){セルスキー}がいる。
彼はとても強い選手だが、これが大怪我からの復帰戦ということで、どこまでのレースを見せるか。
まだ19歳。今回が最後の五輪となりそうなアポロ・オーノの後を継ぐ存在として、注目が集まる。

他にも今期・昨季のヨーロッパチャンピオンで、経験も豊富なイタリアのロディガリや、
去年の世界選手権ファイナリストの高御堂などが居て、予選で一番ハイレベルな組となったと言えよう。

 

<レース展開>
注目の韓国イ・ジョンスは最初は様子見の最後尾待機だったが
残り9周で一気に早くも先頭に躍り出た。そこからずっと彼がレースを引っ張ったため
かなりのハイペース、消耗戦の様相を見せる。

2番手には早めに仕掛けた日本の高御堂が付け、3番手にアメリカのセルスキー。
さらにイタリアのロディガリ、フランスのマースと続いた。

しかし残り3周半あたりで高御堂がスタミナ切れ、集団から後れ始め、後続に抜かれる。
他の選手は最後まで隊列が変わらずゴール。

 

<結果>

1着Lee Jung-Suイ・ジョンス韓国2.12.380(OR)Q
2着J.R. CelskiJ・R・セルスキーアメリカ2.12.460Q
3着Nicola Rodigariニコラ・ロディガリイタリア2.12.609Q
4着Benjamin Maceベンジャミン・マースフランス2,12.875
5着Yuzo Takamido高御堂 雄三日本2.15.402
6着Paul Herrmannパウル・ヘルマンドイツ2.16.782

ハイレベルメンバー+道中のハイペースのおかげか
驚異的なオリンピックレコードが叩き出された。

高御堂は、うーん、普通ならここまで完敗してしまう選手ではないはずだが・・・
早めに動いて、イ・ジョンスの直後2番手という良いポジションを取れたように見えたが
前半がハイペースすぎて、その早めの仕掛けが仇となったのだろうか。よくわからない。

日本チームとしても、この距離を得意とする高御堂の予選落ちは痛かっただろう。

Heat4

<スタートリスト>

選手名(英語表記)選手名(日本語)年齢国名世界ランクその他の情報
1Jack Whelbourneジャック・ウェルボーン18イギリス41位
2Semion Elistratovセメン・エリストラトフ19ロシア24位
3Sjinkie Knegtシンキー・クネフト20オランダ23位欧州選手権5位
4Yuri Confortolaユーリ・コンフォルトラ23イタリア8位
5Song Weilong宗 偉龍20中国7位
6Viktor Knochビクトル・ノヒ20ハンガリー39位トリノ5位

3組とは打って変わって、ここはメダルの有力候補は不在の混戦組。
有力どころはワールドカップで結果を残している中国の宗偉龍とイタリアのコンフォルトラか。

 

<レース展開>
終始イタリアのコンフォルトラとオランダのクネフトが1,2番手を争う形で展開。
後方に付けた中国の宋偉龍は、前を滑るロシアのエリストラトフ等の抵抗に手こずりつつも
残り3周でついに3番手にあがり、以後は
この3人が後ろを引き離していき、そのままゴール・・・するかと思われた。

しかし!最終周の最後のコーナーで、3番手の宋がまさかの転倒。
それに接触して2番手のクネフトも転倒しかけるも、なんとか右足をゴールラインへ伸ばし2着確保。

 

<結果>

1着Yuri Confortolaユーリ・コンフォルトライタリア2.14.584Q
2着Sjinkie Knegtシンキー・クネフトオランダ2.14.862Q
3着Jack Whelbourneジャック・ウェルボーンイギリス2.14.972Q
4着Semion Elistratovセメン・エリストラトフロシア2.15.455
5着Viktor Knochビクトル・ノヒハンガリー2.16.826
6着Song Weilong宗 偉龍中国2.20.095

