作品集190

Last-modified: 2014-12-16 (火) 15:25:56
渋谷のリグル・ナイトバグ  イトウ(仮名)氏
読み専なら読まなきゃ損だなぁと思える。

『渋谷のリグル・ナイトバグ』面白かったな。
面白かったつっていいのかは分からんけど、自分には出来ない描写で新鮮だったわ。
話自体はシンプルで、全体の雰囲気に誤魔化されてるけどホラーやサスペンスとして見るなら「オチが予想通りで、普通に推測できる素直な作品」って評価をしたいが。
説得力とリアル感があって、小説としては随分上等なものだろうなと思う。
なにせよくあるネタを、その伝え方や調理法を変えて『かつて見たことがない全く斬新なもの』のように見せてるんだから相当なものだ。
ただ、言ったとおりギミックそのものに目新しさはない。
だから冒頭の5kb分くらいで、その文章が肌に合わないなと思ったらブラウザバックが適切だと思う。
そのまま読んでも「なんでこんなものが!」って思うだけだろうから。特に作家側の人間は。
読み専なら読まなきゃ損だなぁと思える。少なくとも読んだ時間は無駄にならないだろうなって感じ。

と、感想が変に長くなったからレビューに変えさせてもらおう。

作品名:渋谷のリグル・ナイトバグ
作者名:イトウ(仮名)氏
作品集:190

URL ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/190/1383232963

評価は★★★★★で。

作品全体の雰囲気も幻想的というか、幻覚的である。

【作品集】190
【タイトル】渋谷のリグル・ナイトバグ  【書いた人】イトウ(仮名)氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/190/1383232963

【あらすじ】
ドラッグ大好きなジャンキー学生、イトウとシマさんは渋谷のクラブで一人の少女と出会う。
リグルと名乗ったその少女は、ドラッグの密売人だった。

【感想】
怪作。
「作者(イトウ)が主人公」「男オリキャラ」「現代入り」「東方成分激薄」「ホラー」「都市伝説」という様々な危険物を00年代初頭(※1)のドラッグカルチャーという鍋で煮込むという、今までに無かった、そしてこれからも無さそうな作品。
作品全体の雰囲気も幻想的というか、幻覚的である。
登場人物達はフルーツを食べながらドラッグを売り買いしたり、ダビンチを小馬鹿にしたり、冷蔵庫と一体化したりとデタラメばかりやっている。
クサ、キノコ(※2)、紙、パケ、プッシャー……。
隠語と幻覚と日常が入り交じって語られる世界は、脈絡がない。
しかし会話や行動に妙なリアリティがあるし、作中の小物類も状況に相応しいもの(※3)が用意されている。
読んでいるとデタラメな話が、本当にあった話なのではないかと思えてくるのである。
書き出しの部分を読んでうんざりするかもしれないが、最後まで読んでみて欲しい。
少なくとも「ダメ!ゼッタイ!」の言葉の重みが理解出来るようになるので、損はないと思う。

最後に一つ。薬物中毒者はよく虫の幻覚を見るという。

(※1)……「エミネム」は1999年にメジャーデビュー。主演映画の「8Mile」は2002年公開(wikipedia調べ)である事に基づく。
(※2)……2002年に違法指定(wikipedia調べ)されるまでは野放しだったらしく、ググると学生の事故のデータが何件か確認出来た。
(※3)……一例として、作中のイトウが着ていた「Gスター」はオランダのアムステルダムで1989年に設立されたブランド(ファッションプレス調べ)。「アムステルダム ドラッグ」でググると、どんな街か解る。

桂枝挿話 夢  せなかあわせ氏

【作品集】190

【タイトル】桂枝挿話 夢   【書いた人】せなかあわせ氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/190/1383787064
【あらすじ&感想】
ぶっちゃけあらすじという程すじが無い、秘封が展覧会行った話。いや、展覧会の一幕ぐらい。
初めのヒューストンで怯みそうになるかもしれないが、是非読んでほしい。
月に関しての流れるトークに、自然と未来である秘封時代が見て取れて、ついでに東方とも上手く重なって面白い。
説得力有るような無いようなやり取りは、秘封を知らない人でも楽しめそう。変に尖ってないし。
話のオチも流れるように終わる。一シーンを切り取ったような話。
動きがほぼ無いから物語としては評価し難いけど、一作品としてはかなり完成されてる印象。