ここはイタリアのコンフォルトラが余裕をもった1着。
オランダのクネフトもなかなか強い滑りを見せていた。
まだ若い選手だしこれからが楽しみかも。

中国の宗の転倒の場面のスローを見てみたが、はっきりと原因はわからない。
コーナーマーカーに足がかすったようにも見えるが。

やはり最終コーナーは皆焦るため転倒が起こりやすい。
最後2番手に上がろうと欲を出したら足元が・・・ということかもしれない。
一方で、4位を走っていたイギリスの18歳ウェルボーンはタナボタ準決勝進出を決めた。

トリノのファイナリスト・ノックは全く注目もされず、結果も出せず終わってしまった。

Heat5

<スタートリスト>

選手名(英語表記)選手名(日本語)年齢国名世界ランクその他の情報
1Pieter Gyselピーター・ギセル29ベルギー9位トリノ準決勝失格
2Jakub Jaworskiヤコブ・ヤヴォルスキー23ポーランド48位
3Peter Darazsピーター・ダラズ24ハンガリー25位トリノ11位
4Apolo Anton Ohnoアポロ・アントン・オーノ27アメリカ5位ソルトレーク金
5Guillaume Bastilleギオーム・バスティーユ25カナダ21位
6Jean-Charles Matteiジャン・シャルル・マティー27フランス40位トリノ24位

アメリカのスター選手で、既に五輪で5つのメダルを獲得しているオーノが登場。父は日本人。
あと1つメダルを取れば、ショートトラック史上最多記録となる。
他では、オーノと同じく3度目の出場となるベルギーの実力者ギセル、地元カナダのバスティーユなど。

 

<レース展開>
まずカナダのバスティーユが先頭を奪い、対照的に、アメリカのオーノは最後方を進む。
残り10周の時。特に接触もないところでバスティーユがバランスを崩してしまい
オーノよりも後ろ、最後方に下がってしまうという大きなロスを負う。

その後バスティーユはそのまま最後方を進み、オーノと同時に前へと進出しようという作戦をとる。
一方で先頭集団を引っ張ったのは、ベルギーのギセルとフランスのマティー。

残り2周半になり、ついにオーノが仕掛け始める。そして一瞬にして
その後1周の間に先頭を奪ってしまう!これは圧巻だった。
これと一緒に上がりたいバスティーユ。オーノほどの勢いないものの、着実に前に進出。

オーノが先頭に立った直後のこと。バスティーユは外から2番手に上がろうとしていた。
しかしそこでフランスのマティーと接触し、二人して転倒、コースアウトしてしまう。
その後はそのままレースは進み、オーノは最後悠々流し圧勝。ギセル、ダラズが続いた。

 

<結果>

1着Apolo Anton Ohnoアポロ・アントン・オーノアメリカ2.17.653Q
2着Pieter Gyselピーター・ギセルベルギー2.18.560Q
3着Peter Darazsピーター・ダラズハンガリー2.18.827Q
4着Jakub Jaworskiヤコブ・ヤヴォルスキーポーランド2.19.163
5着Jean-Charles Matteiジャン・シャルル・マティーフランス2.33.989Adv
Guillaume Bastilleギオーム・バスティーユカナダDQ

バスティーユとマティーの転倒に関しては、
外から交わそうとしたバスティーユの左手と、マティーの右足とが接触して起こったようであった。
元々前にいたマティーに優先権があるため、バスティーユが失格、マティーが救済措置となった。

とにかくオーノの強さが目立ったレース。ギセルは体力を温存したのかもしれないが
それにしてもちょっと離されすぎか。他選手の転倒がなかったら危うかったようにも見えた。

Heat6

<スタートリスト>

選手名(英語表記)選手名(日本語)年齢国名世界ランクその他の情報
1Sung Si-Bakソン・シバク22韓国3位W杯第一戦1位
2Niels Kerstholtニール・ケルストホルト26オランダ27位欧州選手権3位,トリノ10位
3Maxime Chataignierマキシム・シャタニエ21フランス18位トリノ18位
4Anthony Douglasアンソニー・ダグラス24イギリス33位
5Takahiro Fujimoto藤本 貴大24日本-
6Haralds Silovsハラリド・シロフス23ラトビア13位

ここは最強韓国勢の一角ソン・シバク一人に注目が集まるところか。
他は一昨年の欧州王者であり、今大会スピードスケート5000mにも出場したラトビアのシロフスや、
トリノ五輪でB決勝まで進んだオランダのケルストホルトなどの欧州の強豪に、
500mでは世界ランク16位につける日本の藤本が入り横一線。

 

<レース展開>
ラトビアのシロフスが先頭に立つ。続いてオランダのケルストホルト、日本の藤本。
注目の韓国のソン・シバクは後方2番手を進む。

残り9周となった時。最後方にいたフランスのシュタイナーが外を回ってすーっと位置を上げ
一気に2,3番手あたりまで上がってくる。しかしその途中、コーナーで2番手ケルストホルトに体当たり。
ケルストホルトは転倒してコースアウト。

この転倒で一瞬ペースが緩んだのを見逃さず、ソン・シバクが仕掛けて一気に先頭に立つ。
2番手はシロフス。3番手はシャタニエであったが、残り4周で藤本が3番手に。
その後は前3人と後2人が離れ、大勢は決する。

ラストは藤本が前2人からおかれ始めたものの
3位は死守した。

 

<結果>

1着Sung Si-Bakソン・シバク韓国2.14.836Q
2着Haralds Silovsハラリド・シロフスラトビア2.14.900Q
3着Takahiro Fujimoto藤本 貴大日本2.16.155Q
4着Anthony Douglasアンソニー・ダグラスイギリス2.16.622
5着Niels Kerstholtニール・ケルストホルトオランダ2.46.222Adv
Maxime Chataignierマキシム・シャタニエフランスDQ

シャタニエとケルストホルトの接触に関しては
元々後ろにいたシャタニエが外から前の選手らを交わして隙間に入ろうとして失敗し
ケルストホルトに衝突し転倒させているので、&bold(){シャタニエが失格、ケルストホルトは救済措置}。

ソン・シバクが悠々と通過。最後までついていけたシロフスも次に注目か。

 

Heats → Semifinals

通過順位選手名選手名(日本語)タイム
1着Lee Jung-Suイ・ジョンス韓国2.12.380(OR)Q
1着Olivier Jeanオリビエ・ジャンカナダ2.14.279Q
1着Yuri Confortolaユーリ・コンフォルトライタリア2.14.584Q
1着Sung Si-Bakソン・シバク韓国2.14.836Q
1着Liang Wenhao梁 文豪中国2.16.152Q
1着Apolo Anton Ohnoアポロ・アントン・オーノアメリカ2.17.653Q
2着J.R. CelskiJ.R.セルスキーアメリカ2.12.460Q
2着Lee Ho-Sukイ・ホソク韓国2.14.329Q
2着Sjinkie Knegtシンキー・クネフトオランダ2.14.862Q
2着Haralds Silovsハラリド・シロフスラトビア2.14.900Q
2着Charles Hamelinチャールズ・ハメリンカナダ2.16.153Q
2着Pieter Gyselピーター・ギセルベルギー2.18.560Q
3着Nicola Rodigariニコラ・ロディガリイタリア2.12.609Q
3着Liu Xianwei劉 顕偉中国2.14.354Q
3着Jack Whelbourneジャック・ウェルボーンイギリス2.14.972Q
3着Takahiro Fujimoto藤本 貴大日本2.16.155Q
3着Sebastian Prausセバスティアン・プラウスドイツ2.17.058Q
3着Peter Darazsピーター・ダラズハンガリー2.18.827Q
5着Jumpei Yoshizawa吉沢 純平日本2.30.701Adv
5着Jean-Charles Matteiジャン・シャルル・マティーフランス2.33.989Adv
5着Niels Kerstholtニール・ケルストホルトオランダ2.46.222Adv

以上、準決勝進出者は21名/36。
これが7人ずつ3組に分かれて準決勝を戦う。

準決勝の各組は、予選の1位通過者2名+2位通過者2名+3位通過者2名+救済措置1名、で構成される。
また、各組のスタート位置(枠)は、予選通過タイムが速い方から内側に並んでいくものと思われる。
(スタート位置に通過順位は無関係?)