桂枝挿話は四つと決めてるらしいのだが、他の作品と直接的に繋がってるわけでもなく
一体何なのか、ちょっと不思議な作品だ。

【五段階評価】
★★★★☆

千代鳥  道楽氏

【作品集】190
【タイトル】千代鳥 【書いた人】道楽氏
【分類タグ】森近霖之助 博麗霊夢 霧雨魔理沙
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/190/1385271996
【概要】
 冬と春の端境期に、暇を覚える森近霖之助は、外界へと思いを馳せながら、外から流れ着いた小説を読む毎日を送っていた。僅かに伽藍の店内に喧騒を持ち込むのは二人の少女ばかりで、客は全く来る予兆がない。そんな中、ふと訪れた人里にて、ある商用を承る。「外の世界の詩集が欲しい」という、変わった注文をした相手は、里で商いを学んでいたときに懇意であった資産家の娘であった。その娘との良い思い出を壊したくないと思う霖之助だが、上客の頼みを感傷のあまり断る愚かさに気がついて、結局注文を引き受けることにしたのであった。
【感想】
 こういう言葉が最初に出てくるのもなんかなって思うけど、「普通の森近霖之助」が主人公のお話。
 まぁ、彼自身が全然普通じゃないからなおさら変なんだけど、ネタやギャグじゃない霖之助って、結構貴重だなって思う。
 この作品は、ネタでもギャグでもない霖之助のお話で、さらに言うと父性的な感じの優しい霖之助が、魔理沙と霊夢を見守ってる雰囲気。
 霖之助って、上でも書いたけど、ネタとかギャグじゃなかったら、妙に魔理沙とのカップリングが多かったりするように思うんだけど、それって自分は違和感あって、普通に魔理沙とか霊夢にはお兄ちゃん的なポジションでいるもんだと思う。
 そういう霖之助が見たい人は、これを読むと納得できると思うよ。
 文章も安定して高いし、結構書籍版の原作雰囲気出てると思う。

終末奇譚 さらわれた静葉  バームクーヘン氏

【作品集】190
【タイトル】終末奇譚 さらわれた静葉 【書いた人】バームクーヘン氏
【容量】84.64kb。 【タグ】秋姉妹 秋静葉 秋穣子 鍵山雛 河城にとり 比那名居天子
【あらすじ&感想】
 秋静葉が攫われた。天狗の情報を元に、穣子は友人の雛、にとりと協力し天界へと向かうのだった。
 広げた風呂敷が畳めない、強引だけどハートフルな大円団。文章も設定も粗が目立つけど、各シーンは劇的で容易にイメージ出来る。
 熱血な穣子、格好いい静葉が見られます。

 あんまり良い事書いてないけど、個人的には好きな作品で、応援したい新人作家さん。

そして貴方は世界になる  inuatama氏

【タイトル】そして貴方は世界になる 【書いた人】inuatama氏
【URL】ttp://coolier.sytes.net/sosowa/ssw_l/190/1383222912
【あらすじ&感想】
タグに魔理沙、パチュリーとあるとどうしても百合っぽい感じがするが、さにあらず。
むしろ主人公は大図書館とそこにある本そのもの。
よく考えてみると幻想郷にはかなり異質な存在である大図書館を通してパチュリーとはいかなる存在なのかが明らかにされていく
ネタバレがかなり致命的な作品なのでこれ以上は避けるが
よく読むとあらゆる文章がデータという形で流通する現代と読書と言うものの関係だとか
データがあれば満足してしまう人と現物が欲しい人たち(オタなんてまさにそうだよね)との齟齬であったりとか
色々考えさせられる。
すこし抽象的な話が混じるので人を選ぶかもしれないが、自分の中ではここ5作品集で最高の1作
とりあえず何にでも足掻く魔理沙もいい

無想の剣  Alcohol氏

【作品集】190
【タイトル】無想の剣   【書いた人】Alcohol氏
【URL】ttp://coolier.dip.jp/sosowa/ssw_l/190/1383849876
【あらすじ&感想】
妖夢は悩んでいた。
最強の剣とはなんなのだろうか。
雨を斬れる剣か。空気を斬れる剣か。時間を斬れる剣か。
そして妖夢は行き着いた。
わからなかったら人に聞く。

とぼけた妖夢が幽々子様に聞いて、無意識を得るために、さとりをぶった斬りにいくお話
話は全然理解しないし、手段とか目的とかぐちゃぐちゃだし、けむに巻かれるし、超未熟
なんだけどまあ妖夢だからそれでかわいいわけで、
いつか行き着くんじゃないかなって根拠のない予想ができるのも妖夢
文章は淡白だけど一番重要な妖夢のかわいらしいさをテンポよく書いてくれてるからむしろ良かった
ぽかんとした顔の妖夢が目に浮かぶ作品